わらしべ作戦
『アイスクライマー』(任天堂)
先日はコメントを頂きましてありがとうございました。
この記事の方々はお世話になっている方々ばかりですので
黙っているのはどうかと思いまして1つ書かせて頂きたいと思います。
えっと……。
100人いれば当然100人と合うとは限りません。
中には完全に合わない方もいるでしょう。
それならそういう方とは接しない事をお奨め致します。
……その……スミマセン。
あなた誰ですか?
『オールマイティにコメンテート』というブログをやつている
PGM21というものです。
あなたが『LOVE Cinemas 調布』のKLYさんについて書いた記事が……
ああ、例のコピペ親父のお仲間ね。
せっかく雪山に挑戦してるのに、いい迷惑だぜ。
はいコメント削除、と。
『マイティボンジャック』(テクモ)
ふ~ん、ここがマイティボンジャックさんのブログかあ。
言っちゃあなんだけど、クソつまらないですね。
でも相手してあげますとも。
当Blogはさまざまなブロガーの方々とのお付き合いがあります。
ゆえにこのようなコメントをされますと
他の方に迷惑となりかねないゆえに……
あんたにそれを言う資格はない。
「苦情はメールでしか受けつけない」と明記したんだから。
メールでの議論に応じれば、こんなブログは見ないですんで助かるのに。
私は、あなたの記事内容を批判するつもりは毛頭ありません。
個人的に逃げるつもりもさらさらありませんが、
理解するしないはそれぞれであるゆえに……
典型的な逃げ口上ですね(笑)。
ブログに何を書こうが「自由」というなら、ボクがコメントするのも「自由」でしょ。
論理的に話をすすめましょうぜ。さて、選択肢は以下の三つ。
①メールでの議論に応じる
②それが出来ないなら、ブログで謝罪する
③謝罪も無理なら、リンク先にあなたの言動を知ってもらう
こんな条件飲む人がいると思っているようなら、こちらは何も論じられません。
メールでやりとりしたいのは公開したくない内容があるのだと思いますが、
それでどうやって対話しろというのでしょうか?
条件が不満なら、メールで交渉に応じますよ。
文面は、好きなとき、好きな場所で公開してかまいません。
ボクがメールにこだわるのは、逃げ場をなくすため。
既にあなたの事は調査済みですので手口は既にお見通しですし、
数多くの被害者から警察に通報するという話も伺っております。
ただ、これで止めるなら私は何もするつもりはございません。
警察も裁判所も、そこまでヒマじゃない(笑)。
まあ、日本政府に対し批判的な立場をとるボクとしては、
国家権力を巻きこんでくれたら感謝感激ですね~。
こちらはTwitterで、あなたの異常なつぶやきを確認しております。
悪質な人間には、一切関りたくありません。
「オレを止めたいなら、殺すしかない」と書いたこと?
事実だからしょうがないじゃん。
その覚悟もなく文章を公表する、あんたらがヌルいんだよ。
……。
オレは政治や宗教についても率直に書く。
全部の記事を突き合せれば、住所も特定できる。
殺されるのが怖くて、ブログなぞやってられるか。
かといって、リンク先Blogを攻撃するというのは……
攻撃って(笑)。エロサイトの迷惑コメントよりマシなつもりだけど。
それはともかく、よく考えられたシステムでしょ?
ちなみに作戦名は「わらしべ(Operation Warasibe)」です。
さてボンジャックさん、あなたは一方的にボクを批判して、
反論に答えることなくトンズラした。
よって、リンク先のブログにこの無責任ぶりを知ってもらいます。
そこまで仰るなら、あなたのメールに1度だけ答えましょう。
以上を持ちましてこのやりとりは終わりとなります。
一回だけって挨拶かよ(苦笑)。
議論ってのは、納得できるまでやるもんだ。
オレの行動を黙認したいのはわかったから、もう取り繕うな。
黙認などしておりません。
他のBlogサイトに書き込みがあったとしても、
あなたが勝手に書き込んだ事であり、私とは全く関係ございません。
関係ありまくりだろ!(哄笑)
なんにせよ、リンク先に対する責任を全うせずに、
あんたが議論を拒否したことは、事実として記録しておく。
やれやれ。
あれで「オールマイティにコメンテート」とは、看板に偽りありだぜ。
面倒だが、またコピペをはじめるしかない。
いつかリンク先のリンク先のリンク先のブログと、交流できるかも。
「わらしべ長者」の様にハッピーエンドが待つているのか。
それとも、みじめに殺されるのか。
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年忘れ
PS VITA、甘い生活
『甘い生活』(イタリア映画 1960年)
「プレイステーションVITA」発売から二週たつた。
メディアクリエイトの調査によると、12月4週の販売は72,479台。
PSPよりすくない。
古株のゲーマーにとり衝撃的な数字だ。
ゲハ板風にいえば「爆死」。
ゲーム機なぞ、だれも意に介さぬ時代がおとづれた。
二十一世紀のゲーム史をおさらいしよう。
成長がとまつた市場に見切りをつけた任天堂は、
したしみやすい「ニンテンドーDS」を2004年におくりだし、
女性や高齢者をふくめ客層を開拓した。
PSPがそれを追う。
iPodなど、携帯可能な端末の進化という流れにも乗つた。
だが意地悪くいうと、ソニーはなにも創造していない。
『モンスターハンター3G』(カプコン)
なのでたつたひとつの裏切りで、致命傷をおう。
プレイステーションはおわつた。
幸運にめぐまれゝば、復活もありうる。
でもかつての栄華は、もうのぞめない。
「ニンテンドーダイレクト」(本社のモーションキャプチャールーム)
DSとWiiの成功を妬むものは、「3DSは失敗」と陰口をたたいた。
勿論、岩田聡が無策で年末商戦をむかえるはずもなく、いま売れに売れている。
マリオとマリオカートとモンハンが、年内にミリオン突破するとか。
特に『スーパーマリオ 3Dランド』は、ハードの強みである立体視をいかし、
「2.5Dゲーム」という新様式を編みだしたことを評価したい。
しかし、だ。
プレステ不在の市場は、なにか足りない。
萌えが。
たしかにボクらは、『閃乱カグラ』や『NEWラブプラス』に萌えられる。
けど居心地わるい。
任天堂が冷淡だから。
諸手をあげ一見さんをよびこむ、貪欲すぎる京の老舗。
閉鎖的なオタク社会に目もくれず、むしろ立ち枯れをねがう。
プレステの死は、オタク文化の拠点の陥落を意味する。
『ファイアーエムブレム 覚醒』(任天堂)
「ならFEはどうなの?」とか、異論もあろう。
でもあれをつくつてるのはインテリジェントシステムズだし、
特異な会社と特異な関係をむすぶ会社で、例外中の例外とみなそう。
「オタク」は、ファミコンでなく、プレステがうんだ。
『ウィザードリィV』(アスキー)
その牙城は、2ちゃんねるとプレイステーションだ。
あいだにできた鬼子が、「GK」ことゲートキーパー。
二の丸は陥ちた。
さらばGK。
本丸はどうかな。
ツイッターやフェイスブックごときでは、ビクともしない。
難攻不落の要塞。
でもいつかは落城する。
「ポスト2ちゃんねる時代」に、なにをどう書くべきか?
まあボクとしては、手もとにあるのがPCだろうと、スマホだろうと、紙とペンだろうと、
うつくしいものを愛で、そして共有せんと、思いを言葉にかえてゆくだけ。
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南波志帆『ミライクロニクル』
ミライクロニクル
南波志帆のアルバム『水色ジェネレーション』収録曲
作曲:矢野博康
発行:ポニーキャニオン 2011年
【画像をクリックするとユーチューブに飛びます】
「あいまい訳詞クラブ」は、日本語の音のまづしさを痛感させる。
英語ほどでなくとも、十種類くらい母音がほしい。
五色の絵具でキャンヴァスにむかうのはつらい。
支那語にいたつては発音が405あり(御存じのごとく日本語は51)、
さらに四種類の声調をくみあわせ話す。
日常会話が、ある種の音楽だ。
かたや、わが国のポップスが英語にたよるのは、音色が足りないから。
むかし五七五の短詩形文学が発達したのも、
漢詩みたいな立派な形式では、間がもたなかつたのだろう。
南波志帆の『ミライクロニクル』は、アルバムで一番すきな曲。
「未来」と連呼する。
イは、決して格調たかい音ではない。
「イーッだ!」と、ダダをこねる子どもを連想する。
でもうつくしい。
やりすごしても 迫って来る未来
でも ありきたりで いいんだ
向かい風に 体あずけて
「向かい風」のイ、「いいんだ」のイ。
コンマ一秒ごとギアをかえる変速機。
淡々と心情をツイートし、タイムラインを未来へのばす。
……へ~、日本語つて、母音がすくないんだ。
うん、でもだからなに?
とにかくこの詞を、うたえば良いんでせう?
まかせてよ。
この熱狂に缺けるライヴは、八月の仙台でひらかれた。
やたら目が大きくて、不思議な声の歌手だな、と皆おもつている。
復興イヴェントの主宰者は、人選をまちがえた。
真夏の太陽の下、冬物ワンピでも、すずしげ。
マグニチュード9.0の揺れが直撃しても、鼻歌まじりで、やりすごしそう。
嘘も きまぐれも まやかしも全部
夜のベロアで包みこんでしまえ
「ベロア」なんて歌詞としてわかりづらく、場違いといえるが、
ヴェルヴェットヴォイスが「ベ」の下品さをつゝみこむ。
やりすごしても 迫って来る未来
もう少しだけ 子供でいたいけど
「いたいけど」のイは、「イーッだ!」のイ。
十八歳の歌声は、イマを、ココに、きざむ。
ボクの音楽への関心のめざめは、『ザ・ベストテン』の中森明菜なので、
アイドル稼業が修羅の道なのは知つている。
そもそも南波志帆はアイドルなのか?
「10年代のシティポップス」の創造を期待されてる気も。
2020年に、この国が原形をとどめているか、あやしいけど。
ノーフューチャーな時代に未来をうたう歌手は、
来年三月にあたらしいシングルをだす。
ライヴにまだ行けてないが、可能なかぎりフォローし、
まづしき日本語でリツイートしてゆきたい。
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空へ
はるな檸檬『ZUCCA×ZUCA(ズッカズカ)』
ZUCCA×ZUCA(ズッカズカ)
作者:はるな檸檬
配信:「モーニング公式サイト」2010年11月~
[単行本は「モーニングKCDX」として、第二巻まで刊行]
日本文化史上、最大のエニグマ。
宝塚歌劇団。
『ZUCCA×ZUCA』は、ヅカに乙女心をささげた、
多くは乙女といえない猛者たちの列伝。
ヅカは、ファンに美をもとめる。
会社をあるくときも、「大階段」のつもりで。
文字どおり全身全霊かたむけてこそ、タカラヅカ。
このきびしさは、ほかの娯楽にない。
保育園のレクリエイションでは勿論、デュエットダンスを。
ママが男役。
ほかのママはドン引きするなか、園長先生だけ拍手喝采。
組の名前を「花・月・雪・星・宙」にした、隠れヅカファンだから。
ヅカへの愛は教育され、組織化される。
『ZUCCA×ZUCA』にゴシップはない。
だれとだれが仲悪いとか、カネやオトコの話とか。
清く正しく美しくあれと定める、「すみれコード」に忠実。
これはおかしい。
熱烈なファンほど、下世話な噂を好むはずなのに。
でも嘘とは言いきれない。
ボクは本書で、「お茶会」の存在をしつた。
ひとりのスターをかこむファンミーティング。
ヅカオタの居場所は、外側でも内側でもない。
しどろもどろ。
漫画的誇張とおもうなら、あなたはファン心理を御存じない。
ボクは岩渕真奈と対面したとき、これよりヒドかつた。
そびえたつヒエラルヒー。
神国日本、百合の帝国。
宝塚が、その総本山として鎮座まします理由がわかる。
浸蝕される日常。
勤務中にヅカ関連サイトをのぞくのは当然だが、それは色にでる。
「OL」は、オトメレディの略だつたつけ。
ソフト帽をみると、かぶらずにいられない。
買う気はなくとも。
もつれにもつれた欲望。
いわばヅカ資本主義が、本邦に偏在する。
渋谷109の前で花組ポーズ。
タカラヅカ化するシブヤ。
やまとなでしこたちのジャスミン革命。
新婚一か月の福島さんも、柚希礼音のお茶会に参加。
トキメキをもとめ。
ヅカファンにとつては、自身の結婚すら陳腐というか、
そうみなすセリフが、宝塚神話の一片として組みこまれる。
挙句のはて、おのれの死まで演出しだす。
理解しがたいが、それが劇的な人生なのは、たしかだ。
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愛の風景
プリファブ・スプラウト『愛がおわると』
愛がおわると
When Love Breaks Down
プリファブ・スプラウト(Prefab Sprout)のアルバム
『スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen)』収録曲
作曲:パディ・マカルーン
発行:イギリス 1984年
【画像をクリックするとユーチューブに飛びます】
ボクらはうまくやつてた
My love and I, we work well together
たまに隙間風がふいても
But often we're apart
いつのまに心はからつぽ
Absence makes the heart lose weight, yeah
愛はおわつていた
Till love breaks down, love breaks down
空がみえるかい
Oh my, oh my, have you seen the weather
ここちよい九月の雨
The sweet September rain
ここだけに降つてくれ
Rain on me like no other
オレが溺れるまで
Until I drown, until I drown
愛がおわると キミは
When love breaks down
軽薄にふるまう
The things you do
現実から目をそむけて
To stop the truth from hurting you
愛がおわると ボクらは
When love breaks down
嘘をつく
The lies we tell
さらに自分を傷つける
They only serve to fool ourselves
愛がおわると
When love breaks down, when love breaks down
なにも問題なかつた
My love and I, we are boxing clever
すべてゆるしてくれた
She'll never crowd me out
紙吹雪みたいに散り
Fall be free as old confetti
街をうかれあるく
And paint the town, paint the town
愛がおわると キミは
When love breaks down
つまらない連中とつきあい
You join the wrecks
安易なセックスにはしる
Who leave their hearts for easy sex
愛がおわると
When love breaks down, when love breaks down
パディ・マカルーンの本質は、シンガーソングライターなのだろう。
音符と言葉が糊づけされている。
歌い回しとも一体化。
訳す意義はないかもしれない。
日本でいえば桑田佳祐がちかいかな。
カラオケで『いとしのエリー』をきくと、ひどい曲と思うもの。
森の精霊のごとき、ウェンディ・スミスの歌声に聞き惚れたものだ。
ウェンディとパディは、かつて恋人同士だつたとか。
なのに別れた女の、移り気をなじる様な曲をかき、
熱をこめて歌うのだから、パディも人がわるい。
それでもウエンディは、感情をおしころし、そつと声をそえる。
身をきる様な緊迫感。
なんだかんだいつてプリファブ・スプラウトは、ロックバンドだ。
夫唱婦随の原由子はえらいが、ロックではない。
ウェンディは音楽をやめ、いまは教師をしているらしい。
あらゆる愛は、うしなわれた愛の、粗悪なコピーかもしれない。
あなたも気軽にアーティスト気分!
「あいまい訳詞クラブ」は会員募集中です。
『RISING STEEL』のバーンズさん
『子育て 時々 映画』のマミイさん
『海と空と花』の空花さん
『THE KING OF FOOLS』のけー坊さん
『映画鑑賞の記録』のmiriさん
……以上の方々の訳詞(訳詩)もお楽しみください!
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西武新宿駅
コメントありがとうございます
『閃乱カグラ -AFTER SCHOOL-』の記事にコメントが投稿された。
ここまで画像を丸上げすると、引用の範囲を大きく逸脱するんじゃないですか。
はい、じゃぁ、ネタを投下したから、得意の論破(笑い)を頑張ってください!
そのまえに削除かな?www
12/22 22:02
IPアドレス:i222-150-13-60.s04.a014.ap.plala.or.jp
OS:Windows
ブラウザ:Firefox 8.0
画面:1280x800x24bit
こやつは「犬塚ケン」の名をグーグルで検索している。
人気がありすぎるのも困りもの。
論破がどうこう言つてるから、オレに議論上の恨みがあるらしい。
心当りが多すぎ、個人を特定できない。
する気もないが。
アクセス履歴をさかのぼると、初お目見えは女子ワールドカップ・ドイツ大会開催時。
あのころオレは、フモフモコラムなる愚劣なブログを偶然見つけ、
書き手の「フモフモ編集長」に記事の修正をもとめたが、
おそらくあれのファンなのだろう、そのとき当ブログを知つた様だ。
不毛不毛は、国を背負つてたたかう宮間あやの、容貌をあげつらつた。
読者どもは、「これぞフモさんの愛情の表れ!」と拍手喝采。
いまおもいだしても、その醜悪さに反吐がでる。
不毛不毛は、オレのコメントを黙殺した。
卑怯者に筆誅をくわえるべきだつたが、その後、不毛グループから距離をおく。
宮間らの活躍が偉大すぎて。
あの二十三人に対し顔がどうとか、あまりにミジメな連中で、触れるのもためらわれた。
スカタンは「得意の論破(笑い)」というが、オレは人を論破などできない。
頭はわるいし、智識もない。
なのに、みな逃げてゆく。
「文句があるならメールしてくれ。一対一で議論しよう」
この一言で、半文盲の腰抜けどもは消え失せる。
陳腐な捨て台詞をのこして。
こちらとしては、ラクでたすかる。
さて、「引用の範囲を大きく逸脱」だつけか。
オレはしてないとおもう。
異論はあるかもしれない。
メールで意見をきかせてほしい。
警察なり裁判所なりに訴えてもかまわない。
オレは逃げも隠れもしない。
それにしてもウンザリ。
弱虫ほど、法や国家権力をダシにして、批判したがることに。
峠比呂『まおゆう魔王勇者 ~丘の向こうへ~』(秋田書店)
峠比呂は、いまもつとも優秀な漫画家のひとり。
自慢する様で恐縮だが、彼はわざわざ、
『まおゆう魔王勇者 ~丘の向こうへ~』の記事にコメントしてくれた。
「画像を丸上げ」したにもかかわらず。
わかるものには、わかるつてこと。
半文盲の虫けらが、一億匹あつまり鳴き喚いたとしても、
創造的な仕事をするひとりの人間のコメントが、
すべてのノイズを掻き消してくれる。
『南総里見八犬伝』(偕成社/画:山本タカト)
そして今夜もオレは、月にむかい吠えるのさ。
……こうカッコつけるから嫌われるのかなあ?
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フック
『閃乱カグラ -AFTER SCHOOL-』
田辺京「Bust To The Mirai」
閃乱カグラ -AFTER SCHOOL-
発行:エンターブレイン 2011年
[ファミ通クリアコミックス]
揉めども尽きせぬ乳。
……もとい、汲めども尽きせぬ泉。
本書は、マーベラスエンターテイメント(当時)の、
3DS用ソフトをもとに編まれたアンソロジーコミック。
『閃乱カグラ』、それはもはや神話だ。
ナガタニ「カグラ徒然余話」
登校する飛鳥。
忍は伝統文化、商店街にとけこむ。
理想的な光学迷彩だ。
忍は変幻自在。
柳生の秘伝忍法は、巨大イカがあばれる、「薙ぎ払う足」と「氷の足」。
好物のスルメを依り代にする。
その作法は予想外だつたが……。
何年前か、モンスターペアレントという言葉がはやつたが、
さしづめ柳生はモンスターステューデント。
加藤小判「きょうはなかよし!」
クラス委員長、神速の斑鳩。
お裁縫も得意。
日常にひそむ嗜虐性。
しとやかさのメルトダウン。
蛇女の焔と、鎬を削りあう。
そしてまつたり。
死闘と百合の二進法。
めくるめくバイナリィランド。
長屋けい「和装の心得」
崇高なるジャポニスム。
日出ずる処の斑鳩が、早着がえの術を手ほどき。
つつがなく。
左折「変態淑女」
修行がおわつた途端、発情する葛城。
『閃乱カグラ』は、「スイッチ」のオンオフがめまぐるしい。
萌ゆる集積回路。
美少女限定のソーシャルネットワーク。
クラウド化する殺意。
睦みあうことは、殺しあうこと。
『閃乱カグラ』と『サッカー・パンチ(エンジェルウォーズ)』が、
同年に炸裂したのは絶対に偶然ぢやない。
そう、絶対に、だ。
無意識の同時多発テロ。
店舗予約特典イラスト(図書カード)『公式パーフェクトバイブル+イラスト集』(エンターブレイン)より
乳揺れる、ゆえに乳あり。
秘伝忍法セクハラ返し!
『閃乱カグラ』は神話だ。
イギリスにハムレットがいて、アメリカにベイビードールがいる様に、
日本には、飛鳥やかつ姉や柳生がいる。
そして世界を、血と百合の色に染める。
揉むべきか、揉まざるべきか。
それが問題だ。
![]() | 閃乱カグラ -AFTER SCHOOL- (ファミ通クリアコミックス) (2011/12/15) 不明 商品詳細を見る |
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うしろだて
島田裕巳『葬式は、要らない』
葬式は、要らない
著者:島田裕巳
発行:幻冬舎 2010年
[幻冬舎新書]
釈迦は、死後のことは死なねばわからないとし、
生前にそれをかんがえ、かたるのは無用と説いた。
立派な見識だが、だれもしたがわない。
特に日本では。
鎌倉時代、法然と親鸞は念仏行の教えをひろめ、
大衆を極楽浄土への往生にみちびく。
葬式の手法は、禅宗の曹洞宗であみだされた。
そして江戸時代に寺請制度がはじまり、いわゆる「葬式仏教」が成立。
生老病死に執着しないのが仏教なのに、
四番目の文字と、異様にふかく結びついた。
たかだか四百年前のこと。
わが国における葬儀費用の平均は231万円。
ダントツで世界一。
浪費超大国アメリカの五倍で、デフレ下でも高騰している。
例のゴテゴテ飾りたてた祭壇は、浄土を模したもの。
十円玉で有名な平等院鳳凰堂が代表する、
平安貴族の贅沢趣味の影響をうけた。
「袈裟」とは、ボロ切れをあつめてつくるものだが、
いまは金襴の紋様をほどこす、華美な衣装となつた。
極楽浄土の雰囲気を演出する小道具だ。
寺へはらう平均は、55万円。
戒名の習慣は日本にしかないことなどを根拠に、
坊主の「ぼつたくり」が批判される。
だが仏教界は自戒しないだろう。
全国に七万以上の寺があるが、そのうち二万が無住化している。
寺の経営もきびしく、金蔓を手放すはずがない。
寺や葬祭場で式をいとなまない、「直葬」がふえている。
東京では二割。
もとは身元不明者などをおくるための方式だつた。
八十九十をこえて大往生をとげたとする。
葬儀をしても参列者はあつまらない。
生きている知人がすくないし、存命でも出かける体力がない。
当節は、商家や農家の時代ではない。
サラリーマンの「家」は、後継者を必要としない。
四百年の風習は、もう維持できない。
農村では、戒名のランクは身分秩序をしめす。
村の有力者だけが院号をさづかつた。
戦後は金をだせば「ナントカ院殿ナントカ大居士」になれる。
うれしくて、みな飛びついた。
しかし日本という村、またそれを構成する家が、ほろびつつある。
よいわるいでなく、これが現実だ。
戦後すぐの時点では、日本も土葬が主流だつた。
土葬では石塔をたてられない。
墓がのこるのは権力者だけ。
ちなみに個人墓が主流の欧米は、埋めたらサイナラで、遺族も墓の場所をわすれる。
「墓参り」は東アジアの祖先崇拝に由来し、日本では家族行事として定着した。
一度墓をたてれば、大して金もかからないし、すぐには廃れなさそう。
土にはいるのに、僧侶の助けはいらない。
寺の檀家でなければ、無宗教の葬式をあげても、やすんじて永眠できる。
葬式仏教が死に、墓参りだけがのこるのか。
それとも。
ボクは「御先祖さま」の存在など信じないし、
連中から恨まれても屁ともおもわないが、そういうバチあたりがふえるのか。
PL教団初代教祖の御木徳一は晩年に、
「自分が死んだら嘆いたりせず花火を打ち上げて祝つてくれ」とのべた。
「教祖祭PL花火藝術」をもよおし、教団は遺志にこたえた。
日本一の規模をほこる花火大会は、近畿でしたしまれている。
家のためでも、個人のためでもない。
だれでも見物できるし、採算をかんがえれば、教団のためともいえない。
理想的な葬礼ではなかろうか。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済
『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』
ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル
Mission: Impossible - Ghost Protocol
出演:トム・クルーズ ジェレミー・レナー サイモン・ペグ ポーラ・パットン
監督:ブラッド・バード
制作:アメリカ 2011年
マスクヴァはクレムリン。
冷戦はおわらない。
時代錯誤とおもう向きは、ジョージ・フリードマン『激動予測』を読むとよいのでは。
点火。
核戦争のはじまり。
ロシアと対峙してこそ、スパイ映画。
サイモン・ペグの発言。
ハリウッドはシネマというアートやいい映画作品を作るということよりも、
人々が買いたがるものを割り出そうとするマーケティングの
人間によって少しばかり侵略されてきた。
今回の映画の楽しさは、心と頭があることじゃないかな。
頭の切れるストーリーと、昔ながらの心地よい感覚を持ち合わせている。
映画プログラムより
さすがはスパイの家元、大英帝国の俳優ならではの含蓄かな。
ドバイはブルジュ・ハリーファ。
全高828メートル。
世界一たかい建造物だとか。
イーサン・ハントが中東の空に舞う。
陳腐なアクションではある。
単なる話題づくり。
だが沙漠にそびえる尖塔は、きわめて二十一世紀的な光景だ。
沙漠だから沙嵐。
ブラッド・バード監督の着想。
なにもみえない。
iPhoneのディスプレイをたよりに敵をおう。
非映画的な一幕だが、それもそのはず、バード監督はアニメ畑の出。
ムンバイは立体駐車場。
最終決戦。
核ミサイルの発射装置を奪いあい、殴りあい。
たくみに演出された場面だ。
カントクの立体的思考力が、最大限に発揮される。
しかしここが一番つまらない。
作業用ロボットがたたかう様にみえた。
それでもアニメ嫌いなオレの偏見を差し引けば、本作はすばらしい。
非映画的なものを呑みこむ貪欲さが、映画の美点なのだし。
さて。
「スパイと聞くだけでテンションさがる」宵乃さんからの質問に、この場でこたえたい。
私とは正反対ですね~。わたし、007もM:Iもボーンシリーズもぜんぜんダメで・・・。
理由はよくわからないけど、国が関わってて裏切りがメインになるのが嫌なのかな。
ケンさんはどこに興奮するんでしょう?
宵乃さんのブログ『忘却エンドロール』のコメント欄より
裏切り、国家規模の陰謀、個人ではアクセス不能なテクノロジー。
たしかにどれも空疎だ。
宵乃さんの意見は、いつも本質を突くのでこまる。
スパイ映画が絵になるのは、そこに女スパイがいるから。
フランスのレア・セイドゥ。
役はスパイでなく殺し屋だが。
冒頭でつかつか足早に歩みより、エイジェント・ハナウェイを撃つ。
2011年で最高の官能。
レアちやんには、『ロビン・フッド』で一目惚れ。
喪服とみまがう黒のドレス。
つやめく胸元。
なにを着てもよい。
パテやゴーモン、フランス映画名流の末裔。
ふてぶてしいわけだ。
終盤、アメリカ黒人女にブルジュ・ハリーファから蹴り落される。
見せ場もなく。
カントクの発言。
すべての映画で最も大切なのは、ストーリーテリング(物語を語ること)だと思うんだ。
キャラクターと物語を結びつけ、映像のカラーを調整し、音楽を決め、デザインを考える。
あらゆる要素をひとつにまとめるこの過程は、アニメでも実写でも同じなんだよ。
映画プログラムより
カメラのまえに生身の人間がいることに気づいてないらしい。
これだからアニメ屋は虫が好かない。
いくつか瑕疵はあるが、『ゴースト・プロトコル』は傑作だ。
配役がよい。
主演俳優にしてプロデューサー、トム・クルーズの手柄だろう。
撮影期間中に二時間しか眠れなくても、予算や日程のことで胃に穴があいても、
このライフワークをまつとうするため、全身全霊をつくしたとわかる。
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投函
墓と城
シャッタースピードは、1/4000秒だつた。
かつて私は私を殺した
まだあどけない少女の私を
「贖罪」
空花さんのブログ『海と空と花』から
空花さんから、お借りした写真。
横浜外人墓地なのはわかる。
でも、なぜ彼女は、石の十字架にレンズをむけたのだろう。
コメント欄で答えをさぐつた。
ふかい意味はないらしい。
一般公開日で、観光客はみなパチパチしていた。
含蓄ある言葉に、目をくらまされたか?
「街の虚飾をあばきたい」と吹聴したオレだが、虚勢にすぎないと曝露された。
巷でも、PCでも、なにもみえてない。
『森山大道、写真を語る』(青弓社)
〈新宿〉という架空の都市をひたすら探しあるく。
カフカの『城』みたいに。
キザな言いまわしだ。
実在しない街なら、みえなくてもしかたない。
ひさしぶりに『城』をひもとく。
数頁で放り投げた。
いまのオレに、カフカの小説なぞ、三文の価値もない。
文学青年をきどる歳ではない。
城だと知らなければ、小さな町と思いかねない。
カフカの城は、この街に似ている。
右往左往するKは、オレに似ている。
どうでもよいことだが。
書を捨て、うらわかき乙女をつれ、下落合の「おとめ山公園」にいつた。
十羽野高校二年の、名は高嶺愛花という。
鯉をながめながらデート。
緊張のせいかひどいピンボケ。
1/30秒。
オレはなにをしているのか。
この1/2592000日が、生涯でどんな意味をもつのか。
親が世間話にまじえ、自分の死をかたる様になつた。
『夢見る少女じゃいられない』は相川七瀬の歌だが、
女子サッカーや百合漫画にかまける人生も、そろそろ年貢の納め時か。
島田裕巳『葬式は、要らない』は鬼気せまる一冊で、あとでくわしく書きたい。
「日本」という村落共同体が、瓦解しつつある。
経済単位としての「家」は、もう機能していない。
だから葬式はいらないし、戒名もいらない。
宗教史上の正統性がない、単なる贅沢だ。
それでも墓は破棄できない。
墓のない家の人間は、散骨を希望することもあるが、一向に普及しない。
墓石は、ある種の城壁で、この国の風習をまもる。
よいかわるいかは、ともかく。
また1/30秒。
ただぼくの場合、なんか写真を撮ることも含めた日常の時間に
四六時中おおいかぶさっているのは生とか死とかっていうことよりも、
莫としながら確実に身辺に充ちている不安ですね。
ぼくが写真を撮っている唯一のモメントは、
じつはこのキリのない不安に根ざしているように感じています。
森山大道『昼の学校 夜の学校+』(平凡社ライブラリー)
オレは空花さんや大道とちがい、感性がにぶく、不安も安堵もおぼえない。
まごまごと、カフカの登場人物の様に迷走している。
ときに血眼になり、乙女らを追う。
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DREAM CREW
THIS IS THE SOURCE OF POWER
『挿絵画家 アーサー・ラッカムの世界』
挿絵画家 アーサー・ラッカムの世界
発行:新人物往来社 2011年
たしか『不思議の国のアリス』は、主人公の髪や服について触れてない。
アリスに、水色のワンピースをきたり、金髪碧眼である義務はない。
(七歳のアリス。キャロルが撮影したもの)
ルイス・キャロルが偏愛したアリス・リデルちやんが、
そもそも別人といえる容姿の持ち主だから。
慎重な著者は、挿絵をかくジョン・テニエルに対し、
リデル嬢になぞらえないよう注文した。
四十二年後にあらわれた、わがまま少女。
テニエルのアリスは想像の産物だが、
アーサー・ラッカムのアリスは、ドリス・ドーミットというモデルがいる。
酷評された。
やせつぽちで、たよりなげで、
変哲ないイギリスの中流階級の娘そのもの。
ボクはすきだけど。
宵乃さんのブログの拍手ボタンをおすと出てくる、
ショートカットのアリスも、すぐれた解釈のひとつとして挙げておこう。
ラッカムは著者バリの指名で、『ケンジントン公園のピーター・パン』の挿絵をうけもつ。
1906年のことで、シリーズ初の挿絵画家となつた。
大人にならないのがピーターだが、見た目は生後一週間のまま!
永遠の乳児が、大空であばれる。
ディズニーアニメに洗脳されているので衝撃だつた。
『夏の夜の夢』。
シェイクスピアははづせない。
アテネちかくの森。
浮気草の汁の影響で、求愛されたヘレナがとまどう。
沙翁の戯曲は偉大なものばかりだが、
嵐で遭難したとか、薬で心がわりしたとか、無理な筋書きが多い。
浮気も裏切りも当然な、近代人が異常なのかな。
しかしこの一枚はうつくしい。
エリザベス朝演劇と、近代文明を、違和感なくつなぐリングだ。
ラッカムはバイロイト詣でをするほど、ヴァーグナーにいれこんだ。
1910-11年に、二巻本の『ニーベルングの指環』を出版する。
黄金の林檎をつむ、美の女神フレイヤ。
崇高だが、傲慢そうでもある。
ヴァルハラに入城する神々に、黄金をかえせと怒る、ラインの乙女たち。
『指環』の神は相当ワルなのだが、この水したたる美女も、
世界が瓦解するきつかけをつくつたので、同情ばかりしてられない。
序夜があけた第一日、ヴァルキューレの長姉ブリュンヒルデが降臨。
壮大すぎる神話の鍵をもつ。
個人的にヴァルキューレといえばナムコのゲームだが、
富士宏は、ラッカムの絵をもとに造形したのか?
検證可能な資料は手もとになく、無智な自分が歯がゆい。
「パンドラの箱」をあけたパンドラちやん。
子ども向けの本に、こんなあでやかな裸体を載せるなんて。
ラッカムの画業は、リアリズムに裏打ちされたファンダジーの価値をおしえる。
それは、ディズニーやジブリの陳腐な紙芝居に毒されたボクらが、
とつくになくしたファイナルファンタジー。
「希望」をとりもどすため、もつと勉強したい。
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赤い靴
ポルノはレイプの原因か?
香坂百合『Debut』(TMA)
デビー・ネイサン『1冊で知る ポルノ』(原書房)の第五章から、題をかりた。
ポルノと性犯罪のメッカであるアメリカ合衆国では、
リンドン・ジョンソン政権のもと、両者の関係をさぐる委員会がもうけられた。
1968年とはやい。
数か月にわたり聞き取り調査と検討をかさね、委員会は、
露骨な性表現が、社会や個人に害をなすかどうかについて、
なんら裏づけを見いだせなかつたと結論をくだす。
だが一件落着とゆかない。
ポルノがレイプをひきおこすことを證明しようと、
各大学の心理学部で、実験がくりかえされている。
保守派や、反ポルノのフェミニストにとつて、
「ポルノは無害」という命題はうけいれられないから。
ネイサンは前掲書で、これらの研究は眉唾ものとのべる。
実験結果はそれぞれ矛盾し、手法も疑問点がある。
ほとんどの被験者は、白人の、中流階級の学生。
かんがえれば、「性犯罪の原因をたしかめる」という構想がおかしい。
被験者が劣情をもよおし強姦におよんだとする。
実験は成功したといえるか?
かといつて、ハツカネズミにポルノを見せてもしようがない。
ポルノは正義、ポルノ万歳!
……と安心してよいだろうか。
ポルノと性犯罪に因果関係はないと、ボクもかんがえる。
たかが映像が、社会悪になどなるものか。
しかし逆もまた真なり。
その論法でゆけば、藝術としての映画に、社会的価値はない。
いや映画にかぎらず、あらゆる形式の藝術が。
やはりポルノは、世間を形而上的に動揺させる。
特異ななにかだ。
1969年のデンマークで、十六歳以上に対するポルノの制限が全廃された。
性犯罪はへつた。
無論わが国にも、研究者は熱い視線をおくる。
1970年代以降、日本でポルノの流通がさかんになつた。
質・量・多様性ともに、世界最高水準だ。
それでいてレイプ件数がすくない。
ポルノが入手しやすくなるにつれ、減少した。
因果関係の有無は、わからない。
いづれにせよ、ボクらはポルノの帝国で生きてゆくだけ。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済
『スウィッチ』
スウィッチ
Switch
出演:カリーヌ・ヴァナッス エリック・カントナ カリーナ・テスタ
監督:フレデリック・シェンデルフェール
制作:フランス 2011年
カリーヌ・ヴァナッスの役は、カナダはモンレアールの服飾デザイナー。
うかれている。
だつて、花の都にきたんだもの!
またたくエッフェル塔。
仕事は泣かず飛ばずで宿泊費を工面できないので、
「switch.com」なるサイトで一時的に部屋を交換し、ただでパリを満喫。
カリーヌさんのはしやぎぶりがレエルだ。
尻もかるくなり、現地の男に粉をかける。
ケベック人の、おフランスへの憧憬のあらわれと、好意的に解釈したい。
警察のモーニングコールに叩き起される。
旅行者は一夜で、容疑者に。
かりた家には、いつの間にやら、男の首なし死体。
パリは、陰謀が花ざかり。
ふやけた笑顔との落差に、心うばわれる。
これぞサスペンス。
死、謎、敵意、宙づりにされる女。
刑事に扮するはエリック・カントナ。
マンチェスター・ユナイテッドのカントナだ。
泣き濡れるばかりのケベック女に油断し、逆転ゴールをゆるす。
それでもグロックのかまえがサマになる。
カンフーキックだけではない。
修羅場をくぐつた男だけがかもす気配。
ベレッタもなかなか。
襟をたてたサッカー現役時代とかわらず、肉体が威圧する。
旅程のない、夜ふけのパリ観光。
家もない、目的地もない。
だが女とは、そう運命づけられた存在だろう。
カリーヌは生きのびるため、獅子のごとくたたかう。
挿したままの鍵をグロックでへしおり、鍵穴をうめる。
もし警察におわれたら、マネしたい。
路上でも荒れ狂い、スクーターをうばう。
これはマネできない。
あまりの乱暴狼藉にのけぞつた。
デザイナーに殺陣をまかせるのは、さすがに場違いでしらけたが、
公園でカリーヌが体をいじめる冒頭を、ふとおもいだす。
あれが伏線か。
蜘蛛の糸が一筋おりていれば、サスペンス映画は成立する。
ほそければ、ほそいほどよい。
不安は女をうつくしくする。
嘘というなら、一番上の画像と見くらべてはいかが?
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オレは性犯罪者
12:13:05
『NEWラブプラス』が世に出るはずだつた今月八日。
ある女性から、銀座でとつた写真に非公開コメントをいただいた。
さすがに、ついてきて何枚も写真を撮る人に気付いたら、わたしは逃げます(笑)
すぐあとに気づかう再投稿もあり、
根にもつてはいないが、いくつか辨解させてもらいたい。
オレは花柄さんを、追つてなどいない。
彼女は松坂屋にはいり、オレはその先のH&Mにむかつた。
たまたま道が同じだつただけ。
Exifデータにある様に、その104秒でシャッターを五回きつた。
12:13:10
その間、別の被写体もねらつている。
いや、ストーカーあつかいされて感情を害したのではない。
編集でそうみえるよう誘導したのだから、むしろしてやつたり。
でも釈然としない。
中井
老人がうつる写真をのせても、だれもとがめない。
若い女を撮ると、それは不道徳とされる。
以前も、みしらぬ女にケチをつけられた。
だが着飾つた若い女に、目をうばわれるのは当然ではないか?
ファッションに御執心なのは、視線を集めたいからだろう。
蝶でも寄つてきそうな花柄のスカートをはいておいて、
「わたしをみないで」といわれても、承服しかねる。
秋葉原
女相手だから強気で撮れる、ということはない。
森山大道は、歌舞伎町で女に大声をあげられ、
とんできた警官のまえでフィルムを抜くはめになつた。
連中はみられることに敏感だ。
JR千葉駅
スナップ写真は人を不快にする。
大道風にいえば、そこに「欲望」があるから。
たしかにオレは性的な欲求不満をかかえてるし、『ラブプラス』は発売延期だし、
鬱屈がブログにあらわれているのを否定しない。
でも欲望は、そう単純なシロモノぢやない。
カメラをもつオレの欲望と、PCで編集するオレの欲望は、ベツモノだ。
そしてこのブログをみるアンタの欲望も、写真に投影される。
本蓮沼
だれかを嘔吐させる様な写真を撮れないものか。
街の虚飾をあばきたい。
女を丸裸にしたい。
それが罪というなら、よろこんで性犯罪者として罰せられよう。
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テーマ : GR DIGITAL
ジャンル : 写真
レナータ・モルホ『ジョルジオ・アルマーニ 帝王の美学』
リッチョーネの海岸で母と
ジョルジオ・アルマーニ 帝王の美学
Essere Armani
著者:レナータ・モルホ
訳者:目時能理子 関口英子
発行:日本経済新聞出版社 2007年
原書発行:2006年
マザコンでないイタリア男などいないが、
ジョルジオ・アルマーニの性向は、国民気質以上のものがある。
母の写真をつねに持ちあるく。
わすれて家を出たときは、運転手を取りにもどらせる。
口では何も言わない人だったけど、多くのことを教わったよ。
口でとやかく言うよりも、もっとずっと大切なことをね。
美人だったのに、家庭と僕ら子どもたちに全エネルギーを注いでくれた。
僕にとってそれは、ものすごく大切な教えだったね。
父ウーゴはファシスト連盟で事務仕事をしていた。
戦後、八か月の懲役刑をうけた。
鉄格子のむこうで泣く父をみる経験は、十一歳の少年にはおもい。
面会後の帰路、ジョルジオはひたすら映画館へゆきたいと願つた。
母には言い出せなかつたが。
この逸話にはやくも、アルマーニの本質が露呈している。
はなやかな世界へのあくがれ。
流転する時勢へのするどい嗅覚と、反撥。
「ファシスト時代の方が、いまのイタリアよりマシだつた」と彼はのべる。
兵役時代
男が天職をみつけるのは、むつかしい。
ミラノ大学医学部を中退し、陸軍にはいる。
メスをふるうアルマーニ、ライフルを撃つアルマーニ。
「男の友情」を夢みて入隊するも、イタリア軍にそんなものはない。
あればもうすこし強かつたろう。
除隊後、ミラノの百貨店「リナシェンテ」に職をえる。
運命の瞬間。
ショウウィンドウの飾りつけの助手からはじめ、ファッション部門に異動になり、
バイヤーの仕事にかかわり、デッサンの描き方をおぼえる。
焼け跡のイタリア、なにもない時代、「スティリスタ(デザイナー)」という単語すらない。
雷がおちる様に、アルマーニはアルマーニになつた。
セルジオ・ガレオッティ、アルマーニ、父ウーゴ
1975年、終生の親友セルジオ・ガレオッティと会社をつくる。
ふたりは恋愛関係でもあつた。
ついにアルマーニは自身の軍隊をもつ。
表むきは共同経営だが、実務はほとんどアルマーニが仕切つた。
下積みがながいので、なんでもできた。
工場に視察にゆけば、蒸絨をやめさせ、革新的な生地をうみだす。
贈収賄の容疑で召喚されたことさえある。
アルマーニによるデザイン画
会社をおこした七十年代は、政治の季節。
革命の闘士に、ドレスはいらない。
逆にブルジョワ女は、大衆の反感を煽らないよう、わざと地味な服をきた。
「スティリスタ」など、時代錯誤の骨頂だつた。
だがアルマーニは、殺伐とした空気に、需要を嗅ぎとる。
女はもう、人形みたいに着飾る必要はない。
フリルをはぎとり、機能的なラインをまとわせた。
男のジャケットの構造を解体し、紳士服に優雅さをもちこんだ。
仕事場のアルマーニ
「ひとつでもミスをおかせば、ジョルジオに殺される」
広報にかかわる妹ロザンナは、そうかたる。
アルマーニは、ファッション界のムッソリーニだ。
決して部下をほめない。
コーヒーメイカーの前でたむろする社員をみると怒りだす。
毎朝、だれよりはやく出社する。
そして仕事がはじまらない数分にいらつき、どなりちらす。
アルマーニ コレツィオーニ ウオモ 2006-07年秋冬コレクション
アルマーニの広告は映画的だ。
広告らしくない。
幼少のみぎりの趣味があらわれている。
他社にさきがけ、いわゆる「ぶち抜き広告」を採用した。
つよく表象をうちだし、ファッション界の混沌から抜けだそうとして。
ジョルジオ アルマーニ ドンナ 2003年春夏コレクション
あちこちで、スーパーモデルを批判している。
「クラウディア・シファーはボクの服を着てほしくない。
尻ばかり注目されるからね」
アルマーニがこのむのは、二三十年代の謎めいた官能。
ある意味で禁欲的。
女嫌いだから、と悪口も囁かれる。
ジョルジオ アルマーニ プリヴェ 2006-07年秋冬コレクション
混沌の渦からのがれ、窮極の成功をおさめた男の宇宙は、錯綜する。
創造者であり、経営者でもある。
毎日、自分で自分を裏切るという。
世界有数の富豪だが、金をつかう暇がないのが悩み。
子どもはいない。
五十年代のミラノで、母と
僕の仕事はすべてを呑みこんでしまう暴君のような存在なんだ。
僕の手から何もかも奪っていく。
愛情ですら制限されてしまう。
自分が愛情に多くのエネルギーを注げないとわかっている以上、
相手から多くを受けとるのは躊躇してしまう。
それで、孤独という代償を支払うことになるんだ。
立志伝中の人なのに、さびしいことをいつているが、
ポケットに母の写真があれば、不幸ではないのだろう。
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松坂屋前 スカートは花柄
『十二人の怒れる男』
十二人の怒れる男
12 Angry Men
出演:ヘンリー・フォンダ リー・J・コッブ ジョセフ・スウィーニー マーティン・バルサム
監督:シドニー・ルメット
制作:アメリカ 1957年
まだ怒つてない十二人の男は、部屋にはいつた途端、一斉にタバコをだす。
前時代の映画だ。
ボクはタバコ嫌いだが、絵になる小道具とはおもう。
全員が白人男性。
ただその偏りを、後世の政治観から批判するのはお門ちがい。
いまの司法制度は公平になつたが、治安は悪化している。
ひとり窓にむかい煙をはく、「陪審員八番」ヘンリー・フォンダ。
孤高のガンマンの様だ。
前夜に質屋でみつけたナイフをつきたてる。
最大の證拠を無効にするため。
兇器を三十分隠しもつなんて、この陪審員は人がわるい。
切り札をさらす、適切な機をみはからつていた。
ヒステリックな「陪審員三番」をといつめる。
「個人的な事情があつて、死刑をのぞむのか?
それではただのサディストだ!」
「ぶつ殺す!」
リー・J・コッブの芝居は印象ぶかい。
「ほらキミだつて、本気で殺すなんて言つてないだろ?」
薄笑いをうかべて。
本作におけるフォンダの論法は、意外と単純。
論敵を挑発し、理性をうしなわせ、「ほら、キミの意見はおかしいだろ?」。
これをひたすらくりかえす。
質屋でかつたナイフで、犯行を再現。
せまくるしい舞台では、小道具をできるだけ応用する。
「殺してやる」といつた男が刃物をむけても、すずしい顔。
この自称建築家、どれだけ修羅場をくぐつてきたのか。
フォンダはひとりで十一人の男をたおした。
あわれにも突つ伏す陪審員三番。
彼が有罪にこだわる「個人的な事情」を、フォンダはわかつていたのか?
智謀神のごとくであるが、そこまで看破していないはず。
相手が屈服するまで、攻撃しつづけただけ。
最後の小道具はジャケット。
過去のいざこざは水にながす、男と男の名場面だ。
というより、「さすがにやりすぎた」と罪悪感をおぼえたのだろう。
赤の他人の無罪を勝ちとるため、着なくてもよい罪を着る。
名作中の名作で、ボクごときが良い悪いをのべる余地などないが、
『十二人の怒れる男』がかかえる缺陥を、ひとつ指摘したい。
理路整然と有罪を主張する「陪審員四番」は、てごわい敵だつた。
メガネが突破口になる。
頭よさそうなのに、自分がつけてるモノさえわからないとは!
……え、そういわれてみれば。
「女はメガネをかけたがらないのを、キミは知らないのか?」
たたみかけるフォンダ。
しかしこの発言は、メガネ女子を愛するボクは許容できない。
五十年代では正しかつたとしても。
現代の美意識にもとづき、ここで批判しておく。
以上の記事は、「ブログ DE ロードショー」のリクエスト企画に参加したものです。
お誘いくださつた、miriさん、宵乃さん、ありがとうございました。
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トマルヤ
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JR飯田橋駅
国土交通省によると、駅ホームからの転落事故が急増している。
六か月で死傷百十九件。
ほとんど首都圏でおきた。
そのうち六割は酔客が足をとられたものだが、
近年は、携帯電話やゲーム機を操作しながら墜落する件もおほい。
有楽町駅前
よくスナップ写真をとるのでわかるが、
スマートフォンをいじるとき、人は大抵しかめ面する。
眉のあいだに皺がよる。
しばしば両手がふさがる。
大きく高精細な液晶画面は、ケータイより情報量がふえており、
その分だけ集中をうばわれる。
ほらお嬢さん、目の前にカメラをもつた男がいますよ!
JR東中野駅
きつと彼女たちはスマートフォンをかうとき、
人生がすこし楽しくなると期待したろう。
でも総体的にみると、すこし不幸になつている。
統計と写真が、その證拠だ。
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