アメリカ人

 

 

十五歳のティムは、心臓をわづらう牧師の息子で、貧乏だつた。

生活保護をうけていた。

宗教は信じない。

 

オレゴン州の地元紙に、「ロバ三頭売ります 一頭25ドル」という個人広告をみつける。

なけなしの貯金でロバを買い、翌日おなじ新聞に広告をのせる。

「運搬用ラバ三頭売ります 一頭75ドル」

すぐ売れた。

 

私の商品は「ロバ」はなく、「運搬用ラバ」だった。

こうやってマーケティングを学んでいった。

 

ロバート・フランク『ザ・ニューリッチ』(ダイヤモンド社)

 

ティム・ブリクセスは不動産業で成功し、いまや十二億ドルの資産をもつ。

文字どおりのビリオネアだ。

 

 

 

 

http://blog-imgs-45.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/407px-Brooklyn_Museum_-_George_Washington_-_Gilbert_Stuart_-_overall.jpg

ギルバート・スチュワートによる肖像画(1797年)

 

 

植民地時代のアメリカでは宝くじが盛んだつたが、

1769年、イギリス政府はそれを禁じた。

本国では毎年開催してるのに。

アメリカ人は、宗主国の偽善に激怒した。

クジのため独立戦争をしかけたつてことはなかろうが、

戦勝後の十三年だけで、百種類もの宝くじが売られた。

 

桜の木を切つたことを父に白状する逸話などで、

正直者と尊敬されるジョージ・ワシントンは、実は金に汚かつた。

裕福な未亡人と結婚したのに、巨額の負債をかかえた。

不正な会計処理に手を染めた。

莫大な酒代は、国庫から出ていた。

 

建国の父は当然、宝くじに夢中だつた。

イギリスとの戦いを指揮する最中にも、結果が気になり、

くじ券を補給担当者への手紙に同封した。

みづから宝くじ開催にかかわり、疑惑の当選をくりかえし、大金をえた。

 

死後に偉業をたたえる「ワシントン記念塔」の建設がはじまるが、

寄付金はさつぱり集らず、クジの収益金があてられた。

この偉大な政治家は、国が宝くじに頼るまで、

百年ちかく正式な墓に入れてもらえなかつた。

 

(ゲイリー・ヒックス『宝くじの文化史』(原書房)を参考にしました)





ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態
(2007/09/14)
ロバート・フランク

商品詳細を見る

宝くじの文化史: ギャンブルが変えた世界史宝くじの文化史: ギャンブルが変えた世界史
(2011/10/21)
ゲイリー ヒックス

商品詳細を見る

関連記事
最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
10 | 2011/11 | 12
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
月別アーカイヴ
03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03