死刑が正義になることもある

『逆転裁判』(カプコン)

 

森炎『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか』(幻冬舎新書)をもとに、

「死刑反対」の持説を開陳したら、思いのほか反響をよんで嬉しかつた。

しかし前言をひるがえす様で申しわけないが、

これほどの大問題、一方的に結論をくだせるわけもない。

われら常識人を困惑させる事件も数ある。

 

 

 

 

「埼玉・川越の人違いバラバラ殺人事件」(1954年)

 

川越市南部にひろがる畑の肥溜めで、バラバラの遺体がみつかつた。

被害者は、ちかくに住む十九歳の女。

特徴あるヒョットコ面が災いし、犯人がつかまる。

二十九歳の男は、逃げた恋人とまちがえたと主張。

しかも「純愛」とか「至上の恋愛」とか、夢みたいなことを熱弁し、

その様子を絵に描くなど、なにやら尋常な殺人犯ではない。

はじめは取り合わなかつた捜査員も、次第にかれの情熱にアテられた。

一審は無期懲役。

しかし控訴審で「恋人」が證人として出頭し、裁判は暗転する。

「勝手に恋人とおもつてるだけ。わたしは何ともおもつてない」

ヒョットコ面は激昂し、なぜか隠し持つていた竹べらで「恋人」の胸を突く!

さいわい軽傷ですんだが、男は死刑に。

どうにもダメな人間で、殺した方が本人のためだろう。

 

 

 

 

「和歌山・兄一家殺害事件」(1946年)

 

兄一家八人を、斧や鑿で殺した男の話。

「死刑執行までに宇宙の根本原理をつかみたい」と決意し、

天体力学を独学で猛勉強、月の軌道運動に関する論文まで書いた。

京大理学部教授に質問状をおくるなどして、当時話題になる。

だが死刑確定の二年後、サンフランシスコ平和条約による恩赦で、

無期懲役に減刑された途端、研究意欲をうしなつた。

たしかに宇宙よりシャバの方が魅力的だが、現金なものだ。

 

 

 

 

「自殺志願者サイト快楽殺人事件」(2005年)

 

ウェブで練炭自殺の志望者をつのり、

結局自分の手で三人をつぎつぎと窒息死させたもの。

犯人の男は、人が窒息して苦しむ姿に興奮する性癖があつた。

思春期のころからその狂気に悩み、精神科にかようものの、

友人の首を絞め大学は中退、同僚を襲つて郵便局も解雇される。

医者にもなかば見放されていたらしい。

法廷では「死刑は覚悟しています」とのべ、はやくも執行された。

かれを生かしておいたら、刑務所でも被害者が出たはず。

 

 

 

 

人間つて、なんなんスか!

勿論ボクは死刑に反対だが、わりきれない思いは残るのだつた。





なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか―変わりゆく死刑基準と国民感情 (幻冬舎新書)なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか―変わりゆく死刑基準と国民感情 (幻冬舎新書)
(2011/05)
森 炎

商品詳細を見る

関連記事

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
06 | 2011/07 | 08
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
月別アーカイヴ
04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03