『人生、ここにあり!』

 

人生、ここにあり!

Si può fare

 

出演:クラウディオ・ビジオ アニータ・カプリオーリ アンドレア・ボスカ ジョバンニ・カルカーニョ

監督:ジュリオ・マンフレドニア

制作:イタリア 2008年

 

 

 

ローマ教皇ましますイタリアは、保守的と思われがちな国だが、

共産党が西側最大の勢力を誇つたほどで、左翼運動が根づよい。

いつもイエスやマリアのことばかり考えてるから、

世界の醜悪さが許せないのだろう。

本作は労働組合の闘士が、とある病院に派遣されたくだりから始まる。

 

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1978年制定の「バザリア法」。

くわしくはウィキペディアでも参照してほしいが、要するに、

精神病院なんて非人道的なモンはなくしちまえつて法律だ。

いま現在も、イタリアに精神病院は存在しない。

 

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しかし患者は、働いてメシを食わねばならないので、

主人公のネッロは、労働協同組合を指導するため来た。

まともに切手も貼れない連中を。

 

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みごとな寄木張り。

「狂人と天才は紙一重」とは、耳タコの常套句だが、

マンフレドニア監督は実話をもとに、革命の神話をつむぐ。

 

 

 

 

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カルロ・ジュセッペ・ガバルディーニ

 

実によくできた映画で、患者はそれぞれ持ち味をだす。

たとえばこのゴッフレードみたいに。

 

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ジョルジョ・コランジェリ

 

投薬しか能がない医者に対し、法を盾にたたかう労協の面々に、

シネスイッチ銀座の観客は快哉をさけんだ。

 

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「エイドリアーン!!!」

ゴッフレードは映画オタクらしく、嬉しいときはいつも『ロッキー』を引用。

 

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自由を手にすると、もつと自由がほしくなる。

リーダーのネッロは、EC(欧州共同体)の助成金で娼婦を雇う。

これも実話らしい。

薄い財布で人生を最大限たのしむ、労働者魂がみなぎる作品だ!

 

 

 

 

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アンドレア・ボスカ

 

過保護なマンマから、心理的に離れられない「ジージョ」の、

あまりに切ない初恋が、本作の主旋律。

 

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マリア=ロザーリア・ルッソ

 

健常者への、純粋すぎる恋心。

ドタバタ喜劇なのに、後味はやたら苦い。

 

重いテーマを笑いに包んでくれる「人生ここにあり」、

これはネオレアリズムから連綿と続くイタリアの人間賛歌なのだ。

 

田丸公美子(イタリア語同時通訳・作家)

映画プログラム

 

「人間賛歌」?

とんでもない話だ。

ボクは無智なりに、戦後のイタリア映画に関心をもつ者だけど、

浮世の厳しさをえがく『人生、ここにあり』は、

ロッセリーニ、アントニオーニ、フェリーニ、ヴィスコンティ、

燦然とかがやく巨匠の「哀歌」と共鳴して聞えたよ!


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『3Dふらふら街歩き 京都』

 

3Dふらふら街歩き 京都

 

語り:田畑智子

制作:NHKエンタープライズ・アミューズ・椿プロ 2011年

[ニンテンドー3DSで配信]

 

 

 

寝てるあいだに立体映像を受信してくれる、

ニンテンドー3DSの内蔵ソフトが「ニンテンドービデオ」。

『3Dふらふら街歩き 京都』は、その番組のひとつ。

女優・田畑智子が、出身地を京ことばで案内する。

任天堂、京都、田畑智子。

四半世紀へて、トライフォースはここに完成した。

 

 

 

 

 

アニメ声優が、ゲームでしやべくる悪習が定着してひさしい。

娼婦に聞かせれば嘔吐するであろう、平坦な猫なで声。

でも田畑のかすれ声は、高次元で街に滲みとおる。

伏見稲荷大社で、「おもかる石」に願かけした恋人たちを見守つたり。

「大丈夫、きつと幸せになる」とはげます典雅なアクセントで、

嫉妬のファイアボールがかすかに跳ねた。

 

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左が高岡蒼甫

 

なにせ映画『さんかく』では「和製アメリ」として、

オドレイ・トトゥをおびやかしたタバタだ。

彼女とくらべれば、性欲の泥沼につかるセーユーなど、

クリボーに食われ死ぬ程度の力量しかない。

 

ところで、パート2の3分14秒をみてほしい。

さも偶然取材に応じたかの様なカップルは、「仕込み」だ。

NHKエンタープライズさん。

ゲーマーの集中力を、舐めない方がよい。

 

 

 

 

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碁盤の目の、その隙間の、さらにその奥の迷宮。

嵐山は天龍寺の、風そよぐ竹林に迷いこむ。

間引かれた竹が、ボクにむかい倒れる。

おさえた悲鳴に、心ふるえた。

3DSは、彼女のため開発されたと知る。

大泉洋と堀北真希をこえる、ゲーム声優の誕生だ!

 

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右が小野恵令奈

 

『さんかく』では、アルファベット三文字の泡沫グループの女を、

いともたやすく捩じ伏せた。

ゲームの聖地は秋葉原でなく、京都だ。


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岡田武史・中田英寿・小野剛の共謀罪

第4節 韓国戦(ホーム)

 

1997年9月28日、東京。

山口素弘によつて、日本代表史上最高のゴールがうまれた。

そのうつくしさ、悲劇性。

岩渕真奈だつて、多分こえられない。

愛弟子の美技もむなしく、加茂周監督が解任された。

 

小野剛『サッカースカウティングレポート』(カンゼン)をよむと、内幕がみえて胸がさわぐ。

スパイまがいの行為をかさねつつ、アジア各国を偵察する小野のところに、

新監督・岡田武史が電話をかけてくる。

空席となつたコーチ就任の依頼だ。

快諾した無名のスカウトを、たのんだ当の本人が一喝。

 

「状況によっては、たった1試合で、

俺もお前もサッカー界に身を置けなくなるかもしれないんだぞ。

これまでに勉強してきたことが、たった1試合でパーになるかもしれない。

サッカー界から足を洗わなきゃいけなくなるかもしれない。

俺は、そういうお願いをしているんだ。

だから、よく考えて返事をしてくれ」

 

命がけの戦争が、すでにはじまつていた。

 

 

 

 

新監督は、守備戦術に微調整をほどこす。

「ゾーン」の網をはるのではなく、前線からボールを奪いにゆく。

だが仕掛けるタイミングは、山口らの裁量で決めさせた。

詰将棋めいた緻密な戦術を編むことに、なんら関心がないカントクだ。

 

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第1節 ウズベキスタン戦(ホーム)、得点後の中田英寿

 

前園真聖をすばやく見切り、中田英寿を抜擢したのは、

過小評価されている加茂周の、少なからぬ功績のひとつ。

後任者は、風変りな二十歳を信用しない。

就任直後の第6節・ウズベキスタン戦(アウェイ)で、

おもいきつて中田を先発から外し、その態度を観察した。

腐るどころか、誰よりひたむきに練習にはげむヒデ。

こいつならチームを託せると、岡ちやんも一目おいた。

 

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だが中田英寿といえども、天使ではない。

「自分は試されている」と手の内を読み、殊勝にふるまつたのだろう。

指揮官と信頼関係をむすんで、発言権をつよめるために。

共謀だ。

フランス大会・アジア最終予選は、サッカーファンにとつて、

「若きヒデが、キング・カズを倒した革命」として記憶されている。

単純すぎる図式ではないか?

たとえば第1節・ウズベキスタン戦(ホーム)では、

「ヒデ→カズ→城」とつなぐ目覚ましい得点もうまれた。

この二人は共存できるし、実際にしていた。

 

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本大会にむけて小野コーチが編集したビデオ

 

年上と話すのが好きな中田は、よく小野コーチの部屋をおとづれ、

練習風景を録画したビデオを熱心にみた。

「あ~、あそこはもつと前に出てくれるとな」

「FWは直線的に走つてくれてよいのに」

……なんてつぶやきながら。

小野が翌日に、コーチとしてそう指示するのを期待して。

自分がカズやゴンに直接命じることは、できないから。

だがこれは越権行為だ。

好意的にみるなら、あの青二才は革命の旗手を務めるよう、

ビデオを餌に、小野コーチに煽動されていたと解釈できる。

 

 

 

 

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第9節・韓国戦(アウェイ)。

通算成績は「9勝14分33敗」。

彼の地では一度しか勝つたことがなく、それはなんと十三年前!

丸裸と言つてよいほど、両国はたがいの情報に通じているので、

選手にはデータをあたえる必要すらない。

それでも参謀には、勝算があつた。

 

とはいえ、個人的には韓国のようなタイプは得意です。

もちろん総合力の高さはアジア随一で、

ガチンコ勝負の末に力尽きることもありますが、

ことに戦略に関しては練りやすいタイプのチームだったと思います。

 

あの国立競技場での悪夢との違いは、

ベンチに小野剛がいることであり、それが明暗をわけたのか。

1トップのチェ・ヨンスがファーサイドにながれ、

落したところに走りこむのが韓国のお家藝。

小野の計略にもとづき、日本代表は相手の策にのつた。

井原と秋田に、チェを深追いさせる。

空いた中央のスペースを、山口が埋める。

背の低い相馬と名良橋は、ゴール前をカバー。

 

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流動的にうごき、ときに囮になり、あらゆる空間に浸透する。

青い津波が朝鮮半島をあらう。

 

 

 

 

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「1997日韓戦山口ループシュート」

 

第三代表決定戦・イラン戦(ジョホールバル)。

小野と岡田は、試合前に冗談を言いあつた。

 

「負けたらどうする?」

「そうですね……日本には帰れないかもしれませんね」

「負けたらマラッカ海峡に飛び込むって言っちゃったしなぁ」

「一緒に飛び込みますか」

「岸から2、3メートルのところから飛び込めば、

そのへんでプカプカ浮いてるだろ(笑)」

 

死ぬ覚悟はかわらないが、軽口をたたく余裕はもどつた。

むしろ当時アジア最強のイランが、みえすいた情報戦をしかけ隙をさらし、

誰よりも相馬直樹を恐れ布陣をかえたことは、以前に書いた。

そして策に溺れ、マラッカ海峡に沈んだのは、イランだつた。

なにが日本代表を蘇らせたかなんて、あの頃は知るよしもなく、

敵将バウディール・ビエイラは、さぞかし不気味だつたろう!





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ウィート『スロウ・フェイド』

 

『エリザベスタウン』(アメリカ映画 2005年)

 

スロウ・フェイド

Slow Fade

 

ウィート(Wheat)のアルバム『ホープ・アンド・アダムズ(Hope and Adams)』収録曲

 

発行:アメリカ 1999年

 

 

 

※1分50秒のアルバム導入曲につづいて再生されます

 

 

 

 

スロウな曲が好きな客はいないけど

no one likes it slow

 

オレらはのんびりやる

and we take our time

 

どいつもこいつもロックンロール狂い

and everyone was rocking

 

でもバンドはつづける

but the band played on

 

空気が冷めてゆく

and everyone steers clear

 

あれ、キミはひどい服を着てたんだね

you wear your low stuff low

 

舞台を降りたのに誰もきづかない

and no one seemed to notice when we disappeared

 

せつかくのニール・ヤングも台無し

and no one liked the cinnamon girl we tried

 

これがオレらの音楽さ

we're only trying to do our thing

 

 

 

 

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キアステン・ダンスト

 

「あいまい訳詞クラブ」初のアメリカのバンドです。

日本語はイギリスなどの曲の方が、のりやすい気がします。

 

ウィートの音楽も素朴なもの。

しかし耳をかたむけると、丁寧につまびかれるアクースティックギターが、

刷毛の様にこまやかに風景を塗りつぶしてゆく。

舞台で虚勢をはる男たちの、滑稽でものがなしい横顔が、

ふと色つぽく見える瞬間があつて、ハッとします。

 

翻訳がむつかしかつたのは、「the cinnamon girl」のところ。

浅黒い肌の女を指すらしいんだけど、ピンとこなくて。

なのでニール・ヤングの曲を演奏したことにしました。

最後のギターソロが、まさにそうだから。

遠い記憶をよびさます名演。

やさしいママが焼いてくれた、ブルーベリーパイの香りがただよう。

 

 

 

 

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『ハート・ロッカー』(アメリカ映画 2009年)

 

ところで「あいまい訳詞クラブ」に、あたらしい仲間がふえました!

ブログ『RISING STEEL』のバーンズさんです。

マノウォーの「Let The Gods Decide」を紹介しています。

ボクはメタルはあまり趣味ではないですが、

こうして知っている人が訳詞まで書いてくれると興味がでるし、

「マノウォー思ったよりいいじゃん」と食わず嫌いを克服できました。

「あいまい訳詞クラブ」、なかなか良い企画ですね(笑)。

というわけで新会員は、随時募集中です!

 

【7月27日追記】

強引な勧誘のかいあって(笑)、『子育て 時々 映画』のマミイさんが、

またあらたに御参加くださいました!

とりあげた曲は、ガンマ・レイの「THE SILENCE」

メタルの勇壮な大曲です。

訳詞も魅力的なので、こちらも必見ですよ~!





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タグ: あいまい訳詞クラブ 

空と川と海と

 

 

ひろやかな運河

デジカメが潮風でぐらぐら

ここは海のない湾

資本主義の荒野

 

 

つまらないな

ボクは毎日でも この肌を

塩の香りにまみれさせたいのに

 

 

空花さんリスペクトのエントリです)


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『黄色い星の子供たち』

ウド・シェンク

 

黄色い星の子供たち

La Rafle

 

出演:メラニー・ロラン ジャン・レノ ガッド・エルマレ ラファエル・アゴゲ

監督:ローズ・ボシュ

制作:フランス 2010年

 

 

 

フランス映画だが、アドルフ・ヒトラーを格好よくえがく。

孫子を引用して、ヒムラーをやりこめたり。

子どもにやさしく、冗談もうまい。

 

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ローズ・ボシュは女流監督。

ヒトラーという存在から逃げていない。

 

 

 

 

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八千の外国籍ユダヤ人をとじこめた、パリの「ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)」。

水が不足し、便所もつまり、医者は三人のみ。

そんな豚小屋に数日留めおかれた。

ホースの点検にきた消防士が、独断で罪なき囚人に水をふるまう。

彼らには人助けの本能があるのだろう。

 

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フランス憲兵隊は、ドイツ親衛隊の支援をうけながら、

祖国なき民をテキパキと引越しさせる。

戦術に関心があるので、勉強になつた。

四桁五桁の人の群れを、強制的にうごかすのは大仕事だ。

「たまにはフランス人もやるものだ」と、几帳面なドイツ人は感心した。

 

 

 

 

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ラファエル・アゴゲ

 

そんな皮肉をいうのは、オレは「ユダヤもの」が嫌いだから。

この民族は七十年前の悲劇を、世界に対する債権とみなし、

利息をブクブクふくらませながら、いまだ政治とカネ儲けに毎日運用する。

ユダヤ人だけが正義なのか?

ホロコーストの映画は、逆にユダヤ人害悪説の證明になつてないか?

 

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鬼の形相でさけぶ母。

心つめたいオレも、涙がとまらなかつた。

 

 

 

 

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当時十一歳で検挙されるが、収容所からの数少ない生還者の一人となつた、

ジョゼフ・ヴァイスマンは、孫と一緒にちらりと出演している。

パリ十八区の撮影現場では、呼吸がとまるほど打撃をうけ、慟哭した。

 

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のちに、自分の役をつとめるユーゴ・ルヴェルテを紹介されたとき、

ユーゴ君は老人の目をしつかり見つめ、

「あなたにガッカリされない様にしたいです」といつた。

十一歳では、ヴィシー政権がどうとか難しくてわからないだろう。

でもときに少年の澄んだ瞳は、真実をさぐりあてる。

 

 

 

 

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ジャン・レノは、とらわれの身で治療するユダヤ系の医者。

娯楽作の多い彼は、この配役におどろいた。

本人としても、教訓的な作品は避けてきたとか。

モロッコからの移民だから、国家の名のもとに発言するのが怖くて。

 

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頭のよい役者なのだな。

現代でも、社会は醜悪だ。

 

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赤十字社が派遣した看護婦に扮するメラニー・ロランとの間に、

恋心めいた情感がただよい、おもわず嫉妬。

 

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『PARIS』もそうだけど、メラニーは年上の男がにあう。

あまりに奇麗すぎて、ケツの青いガキでは手におえない。

 

 

 

 

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アネット・モノは実在した看護婦。

英雄的な人で、戦後は死刑や拷問への反対運動に身を投じ、

生涯にわたり人間の不寛容と戦いつづけた。

メラニーは、泣きながら脚本を読んだあと、

すぐ監督に電話したが、動揺のあまり何もいえなかつた。

 

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「世界一うつくしい」という形容が、過大評価にならない女優。

これまでも彼女の美貌を称讃してきたし、

オレより書けるやつがこの世にいるかと思うほどだが、

本作は瞳の光に両断されそうで、ちかよりがたい。

 

たとえ映画だと分っていても、子供たちをこのように扱い、

車両に乗せることに我慢ができませんでした!

私は泣き、怒りに溢れ、車両に上って子供たちを外に救い出したいと思い、

同時にものすごい怒りが私の中に燃え上っていたのです

……タランティーノ監督の作品(『イングロリアス・バスターズ』)では

できなかったことをできるチャンスが突然与えられたのです。

 

映画プログラム

 

その痩躯は感情にたえきれず、帯状ヘルペスを全身に発症させた。

薬が効きすぎ痙攣をおこすが、それでも芝居をやめない。

 

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ところで昨晩、ある方からメールをもらつた。

よそのブログに無用なケンカを売り、憎悪にまみれるオレを心配してくれた。

――映画はたとえ実話にもとづいても、キレイに演じた「作りごと」だと思います。

マジになつても仕方ないのでは。

 

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彼女が伝えようとする、深い意味はわかるつもり。

しかし本当にそうなのか?

「作りごと」のため、オレは人生の少くない部分を浪費したのか?

骸骨の様に痩せ、墓場に片足を突つこみながら、よろよろ走るメラニー。

 

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この悲愴なうつくしさより、真実味のあるものつて何だ?

御存じなら、どなたでもよいので教えてください。


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中村とうように捧げる歌

仕事がおわり、小雨にぬれる夜道をあるく。

『ミュージック・マガジン』八月号をかつた。

高橋修編集長が自身の趣味をごり押しする、巻頭のK-POP特集に絶望。

マーク・ラパポートも去つたし、この雑誌は終つたな……。

地下鉄でパラパラめくるうち、中村とうようのコラムが目にはいる。

なになに、「君が代ほど気持ち悪い歌はない」つて?

七十九歳になつても、この人だけは絶対かわらない。

 

 

 

 

『逆転裁判』(カプコン)

 

公立高校の卒業式で生徒に「君が代」を歌わせることが、

憲法十九条に反するかどうかの裁判で、

五月三十日に最高裁は合憲との判断をしめした。

これをうけ音楽裁判官が、音楽としての「君が代」を裁く。

筋金のはいつた左翼だ。

 

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『つっぱり大相撲』(テクモ)

 

実際に相撲の千秋楽の中継で「君が代」斉唱が始まると、

ぼくは必ず音を消してこの歌が終わるのを待つ。

モンゴル人である優勝力士の白鵬がこの歌を

どんな気持ちで聞くのかと気の毒になってしまう。

 

歌詞は、古くからさまざまな形で歌われてきた「雅歌」といわれるが、

すくなくとも明治以来に国歌としてあつかわれたのは、

「君が代」が“天皇の治める世”という意味にとられていたからに他ならない。

そんな歌を、明治から昭和前半の日本の歴史を体験したものが、

平気で歌えるはずがない。

 

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メロディは雅楽の壱越調を基にしたとされるが、

雅楽にもこんなヘンな歌はめづらしい。

「さざれ、いしのー」「こけのー、むーすー……」の部分が強く歌われることで、

違和感は極度につよまる。

こういうヘンな歌だからこそ一部の人間は、

学校行事で一斉に歌わせることに快感をおぼえるらしい。

そこがますます気持ち悪い。

 

なるほどね。

音楽としての「君が代」の魅力なんて、マジメに考えてなかつた。

とうようさんが言うなら、ただしいだろう。

ちなみに彼は、「日の丸」は嫌いではないそうだ。

 

 

 

 

……なんて文章を昨日から書いていたら、当の中村とうようが死んだ。

飛び降り自殺らしい。

たしか生涯独身、孤独ゆえの捨身と解釈できるが、

そんなメソメソした世界と無縁な人のはずで、困惑させられる。

最期まで権力に盾突く人生。

おもしろおかしく書きはじめた文章は、追悼文になつた。

彼に捧げる歌はない。

音楽の巨人に、なにを聞かせればよいのか?

つまらぬ曲をかければ激怒し、天上を騒がせてしまう。








武蔵野美術大学美術館では、

九月二十四日まで「中村とうようコレクション展」を開催している。


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恥ずべき映画ブログ『LOVE Cinemas 調布』

 

先週、映画ブログ界の見ぐるしい馴れあいと、卑怯な書き逃げ文化を批判した。

しかし『LOVE Cinemas 調布』に送信したトラックバックは、削除された。

ああ、映画ブログ!

なぜ彼らは、ここまでケツの穴がちいさいのか?

コメント欄での運営者・KLYとの応酬に、病根をさぐる。

ブログから消されたので、実際の文面はテクストファイルを参照のこと。

 

 

 

 

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 KYさん、こんばんは。

 こんな奇麗な方のブログにお邪魔するのは緊張します……。

 

 

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 私は男ですよ。

 プロフィール画像は、女優のシャルロット・ゲンズブールです。

 ファンなもので。

 

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 中身はオッサンかよ……。

 ところで、トラックバックを削除した理由を知りたいのですが。

 本来は引用を通知するための機能でしょ?

 

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 TBは基本的に、関係のある記事を書いたことを知らせ、

 読者を貴ブログに導くためのものだと思ってます。

 私の考えでは、貴ブログに読者を誘導する必要はありません。

 

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 え、「本来の機能」については無視ですか。

 キブログって言い方も寒いけど、まあいいや。

 ならなんで、ウチのブログに誘導してくれないんです?

 

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 それは簡単なことで、

 犬塚さんとの関係を極力持ちたくないからです。

 

 

 

 

 

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『アンダルシア 女神の報復』(日本映画 2011年)

 

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 まだるっこしいオッサンだなあ。

 「なぜウチがダメなのか」を書かなきゃ意味ないじゃん。

 他がOKで、ウチがNGである理由、それを答えてよ。

 

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 私はあなたを理解できないし、理解したくもない。

 もちろん私を理解してもらおうとも思いません。

 このやりとりも苦痛です。

 

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 こっちだって、中年男に絡んでも楽しくないよ(笑)。

 ちょっと批判されてビビッたと、正直に認めたら?

 反論できないから、せめてTBだけ消したと。

 

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 ……犬塚さんは、犬塚さんのご自由にブログを運営なさってる。

 私は、私の好きなように運営している。

 それで良いではないですか。

 

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 あっ、言ったね!

 ついにその二文字を口にしたね!

 オマエらは必ず「自由」という言葉に逃げるんだ!

 

 

 

 

『小さな命が呼ぶとき』(アメリカ映画 2010年) 

 

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 オマエを最初に批判した、『小さな命が呼ぶとき』の記事だ。

 難病に冒された子どもが可愛くないだのと、

 オマエはパンフレットすら読まず、見当ちがいの暴言を吐いた。

 

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 自由? 結構なことだな。

 ならば実在する難病の子どもと、その家族を、

 愚弄する「自由」がオマエにあるというのか!?

 

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 ……。

 

 

 

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 文章を公表することには、重い責任がともなう。

 事実誤認は訂正すべきだし、不当な言動は謝罪すべきだ。

 しかしオマエは、このときも黙殺した!

 

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 ……。

 

 

 

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 これこそが、インターネットの醜悪な「書き逃げ文化」だ!

 そのくせ膨大なトラックバックの山から、

 オレの記事を削除する作業だけに必死。滑稽だぞ!

 

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 ……。

 

 

 

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 ……あれ、もしもし、KYさん起きてます?

 クソッ、逃げられたか。

 女の腐った様なヤツとは、まさにアイツのことだ。


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敗者こそが美しい ―― 女子ワールドカップ ドイツ大会

 

FIFA 女子ワールドカップ ドイツ大会 2011

 

結果:[優勝]日本 [準優勝]アメリカ [三位]スウェーデン [四位]フランス

得点王・大会MVP:澤穂希

 

 

 

試合の中継がおわり、「めざましテレビ」がはじまる。

大塚範一と、娼婦じみた女子アナどもと、松木安太郎がドンチャン騒ぎ。

チンドン屋がかれらの仕事だから、悪いとはいわない。

ただだまつてテレビを消すだけ。

 

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「H-O-P-E S-O-L-O」の八文字が、客席のあちこちで掲げられた。

ホープ・ソロ、全米の注目の的であるゴールキーパーだ。

とがつた顎を、わざとらしく夜空にむける。

この角度を維持しないと、涙腺を塞げない。

負けたからこそ、みつともない姿はさらせない。

 

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凛とした横顔。

仲間と言葉はかわさない。

感情は押し殺したまま。

 

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内面の堤防が決壊し、輪をはづれる。

PKを二本とめた海堀あゆみが、

「プレイヤー・オヴ・ザ・マッチ」にえらばれたのを聞いたのか。

泥だらけの背中がうつくしい。

 

 

 

 

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アビー・ウォンバックが、優勝チームに握手をもとめる。

181センチの背筋をのばし、フィールド上で一番堂々としている。

目の前が暗闇になるほどの屈辱のなかで。

 

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はげしく手をたたき、同僚を鼓舞する。

「これで世界がおわつた訳ぢやない! 胸をはつてアメリカに帰ろう!」

 

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スンドハーゲ監督とは無言で抱擁しあう。

「史上最弱のアメリカ代表」などと揶揄されるが、彼女たちはつよかつた。

勝ち負けなど、運命の悪戯にすぎない。

敗者をたたえてこそ、優勝の真価がわかる。

 

 

 

 

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「宮間さん!」

岩渕真奈が、偉大な先輩をよびつける。

 

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「ヤッター」

ぶっちーは、大仰な感情表現を好まない人なので、

大会中に心境の変化があつたかなと、想像をめぐらせたり。

 

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なでなで。

澤や宮間の、あの信じがたい忍耐力。

ヤンキー娘たちの、すがすがしい態度。

復習する時間が足りないくらい、夏休みの宿題をもらつた。

ぶっちーを批判する者もいる。

しかし誰がなんといおうと、このフィールドにたつた18歳は、

世界でただひとり、キミだけなのさ!

 

 

 

 

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緒戦のニュージーランド戦。

「閃光の天使」のワールドカップは、たしかに閃光を発するだけでおわつた。

 

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きつと彼女は小学生のころ、指折り数えたろう。

「もしウチがワールドカップに出られるなら、一番はやくて何年かな?」

正解は2011年でした。

 

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紫電がほとばしり、緑の海はふたつに割れる。

 

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宮間のフリーキックをみちびいた。

グループBで日本の勝ち点は、最終的に6。

ぶっちーのドリブルなかりせば、いまをときめくなでしこジャパンは、

三試合で成田ゆきの便に乗つたかもしれない。

 

 

 

 

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J2 第21節 湘南ベルマーレ-ジェフ千葉 (平塚競技場)

 

岩渕真奈のあらたな戦いは、7月30日土曜日16時、平塚競技場ではじまる。

勿論ボクは、そこにいるだろう。



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『アインシュタイン その生涯と宇宙』

妹マヤと(1884年)

 

アインシュタイン その生涯と宇宙

Einstein: His Life and Universe

 

著者:ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)

訳者:関宗蔵 松田卓也 松浦俊輔

監訳者:二間瀬敏史

発行:武田ランダムハウスジャパン 2011年

原書発行:2008年

 

 

 

「アインシュタインは落第生だつた」という迷信は、

いまだ世界各地ではびこつているらしい。

たしかに、子どもへの説教のネタにつかえるし、

「ウチの子もアインシュタインになれるわ」と、親の夢もふくらむ。

しかし事実ではない。

アルベルト少年の苦手科目はギリシア語とラテン語だが、

それでも一貫して最優等の成績をとつていた。

数学にいたつては、学校の規定要件をはるかに越えていた。

悪魔じみた天才の、せめてその少年時代を貶めて、

凡人たちはすこしだけ安心しようとする。

 

 

 

 

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最初の妻ミレーヴァ・マリッチと長男ハンス・アルバートとともに(1904年)

 

アインシュタインと妻だつたマリッチの第一子は、

1902年にうまれたリーゼルという娘。

赤ん坊は歴史から消された。

養子に出したともいわれる。

なんと1986年に発見された手紙ではじめて、

リーゼルの存在が浮びあがり、研究者は仰天した。

文書をもとめ、教会、登録所、ユダヤ教礼拝堂、共同墓地、

あらゆる場所を調査するも無駄足におわる。

夫婦は入念に證拠を隠滅、離婚後も娘について沈黙した。

 

アインシュタインは人生を通じて、ふたりの息子につめたかつた。

特に精神疾患をもつ、次男のエドゥアルトにそうだつた。

この偉大な思索家は、決して気を散らさない。

 

赤ん坊が大声で泣いても父は気にしなかった。

雑音を気にせずに仕事を続けることができた。

 

長男ハンス・アルバートの発言

 

子どもの存在自体をノイズとみなした気配がある。

 

一夫一婦制はくだらないと公言する、

アインシュタインの最初の結婚は破綻した。

離婚を拒むマリッチにのませた契約がすごい。

条件は四つあるが、Cだけ引用しよう。

 

C あなたは私との関係で次の条件に従うこと

 

1 あなたは私の親愛の情を期待してはならないし、

いかなる事情があっても私を非難してはならない

2 私が要求したときは、話を中止すること

3 私が要求した場合は、抗議をしないで、

私の寝室なり書斎なりから即座に退去すること

 

 

 

 

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プラハで(1912年)

 

1905年から1915年。

特殊相対性理論から一般相対性理論。

十年にわたり、孤独な戦争をつづける。

宇宙を相手に。

 

アインシュタインの武器は直感だつた。

抽象的で複雑な方程式の、背後にある物理的実在がみえる。

数式から、すべての運動の相対性、光の速さの一定性、

重力質量と慣性質量の等価性という含みを感得できた。

プランクの量子の概念や、ローレンツの運動する物体を記述する変換式は、

アインシュタインによつて、単なる数学的技巧から、物理的理論になつた。

 

しかし真の天才は、おのれの天才性を捨てる。

英雄として崇める哲学者エルンスト・マッハの、

「絶対空間はまちがいだ」という懐疑主義を、初期は理論に応用した。

でも「マッハ原理」では、一般共変性をみちびけない。

オレは物理学の基本原理を意識しすぎたか?

ならば、もつともつと数学にたよれ。

数学に、記号として自然を表現させるのでなく、道具として法則を掘りださせろ。

数学者ダフィット・ヒルベルトが好んでいつた嫌味は、

「物理学は物理学者には難しすぎる」というもの。

だが、アインシュタインはおそれない。

それが1915年10月。

 

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翌月にみつけた共変方程式の、ひとつの形。

両辺の相互作用は、物体が時空をまげ、そのお返しに、

曲率が物体の運動に影響を及ぼすことをしめす。

物体と空間がおどる、華麗なるタンゴ。

1919年、天文学者アーサー・エディントンが方程式の検證に成功。

ちなみにエディントンは、データ処理でズルをしている。

理論の数学的優美さに魅了されたらしい。

 

 

 

 

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プリンストンで、イスラエル首相ダヴィド・ベン=グリオンと(1951年)

 

1917年はじめ、胃の痛みをうつたえる。

癌かもしれない。

すでに使命を果したから、死は怖くないとかたつた。

医者の見立ては、慢性胃病。

彼は三十八歳にして、ながすぎる余生をむかえた。

 

こよなく平和を愛し、チェスすら嫌つたアインシュタインだが、

第二次世界大戦を「アメリカ人」として手伝うはめに。

一日二十五ドルもらい、日本の港に機雷を敷設する方法をかんがえた。

1945年、広島と長崎に原爆がおとされる。

おしやべり好きの科学者も、何週間か無口になつた。

のちにこんな冗談をいう。

「アインシュタイン先生、つぎの戦争はどんなものになりますか?」

「第三次世界大戦はともかく、第四次ならわかります。石合戦でせう」

 

1952年、ベン=グリオン首相がアインシュタインに、イスラエル大統領就任をもとめる。

「悲しくもあり恥しくもあります」と意を酌みつつ、結局辞退した。

ひそかに胸をなでおろすベン=グリオン。

アインシュタインが経営の才能を発揮したことは、生涯で一度もない。

引きうけたことのある管理職の仕事は、

ベルリン大学物理学研究所所長だけで、そこで彼はなにもしなかつた。

 

1955年。

自宅にあつまつた医師団に、腹部大動脈の治療をすすめられる。

ことわつたあと、秘書にこう洩らした。

 

人為的に命を長引かせるのは無粋なことだ。

私に与えられた分は生きた。

そろそろ行く頃だ。

エレガントに行くよ。

 

四月十八日。

大きな水ぶくれの様な動脈瘤が破裂。

七十六歳でアインシュタインはこの世を去つた。





アインシュタイン その生涯と宇宙 上アインシュタイン その生涯と宇宙 上
(2011/06/23)
ウォルター アイザックソン

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流通

 

畳のうえでTATAMIを撮る。

ビルケンシュトックの上位ブランドである「タタミ」は、履き心地に定評あり。

ただ実店舗にほとんどないので、ネット通販をつかう。

履き物を試着できないのは不安だけど、

「フットベッドは小さめです」というサイトの説明をうけ、

ワンサイズ大きいのを買つたらピッタリだつた。

便利な時代だよね。

これさえあれば、三十五度の熱気のなかを歩ける!

 

 

 

 

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ライフ中野駅前店。

隣駅のスーパーに足をむけた理由はふたつあつて……

 

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……ひとつはこれ、キリンの「本搾りチューハイ」を仕入れるため。

ウォッカベース(つまり実質はチューハイではない)で糖類無添加、

居酒屋の直搾りの味をつめこんだ名品。

震災の影響で生産がとまり、ほかのチューハイにやむなく手をだすも、

本搾りの代役がつとまるはずはなく、ファンは悲嘆にくれた。

六月に出荷再開したが、近所におかれない。

2ちゃんねるに「買えねーよ@新宿区」と書きこんだら、この店をおそわつた。

ありがとう。

アクセス規制中なので、当ブログで感謝の念を表したい。

酒の通販は嫌い。

アルコールへの依存は恥だもの。

 

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店内で、アルファベット三文字の泡沫グループのポスターを撮影。

この山出しのオカチメンコどもに用はない。

カモフラージュだ。

 

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ついでのフリして、中野駅前店の従業員がならぶポスターを盗撮!

ああ、メガネさん。

なぜあなたは、そんなにステキなの?

智的なかんばせ、はにかむ笑顔。

まだ彼女に対面できないけど、JPEGファイルに保存できてうれしい。

 

 

 

 

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連休分の美酒を確保したら、「中野ブロードウェイ」に寄り道。

三階で綾波レイとすれちがう。

クソ暑いのに、純白のプラグスーツを装着していた。

熱中症による妄想ではない。

まんだらけのコスプレ店員だろう。

それにしても白昼堂々、アヤナミが通路のど真ん中をあるいても、

だれも気にとめないから、ブロードウェイはたのしい。

 

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本日の戦利品。

saxyun『ゆるめいつ』三巻、黒霧操『水色エーテル』、

佐野タカシ『マキア』一巻、環々唯『えっちスケッチ』。

ひとり余計なの(松吉)をのぞき、あでやかな美少女ばかり!

淡い色づかいが目にしみる『水色エーテル』は、ジャケ買いした。

財布はスッカラカンだ。

 

 

 

帰宅すると、ポロシャツは汗だくで洗濯カゴゆき。

リアルに太陽はぎらぎら燃え、ヴァーチャルに情念がめらめら萌えながら、

けふも街はいきいき流通をつづけている。


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映画の敵 ―― 『アンダルシア』と『ラスト・ターゲット』をめぐつて

 

大不評の「擁護するシリーズ」第三弾です。

映画ブログ界の鼻つまみ者・犬塚ケンが、むなしい一人相撲を繰り広げます。

お題は、『アンダルシア 女神の報復』『ラスト・ターゲット』

難癖をつけるだけのたわいない文章だけど、

ヘボブログの感想文よりは楽しめる読み物だとおもう。

すこしはリスクを負つてますから。

 

なお、コメント欄での反論は受けつけない。

内容に不服があるなら、自身のブログにしるすこと。

投稿したことを報告してもらえれば、ありがたい

「引用してくれてありがとう」なんて、心ない挨拶も不要だ。

本当に感謝するなら、引用には引用で返してこそ礼儀にかなう。

 

 

 

 

 

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クールな織田裕二が見られるドラマです

 

KY氏は、『アンダルシア』の記事をそう題した。

「白痴の織田裕二」しか、オレには見えないが、

とりあえず審美眼の相違として不問にしておく。

総合評価は「69点」。

なんなんだ、この評点は!?

一億歩ゆづつて、映画の採点がゆるされるとする。

それなら、なにを根拠に31点減らしたか明記するのは義務だ。

 

KY「主人公が死ぬわけないから、撃たれるシーンは茶番」

――主人公が無敵の活躍をすれば納得か?

 

KY「戸田恵梨香をもつと出すべき」

――チラシの裏に書いてろ!

 

 

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アメリカ映画『ラスト・ターゲット』の記事の第一文におどろいた。

 

実にクールなジョージ・クルーニーでした。

 

――これしか書けない様だ。

ヴォキャブラリーを千倍に増してからキーボードにむかえ。

総合評価(笑)は、2ポイントさがり「67点」!

しかしこのカンソーブン、上から下まで読んでほしい。

否定的な価値判断をふくむ記述は一文字もない。

「33点」はどこに消えた!?

 

 

KYは「クール」な人間だ。

日本語でいえば、ひたすらヌルい。

 

自分に合わなかった内容の映画なのに

皆さんよくびっしり書けるものだなって、

私は逆に感心しました。(自分が面白いって

作品を伝えたいって気持ちならわかるんですけどね…)

 

当ブログに投稿されたspoofさんのコメント

 

映画ブログ界からみると、オレの言動は異常に映るだろうが、

真に異常なのはオマエらだと早く気づいた方がよい。

映画ブログに心はない。

批評家ぶりたい連中のママゴトだ。

餌にむらがるアリの大群が発する、化学物質とおなじ。

「群れたい」という欲求にしたがつてるだけ。

それは文章ではなく、屁みたいなもの。

 

 

 

 

プロの映画ライターで、映画狂を自称する渡まち子も再登場。

彼女のブログに、前回の「擁護する」の記事のトラックバックをとばし、

コメントも二度投稿したが、管理者は承認しない。

メールで問いただしても、いまだ返答なし。

取つて食われるわけでもあるまいし、怯えすぎではないか?

たしかにオレは女でも、斬るべきものは斬るが。

 

 

 

 

狂犬の怒りに油をそそいだ、自称映画狂のブログは、

デジカメ時代にもかかわらず、おそろしくピント外れ。

 

このシリーズ、もはや織田裕二だけの魅力では支えきれないと踏んだのか、

サービスショットのように登場する福山雅治も含め

みんなで支え合いましょう”的な雰囲気が漂っていて苦笑する。

実際、本作は神足を主役にした方がよほど自然なのだ。

 

――インターポールについて、わかつて書いてる?

情報交換と手配書発行が仕事だろう。

銭形警部以外の日本の警官が、外国でウロチョロできるわけない。

見当ちがいの「60点」。

 

 

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主人公が引退を決意するのは、もはや自分は若くないと悟ったからなのだが、

共に生きようとする女性が少々若すぎやしないか。

大スターのクルーニーに配慮したのかもしれないが、ここは人生をよく知る、

少しくだびれた感じの中年女性の方がびったりくる。

 

リンク

 

――若い方が良いにきまつてんだろ。

願望と妄想が、作品の評価に混入している。

自分本位の「60点」。

それでもKYとくらべたら、根拠は明確に記されてるかな。

的外れなだけで。

 

 

 

 

 

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洋画をだれも見なくなつた。

シネコンの増加など、原因はいくつか指摘されているが、

なにより映画ブログのせいだ。

映画雑誌が絶滅した現在、大衆は気になる作品の題名を、

たまにだがヤフーの検索窓にうちこむ。

そこで見せつけられる、映画ブログのみつともない馴れ合い。

膨大なトラックバックの飛ばし合い。

映画館は「Xbox 360」になつた。

洋画は洋ゲーとおなじく、オタクの慰みものに堕した。

映画ブログが映画を殺す。

勝手にしやがれ。

オレは、オマエらと手をとりあい心中などしない。



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『黒の怨』

 

黒の怨

Darkness Falls

 

出演:チェイニー・クレイ エマ・コールフィールド リー・コーミー エミリー・ブラウニング

監督:ジョナサン・リーベスマン

制作:アメリカ 2003年

 

 

 

窓に侵入者の影。

 

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「まねかれざる客(The Uninvited)」

エミリー・ブラウニングの代名詞だ。

 

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ジョシュア・アンダーソン

 

こちらは住居侵入の被害者。

どうやらボーイフレンドらしい。

 

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エミリーのささめごとは、静寂を際だたす。

 

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闇にとける、蒼白い肌。

 

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氷よりつめたい口づけ。

 

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子役の目つきではない。

性愛の深奥をきわめたかの様な。

 

 

 

 

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「作中でかならず力づくで拘引される」。

ボクはそれを「エミリー・ブラウニングの法則」とよぶ。

 

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宇宙の根本原理はうごかせない。

 

 

 

 

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エマ・コールフィールドとチェイニー・クレイ

 

作品世界で十二年がすぎる。

そこに「ベイビードール」がいるべきだが、似ても似つかない。

 

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左の子役がリー・コーミー

 

現代人がどれだけ足掻こうが、ギリシア彫刻以上の藝術をつくれないのと同様、

エミリー・ブラウニングの後釜に据えられる女優はいない。

 

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憂い顔の天使がきえた八十分。

たえがたき猿芝居。

 

 

 

 

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でもDVDに、一分間の「未公開シーン」が収録されている。

たとえ一秒でも、それは人類にとつての宝物。

 

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警察車両にのるボーイフレンドに、首飾りをわたす。

 

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「信じてる」

 

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この泣かせる演技が封印されたのは当然。

エミリーが人を愛するなんて、不吉なパラドックスだから。

クレタ人が「クレタ人は嘘つきだ」という様なもの。

 

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『サッカー・パンチ』で、スイートピーに生命を贈呈した彼女に、世界は恐怖した。

 

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そして、第二段落の表情につながる。

コンマ一秒ごとに異なる感情が、瞳と唇で炸裂する。

捨てカットすら、ギリシア悲劇のごとき古典にかえる魔力。

神々すら、戦慄している。





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タグ: エミリー・ブラウニング 

この世で一番大切なこと

 

 

 

晋の霊公は、覇者として名を轟かせた文公の孫。

おさなくして即位したので、大夫趙盾が摂政となり、

群雄あい争う春秋の世に、よく内外をおさめた。

しかし霊公長ずるにいたり、奇行が目につきだす。

熊の掌が半煮えのまゝ食膳に供されたところ、

憤激した君主は、その場で料理人を殺し、袋につめ捨てさせた。

望楼から街をながめているとき、悪戯をおもいついては、

弾き玉をとばし、にげまどう市民に笑いころげた。

 

 

とはいえ、これだけで暗君とするのは点が辛すぎか。

料理人にも非はあるのだし。

趙氏との権力闘争が、非難の背景にあるのかもしれない。

あれはダメ、これもダメと、しつこく諌める趙盾を憎み、

ついに霊公は暗殺をくわだてる。

おかゝえ力士の鉏麑が、刺客にえらばれた。

 

 

明け方ちかく、鉏麑は音ひとつない屋敷にしのびこむ。

寝室は戸があいたまゝ。

やれる。

中をのぞくと、もう出仕前の支度をとゝのえ、

端坐しながら假眠をとる趙盾の姿が。

 

 

隙なし。

たしかに趙盾は、恭敬の心の持ち主にみえる。

人民に慕われる政治家を殺してよいのか?

かといつて、君命には逆らえない。

力士は庭の槐の幹に頭をうちつけ死んだ。

のちに趙氏が桃園に反攻し、霊公は弑された。

 

 

支那の歴史は、つきせぬ智恵の宝庫だ。

以上の逸話から、この世で一番大切なことをまなべる。

それはつまり、早寝早起き。

 

 

 

松枝茂夫・訳『左伝』(徳間書店)を参考にしました。


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JFL 後期第2節 武蔵野-カマタマーレ讃岐

 

JFL 後期第2節 横河武蔵野FC-カマタマーレ讃岐

 

結果:0-1 (0-0)

得点:90+3分 李賢珍(イ・ヒョンジン)

会場:武蔵野市立武蔵野陸上競技場

 

 

 

 

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見どころの多い対戦だとおもう。

カマタマーレ讃岐は前から関心があつたし。

町田ゼルビアから移籍した、飯塚亮や鈴木祐輔はがんばつてるかな、とか。

ディフェンダーに転向するも芽が出ず、

つれないサッカーの女神に翻弄される西野泰正とか。

ちなみに「カマタマーレ」という名称は、「釜玉うどん」からとつた。

しかし、うどんを崇拝する讃岐人にとり、

釜玉うどんは観光客むけの俗な品目なので、逆に反感をかつたらしい。

関東人からみて限りなく瑣末な問題だが、うどんへの純粋な愛はわかる。

 

 

 

 

 

でもね。

見どころも見る気になりません。

摂氏三十五度の炎天下では。

 

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全国のファンのため、三鷹市のキッズチアチーム「クッキーズ」の写真をとつたが、

「子どもは夏でも元気だな」という以上の感想は出なかつた。

 

 

 

 

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フライパンの上の死闘。

一分ごとに体重を五十グラム失いつつ、釜玉うどんに食らいつく。

武蔵野は三勝一分七敗で、ふがいない成績だ。

それでもスタジアムの心がひとつに。

失点。

取りかえしはつかない。

焼けただれた芝に、青いユニフォームがあおむけに倒れる。

笛がなり、無風のフィールドを拍手がみたす。

あのハードワークはマネできない。

サッカー選手がはなつ気迫は、胸をゆすぶる。


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豊由美 対 アマゾンレヴュアー

『ロイター』(撮影:シャノン・ステイプルトン)

 

豊由美『ニッポンの書評』(光文社新書)をよんだ。

空疎な本だつた。

要するに、書評家はえらいと。

ブックレヴュアーをもつて任ずるトヨザキの、

おのれの職業についての矜持がみなぎつているが、

もともと彼女の仕事に無関心な者にしたら、どうでもよい。

ではなぜ今回ここで取りあげるかというと、

ブログ運営者の端くれとして、聞き捨てならない記述があつたから。

 

粗筋や登場人物の名前を平気で間違える。

自分が理解できていないだけなのに、「難しい」とか「つまらない」と断じる。

文章自体がめちゃくちゃ。論理性のかけらもない。

(略)

そういう劣悪な書評ブロガーの文章が、ネット上には多々存在する。

それが、わたしのざっと読んでみての感想です。

 

ブログやアマゾンレヴューが、全否定にちかい形で罵倒される。

本屋に悪書が並ぶからといつて、すべての本を切り捨てる様なもの。

トヨザキは世界がみえてない。

三文小説ばかり読んでると、こうなるのかな。

 

 

 

 

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アマゾンレヴューより興がある読みものを、ボクはほかにしらない。

書き手もさまざま。

 

小谷野敦は、比較文学者・評論家・小説家で単著もおほく、

『母子寮前』は昨年の芥川賞候補になつたし、トヨザキ以上の大物か。

かれはアマゾンに581件のレヴューを投稿している。

 

大江健三郎『キルプの軍団』の書評

 

「大江健三郎の一人勝ち」

 

あまりに素晴らしいので驚いている。大江の次男をモデルとし、語り手として、

高校生の少年が、小説家である父、障害のある兄などとともにあって(娘はここではいない)、

警官である叔父さん(これも実在)を交えて、ディケンズの『骨董屋』を英語で読んでいる。

キルプは、その登場人物である。

 

(略)

 

西洋の文学作品、しかもあまりメジャーでないものを核にして小説を書くというのも

大江が時どき使う手だが、明らかに純文学で、しかし面白く、また1980年代以降盛んになった、

通俗小説仕立ての純文学とも違ってまったく独自の世界になっている。

実に1970年代以降の日本文学というのは、大江ひとりがあまりに圧倒的だという奇観を呈している。

大江のマイナー作品ひとつに、全作品をもって立ち向かっても及ばない

純文学作家(世間的には大物)が何人もいるのだから。

 

たまたま手にした大江健三郎に感動し、その勢いで書いたのだろう。

さらりと戦後の日本文学を総括するなど、評論家ならではの冴えもみせる。

ちなみにアマゾンでは、レヴューに対しコメントをつけられるが、

大江に遠く及ばぬ純文学作家とはだれか質問されている。

「島田雅彦にとどめをさしますね」と、小谷野自身が返答。

このやりとりに吹き出さなかつたら、あなたは書評など読まない方がよい。

 

山形浩生は、評論家・翻訳家。

経済・環境問題・英文学などにつよい。

投稿数は251件、ここでは書評集の書評をとりあげよう。

扱きおろされた著者は、読売新聞の書評委員だ。

 

橋本五郎『「二回半」読む 書評の仕事1995-2011』の書評

 

「パターン化して弛緩した感想文集。」

 

ぼくも某新聞で書評委員をやっているけれど、絶対に避けたいと思っているのがこの手の書評。

書評じゃなくて、ただの感想文なんだもの。

自分では感想文ではないつもりでいるらしいんだが、これが感想文でなくて何?

 

基本的には、なんか私的な前振りをおいて、あらすじ紹介して、きいたふうな一節引用して

「重要である」「考えさせられる」とか書いておしまい。すべてがワンパターン。

読んでいて、工夫やひねりのある書評がちっともなくて、後から読み返す価値があるとは思えないし、

こうして本にまとめる意義もなかったと思うんだが、あの藤原書店がどうしちゃったの、という感じ。

 

まともな分析や切り込みのある書評は全然ない。そうした能力に欠けるからだと思う。

たとえば著者は「『けなす書評』もなりたつだろう。しかし、私はその道はとらない。

読者が買って損はしなかったと思ってほしいからである」(p.2) と言うんだが、

だったらなぜある本を買うべきでないか(出すべきでないか)を説明する

「けなす書評」だっていいはずでしょうに。

著者の書くものには、このように明確な論理性があまりない。

(略)

 

書評に対する書評は、批判のすべてが自分に跳ねかえるが、

キビキビと明快な文体は確信にみちて、心地よい。

ボクは性格がわるいので、「けなす書評」が大好きです!

 

 

 

 

 

著名人ばかり紹介し、権威を笠に着るとおもわれると嫌だから、

シロウトのレヴューも引用したい。

 

革命人士は、新書専門のレヴュアー。

実は『ニッポンの書評』を読む気になつたのは、この人の影響だ。

 

豊由美『ニッポンの書評』の書評

 

「制約が多い、だから書評は面白い」

 

結末を書けない、字数は800字、と書評メディアは制約が多い。

その制約の中で正確に読み込み、自分の思考も示した上で、

魅力ある文体で「どうですか、これ」と読者に訴求する。難易度は高い。

本書は「書評かくあるべし」というより、著者自身が答えを探し求めている。

 

ネタバレ書評を全文引用してバッサリ斬るかと思えば、返す刀で、

「走れ、書店に!」という常套句でシメる自分の書評もバッサリ。

その一方で、高品質な書評も多く引用している。

「100回生まれ変わっても書けないだろう」という小野正嗣の書評を読むと、

これはこれで「作品」と呼びうる文章の美しさだ。

制約が多い。書き手の力量がはっきり見える。だから書評は面白い。

 

(略)

 

どんな場所であれ、素人もプロも、本のことを書くなら、

書き手への敬意を捨てるべきではない。

感想を語るなら読み込め、という著者の主張はもっとも。

「自分の考えを他者に伝えるための入れ物として対象書籍を利用するな」

という著者の怒りも分かる。

民主党大臣の本だから、悪名高い評論家の本だからと、

内容に少しも触れないでディスるだけのレビューが乱発し、

それが絶賛されてしまう、どこかのサイトを見ているとなおさらだ。

 

アマゾンレヴューをくさす自虐的なオチがつく。

実際の本より、この文章の方がデキがよかつたな。

まあ、それも書評の楽しみのうち。

 

古本屋Aは、哲学書や歴史書についてよく書く人。

司馬遼太郎の、すこしマジメな随筆集をピックアップ。

 

司馬遼太郎『十六の話』の書評

 

「司馬遼太郎の幅の広さに驚嘆」

 

物知り博士とはこの人のこと。尽きない知識の開陳は驚くばかり。

何よりも分かりやすい文章、仔細やややこしいことに拘泥しないで、

目にとまった興味深いことを「ほら」と言って指差してくれる。

読者はそっちの方を見るとなにがしかの蘊蓄を開陳してくれる。

ややこしい話はしないのは、逆に言えば、思想的な話がないから誰にでも受け入れられる。

(略)

そういえば、思想系の話も駄目だと思うが、小説や文学の話も駄目だと思う。

子規や漱石の話は良く書くし、知識もあるのだろうけれど、

作品に対する理解は怪しいと思えるから、だから、その手の文章は読んでも面白くない。

逆に鉄の話や、道具や、土地の話など、実生活に接する話ほど面白い。

本書は著者のいろんな面が出ていて、分かりやすく楽しい一冊だった。

 

ボクは司馬遼の愛読者なので、何度も頷かされた。

神殿に祀りあげるのではなく、あえて缺点を指摘することで、

稀代の作家の持ち味が焙りだされる。

そんな清々しいレヴューをみつけたら、「参考になつた」ボタンをおそう!

 

 

 

さて、トヨザキの本にもどります。

 

これまでにやってきたように、ネット上からいろんなタイプの評を拾い、

引用しながらブログ書評について考えてみたいと思っていたのですが、

それは編集部からストップがかかりました。

素人の原稿を勝手に引用するのは問題があるのだそうです。

ほら、守られてるじゃん。

ブログで書評を書いている皆さん、あなたがたは守られてるんです。

安全地帯にいるんですよ。

そして、安全地帯に身をおきながらでは

批評の弾が飛び交う戦争に参加することはできないのですよ。

 

なにいつてんだか。

出版業界の慣例に、ヌクヌク安住してるのは自分ジャン。

ためしに彼女のブログにトラックバックを飛ばしてみた。

撃ち返せるものなら、やつてみな!


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テーマ : 書評
ジャンル : 本・雑誌

『ラスト・ターゲット』

 

ラスト・ターゲット

The American

 

出演:ジョージ・クルーニー ヴィオランテ・プラシド テクラ・ルーテン パオロ・ボナッチェリ

監督:アントン・コービン

制作:アメリカ 2010年

 

 

 

ジョージ・クルーニーの役は殺し屋。

ローマからすこし離れた山あいの隠れ家で、最後の任務をはたす。

「同輩の仕事に最適な銃をつくれ」

 

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かちやかちや。

「ライフルの射程と、サブマシンガンの携帯性がほしい」

欲ばりな依頼主だ。

 

 

ぬるぬる、べとべと。

潤滑油があやしく黒光りする。

 

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ぎしぎし。

映画のなかで山ほど銃をみてきたが、

設計から実際の使用まで、順をおい観察したのは初めてかな。

クルーニーがなんの組織に属すか、わからない。

おそらくCIAだが、それを匂わす描写はない。

だから彼が躊躇せず人を殺すとき、そこに正義はないけれど、

きしむ工具の音がかわりに説得力をもたらす。

 

 

 

 

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どれほど料理がうまくても、ロクな酒のない店が無価値な様に、

女の趣味がわるい映画は金をかえせと言いたくなる。

タートルネックのワンピースをきたブロンドが、例の欲ばりな依頼主。

 

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テクラ・ルーテンは、ボンドガールの次点候補をひろつた感じ。

登場のたび髪型をかえるサーヴィスがうれしい。

 

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地元の娼婦、ヴィオランテ・プラシドにぞつこん惚れられる。

娼館の外でデイト。

 

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彼女は、二十二口径程度の拳銃をもちあるく。

あぶない稼業だから、いやそれとも?

ペキンパー風のあまつたれたマチスモというか、

おそろしく時代遅れというか、逆にいまだと新鮮というか。

 

 

 

 

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石畳をうろつく寡黙なクルーニーをながめたのしむ映画だ。

 

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イタリアの光と闇は、すべてつゝむ。

 

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善悪、美醜、愛憎、動静。

ありとあらゆる矛盾を。

 

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あえて野暮なレッテルをはるなら、「マカロニ007」。

吉祥寺のちいさなハコで、珍品を堪能した。


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テーマ : 映画
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ホキ美術館という迷宮

 

昭和の森にしづむ三日月。

ホキ美術館は、昨年十一月に千葉市緑区で開館したばかり。

凝つたつくりだが、これ見よがしの低俗さはなく、

遠足の定番コースである公園を後景として生かす。

設計者は日建設計(山梨知彦)。

入口らしき広間で、おほきな一枚ガラスが入館者をさえぎる。

ちかづくとガラスが右にすべり、ひとつめの罠を解除できた。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』であそんでるので、例の効果音が心に鳴りひびく。

やはり美術館はダンジョンだ。

 

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館長の保木将夫がウロウロしている。

医療用品をつくるホギメディカルの創業者で、現在は会長。

ジイサン、あんたがしかけた謎を解きあかしてやるぜ!

 

 

 

 

一階は足もとから採光し、渡り廊下の様にあかるい。

制作年をみると「2011」ばかりで、かるく眩暈がした。

古ければ古いほどありがたい美術業界では、ちよつとした価値転換だ。

たゆまぬアップデイト。

ホキジイサンはせつせと新作を買い漁り、客を現実世界に向きあわす。

そのコレクションの特色は、ひとことで表現できる。

写実画。

 

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青木敏郎『オーベルニュの教会』(2000年)

 

「写真みたい!」

「本物みたい!」

地元のドン百姓も大騒ぎ。

そんなに写真が好きなら、写真展にゆけば?

 

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原雅幸『ナローカナルのボート乗り場』(2007年)

 

「まるで本当の川みたい!」

本当の川なら、千葉にもありますよ。

 

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同『狭い橋』(2008年)

 

「……」

老人御一行様は、言葉の在庫がきれたらしい。

でも、それでよい。

藝術の鑑賞者は、饒舌である必要はない。

人と作品のはざまのエモーションこそが、リアルなのだ!

 

 

 

 

 

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落葉のごとく、ゆらゆら下降。

壁と一体化した手摺をなでつつ階段をくだる。

地下一階の「ギャラリー2」は、照明もおぼろげ。

ホテルの一室みたい。

 

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森本草介『裸婦』(1999年)

 

もはや「本物みたい」とだれも言わない。

たしかに優美な裸婦像だが、これは藝術か?

官能小説の表紙となにがちがう?

数世紀むかしの、パリの高級娼婦や江戸の遊女なら許せるのに、

現代の女の写実的なヌードは、目をそむけたくなる。

同行していた母は早足になり、わかいカップルは気まづそう。

 

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同『ペリゴールの村』(1999年)

 

ギャラリー2は、館長自慢の森本草介を数十点そろえる。

風景画も雅やかだが、でもなにか足りない。

 

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同『光の方へ』(2004年)

 

裸にネックレスは、どんな衣装より艶やかだ。

やわらかな尻と、かたい踵のハーモニー。

心ゆさぶるリアリズム!

ボクらは、エロジジイの罠にはめられた。

もう逃げられない。

 

 

 

 

どうにか最下部にたどりつく。

そこは、ケガをしない程度の暗闇。

ギャラリー8は、十五名の中堅・巨匠作家に、

「私の代表作」という題目で依頼した大作をならべる。

藝術家は「代表作は最新作」とカッコつけたがるものだが、

依頼者が口にすると、おそるべき無理難題に!

 

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生島浩『5:55』(2010年)

 

そんな経緯でうまれた「代表作」。

モデルは近所の公民館ではたらく人らしい。

毎日仕事のあと一時間、キャンヴァスの前に坐らせたのかな。

この肖像画に最後の鍵が隠されている。

解答は、読者が訪問したときの楽しみにとつておこう。

……ウソウソ、本当はわかつてません。

 

 

 

 

併設のレストラン「はなう」で、2100円のランチをいただく。

片岡護という人がプロデュースした店だそうだが、

「団子より花」のボクには価値がわからない。

母が皿をひつくり返しては、「全部ジノリよ!」と鼻息を荒くする。

食器など100円ショップで十分とおもうが……。

父がパスタを、豪快な音をたてて啜る。

ドン百姓はここにもいた。

そしてパスタを口につめたまま、あわててパンのおかわりを注文。

いくらなんでも炭水化物を摂取しすぎだが、

浅ましさを指摘されると激怒するのでだまつていた。

とにかく美術館は、子ども以外はだれでも虜にする、不思議な迷宮だ。


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死刑が正義になることもある

『逆転裁判』(カプコン)

 

森炎『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか』(幻冬舎新書)をもとに、

「死刑反対」の持説を開陳したら、思いのほか反響をよんで嬉しかつた。

しかし前言をひるがえす様で申しわけないが、

これほどの大問題、一方的に結論をくだせるわけもない。

われら常識人を困惑させる事件も数ある。

 

 

 

 

「埼玉・川越の人違いバラバラ殺人事件」(1954年)

 

川越市南部にひろがる畑の肥溜めで、バラバラの遺体がみつかつた。

被害者は、ちかくに住む十九歳の女。

特徴あるヒョットコ面が災いし、犯人がつかまる。

二十九歳の男は、逃げた恋人とまちがえたと主張。

しかも「純愛」とか「至上の恋愛」とか、夢みたいなことを熱弁し、

その様子を絵に描くなど、なにやら尋常な殺人犯ではない。

はじめは取り合わなかつた捜査員も、次第にかれの情熱にアテられた。

一審は無期懲役。

しかし控訴審で「恋人」が證人として出頭し、裁判は暗転する。

「勝手に恋人とおもつてるだけ。わたしは何ともおもつてない」

ヒョットコ面は激昂し、なぜか隠し持つていた竹べらで「恋人」の胸を突く!

さいわい軽傷ですんだが、男は死刑に。

どうにもダメな人間で、殺した方が本人のためだろう。

 

 

 

 

「和歌山・兄一家殺害事件」(1946年)

 

兄一家八人を、斧や鑿で殺した男の話。

「死刑執行までに宇宙の根本原理をつかみたい」と決意し、

天体力学を独学で猛勉強、月の軌道運動に関する論文まで書いた。

京大理学部教授に質問状をおくるなどして、当時話題になる。

だが死刑確定の二年後、サンフランシスコ平和条約による恩赦で、

無期懲役に減刑された途端、研究意欲をうしなつた。

たしかに宇宙よりシャバの方が魅力的だが、現金なものだ。

 

 

 

 

「自殺志願者サイト快楽殺人事件」(2005年)

 

ウェブで練炭自殺の志望者をつのり、

結局自分の手で三人をつぎつぎと窒息死させたもの。

犯人の男は、人が窒息して苦しむ姿に興奮する性癖があつた。

思春期のころからその狂気に悩み、精神科にかようものの、

友人の首を絞め大学は中退、同僚を襲つて郵便局も解雇される。

医者にもなかば見放されていたらしい。

法廷では「死刑は覚悟しています」とのべ、はやくも執行された。

かれを生かしておいたら、刑務所でも被害者が出たはず。

 

 

 

 

人間つて、なんなんスか!

勿論ボクは死刑に反対だが、わりきれない思いは残るのだつた。





なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか―変わりゆく死刑基準と国民感情 (幻冬舎新書)なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか―変わりゆく死刑基準と国民感情 (幻冬舎新書)
(2011/05)
森 炎

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『アンダルシア 女神の報復』

 

アンダルシア 女神の報復

 

出演:織田裕二 伊藤英明 黒木メイサ 戸田恵梨香

監督:西谷弘

制作:日本 2011年

 

 

 

絵になる男といえば伊藤英明だ。

かれが現代を舞台に、刑事や兵士に扮する映画をずつと見たかつた。

 

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インターポールの捜査官として、スペインとフランスを嗅ぎまわる。

ひきしまつた痩身にさがる黒ネクタイはゆるんだまま。

胸元から体臭がただよいそう。

 

 

バルセロナのサン・ジュセップ市場で。

世界のどんな街並みにもなじむ。

 

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消音器つきグロックの構えのうつくしさ。

激発寸前の、まつすぐな熱情。

「日本男児もここまでやれるぜ!」と言わんばかり。

 

 

 

 

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外務省邦人テロ対策室所属、外交官・黒田康作。

演ずるのはわれらが織田裕二。

『東京ラブストーリー』、「キター!」、世界陸上、『踊る大捜査線』。

いつたいオマエは何者なのさ。

高卒の織田が外交官になりすますのは苦しいが、

世界陸上できたえた語学力(?)でどうにかしのぐ。

 

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黒田は、カワイイ後輩の戸田恵梨香に惚れられている。

うらやましい。

 

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なぞめいた銀行員、黒木メイサを抱擁。

さほどうらやましくない。

絵面もしまらない。

メイサの体型は、フィギュア原型師が絶望するほど目覚ましいけど。

ふと、日活の無国籍アクションをおもいだす。

かつて小林信彦は、マイトガイ小林旭を「無意識過剰」と評したそうだが、

当今のムイシキ俳優といえばオダユージ。

半世紀たつても、邦画に進歩はない。

 

 

 

 

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悲しむべきことに、伊藤の役柄は弱虫で、まともに銃が撃てない。

交戦がはじまると、頭をかかえ突つ伏すだけ。

 

日本人の銃撃戦って微妙じゃないですか。

でも大切なのは銃撃戦よりも、その場にいる臨場感で。

実際、自分が銃撃戦に巻き込まれたらすぐに死んだふりをするか、逃げまくるか(笑)。

だから神足(引用者註:伊藤の役名)は銃を所持していても、

簡単に立ち向かえない、生身の恐怖感を描きたかった。

 

映画プログラム 西谷修監督の発言

 

伊藤が臆病風にふかれる方が、よほど不自然だけど……。

『アンダルシア 女神の報復』は意義ぶかい作品だが、

結局バカントクのせいで、画龍点睛を缺く結果となつた。

 

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そして本日も、巨大な無意識が迷走する。

あのさ、オレは「戦う日本男児」が見たいんだよ!


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