『アリス・クリードの失踪』

 

アリス・クリードの失踪

The Disappearance of Alice Creed

 

出演:ジェマ・アータートン マーティン・コムストン エディ・マーサン

監督:J・ブレイクソン

制作:イギリス 2009年

 

《注意》

以下の文章では、物語の核心にふれています。

 

 

 

資産家の娘が誘拐された。

身代金は二百万ポンド。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h32m10s242.png

 

実行犯はこのふたり。

刑務所仲間らしい。

そして登場人物は、三名のみ。

エキストラすら出ない!

思いきりのよいミニマリズムか、小芝居をダラダラひきのばす101分か。

 

 

 

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h30m30s239.png

 

テキパキした仕事ぶりに、逆にイライラする。

「スタイリッシュな犯罪映画」というブツは、どうも胡散くさい。

犯罪者は、もつと粗野で怠惰なはずだ。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h31m19s243.png

 

マーティン・コムストンは、なにか隠しごとがありそうで、

実はただ流されるだけの愚鈍な若者を、うまく演じていた。

だが、優男すぎる。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h50m39s73.png

 

エディ・マーサンの外見は、存在感がある。

でも計画の細部にこだわるプロフェッショナルで、そこが嘘つぽい。

犯罪者を知識労働者とみなす幻想は、もう飽きた。

監督のブレイクソンは、イギリス国内で評価の高いウォーリック大卒。

真にせまる映画を作りたいという衝動より、

批評家にウケればOKという俗臭がただよう。

 

 

 

ところが、このムショ友だちは、「ホモだち」だつた。

納得。

美青年であることも。

険呑なヤマの最中なのに、妙にたのしげなのも。

 

 

 

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h37m52s82.png

 

不思議なもので、事情が知れると、男ふたりの場面も違つてみえる。

ネットリと恋人をみつめる。

シャバにでても、男の味が忘れられず、道を誤ることはありそう。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h37m48s56.png

 

みつめかえすダニーボーイ。

相手の感情を受け容れている様だ。

でも監獄にぶちこまれた色男が、生きのびたいという一念で、

牢名主に身をゆだねたとしても意外ではない。

自由になれば、若い女の方がよいにきまつてる。

そんな迷いもつたわる。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/vlcsnap-2011-06-11-15h40m32s128.png

 

男と女。

そこにひとり加わればトライアングルができ、101分のドラマも生れる。

この映画がというより、人間という生き物がおもしろい。


関連記事

テーマ : 映画
ジャンル : 映画

『W杯で勝つ ザッケローニの戦略』

(撮影:スエイシナオヨシ)

 

W杯で勝つ ザッケローニの戦略

 

編集長:宇城卓秀

発行:宝島社 2011年

[別冊宝島]

 

 

 

いささか厄介なムックだ。

今野泰幸も「ちよつと怖くなつてきた」ともらすほど、日本代表の戦術が丸裸に。

とはいえアルベルト・ザッケローニの哲学は、いたつてセンプリチェ。

攻撃はワイドに、守備はコンパクトに。

みづからはサイドチェンジを多用し、敵にはつかわせない。

陳腐ですらある。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/IMG_0003_20110610135229.jpg

 

今野はいまや、国土防衛司令官の任にある。

フォワードが守備の起点となり、敵にあえて縦パスを選択させ、

うしろの選手で囲いこんでボールを掠奪。

守備時こそ、主導権を握るべし!

「3-4-3」でもおなじ。

中央に位置する今野は、断続的にラインを上げながら、

相手フォワードへのパスをねらい飛びだす。

ふたりの「サイドバック」が中にしぼる。

またサイドハーフは、敵が逆サイドでボールをもつ場合、

危険なら後退し、平時はボランチの様な位置につく。

つねに状況を見極め、最適な場所にいられるよう精をだす。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/IMG_0004_20110610135229.jpg

 

吉田麻也によると、4バックの動きにも独自性がある。

敵がヴァイタルエリアでボールを保持するとき、

サイドバックは外を向いてはいけない。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/201106101352296c8.jpg

 

CBとSBのあいだにパスを通されたくないから。

雀の涙ほどでも、ボール保持者に重圧をかける。

吉田はストイコビッチ監督のもとで二年プレーしたので、

ザックとピクシー、側面攻撃を愛する両雄の比較がおもしろい。

ピクシーは、ボールをもてば徹底的にサイドからクロスをあげさせる。

片側がダメなら、サイドチェンジで逆からくづす。

ザックは、三人目の動きで同サイドにこだわる。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/201106101352294b1.jpg

(撮影:今井恭司)

 

昨年引退した三浦淳宏は、サイドバックの縦パスに注目する。

「逆サイドにふつたら縦にいれろ」という、決めごとがあるらしい。

ザッケローニの戦術は、ひたすら前方を見つめる。

 

 

 

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/IMG_0007_20110610135206.jpg

(撮影:柴田和彦)

 

二十二歳のゴールキーパーである権田修一は、

コーチから手の出しかたをおそわつた。

外からでなく、まず体の中心に両手を合流させ、パッとひらく。

手がより一体化し、ファンブルを防げるのだとか。

こまかいなあ。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/IMG_0005.jpg

(撮影:弓削高志)

 

ウディネーゼ時代、ザッケローニ指揮下の三年で、

三十六得点をきめたパオロ・ポッジ。

故郷ヴェネツィアのリド島でサッカースクールを主宰するいまも、

かつてのボスと頻繁に電話ではなす間柄らしい。

ビッグクラブを率いていたころ、ザックは選手が言うことを聞かないとボヤいた。

そんな教え魔にとつて、日本は天国だ。

本人はオプションのひとつと嘯くが、あのザッケローニが、

ウディネーゼ以降だれも使いこなせない「3-4-3」を、

わが代表チームで蘇生させる夢を、簡単に捨てるはずがない。

それは情熱であり、理想であり、生きがいだ。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/IMG_0002_20110610135206.jpg

 

遠藤保仁の辯。

 

うーん、実は僕自身はサイドチェンジがあまり好きじゃないんですよ。

サイドチェンジは、攻撃のときに有利に思えて、

不利な部分もたくさんあるのでね。

(略)

サイドチェンジをしたら、極端に言ったら1対1になる場面が多い。

取られたらカウンターを食らって、

自分たちが完全に不利な状況に陥ってしまうことが多々ある。

 

サイドチェンジに重きをおく指揮官への批判と受けとれなくもないが、

意地悪な解釈をされないのは人徳ゆえか。

ヤットにいわせると、バルセロナはバックパスが多い。

たとえばシャビが、ピケやプジョルからボールをもらつたとき、

自分はターンができても、あえてブスケツに預ける。

確実にパスコースをふやすために。

なるほど。

ヤットは、バックパスを悪徳とみなす昨今の風潮とは、別の次元にいる。

いうまでもなく、日本代表のシャビは遠藤であるわけで、

サッカー戦術とは、複雑で曖昧で折衷的なものとわかる。

 

 

 

 

 

瓶ジュースの蓋をならべフォーメーションをつくる遊びに、

十歳のアルベルト少年は夢中になつた。

還暦を迎えんとする、いまも。

机上の空論を、ふたたび現実のものとするために。





W杯で勝つ ザッケローニの戦略 (別冊宝島) (別冊宝島 1768 カルチャー&スポーツ)W杯で勝つ ザッケローニの戦略 (別冊宝島) (別冊宝島 1768 カルチャー&スポーツ)
(2011/05/24)
不明

商品詳細を見る

関連記事

テーマ : サッカー日本代表
ジャンル : スポーツ

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
05 | 2011/06 | 07
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
月別アーカイヴ
02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03