いただきストリート

 

たまに両親と会食すると、彼らは少々蓄えがあるので、

ボクは行きつけの店(松屋)より高級な食事にありつける。

嬉しくなくもないが、ひとつ許容しがたいのは、

父母がやたら皿をシェアしたがること。

料理は、「皿」を単位として完結する世界だ。

テーブルには流れもある。

料理人の構想に水をさす真似はよした方が。

……なに、せつかく高い店に来たからつて?

いやいや。

こういうレストランだからこそ、カロリー摂取より、

充実した時間を過すことに主眼をおくべきであつてね。

……わかつたよ、そんな不機嫌な顔しないでよ。

普段はケンカばかりなのに、仲睦まじく皿をわけあう老夫婦。

 

 

 

 

 

いまの東京は、『いただきストリート』のゲーム盤だ。

ボクがねらう、CDやゲームソフトやサッカーのチケットは、

だれも見向きもしない物件だが、賽の目がわるく手に入らない。

ボヤボヤしてたら、電池、ガソリン、ティッシュ、トイレットペーパー、

インスタント食品、水……ありとあらゆる必需品を買い占められた。

腰の曲つたバアサンが、数リットルの水をかかえ坂をのぼる。

イキイキしてやがる。

プレイヤーとしての力量がちがう。

 

 

 

 

『桃太郎電鉄』(ハドソン)

 

ジジババは、貧しい時代を知つている。

1カロリーがどれほど貴重な宝物か、身に染みて理解している。

ボクは朝五時におきて買い出しなんて行けない。

ドラクエの発売日ではあるまいし。

どうにかなると高をくくり、スーパーへゆくたび青ざめる。

科学者として、災害を予測したり。

経営者として、突発的な事故に対応したり。

政治家として、国民を安心させたり。

そういつた分野に彼らは不向きだ。

でも、石にかじりついても生きのびるという、

貪婪な人生ゲームをさせたら世界最強かもしれない。

すくなくとも、ボクは勝てる気がしない。

敗北が餓死を意味すると、わかつていても。


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苑田 謙

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