高崎ゆうき『むげんのみなもに』

 

むげんのみなもに

 

作者:高崎ゆうき

掲載誌:『コミック百合姫S』(一迅社)vol.12~14/『コミック百合姫』2011年1月号~

[単行本は「百合姫コミックス」として、第一巻まで刊行]

 

 

 

贅沢な漫画だ。

なぜか二人暮らしの美少女、カギリとみなもの日常が綴られる。

 

 

スプーンのかわりにUSBケーブルをくわえる、みなもが愛くるしい。

マッチ棒の手足に、ビー玉の瞳。

ふたりは誰よりもうつくしく、愛しあつていて、完璧だ。

大槍葦人風の絵柄であらわれる、都会の理想郷。

 

 

挨拶がわりに自殺をかたる、少女たち。

うつくしすぎる娘は、よごれきつた世界に居場所がないと知つている。

だから死をもてあそぶが、それは可能なかぎり残酷な、

悪意にみちた他者に対する復讐でなくてはならない。

 

 

主人公のカギリは、実は殺し屋だつた。

級友の依頼をうけ、彼女を手籠めにした父をあやめる。

そこは男が死体としてのみ存在をゆるされる空間で、ゆえにうつくしい。

愛というコインの裏面がにぶくひかる、贅沢な漫画だ。

 

 

 

 

 

拾い猫を飼いはじめる、第三話も味わいぶかい。

名前は「ちびキイ」。

カギリのあだ名が「キイ」で、ねむそうな目が似ているから「ちびキイ」。

 

 

ちびキイは、艶事の邪魔までする。

 

 

もともとカギリは、猫を飼うことに反対だつた。

動物は、ちがう時間を生きているから。

生きとし生けるもの同士がふれあえば、たがいの時間を意識する。

なによりもつよく、死を。

 

 

カギリの哲学的な問いかけは、宮崎駿の引用で撥ねのけられた。

『むげんのみなもに』は、宮崎アニメほど甘口ではないが……。

 

 

この「天罰」をくだした下手人は第四話であきらかになり、

カギリによつてその罪が報いられる。

天罰の連鎖、それがすなわち宇宙の本質なのだろう。

 

 

 

 

 

謎めいた皮肉屋の「時間商人」。

この物語がおわるとき、どれほどの悲劇となるのか、

ボクには想像もつかず、いまからただ震えるばかり。





むげんのみなもに 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)むげんのみなもに 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2010/10/18)
高崎 ゆうき

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