氷解 ―― なでしこリーグ 第9節 ベレーザ-浦和レッズ

 

なでしこリーグ 第9節 日テレ・ベレーザ-浦和レッドダイヤモンズレディース

 

結果:0-3 (0-0)

得点:56分 西田明美 70分 北本綾子 75分 藤田のぞみ

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

残暑という名の灼熱地獄にも負けず、

メインスタンドを占拠した浦和レッズのサポーターは、

いつもより溌溂と、審判団と相手チームに罵声をあびせた。

九十分間、すべてのプレーに。

気温はそのまま、あくまで心理的に、スタジアムの空気がこおる。

かき氷をふくむ口だけつめたいのに似ている。

野太い声で威嚇されたら、どんな女でも帰り道が不安だ。

新川里佳子主審が顔色をうしなつたのは、熱中症のせいではない。

もとより浦和レッズは、サポーターの上品さでしられるクラブではないが、

目にあまる兇暴さは、先週の敗北の責を主審におわせた事情による。

 

はっきり書こう。

審判に試合を壊された記憶はあれど、

審判に試合の勝敗を左右する誤審をされるとは夢にも思わなかった。

二度と浦女の試合で笛を吹いて欲しくない。

むしろ、二度と主審として活動して欲しくない。それ程に怒りを覚えた。

 

SHOWさんのブログ『feeling for the glory』

 

七日まえにMVPの栄誉をさづかつた岩渕真奈は、

フライパンで焦げつき、最下等選手賞を獲得しかねなかつた。

対戦相手も試合会場もおなじなのに、不思議なものだ。

ボクらの大切ななにかが氷解し、じきに虚空へ蒸散した。

 

 

 

当ブログはこの日のMVPを、浦和レッズサポーターにささげる。

恥しらずにも集団で女をおびやかし、試合を優勢にみちびいた功をたたえたい。

偏見とおもわれると嫌だから、他のかたの報告もあげておく。

[例1][例2][例3][例4][例5][例6][例7][例8][例9]

みごと浦和レッズは首位をうばい、そしてかのチームの順位よりも、

魅力的なサッカーをもとめて西が丘をおとづれた観客を不快にし、

女子サッカーの価値を台無しにすることにも成功した。

批難するつもりはない。

ただ見たまま、書きしるすだけ。

ニューヨークのツインタワーをこわした組織を責めないのとおなじだ。

その行為がイスラームの大義にもとづくというなら、聞く耳などもつまい。

比喩が不穏当すぎる?

いや、そうでもない。

さきほど引用した、SHOWさんの記事をざつと読んでみよう。

 

一番の誤審は岩倉の退場とベレーザのPK獲得。

逆のゴール裏からでも、笛が鳴ったとき

伊藤と競っていたのは藤田で岩倉ではないと認識していたし、

元より笛を吹くまでのプレーだったか疑問に感じた。

 

ボクはぶっちーの傍にいたくて、バックスタンドの左側にいたから、

この瞬間を目と鼻の先で目撃している。

記憶能力にめぐまれなくて、ベレーザ選手と接触したのが藤田か岩倉かわからない。

おそらく両方だろう。

だが赤い壁をぶちぬいた原菜摘子の雄姿は、くつきり脳裏に焼きついている。

伊藤香菜子は、あとでPKを決めただけ。

SHOWさんは「伊藤」だと二回書いているから、これは誤記ではなく誤認。

おそるべきノータリンもいるものだ。

なにが「二度と笛を吹くな」だ、冗談は休憩しながら言つてくれ。

サッカー好きのウサーマ・ビン=ラーディンがよめば、臍で茶をわかすだろう。

くりかえすが、かれらが悪いとはいわない。

もともとこの競技は、宗教性が色濃い。

優勝をのがした現実から目をそむけ、無実の人に罪をなすりつけ、

妄想からうまれた憎しみがスタジアムをみたし、つぎの試合をうごかす。

この理不尽さも、サッカーの構成要素のひとつだ。

 

 

 

 

 

浦和レッズは、ゴールキーパーを山郷のぞみに戻した。

先週そこにいた小金丸幸恵は、経験を積ませるため起用したらしい。

キーパーひとりで、ここまでチームがかわるのかと感心した。

その安定性。

ふてぶてしさ。

フィールドに怨嗟の嵐がふきあれ、やりきれなくなつても、

ひとたびゴールの前をみれば、ボクらはすこしだけ安心する。

背番号1だけは、くまなく輝くダイヤモンドの結晶で、

ぎらつく炎天のもとでも、とけて消えたりしない。

サッカーはときに醜悪だが、すべてが無価値なゴミでもない。

ボクは十月にさいたま市で、また怒号に鼓膜を傷つけられるだろう。

でも今度は負けずにこう叫ぶつもりだ。

「ぶっちー、がんばれ!」つてね。


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REALiTy

 

 

 

ユネさんという、在日韓国人の知りあいがいる。

天真爛漫で、ボクの何万倍も出自に誇りをいだいていて、

かなり年下だけど、尊敬にあたいする女子高生だ。

ときに、訪問履歴を通じてよく拝読しているブログに、

ボクにとつて見過ごせない記述があつた。

 

「日本と日本人が大好き!この国に骨埋めるつもりです!」

という位日本を大切に思ってくれる外国人だけに選挙参加の

権利が与えられれば良いかも知れないけど、現実見ると

日本に住んでるのってそんな良い人ばかりじゃないんですよ。

残念ながら、な。

 

某氏のブログから引用

 

脳の血液温度が沸点をこえた。

なにが「残念ながら」だ!

「外国人参政権」の是非など、ボクにはわからない。

どのみち、国家の命運を左右する重大ごとではなかろう。

だが友人への侮辱をきいて沈黙したままなら、それは裏切りだ。

最初は腰をひくくして、コメントを投稿する。

 

失礼ですが○○さんは、日本在住の外国人と、

実際にどんな交友関係をお持ちなのですか?

ボクは、いわゆる「在日韓国人」の知人(女性)がいるのですが、

こちらが困ってしまうくらい、とても「良い人」です。

 

(ハンドルネームは伏せ字で処理)

 

奇襲をしかけるときは、敵に退路をあたえるのが鉄則。

窮鼠に手をかまれない様に。

ボクはコメントのなかで二度非礼を詫びているから、

某氏も、自分の発言の無神経さについて謝罪できた。

しかしモニターのむこうで、頭をさげる素振りは感じられない。

ファンタジー小説などの創作をされる人でもあり、

自分もそうだから分るが、物書きならではの正義感をお持ちなのだろう。

 

在日の方に関しては、私が現在直接交友関係があるわけではない・・と

言ってしまうと元も子もないのですが、難しい問題だったりします。

(中略)

ただその一部の人間は日本人相手に凶悪な性犯罪を犯したり、

過剰な規制を敷いて一般人を弾圧する様な団体の中心人物だったり

(マスコミには取り上げられてないですが)するので、そういう人達には

反感を持っております。あんな人達が参政権を持って集団で日本に

押し寄せて来たらと思うとたまらない。

 

いかにも聞きかじりで、生煮えの文章だ。

物書きは言葉で、思うがままに理想郷をつくれるが、

それで世界の醜悪さは掃き清められない。

文章は、魔法ではない。

人の心を傷つけようとする時だけ、おそろしく鋭利な刃物になるが。

 

 

 

誰かとはじめて議論する際に有効な戦術は、自分をバカとおもわせること。

ボクの最初のコメントは、卑近な例をあげて怒つているだけの、

「反日」思想に凝りかたまつたサヨクの弁に見えたかもしれない。

それもあながち間違いではないが、むしろ狙いは某氏から、

「在日」の知人がいないと言質をとることにあつた。

 

「現実見ると」とおっしゃる○○さんにとって、「現実」とは何ですか?

他人の受け売りにすぎない言葉を書き散らし、

実在する人の心を傷つけてまで、守りたい「現実」とは何ですか?

 

左のガードを軽くさげて相手をさそい、顎の先端にフックをかすらせる。

明晩にアクセスしたところ、当該エントリは削除されていた。

某氏は「ツイッター」もなさつているので、そちらを閲覧すると、

ボクの意見があまりに奇麗ごとなので、答えにくかつたらしい。

つまり、それなりにクロスカウンターは効いたが、

ダウンはとれず、すばやい足さばきで逃げられた次第。

 

一応恥ずかしくない様にいくらか調べてはいるけど、

それすら付け焼刃だろと言われるとどうにも出来ない。

実際自分の周りにはそんな人いないが、

いたら絶対関わりたくないので データで見るしかないんだ

 

「ツイッター」での、某氏の発言

 

「データで見るしかない」、結構ぢやないですか。

その客観的な「データ」が、あなたにとつてどれほど「リアル」なのか、

ボクは本当に知りたかつたのです。

蜃気楼のごとき「現実」を追いもとめる議論は、まるごと電子の塵となる。

ちよつと待て。

それならどうやつて、このブログで対話を再構成したかつて?

削除される恐れがあつたので、実は前日に文書を保存していた。

以上の抜粋は、恣意的な編集によるものなので、

内容に関心あるかたは、【テキストファイル】を参照してください。

われながら、意地がわるい。

在日が悪人ばかりでなく、日本人が善人ばかりでない證拠になるかな。

 

 

 

金曜は、「紀伊國屋書店 Forest」で百合漫画『Candy boy』を買つたあと、

「シネマート新宿」でアニメ『涼宮ハルヒの消失』をみた。

特に後者は、ブログ『From あした』の管理人の「へりおん」さんの、

 

そんなわけでここ数年で掛け値なしに間違いなく

一番濃い最高の2時間40分を過ごしました。

これといった文句は一つもない。

京アニは本当にいい仕事してくれた。

これでブルーレイの発売までなんとか生きていけるってもんです。

 

へりおんさんのブログ『From あした』

 

……という讃辞を目にしたこともあり、期待していた。

でも、十分たのしめたとは言えない。

「ハルヒのいる世界」と「ハルヒのいない世界」、どちらがよい?

そんなの知つたことか!

ハルヒに興味津々の好事家にしか意味をなさない命題を、

作品総体の前提にすえるなんてバカげている。

在日は、性犯罪者などのならず者のあつまりで、

日本政府を牛耳ろうとたくらんでいる、という物語と似たりよつたり。

そんな無常なセカイで、ただひとり長門有希だけが、

確乎として、ゆるぎなく、全幅の信頼にあたいする存在としてある。

無口で無表情で、いつもパイプ椅子で読書する、在日宇宙人。

問題は、長門が支配するこのセカイが、決して居心地はわるくないこと。

 

(撮影:へりおん氏


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岩渕真奈は天才なのか ―― なでしこリーグカップ 決勝 浦和レッズ-ベレーザ

 

なでしこリーグカップ 決勝

浦和レッドダイヤモンズレディース-日テレ・ベレーザ

 

結果:2-3 (0-0)

得点

【浦和レッズ】55分 庭田亜樹子 62分 藤田のぞみ

【ベレーザ】60分 大野忍 87分 伊藤香菜子 90分 岩渕真奈

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

オレはトマトペーストの缶のなかにいた。

西が丘のCゲートをぬけたゴール裏は、三原色の緑と青以外に塗りつぶされて。

しくじつた。

林立する郵便ポストは、やけにオレの深緑のポロシャツに御執心だ。

ユニクロなのに。

四か月はやいクリスマス。

あやしい動きを一瞬でもみせれば、生きたままバックスタンドにたどりつけない。

オレは爪先をみつめ、緑の服が好きな、通りすがりの男のふりをした。

実際、日テレ・ベレーザのサポーターではない。

すこしばかり熱狂的な、岩渕真奈の信者だ。

ぶっちーの同僚が活躍すれば、腹がたつ。

逆に彼女らが失策したら、足をひつぱるなと地団太をふむ。

試合開始後もぶっちーが椅子にすわつたままなら、カントクに殺意をおぼえる。

ベレーザにとつて、オレは有害な人間だ。

 

 

 

七日まえ、準決勝のマリーゼ戦

彼女を軸に世界がまわつているのは知つていたが、

自転速度はいよいよ増し、三半規管をくるわされたオレは、

七十年代アヤックスだのギリシア神話だの持ちだして駄文を草した。

ついハメをはづす愚かさを猛省したい。

この日曜の岩渕真奈は、ありふれた女子サッカー選手にすぎない。

用兵について、腑におちない点はある。

先週ケガをおつた南山にかえて小林を起用するにしても、

原の持ち場までずらす必要はなかつた。

よいチームは、いじるな。

かりに不首尾でも、試合中に手を加えればよいのだから。

終了間際、原菜摘子が左側面から突進し、敵を血祭りにあげ、

数すくないサッカーの原理のただしさを立證した。

だから、どうだというのか。

かすかなノイズに声が掻き消されるなら、プリマ・ドンナたる資格はないのでは?

掲示板「岩渕真奈 閃光の天使」へのハマジさんの投稿をよんで、

関前SCの小島洋邦監督の苦言をおもいだす。

 

天才少女ともてはやされていますが、

私は天才ではなく、物凄い努力家だと思っています。

関前サッカークラブ時代 男子に交じり同等のプレーをする事は

並大抵の事ではありません。

むしろ自分は「上手くない、上手くなりたい」といつも言っていました。

彼女が今あるのは サッカー大好き、

もっともっと上手くなりたいと人知れず努力した結果です。

 

「関前サッカークラブ」公式サイト

小島洋邦監督のメッセージ

 

彼女の旅の出発点をしる人だから、きつと正しいのだろう。

 

 

 

胴上げされた森栄次監督が、西が丘の夜空にまう。

七月末に理由もあかさず免職された前監督を、

オレは嫌いだつたが、この宵だけは同情した。

小林弥生をはじめ、ベレーザ選手の幾人かはブログを運営しているが、

監督交代劇の最中は、全員が不気味な沈黙をまもつていたのに。

現金な姉さんたちだ。

ただ、上背や腕力を期待されてないこともあるが、

ぶっちーはロケット発射台から離れたところにいた。

その後も、歓喜の輪の中心に立つことはない。

優勝?……まあ来週も試合あるし。

決勝点?……最後に点とつただけ、それだけ。

MVP?……よろこばないと、スポンサーさんとかに失礼かな。

定番の「We Are The Champions」がながれたが、

オレはあの場によりふさわしい曲をしつている。

 

ねえ もつと more more more

すぐに more more more

輝きたいの more more more

キラリ give me a dream

かわりたいの more more more

 

capusle『more more more』

作詞:中田ヤスタカ

 

小島カントクにはわるいが、オレは「天才」という修飾を捨てられない。

それが嫌なら、もうひとり世界大会のMVPを育ててみろつてんだ!

 

 

ぶっちー情報は、掲示板「岩渕真奈 閃光の天使」でも紹介しています。


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『ゴッドファーザー』に酔う

 

ゴッドファーザー

Godfather

 

出演:マーロン・ブランド アル・パチーノ ジェームズ・カーン

監督:フランシス・フォード・コッポラ

制作:アメリカ 一九七二年

 

 

 

職業で人を差別するのは野暮だが、葬儀屋のボナセーラは、

娘の結婚式にあまり招きたくない客のひとりだ。

 

 

ながながと自分の娘が乱暴される様子をかたり、

名づけ親のドン・コルレオーネに復讐をこう。

頼みごとをするにしても、もうすこし日を選ぶべきだが、

それでも昔かたぎのヤクザは、来るものを拒まない。

 

 

怒りと悲しみで嗚咽する葬儀屋にむけて、手をさしだす。

肩をだいて慰めるのが、無難な応対だろう。

 

 

しかしボナセーラにあたえられたのは、ちいさなグラス。

現実のやりきれなさを中和する解毒剤として、一杯の酒に勝るものはない。

 

 

猫をだくヴィト・コルレオーネ。

かれ自身は、さほど酒をたしなまない。

一秒たりとも止むことない憎悪の嵐のなかで、

心身を酒精にゆだねる余裕のない人生だつたから。

かれのもとに集う人間は仔猫の様なもので、一家の長の庇護を必要とする。

 

 

 

 

 

左の恰幅のよい男が、ドン・ヴィトの腹心といえるクレメンザ。

その風貌も、粗野なふるまいも、あまりに典型的で、

「イタリア系アメリカ人」というより、「イタ公」とよびたくなる人物だ。

 

 

踊りつかれたので、若い衆をよぶ。

おいポーリ、ワインをもつてこい!

 

 

喉の渇きをいやそうと、ピッチャーから葡萄酒をガブ飲み。

熱中症対策の観点からみると最悪で、

厚生労働省から苦情が寄せられてもおかしくない映画だ。

のちに裏切りが発覚し、手前の三下のチンピラは、

クレメンザによつてあつけなく殺される。

 

 

 

 

 

コルレオーネ家の三男坊に料理をおしえるクレメンザ。

「まずオイルでニンニクをいためて、トマトをぶちこむんだ。

かたまらない様によくまぜろよ。

それからミートボールとソーセージをいれる」

 

 

「……で、ワインを少々」

「少々」のはずだが、巨大なボトルを急に傾ける。

入れすぎかもしれないが、どうせ食卓でも飲むから同じことだ。

要するにメシなど、うまければそれでよい。

 

 

ノンキに料理教室をひらいてる場合かと、長男のソニーが小言をいう。

父が撃たれたあと、かれが一家の指揮をとる。

「ポーリの件はどうしたんだ?」

 

 

「ポーリか、ヤツならとつくに消えたぜ」

こともなげにつぶやくクレメンザに、武闘派でならすサンティーノも鼻白む。

ヤクザ稼業の物騒さがつたわる、本作でもつとも怖い場面かもしれない。

数時間まえの殺しよりも、うまいメシや、

美女を口説くことの方が、イタ公にとつて重大事なのだ。

 

 

 

 

 

一家をひきついだ三男坊マイケルの妻、ケイ・コルレオーネ。

旧姓の「アダムズ」からわかる通り、彼女はイタリア系ではない。

父の仕事が嫌いで、カタギの世界で成功したかつたマイケルにとり、

ケイの存在は、「アメリカの正義」を体現するものだ。

「マイケル、あなたが殺したというのは本当なの?」

 

 

「いや」

「よかつた……」

ケイ自身、どこまで本気で信じていたかわからないが、

夫婦の絆はこの時点で千切れるのをまぬがれた。

新妻は騙されたわけだが、彼女のゆるぎない瞳にみつめられ、

真実をつげる勇気をなくした夫の方が、より滑稽なのはたしかだ。

 

 

「ねえ、ちよつと飲みません?」

すこし安心して、水割りかなにかをつくりに出たケイと入れ替わり、

クレメンザなどの「ファミリー」が部屋にはいつた。

マイケルの手の甲に口をつけ、誓いの言葉をのべる。

 

 

おびえた仔犬の様な面持ちのケイ。

その酒は、どんな味がしたのだろうか。






 

ヘイゲン



さて、「ブログ DE ロードショー」第十二回はお楽しみいただけましたか?

みなさまの感想を拝見するのを心待ちにしております!

今回の記事も、miriさんが『映画鑑賞の記録』でまとめてくださるので、

是非そちらで色々な意見にふれてみてくださいね。



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『きな子 見習い警察犬の物語』

 

きな子 見習い警察犬の物語

 

出演:夏帆 寺脇康文 戸田菜穂 大野百花

監督:小林義則

制作:日本 平成二十二年

[丸の内ピカデリーで鑑賞]

 

 

 

瀬戸内海にのぞむ、香川県の警察犬訓練所を舞台に、

虚弱なラブラドール・レトリバーの「きな子」と、

ドジな見習い訓練士の「杏子」の、ゆるやかな成長をえがく物語だ。

 

 

主役をつとめる夏帆。

CMやティーンむけのファッション誌のモデルとして活躍した、十九歳です。

姓が「夏」で、名が「帆」なのかな?

 

 

おつと失礼、こちらが夏帆さんでした。

犬と飼い主は似るというが、数あるイヌ映画のなかで本作が出色のデキなのは、

イヌ顔の女優を主演にすえたことが理由だろう。

ちなみにボクはネコ顔の娘さんに目がないのだが、

ラブラドールとの取り合わせで、手足のひよろ長い彼女を好きになつた。

 

 

 

 

 

訓練中に叱るときでも、よくもわるくも愛嬌がある。

得な顔立ちにちがいない。

 

 

今度は自分が、所長の寺脇康文に一喝される。

観客としては、泣いてあやまる小芝居を期待するぢやない?

美女の涙ほどうつくしいものは、そうないのだから。

 

 

所長にはわからんと思います!

がんばつてもがんばつても、できんモンの気持ちなんか……。

夏帆ちやん、逆ギレ!

犬たるもの、メソメソ泣き濡れるのは似あわない。

 

 

ラブラドールになりたい……ぢやなかつた、配役の難点をひとつ挙げるなら、

彼女はこれまで犬を飼つた経験がないということだ。

このコダワリのなさが、邦画の一番ダメなところ。

愛犬家をなめるな。

犬と人間の信頼関係、それは数日で理解できるものではない。

抱きかたをみれば、飼育経験の有無など一目瞭然だ。

無論これは、夏帆の責任ではないけれど。

 

 

 

 

 

嵐のなかを疾走する、見習い警察犬。

本能むきだしの迫力が、感動をよぶ。

それもそのはずで、コンクリートをはしる場面は一発撮り。

何度もくりかえすと、犬は足の裏を痛めてしまうから。

かたい舗装路をはしることが、もつとも彼らの負担になるのだ。

ウチで飼つていた柴犬は、あるとき骨折していたのに、

鈍感な父は気づかず自転車で引きずりまわしたが、

ヤツは痛みをこらえて尻尾をふりふり、大喜びでお伴をしたらしい。

泣きたくなるほど、健気な生きものなんだよねえ。

 

 

手前は、所長の娘役の大野百花。

おそるべき毒舌家で、夏帆と寺脇康文はかなり、

母役の戸田菜穂は完全に、八歳の女優に食われていた。

アクセントが巧みなので地元の子かとおもつたが、実は東京うまれ。

「動物と子役にはかなわない」という凡庸な格言が、

どうやらこのエントリの結論になりそうです。

犬もあるけば棒にあたる、ということでお許しくださいね。


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プロメーテウスの解放 ―― なでしこリーグカップ 準決勝 ベレーザ-マリーゼ

 

なでしこリーグカップ 準決勝

日テレ・ベレーザ-東京電力女子サッカー部マリーゼ

 

結果:1-0 (1-0)

得点:36分 伊藤香菜子

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

リーグの首位をゆくベレーザは先月、監督の星川敬の任を解いた。

わかい指導者は面目をうしなつたが、どうせ事件はすぐ忘れられる。

それより彼の名は、「岩渕真奈から一年半ドリブルをうばつた男」として、

サッカー史に記録されるだろう。

FCバルセロナやスペイン代表を範とする、「ポゼッションサッカー」の導入。

その是非はひとまず措くが、耐えがたいほどの長きにわたり、

岩渕が被害者の立場にあまんじたことは否定できない。

理想をかたるカントクは信用しない方がよい。

近代サッカーの原点は、一九七〇年のアヤックスにあるが、

監督のリヌス・ミケルスに、チームづくりの具体的な計画はなかつた。

プレッシング、オフサイドトラップ、ポジションチェンジ。

戦術の革新は、選手たちの無意識がなしとげたものだ。

ドリブルに関して、ヨニー・レップはこう語つている。

 

私たちの場合、ミケルスからいろいろと指示は出されていたが、

ドリブルを禁止されてはいなかった。

彼は決して融通がきくタイプの指揮官ではなかったが、

ドリブルは私のプレースタイルだとして受け入れてくれていたんだ。

調子がよければDFを2~3人かわすことができたが、

調子が悪いときはセーフティーなプレーを心掛けたよ。

 

デイヴィッド・ウィナー『オレンジの呪縛』(講談社)

 

なに、イマのサッカーには空間がない?

ドリブルで敵をかわせば、空間を作れることを知らない人間の意見だね。

 

 

 

とにかく、鎖は打ち砕かれた。

岩渕は、大野忍と前線にならぶ。

めづらしい風景ではないが、何かがちがう。

ボールが自然とぶっちーに吸いよせられる。

三人に囲まれたくらいでは、意地でも味方にわたさない。

ウチのボールは、ウチのもの!

ときに気まぐれで簡単にはたき、裏にぬけだす。

味方の上がりをうながし、するどいパスでさらに走らせる。

ダイダロスの迷宮のごとき渋谷駅が、新宿駅に進化した。

東海道線などの長距離列車、京王線・小田急線の私鉄、

さらに地下鉄まで、ひとつの駅から整然とひろがる。

これまで動画共有サイトでしか見れなかつた、

ニュージーランドでの天衣無縫の活躍が、

西が丘の至近距離の舞台で再演された。

夏の夜の夢に、昂揚した。

 

 

 

プロメーテウスはゼウスをだましたので、怒りをかう。

 

ゼウスは、彼のうしろであざ笑っているプロメーテウスを罰するために

人間には火をあたえないことにした。

「人間どもは、肉を生のまま食うがいい!」と、彼はどなった。

(中略)

これまでにもまして腹をたてたゼウスは、

プロメーテウスを裸のままカウカソス山脈の柱に鎖でつないだ。

そこでは、貪欲な禿鷹が一日じゅう、

そして年がら年じゅう彼の肝臓をつつきちらしている。

 

ロバート・グレイヴズ『ギリシア神話』(紀伊國屋書店)

 

プロメーテウスの受難は、ヘーラクレースに救われるまで終らなかつた。

神話のつづきは、二十二日の決勝戦で見せてもらおう。

どんな幕引きが、西が丘で待つているのか知らないが、

生焼けの肉を食わされるのだけは御免だ。





オレンジの呪縛――オランダ代表はなぜ勝てないか?オレンジの呪縛――オランダ代表はなぜ勝てないか?
(2008/07/09)
デイヴィッド・ウィナー

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『ゴッドファーザー』の女たち ― 「ブログ DE ロードショー」告知




さて、人気の企画「ブログ DE ロードショー」第十二回のおしらせです。

鑑賞の期日は、8月20日(金)から22日(日)まで。

都合が悪ければ、後日に御覧になってください。

涼しい部屋でDVDなどを見て、あとで他のかたの記事を読みくらべたり、

自分でもなにかつぶやいたりして、楽しみましょう。

作品名はズバリ!

 

『ゴッドファーザー』

 

出演:マーロン・ブランド アル・パチーノ ジェームズ・カーン

監督:フランシス・フォード・コッポラ

制作:アメリカ 一九七二年

 

……に決りました。

もちろん「パート1」のみです。

今回は不肖わたくしめが、選定をつとめました。

これまで取り上げられた作品については、miriさんのブログを参照してください。

 

 

 

有名な映画だけど、簡潔に内容を説明しようかな。

物語は、ドン・コルレオーネの娘の結婚式からはじまる。

この場面はいつ見ても幸せな気分になり、つい顔がニヤけてしまう。

それには理由があって、コッポラ監督の七つ下の妹である、

タリア・シャイアがうつくしい花嫁を演じているから。

「ボスの妹をみんなで祝福しよう!」という気分が、画面から伝わる。

 

 

結婚生活そのものは、幸福にならないけれど。

なんだ、オレを殺すのか!?

やってみろ、オマエの親父みたいに!

コルレオーネの人間は、みんな人殺しだ!

夫婦ゲンカなど犬も食わないが、

この場合は陰謀の一部でもあり、複雑で苦い味わいがある。

 

 

 

 

 

三男坊マイケルは「一仕事」終えたあと、イタリアはシチリア島に逃れる。

そこで出会ったのが、島の娘アポロニア。

 

 

焼けつく地中海の太陽のもと、電撃がはしる。

マイケルはその日にアポロニアの父に対し、正式に結婚の意思をつたえた。

決断のはやさでは、誰にもまけない男だ。

 

 

晴れて夫婦となった二人。

逃亡先での、甘い生活。

アポロニアの美貌と愛くるしさは、どうにも忘れがたい。

 

 

 

 

 

ちなみに冒頭の結婚式は、マイケルの当時の恋人だった、

ケイ・アダムズも出席していた。

終戦直後のファッションに身をつつみ、煙草をくゆらすダイアン・キートン。

相手役のアル・パチーノはまだ無名だったが、

ふたりの間にはすでに愛情が芽生えていたらしい。

 

 

恋人に何もつげず消えた男が、数年後に突然あらわれる。

ヨリを戻そうとして。

どんな女だって、その身勝手さに怒るだろう。

しかしマイケル・コルレオーネは、誰も強制したりしない。

ただ、断れない申し出をするだけだ。

実生活でも、キートンとパチーノはついたり離れたりを繰り返すが、

その甘さと苦さが、この陰鬱で壮大な叙事詩に滲んでいる。

 

 

 

……とまあ、思わず感情移入して書いてしまいましたが(笑)、

『ゴッドファーザー』が、ドンパチするだけの単純なギャング映画でなく、

女と男をめぐる物語であることを、お分りいただけましたか?

それでは皆さま、「貸出中」になる前にレンタルビデオ屋さんに急ぎましょう!



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『遺し書き 仲代達矢自伝』

 

『人間の條件』(昭和三十四~三十六年/日本/小林正樹監督)

 

遺し書き 仲代達矢自伝

 

著者:仲代達矢

発行:中央公論新社 平成二十二年

[中公文庫]

 

 

 

俳優・仲代達矢がうまれた昭和七年は、「上海事変」で日華の戦端がひらかれ、

「五・一五事件」で犬養毅首相が暗殺されるなどした。

戦争とともに歩みはじめた人生だ。

母・愛子は五反田の薬局の看板娘だつたが、

店の向いの銭湯にかよう父・忠雄に見染められ、駆け落ち同然に所帯をもつ。

終戦の四年まえ、達矢八歳のとき。

結核をわづらつた父の臨終の床に、兄弟がならべられる。

達矢の顔をみた父は、だしぬけに言つた。

「こいつは、悪くなるからね、不良にならないよう気をつけたほうがいい」

人見知りでおとなしい子供だつたのに。

仲代達矢の「顔」はすでに、人をたじろがせる凄みがあつたらしい。

空襲をさけるため、都心の児童の集団疎開がはじまり、

北多摩郡仙川の寺で、家族にあうことなく二年をすごした。

帰宅すると、母が乳呑み児をだいている。

それは彼の弟で、住みこみの仕事で母を雇つていた弁護士が父親であり、

しかもその男には家庭があつた。

生きのびるために手段をえらべない時代とはいえ、

この仕打ちをうけて、グレない少年がいたら大したものだ。

ちなみに磊落な母は長生きするが、息子が死に目に駆けつけたとき、

枕元にはビールの缶がおいてあつた。

 

 

 

小説家やボクサーといつた進路で挫折した仲代は、

日本ではじめての俳優学校という触れこみの、「俳優座養成所」を受験する。

「近代演劇の理論を築いたスタニスラフスキーについて考察せよ」が、

筆記試験の課題であり、白紙を提出するしかなかつた。

だから二十倍の競争率のなかで合格して、当人が一番おどろいた。

ひときわ背がたかく、声も大きく、なにより陰気にギョロつく目が決め手だつた。

 

コンプレックスだらけのひねた少年は、

腹ばかりか、心が満たされることもなかった。

しかし、基本的にドラマは、人間のコンプレックスで物語を構成している。

反吐が出そうな屈辱感も、ぶつけようのないほどの怒りも、

無駄な経験は一つもなかったのだ。

 

結局のところ運命という線路は、ふたりの親が大方の行き先をさだめる。

若者は、それを認められないだけで。

仲代は映画俳優としても大成し、特に黒澤明の作品が有名だが、

『七人の侍』にも出演していたとボクは知らなかつた。

字幕に名前もなく、上半身が一瞬映るだけだそうだが。

巨匠・黒澤との出会いは最悪で、「なかだい」は重箱読みで言いづらいから、

「なかよ」か「なかしろ」に直せと、ムチャな要求をされる。

撮影で黒澤は、五秒間歩くだけのシーンでダメを出しつづけ、

朝から午後三時まで粘つたあげく、ついに激昂し、

「俳優座では何をおしえてるんだ!」と声をあらげた。

役者の卵は茫然自失するほかなかつたが、ふたたび『用心棒』で起用される。

仲代の特異な居ずまいと目つきは、巨匠の脳裏にふかく刻まれていた。

 

 

 

俳優座のスターで、後輩の仲代と結婚した宮崎恭子に触れないわけにゆかない。

夫妻が主宰する「無名塾」は、役所広司や若村麻由美らを輩出した。

なのだけど、舞台劇に無智なボクには荷がおもい題材だ。

仲代達矢は、本を一冊よんだくらいで語れる人物ではない。

夫の目にうつる、膵臓癌とたたかう妻の姿、

メモや遺書からつたわる家族への愛と、衰えることない藝術への情熱。

どれも劇的で、感動的だが、安つぽい感傷をゆるさない空気もある。

ふたりは、劇の世界で四十年生きぬいた戦友だから。

死のひと月まえ、入塾式での宮崎の挨拶がビデオにおさめられた。

 

それが芸術家であることで、役者みたいな屁でもない、

何も世の中に貢献していないような存在でも、

大金持ちの前にいっても、社長さんの前にいっても、

そういう人たちに全く引け目を感じないでいられるの。

それは私たちは、その人たちの外の世界にいて、

私たちの価値観で生きているからなのよ。

自分が価値があると思っている場に、

自分が場を持っているということは素晴らしいこと。

 

仲代は亡き妻の遺志をつぐため、老身にとつて激務のはずだが、

いまも無名塾をひきいて後進の育成に腐心している。





遺し書き―仲代達矢自伝 (中公文庫)遺し書き―仲代達矢自伝 (中公文庫)
(2010/07/23)
仲代 達矢

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十一少女(?)漂流記 ― なでしこリーグカップ ベレーザ-INAC神戸

 

なでしこリーグカップ Bグループ 第5節 日テレ・ベレーザ-INAC神戸レオネッサ

 

結果:4-4 (3-1)

得点

【ベレーザ】6分 大野忍 43分 大野忍 45+1分 オウンゴール 86分 近賀ゆかり

【INAC】11分 小川志保 65分 那須麻衣子 68分 高瀬愛実 89分 川澄奈穂美

会場:平塚競技場

[現地観戦]

 

 

 

試合会場で大抵気前よくタダでくばる紙、それが「マッチデープログラム」だが、

いつもは値段相応の記事なのに、八月八日のそれは興味ぶかかつた。

題して、「もしも夏休みが3日あったらどこに行きたい?」。

意地の悪い質問が、のんびり九連休中のボクにはおもしろい。

「十四年間ほとんど旅行をしてない」(須藤安紀子)とか、

「サッカーを忘れてとことん遊ぶ」(大野忍)などの回答に、せつない胸中が垣間みえる。

さて、高校三年生の岩渕真奈はなんと答えたか?

ゆきたい場所は、「涼しいところ」。

理由は、「暑くて無理(>_<)」。

ひとりだけ顔文字をつかい、やけに短くて意味不明でもあり、

アホな子なのかと心配になるが、数分かけて解読したところ、

これはこれで応答になつているし、夏休み返上でがんばる姿勢が、

ほかの先輩たちより強くつたわる気がした。

試合がはじまるや否や、日本一多忙な女子高生が防御線の裏にぬけだす。

副審が旗をあげていないか、チラリと確認。

敵にシャツをひつぱられながら、そんな余裕をもてるドリブラーはそういない。

ボックス内につめてきた大野にあわせて先制!(^o^)/

 

 

 

第3節のエルフェン狭山とおなじく、INACの布陣も「日本代表・南ア大会モード」で、

中央にしがらみをたてて、ベレーザの攻撃を塞きとめようとした。

緑の女王の中盤はダイヤモンド型。

ダイヤの頂点に大野がたち、前方のぶっちーや永里と呼応する。

星川監督の頃はあまり見ない形だが、

南アモードには有効で、特に先制点は理想的な連係だつた。

だが、その後がいただけない。

暑さのせいか、試合は秩序をうしなつた。

五分後に同点にされたのはゴールキーパー松林の責任だが、

なぜかフィールドプレーヤーの配置をいじり、いつもの「4-4-2」にもどす。

左側面で永里が緩慢なのでぶっちーと交代させるも、

能率はあがらず62分には小林を投入、ぶっちーはふたたび前線へ。

八得点を楽しませるというより、八失点がさらされた九十分だつた。

漂流する十七歳は、この日も安住の地を見いだせないまま。

ただ時計の針が一時から三時にかたむくにつれ、彼女のドリブルは鋭さをます。

「暑くて無理(>_<)」な、あのちいさな体のどこに、

予備の燃料タンクを隠していたのだろう?(*_*)

 

 

 

ボクはまだ、岩渕真奈というサッカー選手をよくしらない。

ドリブルなら、木龍七瀬の方が上だろう。

シュート力をくらべるなら、永里亜紗乃がいる。

パスなら、原菜摘子が。

それらをあわせた総合力でも、大野忍にかなわない。

なのに惹かれる。

四点目のときぶっちーは、ペナルティエリアの手前右隅にたち、

過密状態の長方形の箱に、ボールで対角線をひいた。

ぶあつい雲をひきさく雷光。

ドリブルやパスをねらう岩渕真奈の目には、他人にみえない航路がうつる。

いまはまだ、波にゆれる一艘の小舟にすぎないけれど、

そろそろ秘密の海図が完成するのではないかと、期待するわけです……(-_-)


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『小さな命が呼ぶとき』

 

小さな命が呼ぶとき

Extraordinary Measures

 

出演:ブレンダン・フレイザー ハリソン・フォード ケリー・ラッセル

監督:トム・ヴォーン

制作:アメリカ 二〇一〇年

[TOHOシネマズ シャンテで鑑賞]

 

 

 

ほぼ毎週ブログでとりあげるので、管理人は「映画通」とおもわれがちだが、

別にくわしくないし、趣味もかたよつている。

単に知つたかぶりが得意なだけです。

たとえばホラー映画は大嫌いで、まつたく見ない。

人の生命をもてあそんで、一体なにが楽しいのか?

おなじ理由で、「難病もの」も性にあわない。

 

 

ミスター・アンド・ミセス・クラウリー。

「ポンペ病」は筋力低下をもたらす遺伝子病で、治療法はありません。

発病者の平均寿命は九年、ふたりのお子さんの治癒の見こみは薄いですが、

いまの苦しみから逃れられるのだから、それも恩恵と考えてください。

医師から、神のお告げがつたえられる。

 

 

よよと泣きくづれる母、沈黙する父。

……のはずがアレレ、反応が通例とことなるぞ。

つまり本作は、医療者など意に介さない「難病もの」だ。

 

 

『ハムナプトラ』では、二丁拳銃であばれたブレンダン・フレイザーが、

スマートフォンを思いのまま使いこなす。

ハーバードのMBA取得者が電話をかけた相手は……

 

 

インディ・ジョーンズだつた。

ほら、映画通でなくても見たくなるでせう?

新旧の冒険者が手をくみ、難病にたちむかう。

ハリソン・フォードの役は生化学者。

治療法がなければ自分で作ればよい、という成り行きで、

ふたりは新薬開発のためのバイオベンチャー企業をたちあげる。

 

 

 

 

 

インディ・ジョーンズは、あれでも名門プリンストン大学の考古学者だが、

さすがにハリソン・フォードに白衣は似合わないとおもつていた。

なのに頭のなかは分子式で一杯の、頑固一徹の科学者がそこにいる。

下積み時代は、相当腕のよい大工だつたというフォードは、

たくまずとも「職人」の雰囲気を醸しだせるのかな。

 

 

インディとポンペ病患者が対面する場面。

個人的にお気にいりだ。

「奥さんはいるの?」

「元妻ならふたり」

「へえ、なんでそんなことに?」

 

 

「……いろいろあるんだよ」

女(とヘビ)に滅法よわくて、ついついタジタジとなるあたりが、

『インディ・ジョーンズ4』よりインディらしくて、ニヤニヤさせられた。

クラウリー家の娘役、メレディス・ドローガーもよかつた。

 

 

 

 

 

すばらしい作品なのだけど、ケチをつける人もいる。

作品名をグーグルで検索して最上位にきたブログ、

『LOVE Cinemas 調布』を例に挙げさせてもらう。

ボクなりに、書き手である「KLY」さんの御意見をまとめます。

「難病もの」がすきな私は、ティッシュの用意をして楽しみにしていた映画なのに、

物語は病気の子供ではなく、その父が軸だつたのでガッカリ。

子供もかわいくなくてイマイチだつた。

なので星三つ。

率直にいつて、吐き気をもよおさせる文章だつた。

「KLY」さんは、これまでよほど幸せな人生を送つてこられたのだろう。

 

(映画プログラムから)

 

実在のクラウリー家をおさめた写真。

事実は映画より奇なりというわけで、

役をあたえられた俳優より美男美女の夫婦におどろく。

しかし両脇のこどもは、筋力低下をもたらす疾患の影響で、

見た目は健常者とことなるし、まともに話すこともできない。

映画は、やりすぎなくらい美化しているのだ。

子供が不治の病をわづらうことが、どれほどの悲劇か、

想像力を一ミリでも羽ばたかせるのは不可能なのかな?

所詮は映画だから、オモシロければそれでよい。

そうかもしれない。

だとしたら、ボクは絶対に「映画通」になどなりたくない。


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緒戦 ― Fリーグ 第1節 エスポラーダ北海道-名古屋オーシャンズ

 

Fリーグ 第1節 エスポラーダ北海道-名古屋オーシャンズ

 

結果:2-2 (0-1)

得点

【北海道】22分 嵯峨祐太 40分 水上玄太

【名古屋】17分 ルイス・ネゴン 30分 ラファエル・サカイ

会場:国立代々木競技場第一体育館

[現地観戦]

 

 

 

サッカーのスタジアムではめつたに見られない様な、

オシャレな水色のノースリーブをきたお嬢さんとすれちがう。

自然の摂理にしたがい、ボクの視線は黒のミニスカートの下へ。

彼女の長い生足は、筋肉で覆われていた。

なるほど、あなたもフットサルをやつてるのね。

いまや通俗化したサッカーとは、似て非なる競技「フットサル」が、

日本の若者むけのカルチャーとして広まりつつあるのを実感した。

音楽が、丹下健三設計の吊り天井で反響して、腹につきささる。

まるでコンサート会場だ。

立ち見もでるほど詰めかけた観客の最大のお目当ては、

名古屋オーシャンズにくわわつた二十四歳のポルトガル人、リカルジーニョ。

クリスティアーノ・ロナウドの小技とキック力、メッシの電光石火のスピード、

そして岩渕真奈の貪欲さを兼ねそなえた名手だつた。

 

 

 

戦後を代表する建築を、どよめきが満たす。

試合開始早々から何度も、エスポラーダの嵯峨祐太が、

ゴールキーパーのシャツをきて闖入した。

パワープレー。

強引にフィールドプレーヤーの数を「五対四」にかえる。

はじめてフットサルを見るボクでさえ、

ろくに規則すら知らなくても、それが奇策だとわかつた。

ピッチの片側に敵をおいこみ、ひたすらパスをまわす。

リーグ三連覇中の、自他ともにみとめる「絶対王者」、

名古屋オーシャンズの矜持を傷つけるために。

 

兵士はあまりにも危険な立場におちこんだ時にはそれを恐れず、

行き場がなくなった時には心も固まり、深く入りこんだ時には団結し、

戦わないではおれなくなった時には戦う。

だから、そういう〔苦難におちこんだ〕軍隊は

〔指揮官が〕整えなくともよく戒慎し、求めなくとも力戦し、

拘束せずとも親しみあい、法令を定めなくとも誠実である。

 

『孫子』九地篇第十一(岩波文庫)

翻訳:金谷治

 

『孫子』でいうところの、「重地」を占める計略だ。

目くらましでもペテンでも、とにかくなにか手をうたねば、

試合の主導権など一分も与えてくれはしない。

 

 

 

累積ファールやタイムアウトをふくめた懸け引きもおもしろいが、

そこまで知つたかぶりしたら、フットサルギャルに怒られるので遠慮しよう。

そして、得点をもとめない「パワープレー」に応対するのにつかれ、

名古屋はみすみす勝ち点2をうしなつた。

フットサル観戦はおもしろい。

なにより、そこが屋内であることが最高だ。

屋根のないスタジアムで、猛暑にくるしむ日々がバカらしくなる。

小気味よいゴムの摩擦音。

せまいピッチでの目まぐるしい攻防。

華々しい技巧。

サッカーのオイシイところを搾つたジュース、それがフットサルだ。

 

3年前に発足した頃には、ハデな攻め合いの試合が多かったFリーグも、

昨年あたりから守備的な、勝負にこだわった試合が多くなっている。

また、そういう戦法が11人制のサッカー以上に効果的なのだ。

 

『J SPORTS』

「【後藤健生コラム】Fリーグ開幕戦、名古屋vs.北海道戦の論争」

 

ただおまけに、サッカーの難点を濃縮した苦味も舌にのこつた。

種目がなんであろうと、勝負ごとであれば本質はおなじ。

だからこそ、二千五百年まえの支那の兵書がいまだに読まれるのだし。





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(2000/04)
金谷 治

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テーマ : フットサル
ジャンル : スポーツ

家業をつぐ ― 『ハートキャッチプリキュア!』

 

ハートキャッチプリキュア!

 

出演:水樹奈々 水沢史絵 桑島法子 久川綾

シリーズ構成:山田隆司

アニメーション制作:東映アニメーション

放送局:ABC・テレビ朝日系列

放送期間:平成二十二年二月七日~

 

 

 

ハトプリに夢中の諸兄諸嬢なら、つぼみの髪の分け目が逆なのに気づかれたろう。

お節介なえりかが、親友を着せ替え人形にしたときの鏡像だ。

 

 

なにせ、えりかの家はファッションショップ。

元モデルの母がデザインした服を、

「フェアリードロップ」というブランドで販売している。

自宅が服屋さん。

女子の夢を、あつさり叶えたヒロインだ。

 

 

つぼみが選んだ地味な服には、ダメ出しする。

実はアタシさ、カラーセラピーも勉強してんだよね。

黒と灰色つて、ションボリしてるときの色なんだつて。

 

 

ならさー、こんな服とかどう!?

 

 

緑はね、クヨクヨをなおして、もう一度がんばろうつて気にさせてくれるんだ!

どう、超カワイくない?

お調子者のえりかだけど、ファッションに関しては研究熱心で、

理論的にかたるので、おとなしいつぼみも乗せられてしまう。

 

 

 

 

 

ハートキャッチなアイキャッチ。

「わたしには派手すぎます!」と一度ことわつたキャミソールをきている。

たがいの信頼関係がつたわつて、泣けてくるんだよね。

 

 

 

 

 

ふたりで街を歩いていると、あたらしい店を発見。

なんと人気の「三浦らーめん」の二号店だ!

 

 

「グフフ……これで好きなときに三浦らーめんが食べられる……」

「ちよつとえりか、ヨダレでてます!」

 

 

「フェアリードロップ」に隣接するつぼみの家は、

「HANASAKIフラワーSHOP」という花屋だ。

 

 

「三浦らーめん」開店祝いの花が、両親の苦労の種になつている。

希望ヶ花の商店街は不況と無縁で、たがいに結びつきながら発展する。

 

 

はい、これ使つてみて!

つぼみが差しだしたのは、意外にも菜の花。

 

 

「春が来たつて感じがする」と父。

「ガンバッテつて気持ちがでるわ」と母。

子供が親にあこがれ、その仕事を学びたいとおもい、

暇をみつけては、すこしでも役にたてないかと手伝おうとする。

希望ヶ花は、そんな幸福な町だ。

 

 

 

 

 

しかしつぼみの自信作は、「宇宙一うつくしい男」を自称する砂漠の使徒、

コブラージャに目をつけられる。

「この花、一見派手だが出しやばらず、

建物を上品なたたずまいに仕上げている……」

 

 

花を背景に、コブラージャ撮影会がはじまる。

話がキレイごとになりかけると、ギャグで中和するのがハトプリのよいところ。

 

 

そこで現れるは、伝説の戦士プリキュア。

「あつまれ、ふたつの花の力よ!」

 

 

「プリキュア・フローラルパワーフォルテッシモ!」

一撃で敵の体を貫通する、強力な合体技だ。

 

 

「ハートキャッチ!」

まもりたい家。

うけつぎたい思い。

そだてたい夢。

それがあるから私たちは戦うし、だからこそ負けない!




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『ハートキャッチプリキュア!』(七月十一日の記事)



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秋田豊の残像 ― JFL 後期第5節 町田ゼルビア-ガイナーレ鳥取

 

JFL 後期第5節 FC町田ゼルビア-ガイナーレ鳥取

 

結果:0-1 (0-1)

得点:29分 小井手翔太

会場:町田市立陸上競技場

[現地観戦]

 

 

 

なんという視界のわるさ!

蟻に纏わりつかれながら、芝生席にうづまる。

ゼルビアが、五月に負けた恥をすすぐのを期待した七〇八一人により、

ボクはいつものメインスタンドから追放された。

七十日をさかのぼる、鳥取の水田にかこまれた「バードスタジアム」。

雨水をたたえたフィールドを、ハメドがミズスマシの様にすべる。

町田の前半の二点を、鳥取の後半の三点が洗い流した。

ウェブ上の画質の荒い動画で見ただけだが、

逆転劇の衝撃と屈辱は、いまだ忘れることはできない。

しかしこの日曜の結果は、上記のとおりガイナーレ鳥取が、

首位を独走する実力を、敵地でも異論の余地なく證明した。

たしかに小柄なコートジボワール人は、津田和樹がくいとめた。

完全な精神集中で。

しかし百八十五センチの梅田直哉に、深津康太が置き去りにされる。

それはディフェンダーとして、完全な敗北だつた。

 

 

 

 

 

台湾の氷菓子の「雪花氷(シェーファーピン)」。

アイスクリームとかき氷の間の子の触感がここちよい。

酷陽により沸騰した頭骨のなかを、零度まで急冷できた。

町田ゼルビアの相馬直樹監督は、試合中にアイスをたべた様子はないが、

その判断と決定はつねに冷徹だつたとおもう。

後半開始時に、凡庸きわまる酒井良にかえて、山腰泰博を投じる。

「ヘディングの強い山腰を投入するからといつて、

ハイボールで攻撃を組み立てることはない」とつたえて。

俊足のフォワード勝又慶典が、二列目にさがり敵を引きつけて、

ゼルビアの左側面に空隙がうまれた。

前半沈黙した左バックの斎藤広野が、後半の主人公になる。

つぎは右を活性化するため、70分に星大輔にかえて鈴木崇文を。

三分後には早々に、するどいシュートをはなつ。

細心の微調整をほどこしながら、あらあらしく攻勢をしかける。

打つ手のすべてが理にかない、しかも実際に機能していた。

ただ結果が、ともなわないだけだ。

 

 

 

歴代最高の左バックの幸運は、現役時によき同僚にめぐまれたこと。

鹿島では、「相馬・奥野・秋田・名良橋」の隊形をくむ。

代表にゆけば、より鉄壁な「相馬・井原・秋田・名良橋」になる。

そう、中央にはいつも屈強な秋田豊がいた。

 

現役時代に一緒にプレーした中で、「クロス対応がうまいな」と

思ったのは秋田(豊、現京都コーチ※)さんですね。

制空権の広さは人によって違いますが、

秋田さんは前だけじゃなく、後ろにも強い。

それは読みの部分もあるのですが、ボールの落下地点の予測が早く、

的確なので、広い範囲を守ることができる。

もともと人に強いタイプのDFですが、

クロスに対する反応のよさが非常に印象に残っています。

(※引用者註:七月三十日から監督に就任)

 

『サイドプレーヤーの本質 実戦で生かす「サイド」の戦術』

責任編集:相馬直樹

発行:ベースボール・マガジン社 平成二十年

 

相馬監督の戦術、たとえば高い守備ライン、果敢なサイドバックの攻撃参加は、

秋田の様なディフェンダーの存在を前提にしていないか?

なぜなら相馬にとり、秋田が隣りにいるのが日常だつたから。

侵入者をふきとばし、空中戦を圧倒的に制し、雄叫びをあげる。

守りはまかせておけ!

オマエらは、点をとることに集中しろ!

それでも膠着したままの攻防に業を煮やし、コーナーキックを頭でねじこむ。

ゼルビアのディフェンダーの不運は、鬼神のごとき働きをもとめられること。

カントク、オレらにそれができるなら、三部リーグにいるわけないよ。

真夏の陽炎がゴール前でゆらぎ、すぐにきえた。





サイドプレイヤーの本質―実戦で生かす「サイド」の戦術 (B・B MOOK 551 スポーツシリーズ NO. 425 Socce)サイドプレイヤーの本質―実戦で生かす「サイド」の戦術 (B・B MOOK 551 スポーツシリーズ NO. 425 Socce)
(2008/05)
相馬 直樹

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