補給線 ― JFL 前期第16節 武蔵野FC-町田ゼルビア

 

JFL 前期第16節 横河武蔵野FC-FC町田ゼルビア

 

結果:2-3 (0-0)

得点

【武蔵野】61分 関野達也 81分 高松健太郎

【町田】55分 勝又慶典 78分 木島良輔 90分 勝又慶典

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

町田ゼルビアのトレーナー・三宅一正が、しきりにボトルの残量をたしかめる。

「ドリンクが一試合もつかな?」と心配そうに。

午後一時開始、気温は三十二度!

陽光は西が丘のうつくしい芝で反射し、ボクの目はくらんだ。

梅雨曇りが消えたかわり、二十二人の汗がフィールドをぬらす。

サッカー選手の心身に強いられる消耗は、あまりに激しい。

実際この試合のあと、原因はわからないが、

武蔵野の冨岡大吾が救急車ではこばれた。

それでも彼らは走る。

走らなければ、負けるから。

傍観者にすぎないボクも、コンビニで大量の補給物資を調達している。

得意の「アトランチススタイル」(どらお氏命名)で、日光の直射をふせぐ。

しかしドリンクの選択をまちがえ、500ml缶三本のアルコールを分解しきれず、

脱水症状をおこしてグロッギーになつた。

いつか専属のトレーナーを雇いたいな。

 

 

 

試合開始まえの握手の場面。

太田康介がほとんどの元同僚から、意味ありげな笑顔で肩をたたかれる。

 

―太田・斉藤と去年までのチームメイトもいます。

マッチアップする可能性もありますが、自信のほどは?

 

太田様に関しては、勝てる気がしません。

(村山さんは余裕で勝てる、いつでもかかってこいと言っていました)

 

マッチデープログラム

「The "Voice"」林俊介インタビュー

 

「オータさん、お手やわらかに頼みますよ!」とか言われたのだろう。

それを「本音」という言語に翻訳しよう。

ひとりだけJへの近道を見つけやがつて。

正直、ねたましいぜ。

でもJFLが甘くないのは、アンタが一番知つてるだろ?

門番の職掌は、関所破りを縄にかけること。

前半は両軍とも、体力と水分の消費をおさえようと不活発だつたが、

それでも武蔵野は左翼の永露大輔を軸に、あざやかに槍をふるう。

加熱して体感気温四十度となつた後半は、二度失点するが、

怒れる門番はそのたびに、槍先を急所に突きかえす。

そして互いの血にまみれつつ、町田ゼルビアが扉をわづかに拡げた。

 

 

 

 

 

試合終了の笛と同時に、相馬直樹監督がボトルをかきあつめる。

大慌てで、バックスタンドの前にいる郎等のもとへ走る。

監督から手渡しされて飲むドリンクは、生涯最高の美味だつたのでは?

メインスタンドにすわる酔つぱらいは、つまりボクのことだが、

アルコールと勝利による酩酊で、太田ファンを自称するくせに顔をみていない。

翌日に公式サイトをひらくと、彼は号泣していた

九十分豪雨の様に発汗しても、まだ排出できる水分が残つているとは、

人体の不可思議に驚嘆せざるをえない。


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苑田 謙

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