メラニー・ロランをたたえて ― 『オーケストラ!』

 

 

オーケストラ!

Le Concert

 

出演:アレクセイ・グシュコフ メラニー・ロラン ドミトリー・ナザロフ

監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

制作:フランス 二〇〇九年

[シネスイッチ銀座で鑑賞]

 

 

 

『のだめカンタービレ』の映画はみたが、語るに値せぬ愚作とおもつた。

野田恵という女が理解できない。

なにが「千秋先輩のチュー頂きまシタ!」だよ。

大学生にもなつて、やたらと人にあまえるな。

また、音楽そつちのけで大きな乳飲み子の世話をし、

いらついて暴力をふるう玉木宏も、立派な音楽家にはみえない。

まあ、それはともかく。

本作は、良くも悪くもフランス映画。

無神経な田舎者のから騒ぎをみせられる心配はない。

 

 

 

おゝ、メラニー・ロラン!

パリうまれの二十七歳。

 

 

 

なぜフランス女優は、世界の支配者みたいな物腰でふるまうのか。

わかく、うつくしく、そしてフランス人なら、それは正義だ。

極東の零細ブログなど、けふにも抹消したい。

この美貌を、日本語という劣等言語でほめれば、かえつて不名誉になる。

サーバーがあふれるほど、ひらがなや漢字をつらねても、

彼女の片方の瞳以上に、雄弁になるはずがないから。

 

 

 

ロシアからきたマエストロと食事をする。

ブラウスのボタンを三つほど外しているが、

男の視線をあつめる意図など、微塵も感じられない。

衣装それ自体が、メラニーの身体を隠すことを遠慮し、

みづから胸襟をひらいたのだろう。

ほのかな女の匂いが、香水といりまじりつつ立ちのぼり、

あたりを音楽の様にみたす。

 

 

 

 

 

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調。

あご当てにのせた頭蓋骨の傾きにあわせ、右目から涙がこぼれる。

たえがたいほど憂鬱な、ロシアの歴史のかなしみ。

その涙痕は、天の川よりうつくしい。

ジミ・ヘンドリックスが唖然とするくらい、

弓がはげしく暴れだし、楽音は天頂にむかい駆けあがる。

呼吸を忘れたまま、すべての音符を解き放ち、

満場の拍手のなか、くづれおちそうになるメラニー。

銀座でボクが発した嘆声は、パリまでとどいただろうか?


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苑田 謙

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