そして天使は走りつづける ― なでしこリーグ 第21節 ベレーザ 対 INAC

 

なでしこリーグ 第21節 日テレ・ベレーザ 対 INAC神戸レオネッサ

 

結果:2-0 (1-0 1-0)

得点者:前半7分 岩渕真奈 後半7分 須藤安紀子

会場:駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場

[現地観戦]

 

 

 

平日よりも念入りに髭をそつた。

ボクの天使に見苦しい顔はさらせない。

つむじ風が、駒沢公園の枯葉をまきあげる。

 

 

世田谷の住宅地にかこまれる広場では、

裕福そうな家族が日曜の午後をすごしていた。

十七歳年下の女子サッカー選手に熱をあげ、

孤独な週末をおくるボクは、相対的に人生の敗残者だとおもえる。

ちなみに我が弟は、妻子とともに世田谷区のどこかに住んでいるが、

最近勤め先が倒産したとかで、生活は大変らしい。

どの家族にも、それぞれの内情がある。

見た目では、なにもわからない時代だ。

 

 

二万人を収容できるうつくしい競技場。

ただし、一番上の写真にうつる病院のせいで照明をおけず、

立地も設備もカンペキなのに、Jリーグの規格をみたさない。

まさに宝の持ち腐れ。

閑古鳥がなくバックスタンドに、この国のサッカーの実体がみえる。

 

 

 

前半7分、大野忍とのワンツーからぬけだした岩渕真奈が、

ゴールネットをやさしく揺らす。

身も焦がれるほど待ち望んだ瞬間だが、

実際に目の当りにすると、さほどの感動はない。

だれからも当然とおもわれている。

公平にみれば、十六歳が日本代表選手をおしのけて、

この試合に出ていることが驚嘆に値するけれど。

「天才」の称号とは、斯様に重いのだ。

ぶっちーの一蹴りで、勝ち点3で追うINACを返り討ちにし、

ベレーザは今季の準優勝をきめた。

でも実は得点よりうれしいのは、

彼女の右腿のサポーターがとれていたことだつたりする。

 

 

 

つまらない試合だつたので、追加時間中に席をたつ。

まあ岩渕真奈が、後半22分に木龍七瀬と交代したからでもある。

一方、INACはシーズンを四位でおえた。

右サイドバックの主将・藤村智美は、なぜ勝たねばならない試合で、

ずつとぶっちーに貼りついていたのだろう。

よくわからない。

「天から来たマナ」と徒競争をしたくなかつたのか、

それとも、『サッカーマガジン』の表紙をかざつたのを妬んだのか。

トイレから出たあとの細い階段で、

ケガで欠場していた澤穂希とすれちがう。

不機嫌そうだつた。

後輩のはたらきに不満があるのか、

それとも、くるしくなるほど排泄をこらえていたのか。

いづれにせよ、今度は全日本選手権にむけて、

岩渕真奈とその仲間たちの挑戦はつづく。


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