電撃ドキュメンタリー ― 『ラブ・アクチュアリー』

 

ラブ・アクチュアリー

Love Actually

 

出演:ヒュー・グラント アラン・リックマン エマ・トンプソン

監督:リチャード・カーティス

制作:イギリス・アメリカ 二〇〇三年

[DVDで鑑賞]

 

 

 

さて英文法の授業です。

「Love Actually」を字面だけ見れば、「動詞+副詞」のくみあわせ。

実際に、愛しあおう。

響きにふくみのある題名だとおもう。

 

 

冒頭の字幕は、この様に補足する。

赤で強調されたbe動詞に注目しよう。

この映画における「愛」は、抽象的な「モノ=名詞」ではなく、

「いまそこにあるなにか」として、銀幕で脈うつ。

だから製作者たちは、ヒースロー空港で一週間カメラをまわしつづけ、

魅力的な顔をみせたシロウトに、作中につかう許可をもとめた。

本作は、どこか記録映画に似た手ざわりがある。

 

 

 

 

 

ドキュメンタリーだから、『ラブ・アクチュアリー』は社会をえがこうとする。

ヒュー・グラント扮する英国首相が、先頭をきつて恋におち、

官邸の配膳係にふりまわされたり。

また恋愛映画でもあるから、おしなべて女の方がつよい権限をもつ。

 

 

文字どおりの女性上位。

このふたりは売れない役者で、『ラストタンゴ・イン・パリ』みたいな、

俗つぽい官能大作映画の撮影現場で、ラブシーンの替え玉をつとめている。

しらじらしくセックスのふりをする仕事中に、おかしな順序で愛がめばえた。

 

 

こちらは口でのお仕事。

スッポッポンポンなのに、純情をにじませるジョアンナ・ペイジがいとおしい。

すぐれた戦争映画は、えてして若手男優の見本市になる。

『プライベート・ライアン』に、エドワード・バーンズやヴィン・ディーゼルが出ていた様に。

おなじく恋愛群像劇は、若手女優に機縁をあたえるだろう。

 

 

当時、飛ぶ鳥をおとす勢いだつたキーラ・ナイトレイの、

瞬間最高風速をフィルムに記録することに成功。

かるくムカつくほど、自信にみちた笑顔だ。

 

 

お次はドイツ出身のハイケ・マカチュ。

さあ、電撃戦のはじまりです。

 

 

ボスの部屋から出るとき、華麗にピルエットをきめて、意味ありげな微笑をおくる。

上半身の輪郭が、影絵の様にうかびあがる。

黒のタートルネックを勤務中に着るのはやめませう。

どうしても着たいなら、胸元をチラチラみられても文句はいわないこと!

 

 

上司と話しながら、死角を利用して大股びらき。

ワタシはいつでも準備オッケーよ、と業務連絡。

 

 

パーティ会場にて。

そのものズバリな悪魔の仮装。

相手のオクサマも来てるのに、ダンスにさそう。

 

 

宴がひけてから。

上司は女房を連れてかえつたが、手ごたえはアリ。

勝ち誇るかのごとく、真紅のドレスをぬぎすてる。

ヨッシャ、落とした!

 

 

 

 

 

あつさり白旗をあげたダメ上司のアラン・リックマンが、妻と出かけたデパートで、

ひとりになつた隙に、小悪魔へのクリスマスプレゼントを物色する。

「お客さま、なにかお探しで?」と声をかけたのは、危険な男ミスター・ビーン。

 

 

ペンダントを買つたはよいが、いつ細君がもどるかわからない。

しかし焦るリックマンに頓着せず、店員は悠々と包装に凝る。

脚本をかいたカーティス監督は、日本の店で体験したイライラをこの場面にいかした。

わが国の悪しき風習が、世界に知られることに。

 

 

袋に花をいれたりして。

静止画をみるだけで笑えるのはボクだけでせうか。

 

 

何度いつても急がないので、半泣きになる浮気中年。

 

 

挙げ句の果てに、シナモンスティックで香りまでつける。

人を人とも思わぬ、この余裕。

 

 

あきらめの表情。

ローワン・アトキンソンの相手をする人間が、いつも見せる顔ではあるが、

ただリックマンは本当につかれていたらしい。

このサスペンスフルな場面は、「セルフリッジ」という百貨店で、

閉店後の午後九時から朝の五時まで、やすまず撮影された。

作品では三分半しかないのに。

たわいない茶番劇のために、ふたりの名優から本気の芝居をひきだし、

その激突の瞬間が記録としてのこされたことを、尊くおもう。

 

 

 

 

 

今回の記事は、いまブログ界でしづかなブームをおこしている、

「ブログ DE ロードショー」の第三回に便乗したものです。

そこで気になるのは次回の作品ですが、

なんと選考は不肖ワタクシめが任されることになりました!

いまのところ作品名を挙げることはかたく禁じられておりますが、

十一月六日には当ブログで告知いたします。

乞うご期待!





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