三菱鉛筆の挑戦

 

 

 

仕事で愛用している、三菱鉛筆の「VERY楽ノック」。

価格は百五円と、最低価格帯のボールペンだけど、

使い心地に不満をおぼえたことはない。

ペン先は、フィギュアスケートの様に紙のうえでスピンをきめ、

手持ち無沙汰になれば、カチカチとノックするだけで、

その小気味よいリズムに心はおどる。

ただ、右手に感じる重みがうすれてきたので、

インクの残量をたしかめたら、唖然とした。

一ミリしかない。

書き味は購入時のままなのに。

このまま、最後の一滴まで絞りだせそう。

医療機器や兵器にもとめられる水準の信頼性だ。

しかし繰りかえしますが、これは本体価格百円の文房具です。

 

 

 

とりあえず触れておくべきなのは、「三菱鉛筆株式会社」は、

銀行、総合商社、自動車会社などを擁する「三菱グループ」とは、

資本や人材に関して、縁もゆかりもないということ。

あの三つのダイヤモンドを商標登録したのは明治三十五年。

旧財閥よりはやい。

むこうは重工業、こちらは軽工業。

競争相手ではないので、なかよく看板をわけあう。

ところが終戦後、そんなオトナの関係を理解できない、

大馬鹿者どもがアメリカからやつてきた。

GHQという三文字で呼称される連中は、

「財閥解体」のお題目をとなえて、

三菱鉛筆にまで商標をすてろと要求する。

当時の日本人は、占領者にシッポをふつたとはいわないが、

借りてきたネコの様におとなしく屈従したものだが、

三菱鉛筆は強大な権力に堂々反論し、社名をまもつた。

以上は、『ウィキペディア』からの受け売りです。

 

 

 

三菱鉛筆の現在をしるには、数原英一郎社長と、

経済ジャーナリスト・財部誠一の対談がおもしろい。

ことしの三月におこなわれたもの。

筆記具づくりが、いかにむつかしい分野なのかわかる。

 

作家の先生は、いつも同じものを使っていないと調子が出ないので、

商品の品質がわずかにでも変わると、すぐに気が付くというんです。

宇野千代先生はウチの9B、渡辺淳一先生は3B、城山三郎先生は4Bと、

だいたい決まったものをお使いになっているそうです。

そういう話を聞くにつけ、たとえ些細な部分であっても油断はできないし、

手を抜くことができないと思いますね。

 

『経営者の輪』(Season2:2008~)

 

芯のすべりをよくするマッコウクジラの油はとれなくなり、

ゆきすぎた伐採のおかげて、良質の木材も手にはいらない。

それでも顧客は、「uniは書きやすくてあたりまえ」と期待する。

だから経営者は、全資源を「書くこと」に傾注し、

わづかな部品で構成される鉛筆やペンの開発でも、

貪欲に技術革新の可能性をさぐる。

意外なのは、化粧品事業が売り上げの八パーセントをしめていること。

筆記具の技術を応用し、アイライナーなどをつくる。

化粧品は、顔のうえに「書く」ための筆記具でもあるから。


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苑田 謙

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