ヨゴレ役 ― 『サンシャイン・クリーニング』

 

サンシャイン・クリーニング

Sunshine Cleaning

 

出演:エイミー・アダムズ エミリー・ブラント アラン・アーキン

監督:クリスティン・ジェフズ

制作:アメリカ 二〇〇九年

[TOHOシネマズシャンテで鑑賞]

 

 

 

ホラー映画の一幕ではございません。

主人公がお掃除中です。

ちなみに洗面台には、散弾銃でふきとんだ指がころがる。

ハウスクリーニングの薄給では、息子を私立校にやれないので、

彼女たちがはじめた新事業が、「事件現場の清掃」。

絶妙なヨゴレ具合。

キレイキレイなだけの映画では、嘘くさくて、つまらない。

 

 

 

 

エイミー・アダムズは、独身ながら子持ちの清掃婦で、不倫中。

高校時代は、町で評判のチアリーダーだつたのに、

やることなすこと裏目にでる、負け犬人生が身につまされる。

それでもエイミー姫、ヨゴレ役にそまらない清潔感が素敵。

血まみれのお掃除を「成長産業」と売りこみ、

一旗あげんと立ち回るド根性が、こころの琴線をならす。

無垢な乙女のようで、生活につかれた気配もあり。

いつみても不思議なひと。

 

 

妹役のエミリー・ブラント。

全身に刺青をいれた不良娘で、

職もなくフラフラするところを、姉の仕事にさそわれる。

先日財布をなくし、おほくの読者にあきれられたボクですら、

呆気にとられるほどの、おそるべき粗忽者。

マジメな姉とは、反りがあわず喧嘩ばかりだが、

時折みせる寂しがり屋の横顔がせつない。

 

 

 

妹エミリーの粗相は、しまいに笑えない水準に達し、

ハッピーという形容詞をつかえない結末をむかえる。

それでもやけに後味がよいのは、

主演ふたりの掛け合い漫才が、楽しすぎるから。

ディズニープリンセスに、ロンドンうまれの才媛。

こんな器量よしの姉妹に、田舎町で滅多に出会えるはずもなく、

もし住んでいても、落ちこぼれではないだろう。

まあ、作りごとですからね。

ヨゴレてミジメなだけでも、映画は成り立たない。

汚しては、また磨き。

輝いたり、曇つたり。

つねにうつろう、こころの鏡。


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苑田 謙

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