光明 ― J2 第21節 東京V 対 水戸

 

J2 第21節 東京ヴェルディ 対 水戸ホーリーホック

 

結果:0-0

会場:国立競技場

[現地観戦]

 

 

 

曇天のもと、芝のうえに四本の縦縞がはしる。

緑と白の、ゆるみなき直線。

「4-4-2」と称される陣形だ。

サッカーは所詮、二十二人が球をけりあうだけのアソビだが、

スタンドからみえる風景は、日々あらたまる。

去年このブログをはじめたころ、役割分担が明瞭すぎて退屈な、

「3-5-2」の布陣が淘汰されるとよい、と書いた。

攻めるひと、守るひと、外側を走るひと。

そんな汗くさい任務から選手を解放し、

空間に即興でかいた絵を共有する、うつくしいサッカーがみたい。

ヴェルディの高木琢也監督は四十一歳。

水戸の木山隆之監督は三十七歳。

指導者の世代交代が、日本サッカーの近代化をはやめた。

ひとつ苦言を呈するなら、日本の選手は、

フィールドに立派な陣形をえがいただけで満足し、

「そこにいること」が自分の「役割」だ、と勘ちがいしがちなこと。

これでは、なにもかわらない。

 

 

 

あの無骨な「アジアの大砲」が、スーツにきがえた途端、

緻密な戦術家になつたことを、意外視するむきがある。

ストライカーの精神は、まだ誤解されているのか。

足の爪のさきの一センチ、またたきを惜しむ〇・一秒に、

おのれの一生を賭けるという哲学。

イヴィツァ・オシム流にいえば、「殺し屋の本能」か。

仕事人は、入念すぎるほど布石をうつ。

日曜の試合では、左に滝澤邦彦、右に永里源気が散開し、

可及的すみやかにクロスを供給。

茨城で一番うつくしいチームを、掻きみだした。

滝澤はおととし、横浜FCで高木の指揮下にあつた選手。

今季ヴェルディが獲得したのは、監督の引きだろう。

ちなみに滝澤は、全試合に先発出場しているから、

高木琢也の構想の堅実さがわかる。

 

 

 

さて、おカネの話で興をそいでしまいますが。

水戸ホーリーホックの強化費は八千万円。

二部においても規模がちいさい。

ちなみに高原直泰の年俸が一億六千万円だから、

浦和がはらう無駄金で、水戸が二チームつくれる。

今季序盤は好調だつたが、第12節に新進気鋭の点取り屋、

二十三歳の荒田智之が全治三か月の骨折をおう。

壊滅的な損耗。

7勝2分3敗という躍進がとまり、離脱後は1勝3分4敗。

陣形だの戦術だの精神だの、

キレイゴトではどうにもならないのが、中小企業のかなしさ。

それでもきのうは、均衡をたもちつつ果敢に攻撃をしかけ、

堂々と勝ち点1を確保した。

映像を逆再生するように、ちらばつた破片が秩序をとりもどす、

貴重な瞬間を目にしたのかもしれない。

やはりスタジアムはよい。

ワールドカップの四強がどうとか、戯言につきあわないで済む。

密雲のむこうに、かすかな光がきざした。


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