相対性アクション ― 『チョコレート・ファイター』

 

チョコレート・ファイター

ช็อคโกแลต

 

出演:ジージャー・ヤーニン アマラー・シリポン タポン・ポップワンディー

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ

制作:タイ 二〇〇八年

[新宿ピカデリーで鑑賞]

 

 

 

地下鉄の駅のエスカレーターで『キネ旬』を読んでいたら、

おもわずプッとふきだした。

 

脚本が弱いというのが、タイ映画のいちばんの弱点ですね。

タイ映画がいきおいを盛りかえして、

いまでは年間50本くらいの映画が製作されるようになりましたが、

プロの脚本家といえるのは5人しかいないんですよ。

 

『キネマ旬報』2009年6月上旬号

プラッチャヤー・ピンゲーオ監督インタビュー

取材・文:宇田川幸洋

 

すくなすぎないか。

そんなこんなで、池脇千鶴似のジージャーは、

病的に無口な娘の役をあたえられる。

気のきいたセリフをかんがえる手間がはぶけるし、

映画初出演(なのかな?)のジージャーも、アクションに集中できる。

肉体という言語が、華麗に国境をこえた。

ジージャーはかなり本格的にテコンドーをしていたそうだが、

軽業めいたキック主体の殺陣が、細身に似つかわしい。

テーブルの下、棚の空隙、ビルの壁の足場。

大男なら片足しかはいらない隙間が、かの女の戦場だ。

地の利をいかし、セットに存在するすべてを武器にかえ、

アインシュタインのように三次元空間をつきぬける。

 

 

 

究極の格闘アクションといつてよい本作だが、

あまりに無鉄砲で、観客としては心配になる。

たとえば、ジージャーに蹴りとばされた敵が足場から落ちるとき、

あきらかにヤバい角度で、カドに頭をぶつけたり。

CGでは絶対につくれない、直接的な痛み。

 

―タイのアクション映画は、そこがすごいと思うんだけど、

上から落ちる人が、看板に背骨をぶつけたり、

わざわざいちばん痛そうな落ちかたをしますが、

大丈夫なんですか?

 

2、3日から1週間、寝こむ人はいます、病院で。

それはスタントマンにとっては普通で、

ケガのうちにははいらないんですよね。

 

同記事より引用

 

いえいえ、立派な入院です。

タイつて、どこか不可解な国。

オカマ(カトゥーイ)が多いことはつとに有名ですが、

この国の映画のお約束なのか、本作にも団体様で出演しております。

 

タイ語で「こんにちは」は、男性の場合は「サワッディー・クラップ」

女性の場合は「サワッディー・カー」と言います。

男性と女性で違うわけです。

じゃあオカマさんはどうなんだ、と言うと・・・

「サワッディー・ハー」になるらしいのです。

オカマ語とでも言うのでしょうか?

でもコレを言ってしまうと、

自分がカトゥーイだと公表しているようなものです。

 

マナオ『Bon Voyage』

 

オカマ専用の文法!

人権意識高すぎ、というかユルすぎ。

カトゥーイが一般社会に受け入れられているのは、

タイ人が他者の権利に対し寛容なのが一因だが、

すすんだ医療技術にささえられている面もある。

 

タイの病院では、最先端の医療機器が

日本や欧米諸国と時差なしで導入され、

日本では治験に長い時間をかける治療法が積極的に採用される。

この場合のタイの病院とは、

一部の国立を除く私立に限定されるものの、

日本よりむしろ「進んでいる」のが実情だ。

 

『newsclip.be』

菊地ゆかり「最新機器・新治療法、国際レベルのタイ医療」

 

お医者が優秀だから、安心してカトゥーイになれる。

命がけのスタントもへいちやら、というわけ。

 

 

 

オレもジイサンになつたら、タイに住もうかなと思つてたら、

一足さきに、インドシナ半島にでかけた男がいた。

日本のヤクザを演ずる、このひとです。

 

 

阿部チャン、東南アジアになじむな~。

今回の記事は引用がおほすぎて、おそらく皆さま、

上の段落で読むのをやめたと思いますが、実はもうひとつあります。

だつておもしろいんだもの。

 

日本にいる友人に相談したら、

なんで日本の俳優をつかわないのと言われて、

ダメもとで自分のイメージにぴったりの阿部寛さんにオファーしたら、

すぐにOKがかえってきて。

OKだったことが、かえってショックでした(笑)。

 

上掲の監督インタビューから引用

 

阿部チャン、フットワークかるいな~。

彼ほど顔が濃くなくても、「マイペンライ(気にしない)」の精神でゆきませう。


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