追憶のイチゴシェイク ― 『ピカソとクレーの生きた時代』

20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代

ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵

 

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム

 

 

 

「ピカソの絵とかつて、なにがおもしろいのか全然わからない」と、

真剣な表情で、友人からいわれたことがある。

まるで、理解できない自分の感性をはじるかのように。

それは、おかしいよね。

オレは美術にくわしくないけれど、そのときは、

ピカソの作品の意義と、友人の見識を、同時に擁護したはず。

どんな風に弁論を展開したんだつけな?

ピカソは、音楽でいうならビートルズみたいなもの。

あまりに偉大で、後世に影響をあたえすぎて、模倣されすぎて、

いまでは、その作品から意外性を感じられない。

ピカソ自体が、ピカソのパロディにみえてしまう。

ただ、美術には物体としての魅力がある。

外形や色彩は、簡単に模倣できるけれど、

物体としての実在感は、その作品に固有のものだ。

だからこそ、ひとは美術館に足をはこぶのさ。

なんてペラペラと、優等生的な口頭弁論はできませんがね。

 

 

 

本展覧会は、六点のピカソを展示する。

少々権威主義的な言いかたではあるが、

ジョルジュ・ブラックがピカソとならぶと、気の毒になる。

「キュビズムで革命をおこしました」という美術史の教科書の記述を、

一歩もはみだしていない、と感じるから。

かたや、ピカソの『瓶とグラスのある静物』(一九一三年)。

 

 

左側の新聞紙は「ル・モンド」。

定冠詞の"LE"だけみせる、周到な意匠。

にじみ具合までもが、コラージュ手法の効果をきわだたす。

ほかには『ギター』(一九一三年)も、印象ぶかい。

ウェブ上で画像をさがしたが、みつからなかつた。

そもそも、どんな絵姿だつたかおぼえていない。

ただ、苺のミルクセーキのように泡だつ、

ピンクの絵の具の塗りのはげしさが、脳裏にやきついている。

 

 

 

ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館は、

パウル・クレーのコレクションで有名だそうで、

たつぷり二十七点のクレー三昧に、大満足。

その精緻な作風は、寄せ木細工を連想させる。

日本の伝統工藝に通ずる味わい。

 

『再構成』(一九二六年 油彩、板に貼つた布)

 

ぼんやりした色調のなか、柱や階段といつた、

建築物の部材が配置される。

一見散漫な構成だが、不思議と一体感があり、

かれなりの「建築作品」のようにおもえる。

モダニズム建築の発信地である、

バウハウスの教授時代だつたことも、影響しているだろうか。

藝術とは物づくりであるわけで、すぐれた作品にはつねに、

「なんとかイズム」におさまらない、職人藝の側面がある。


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