彼女の存在理由 ― 『パッセンジャーズ』

 

 

パッセンジャーズ

Passengers

 

出演:アン・ハサウェイ パトリック・ウィルソン デヴィッド・モース

監督:ロドリゴ・ガルシア

制作:アメリカ 二〇〇八年

[新宿武蔵野館で鑑賞]

 

※注意! この記事は、ものがたりの核心にふれています。

 

 

 

残念ながら女優業をいとなむ知人がいないから、憶測でいうが、

このしごとをしていれば、一度はサスペンス映画にでたいものだろう。

何者かにねらわれ、おびえるさまを綺麗にとってもらえるし、

なんといっても、九十分のあいだ画面をひとりじめできる。

そして、われらがハリウッド・プリンセスがえらんだ脚本は、

飛行機事故の生還者を担当する、心理療法士の役。

あの手もとがくるった福笑いみたいな、巨大な垂れ目。

五体すべてが縦にながく、アスペクト比をまちがえてないか不安になる。

手足ながくてスタイルいいね、という次元ではない。

要するに、「ドクター」にはみえない。

まったくアンハサちゃんに、女優以外の適職があるのかどうか。

ほかには精々、お姫さまとかかな。

しかし本作ではインテリぶって、全身黒でかためたりして。

ちょっと大胆な気分のときは、灰色。

それでも細身のコートをぬぐときに、優雅さと色気がただよう。

かくしようのないエロス。

冒頭で、ベッドのうえにシーツ一枚で、背をむけるカットがある。

灰色のシーツごしからでも、

古代ギリシャの彫刻のような肢体がフィルムにやきつく。

 

 

 

「やっぱりサスペンス最高!」と内心でさけびながら、

アンハサちゃんの美貌を鑑賞するうち、ものがたりは佳境をむかえる。

オレは映画の展開をよむ能力が皆無で、今回も簡単にだまされた。

女優しかみていないと、伏線が目にはいらないのかもしれない。

たとえば、冬の海にとびこんで平気なところとか。

ただのバカップルだとおもってた。

それにしても、幽霊オチかよ。

オレが必死に目でおっていたのは、人間じゃなかったのか。

でも、霊魂の世界にはまったく不案内だけど、

オレの知るかぎり、あんなに存在感のある幽霊はいない。

どこからどうみても、アン・ジャクリーン・ハサウェイ。

幽霊なら、幽霊らしくふるまうべきだ。

目だちすぎなんだよ。

そもそも、なんでわざわざ映画に変なものをだすのか。

幽霊がみたいなら、お化け屋敷にゆく。

どうしても必要なら、せめて前宣伝で、

「本作はオバケがでます」とはっきり告知してほしい。

 

 

 

まあ、冗談はともかく。

ヤフーの「ユーザーレビュー」などをよむと、

みな「すぐに結末がわかった」とかいていて、ガックリ。

オレの頭って…。

あえていいわけするなら、「幽霊オチ」の元祖である、

『シックス・センス』(一九九九年)をみていないのが原因だろう。

みたひとは、「ああ、『シックス・センス』ね」とおもったとか。

ではなぜオレが、未見の映画のものがたりを知っているかといえば、

いま「シックス・センス ネタバレ」で検索したから。

「衝撃のラスト」とか、関心ないんだよね!

そんなもの、ウェブから三十秒で手にはいるけれど、

アンハサちゃんの気品あふれるたたずまいは、

劇場に足をはこばなければ、本当にはわからない。

それは街中で幽霊をみるより、貴重な体験ではないだろうか。


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開戦 ― 第一節 ジェフ千葉 対 ガンバ大阪

 

J1 第一節 ジェフユナイテッド千葉 対 ガンバ大阪

 

結果:0-3 (0-1 0-2)

得点者:前半39分 レアンドロ

後半1分 明神智和 後半22分 宰溱(チョ・ジェジン)

会場:フクダ電子アリーナ

[現地観戦]

 

 

 

天の配剤なのかどうか、はじめての三月らしい陽気。

フクアリからながめる空は、いつだってうつくしい。

昨年のアジア王者をむかえての開幕戦だ。

大阪は先週、鹿島に三点差でやぶれるなど、あきらかに調整不足。

つけいる隙はある。

むしろけふこそが、かれらから勝ち点三をうばう最大の好機だ。

懸念すべきは、右サイドバックの加地亮がもどったこと。

加地はしぼりぎみにかまえ、左に山口智。

中央のふかい位置に、新加入のパク・ドンヒョクが壁をつくる。

変則的な3バックの網をはりつつ、機をみて加地は攻めあがる。

実につかみづらい。

右に精力的な加地亮、左に果敢なドリブルの安田理大。

このふたりのシーソーあそびが、ガンバ大阪の柔軟な戦術の源泉だ。

そして、百八十七センチのパクは、巻誠一郎に制空権をあたえない。

防衛線のまんなかに立ちふさがる韓国人をみていると、

西野監督がいたころの柏レイソルに君臨した、ホン・ミョンボをおもいだす。

すくなくとも守備においては、西野朗ごのみの布陣をえがき、

このチームはさらに進化したようだ。

 

 

 

イライラが募りはじめた前半二十五分、加地が負傷。

チョ・ジェジンと交代。

加地にはわるいけれど、オレはひそかにほくそえんだ。

むこうの守備がくずれるんじゃないか、と。

とはいえ、チョは清水での四年間で四十五得点した選手。

全軍の戦力はおちていない。

ルーカスが二列目に、橋本英郎が右サイドバックに。

すぐさま代表選手が穴をうめてしまう。

それにしても橋本英郎、なんでコイツはこんなに器用なんだ。

突然の配置変更にまごつくどころか、本職以上に役目をはたす。

そもそも、サイドバックの下平匠を投入する選択肢もあったが、

おしみなく前半から切り札がきられた。

そんな西野監督の前傾姿勢が、結局三得点をみのらせる。

一方わがジェフユナイテッドについては、特筆すべきことはない。

例の「フクアリの奇跡」であじわった美酒をわすれられない観客で、

スタジアムは満員だったが、いい酔いざましになったかもしれない。

奇跡は二度おこらないから、奇跡なのだ。

そしてまた、きびしい季節がはじまる。

 

 

 

今季から導入された「アジア枠」を利用するため、

ガンバ大阪はふたりの韓国人を獲得。

けふも四人の外国籍選手が同時に出場した。

一方の千葉は、オーストラリア人のボスナーがAFC加盟国選手なのに、

残るひとつの枠はあいたまま。

千葉が、ここ数年で最高の補強をしたのは事実だが、自殺的な経営で、

クラブを崩壊させかけた淀川隆博時代とくらべてマシってだけ。

のんびり屋なのは、ことしもかわらない。

もちろん大阪は、バレーをUAEのクラブにうった金のおかげで、

強化費が潤沢だという事情もある。

世界経済の地殻変動にも対応しないと、クラブはいきのこれない。

攻撃的なサッカーでアジアを制し、

マンチェスター・ユナイテッドと撃ちあいをした連中は、やはり一味ちがう。

来季からは国内移籍にともなう移籍金がなくなるし、

Jリーグの風景は、これからの二、三年でおほきくかわるだろう。

サッカーの未来にかかる不穏な影。

この競技をしるものは、だれもが初戦の重要性をとく。

そこには、すべてがあるからだ。


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