秋の空におもう ― 第二十九節・千葉-新潟

廃工場

J1 第二十九節 千葉-新潟

結果:0-0
会場:フクダ電子アリーナ
[現地で観戦]


廃工場を背景にそびえるフクアリのモダンなたたずまいは、
どこかまがい物じみた印象をあたえつつも、
いかにも千葉らしくてオレの目になじむ。
ただ、スタジアムにむかう群れの顔つきが妙ににこやかで、
そのゆるんだ空気に不安をかきたてられる。
たしかに、スコットランド人にひきいられたチームは、
前節の浦和戦では、これ以上もとめたら酷なほどの奮闘だったが、
それはあくまで二週間まえにみた夢の記憶。
まだ二部降格という悪夢はおわっていない。
シャツ一枚ですごせる絶好の天候で、
観客席からのぞく楕円形の秋空がうつくしい。
すこしかすんだ青に、まだらに雲がかかる。
天にむかっていのりたい気もちにもなるが、
そこにいるヤツが一番あてにならないのはわかっているので、やせ我慢。
薄手の上着はトートバッグにいれたまま、主審がならす笛がきこえた。


赤い悪魔を屈伏させた右の深井、左の谷澤は、前節に少々目だちすぎた。
新潟の両サイドバックにきびしく監視され、まえをむくことができない。
前半三分に負傷退場した松尾直人のかわりにはいった、
中野洋司もまったくあわてることなく、
波にのっているはずの深井からドリブル突破の機会をうばう。
チームのねらいが明確だ。
後手にまわった千葉は、両側の空間を逆に利用される。
サイドチェンジのパスがフィールドにあざやかな虹をえがき、
千葉の守備陣はキリキリ舞い。
一年でクラブをすてた「坂本隊長」にははげしいブーイング。
攻撃参加などは論外で、橙色の対面者にかるがるとクロスをあげられる。
まさか罵声におじけづく臆病者ではないだろうが、
影響が皆無とはいえないかもしれない。
勝負の趨勢を左右する縦糸と横糸のからみぐあいは複雑だ。
上位チームを圧倒したつぎの試合に、
伴走者から息をつく間もないほどたたきのめされることもある。


きょうはちょっとした不手際でアウェイ席で観戦したので、
後半は、岡本昌弘が十字掃射をあびるのをまぢかでみるはめに。
オレは正気をたもつだけで精一杯で、試合の内容はあまり記憶にない。
勝ち点一をとれてよかった、という感想しかでてこない。
戦術に関してあえてかたるなら、
工藤、坂本、青木といった面々が攻撃に顔をださないと、
得点機はうまれないとおもう。
でもいまの千葉が、それほどの不確実性をひきうけてまで、
貪欲に勝利をもぎろうと無理をする必要があるのかは疑問だ。
オレとしては攻撃的にいってほしいが、
選手の足がついてこなければ仇となるかもしれない。
前節でようやくわがクラブの今季の戦いかたは完成したが、
それはかれらが、あらたな階層に足をふみいれたことを意味する。
もう格下として見くだされることはないが、
こちらを警戒する相手のための作戦を用意しなくてはならない。
以前よりずっと風とおしがよい、あたらしい部屋での生活に、
ジェフ千葉の選手はとまどいをかくせなかった。
六時をまわり、日もおちた蘇我駅へのかえり道、
バッグから上着をひっぱりだしたオレは、
週ごとに別の難題をつきつけるサッカーの女神に、
ブツブツと呪いのことばをはいた。
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テーマ : ジェフユナイテッド市原・千葉
ジャンル : スポーツ

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苑田 謙

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