おどれカズダンス ― 五輪代表敗退におもう

U20

北京オリンピック 男子サッカー 一次リーグB組第一試合 ナイジェリア-日本
結果:2-1(0-0 2-1)
得点者:オビンナ(後半13分)、アニチェベ(後半29分)/豊田陽平(後半34分)
[テレビ観戦]

>反町監督の意図はわかっているつもりだ。
>谷口の運動量に賭けて、影のストライカーとしての得点を期待したのだ。
>そして、中盤の枚数をひとつふやして「数的優位」をたもつこともできる。
>しかし谷口は、中央で攻撃を指揮することはできない。

組織力より天津飯 ― 「反町ジャパン」を傍観する

金曜日にこう書いてしまったわけだが、すまないね谷口君!
後半34分にその谷口のパスから豊田のしぶいゴールがうまれた。
まあ相手のゴールキックのミスをついただけなのだが。
川崎の守備的ミッドフィールダーはきょうもシュートをはずしすぎた。
上のリンクさきをよめばわかるけれど、おれは決してかれを責めてはいない。
自陣ふかくを守備のためにはしりまわり、
攻撃にうつってはだれよりもおおくのシュートをはなった。
当然のように終盤には足がつってうずくまったが、
爪先をつかんで痛みをこらえつつ足裏をのばす姿が印象にのこっている。
だが、おじけづいて「数的優位」という妄想にすがりつき、
かれに過剰な負担をかけた指揮官をゆるすことはできない。

ナイジェリア戦にのぞみ、反町康治は各エリアごとに一人ずつ選手をかえた。
FW
森本→李
MF
梶山→細貝
DF
長友→安田
おれが最大の障害だとかんがえていた
中盤の前方に位置する三人にはまったく手をつけていない。
監督はまえの試合の攻撃の構成に満足したようだ。
まあそうだよな。
自分がかんがえた戦術なんだし、根本からまちがっているとはみとめづらい。
そしてソリさんの理想とともに天津の夏がおわる。
左の香川、右の本田は目的をうしなったままウロウロとただよう。
谷口ははてしない縦のピストン運動で消耗し、
乳酸のたまった足で得点をのがした。
もちろん谷口がゴールをきめる可能性はあった。
でもそれは指揮官が最良の選択をしたということを意味しない。
帰化人である李は、アフリカ人だけを友として64分を所在なげにやりすごす。
手前味噌で恐縮だが、おれが前のエントリで指摘した
左サイドバックの変更は十分に機能していた。
左右の不均衡はただされ、安田はすばらしいクロスをあげていた。
浪速の金狼はナイジェリア人に果敢にまたぎフェイントをいどんでいた。
いつもの安田だった。
それが一番大切なんだよ。
「組織力でたたかう」だかなんだかしらないが、
むだに悲壮感をただよわすサッカーなどみたくない。

反町は敵の守備の扉をこじあける鍵をひとつももたなかった。
ドリブラーがいないチームだ。
あえていうなら、香川真司が斬りこみ隊長の役目をまかされいていた。
香川はよい選手だとおもうが、器用すぎてプレーがかるい。
それがわるいというわけではなくて、個性の問題だ。
かれにはおなじプレーを何度もくりかえして壁をぶちやぶるひたむきさがない。
梅崎司がいればチームのたたかい方はかわっていた。
ヤツならでかいディフェンダーにむかってしつこいほど突っかけ、
ペナルティエリアにはいればコロコロころがって警告をうけていただろう。
それでもよい、絶対につれてゆくべきだった。
「日本人の個人技は世界では通用しない」というソリさんの判断だろう。
しかし通用しなかったのは「組織」だ。
だれがくずして、だれが点をとるのかすら不明の「組織」だ。
非合理的な戦術思想にガンジガラメになったまま、
代表チームは「日本らしさ」さえ表現できないまま帰国する。
長沼健が亡くなった今年、日本サッカーの成長神話はとだえた。

このチームははやい時期に監督をかえるべきだったのはたしかだ。
適任者はカナダのU-20ワールドカップに出場した
チームをひきいた吉田靖だろうか。
そもそも今回の五輪代表には、カナダにいった二十二人から四人が進級した。
安田、内田、香川、森重で、主力として天津でも奮闘している。
ほかには梅崎や柏木もえらばれる可能性があったし、むしろいるべきだった。
福元と赤いトサカの槇野が中央をかため、
両サイドバックはむこうみずに飛びだしてゆく。
梅崎はペナルティエリアの角にむかって突進し、
侵入できなければシュートをうつ。
柏木がフィールドのあちこちにかわいい顔をだし、
前線ではふてぶてしい森島があばれる。
まじめな青山隼は中盤の底で、個性ゆたかな仲間のために均衡をとっていた。
あのチームの若者たちは窮屈な規律などとは無縁で、
ゴール後のパフォーマンスのことばかりかんがえていたよ。
あれこそが日本らしいサッカーだとおれはおもう。
おちゃらけてはいるけれど、チームのためにすべての体力と精神力をささげる。
カズやゴンも日の丸を身につけたときはそんな風にたたかっていた。
派手なパフォーマンスは自分たちを鼓舞するための儀式なのだ。
まあ、単に目立ちたいという理由もあるだろうけれど。

天津での五輪代表は、ナイジェリアから一点をかえしたあと
はじめて自信を手に入れた。
「おれたちでもやれるんだ」という意気は選手たちの顔つきをガラリとかえる。
おれはこのチームに感心したことは一度もないし、ずっと批判的だった。
でも体をはって、一丸となって、足がつるまではしる男たちをみれば
素直に感動せざるをえない。
でも、その時間が十分少々というのはあまりにもみじかすぎる。
あまりにかなしいし、悔いがのこる。
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苑田 謙

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