ブリストルのエレベーター ― Mark Stewart "Edit"

エレベーター

Mark Stewart
Edit
(2008年/イギリス)

国内版の解説は予想どおり大鷹俊一で、この人のレビューに蛇足をつけたしても無意味におもえる
おれのかずすくない尊敬する人物のひとりなのだ
でも書くけどさ
かれは冒頭でスリッツのアリ・アップの発言を引用している

マークはオリジナルのパンク・スピリットをもった人よ
パンクといえばジョニー・ロットンがイメージされるんだろうけど、かれよりもマークのほうがパンクな存在よ


マーク・スチュワートはパンクの嵐がふきあれる1978年、ブリストルでザ・ポップ・グループを結成しボーカルと歌詞を担当した
フリージャズやダブが渾然となったはげしい音楽に政治的な歌詞をのせるというスタイルで、売り上げはともかく、あとにつづくミュージシャンへの影響がおおきいバンドだった
その後マークはソロで活動し、骨太な音楽性と過激なメッセージはすこしもかわらずにいまにいたる
そして本作は13年ぶりのアルバム

イントロのあと最初の曲である"Rise Again"がはじまる
うねるベースラインとねっとりとしたギターのカッティングがせまるファンクだ
とはいえ単なるイケイケではなくて、群集を扇動しようとたくらむ革命家の計算もかんじられる
マークの音楽はひたすらおもくしずみこむようなものがおおくて個人的にはすきではなかったのだが、このアルバムは聞き手をあおりたてるようないきおいがあっていい
6曲目の"Secret Suburbia"も破壊力がある
サミア・ファラのうつくしい歌声とモーグ・シンセサイザーのひびきがからみあいながら、こぎれいな郊外の退廃した風景を撃つ

7曲目からはB面的なながれ
ノイズの暗雲がたちこめる"Almost Human"から最後まで、たるみなくつながる
アリ・アップがボーカルでくわわった"Mr. You're A Better Man Than I"は、なんとヤードバーズのカバー
歌詞に共感してえらんだらしい
最後の"Secret Outro"は"Secret Suburbia"のアウトテイク的な曲で、70年代ディスコ風のトラックの上でモーグが5分21秒間、野放図にうたいあげる
じつにきもちよい曲で、いちばんすきかもしれない

ブリストルの後輩であるポーティスヘッドのあたらしいアルバムは地獄よりもさらにふかい底をめざす陰鬱な傑作だったが、ぎゃくに30年選手のマークはこれまでになく開放的な作品をつくった
だれにたのまれたわけでもなく「なにものか」とたたかいつづける音楽ゲリラは、このさき30年間も過激でありつづけるのだろう

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(2008/04/26)
マーク・スチュワート、マーク・スチュアート 他

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苑田 謙

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