ピラニア伝説 ― BARBEE BOYS「目を閉じておいでよ」



目を閉じておいでよ
BARBEE BOYS
作詞・作曲:いまみちともたか/1989年

テレビ番組で一夜かぎりの復活ライブをしたというニュースをきき、なつかしくなって動画をあさった
…やばい、自分の記憶より数倍かっこいいぞ
20年たったら時代が一周してまたもどってきた感じ?
「バービーってなに?」というわかい人こそ、上の動画をみてほしい
最初の30秒でひきこまれるから

手前で顔をかくす杏子のうしろで、KONTAがはげしくリズムをとる
ただことではない切迫感
うかつにふれたら怪我をしてしまいそうだ
杏子、KONTAの順にボーカルをとる
ふたりともかすれ気味ながらつやのある美声なのだが、微妙な声質のちがいが曲をもりあげる
杏子の声は包容力があり、聞くものをじわじわと挑発するようなひびき
KONTAはより直線的で、相手のふところにとびこむ鉄砲玉
高音ののびがすばらしく、やや不安定な音程もかえって魅力にきこえる
ふたつの個性がときによりそい、ときに緊張をはらみながら、絶頂にむかってつきすすむ
杏子の服(ボディコン・肩パット)や髪型(ソバージュ)が強烈にバブルエラだが、「いま見るとはずかしい」の一歩手前でかっこいい
さすが杏子

しかしこのころのKONTAはこわいものなしだったろうな
「目を閉じて」は結果的にバービーの最大のヒット曲になるわけで、「天下とったる!」という気概がバンドに充満している
KONTAの手足のうごきのひとつひとつに自信がみなぎっていて、男の色気がただよう
まさに、身のうちに10万ボルトをたくわえた「ピカチュウ現象」
細身のからだでラフに着こなしたスーツ姿は、いまみてもまったく隙がない
髪をみじかくかりこんでるので、歌舞伎町の不潔っぽいホスト連中とは一線を画している
どちらかというとヤクザだが、恋をうたってさまになるめずらしいヤクザだ
新宿うまれならではの不良っぽさなのかもしれない
といってもたんに勢いだけではなくて、1分50秒あたりをみていただきたい
パートをかわる杏子とKONTAがすれちがうわけだが、ノリノリの杏子がくるりと回転!あぶない!
それを半身でかわしながら、なにごともない表情でうたうKONTAにしびれる
この時期のKONTAは世界がスローモーションでみえていたのだろう

目を閉じておいでよ くせが奴とちがうなら
でもなれた指より そこがどこかわかるから

男の指が女性器をまさぐる様子をえがいているわけだが、当時10代前半のおれにはそこまでわからなかったなあ
でも、全編セックスについてうたう曲なのに意外と下品にきこえない
恋人がいる女を寝とろうと画策する(もしくはその行為のまっ最中の)男の話なので、嫉妬心が歌のイメージに屈折した陰影をおとしているのだ
むかしの音楽は、いまとくらべて実によくつくりこまれていたとおもう
宇多田ヒカルがかいた曲なんてただの鼻歌とおもいませんか

「オッサンの昔話うざい」といわれるのは癪なので、参考資料を用意しよう
ポルノグラフィティのみなさんが杏子といっしょにバービーメドレーを演奏します
少々残酷とはおもうが、比較されるのがいやなら他人の曲をうたうなといいたい


縄とびみたいにピョンピョンとびはねるポルノ岡野氏にいきなりがっかりする
ビートを内臓にながしこむようにリズムをとるKONTAとは、くらべるのも失礼な緊張感のなさ
そしてポルノ氏は、「ためらうだけで、ウダ、ウダ、し、て、いるー」とうたいだす
なんだよ、いちばんためらってるのはおまえじゃねーか
目がおよいでるじゃんよ
杏子はぜんぜんかわらない、ていうかパワーアップしてるし
オリジナルが大人の男女の関係なら、このバージョンは保母さんと幼稚園児のお遊戯かな
ミスターポルノはぼくより年上なんですがね

いや、世のなかの男がみんなKONTAみたいなチンピラだったら、そりゃいやだよ
でも音楽の世界くらい不良がいたっていいでしょ
芸能界ってジャニーズ/ホストクラブ的な作法の男ばかりじゃないですか
女性客にもとめられればからだをさしだし、権力者にはケツの穴を提供する
つねに低姿勢で待ちの一手で、だれかの政治力で引きあげてもらう機会をうかがう
芸をみせるのではなく、わざとバカをえんじてツッコミですくってもらう
そっちの方が利口なんだろうけど、だからなんなんだよ
「根拠はないけど俺様最強」でいいじゃねーか
KONTAなんて、いまでも下手なツッコミをいれたら逆にくいつかれるよ
そんな伝説のピラニアにはぜひ復活してもらって、ぬるい音楽業界をかきまわしてもらいたいね!
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苑田 謙

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