中田英寿とジーコが日本代表をこわした

円陣


上の写真は去年のアジアカップの対オーストラリア、延長戦開始前
おれはオフト時代から日本代表をみてきたが、この試合はベストではないかとおもっている
東南アジアの暑気にうんざり気味のオージー野郎もこの試合は殺気満々でのぞんできた
それでも中村憲剛や遠藤らが、たかい技術で攻撃をつくっていたと記憶する
高原が殺し屋の本能を発揮したゴールもわすれがたい
あなたがどんなにひねくれものだとしても、日本はガチ勝負で1年前のワールドカップの無残な敗北をのりこえたのだから、すくなくともその点だけでも評価すべきだ
ところが大会後、メディアはこのチームへの風あたりをさらにつよめた
非論理的で感情的にも納得できないものだった
数ヵ月後、ここまで精緻にチームをくみあげた老将は病にたおれた
すべては無に帰した

サッカーマガジン4月15日号は、いまさらジーコ時代の代表をふりかえっている(12~13ページ)
いわく「ジーコジャパンは崩壊していた」と
ほんとうにいまさらだ
かれらに「あのとき」にそれをいわなかったことを恥じる職業的倫理感はないのだろうか

佐藤俊は「黄金世代」の反乱について(いまさら)書いている
控えに固定された小野、稲本、小笠原、中田浩二は、中田英寿と中村俊輔が支配するチームに欲求不満を暴発させ、紅白戦はぎすぎすとした内戦となった
かれらはなかば意識的にレギュラー組にケガをおわせた
ひどい話だ
それでも同世代の遠藤は「どちらもいやな気持ちになる」と一線をひいていたらしい
やはりかれはかしこくて人間的な魅力のある選手だ
その後代表の中盤に君臨したのもうなずける

荒川敬則と三浦憲太郎は中田英寿の孤立を(いまさら)報告する
ブラジル戦の2日前、中田の所属事務所が予約をいれたボンのレストランで、代表メンバーたちは決起会をひらいた
それはさむざむしいもので、日の丸の寄せ書きになにも書かなかった者が5人いたとか
中田が年下の選手たちにきらわれていたのは、ヒステリックにどなりちらしたからでもある
みずからのコンディションに問題をかかえながら他人を批判し、反論の余地をあたえなかった
自分を特別あつかいするジーコにたいし、選手起用やポジションの交渉を直接おこなったりもした
かれもずいぶんとかんちがいをしていたようだ
ブラジル戦のあと、たおれこんだ中田をほかの選手はひややかに放置した
もうわすれてしまいたい、非スポーツ的で異常な光景だ

中田は過大評価されすぎた
むろん才能がなかったとはいわない
だが、あれだけ国内外の注目をあつめたのは単にタイミングがよかっただけだ
いまでは海外の実績も、ほかの日本人選手とくらべてとびぬけたものではない
いや、むかしだって奥寺たちがいたのだが
そう、スターがスターであるためには論理的根拠はいらないのだ
そして中田や中村の上げ底の「才能」を盲信したジーコがチームの土台をくさらせた
いまではフェネルバフチェに同郷人をかきあつめて成功しているらしいが、それで数年前の罪がきえるわけではない

「日本代表」はこの市場で最大かつ独占的な商品だ
そのメッキがすべてはがれるその日まで、おおくのひとびとの人生をくるわせるだろう
だれもそれをコントロールすることはできない(サッカー協会会長なんてもってのほか)
オシムはじつによくやったが、メディア(よわい敵)とみずからの肉体(最強の敵)にかてなかった
岡田武史はじぶんがのったのが泥舟だときづいておどろいたにちがいない
就任以降のその用兵、発言は混乱をきわめており、批評する価値すらかんじない
天使のような遠藤をはずしてまけた馬鹿げたバーレーン戦のあと、なにかにきづいた人はおおい
しかしおれにいわせれば、たぶん地獄はこれからはじまるのだ
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ジャンル : スポーツ

暴走する音楽ロボ ― capsule「Starry Sky」

Starry Sky
capsule/作詞・作曲:中田ヤスタカ/5分38秒

[音楽ロボ・中田ystk研究シリーズ第4弾]

ystkとはいったい何者なのか、おれはつかみつつある
とんがった音をくみあわせながら歌謡曲の輪郭をかたちづくったり
歌詞を工夫してクラブミュージックの音に繊細な感情表現をしのばせたり
それではystkのよってたつ砦、capsuleの名曲を偵察してみよう

Starry Skyはボーカル部分が3分の1程度でしかないクラブ仕様の曲だ
しかしここでもPerfumeや鈴木亜美の楽曲でみせた技がつかわれている

この曲のパートはおおきく4つにわけられる

【イントロ】
みじかいフレーズのベースとギターのくりかえしだが16小節とながい
【ぶーぶっぶぶぶ、ぶーぶぶぶ】
ドラムの音数はすくなめで、うなりをあげるベースラインが前面にでる
これも16小節
前戯ずきのystkとはいえ、じらしすぎにもほどがある
【あいしんふぉ~ゆー、あいしんこ~びゅー】
1分30秒たってはじめてこしじまとしこの声がきける
そしてこれが唯一のボーカルパート
例によって陳腐で無内容な英語詞だが、油断はできない
【たらりらららりら(ウ~ウ~)】
きらきらとかがやく高音のフレーズがはばたく
2回目からはサイレンににた音がそえられ、もりあがりは尋常ではない

BPMははやく、みじかいボーカルパートはスタッカートをきかせて起伏がほとんどない
曲の構成要素をべつべつにみた場合、この曲にポップスらしさ、歌謡曲らしさは皆無
それはオリコンの番付とは接点のない音楽だ
ystkとしては、すきなようにすきな音をつなげて、フロアを熱狂させればいい
しかしそうはできないのが音楽サイボーグのさがなのだ

BPMのはやさを考慮し各パートの長さを8小節とみなせば、この曲も「Aメロ-Bメロ-サビ」という、日本のポップスにしみついたベタな構造がくみこまれている

【ぶーぶっぶぶぶ、ぶーぶぶぶ】がAメロだ
ベースラインはystkの声であり、そうきこえるミックスがほどこされている
ボーカルパートがBメロ
これまでみてきたように、ystkはBメロを重視する
じわじわとメロディは下降し、こしじまは曲をゆっくりとおちつかせる
「A↑-B↓-サビ↑」のながれだ
声をはりあげるのは「Starry Sky」のところだけ
きくものの脳裏に満天の夜空がうかぶ
きらめく星にいろどられつつも、それは夜、闇、黒のイメージ
【たらりらららりら】がサビ
フラッシーなフレーズが漆黒の空に星をまきちらす
サイレン(ウ~ウ~)はボーカルにちかい音質で、こしじまがえがいた黒のイメージをさらに濃くする

BPMをキープしてさえいればなにをしてもゆるされるジャンルなのに、歌謡曲をつくってしまうystk
クラブで耳がこわれるような大音量でながす曲なのに、曲調はどこか暗くなる
フェラーリとメルセデスを分解してくみあわせて自転車をつくるようなわけのわからなさ
この音楽アンドロイドはそうとういかれている
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