真剣でまいろう ― Perfume 「Fan Service bitter」

Perfumeの魅力を存分にたのしむ
そのルックス、たのしいMC、中田ヤスタカによる楽曲のよさ、息のあったダンスなどをひとつにまとめた作品といえば、いまのところこのライブDVDしかない
まさに一家に一枚、年齢性別とわずにおすすめできる
とくに彼女たちのダンスはすばらしい
歌詞とこまかく連動し、知恵の輪のように複雑な振りつけ
ハイヒールでおどりながらも(外反母趾になりそう)、3人の動きはぴたりとシンクロする

あ~ちゃんはリーダー的存在で、天才的なMCの才能をもつ
広島弁をまじえつつ、「クリスマスは箱がとれなかった」とかぶっちゃけてくれてたのしい
パンチのきいた歌声の持ち主でもあり、歌唱のスキルはいちばんたかい
やんちゃなキャラだが責任感がつよく、大の泣き虫でもある

かしゆかはひたすら細く小顔で、小西真奈美にサイボーグ手術をほどこしたような魅力がある
あの体でよくはげしいパフォーマンスにたえられるものだ
歌声はほんわかとして、ライブでもつねに天使のほほえみをたやさない
まるでマンガやアニメの登場人物をみるかのよう
でもたまに毒をはく

のっちは普段はぼーっとしていて不安になるが、曲がはじまったとたんに色っぽくなる
「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」でのせつない表情がたまらない
瞳がこぼれおちそうなほどおおきく、ショートカットがよくにあう
声質は甘く濡れたひびきがあって、ようするに俺はのっちがいちばんすきだ
ダンスの力量は最高で、指のさきまでうつくしくおどる
セクシーな腰つきになやましい気分になる
おどりながらスマイルできる人間ならいくらでもいるが、目をよくみると苦しそうであることがおおい
のっちはきつそうなときでも「目がわらってる」のがすばらしい
目がでかいからそうみえるだけかもしれないが

このDVDをみてわかったのは、Perfumeはライブ会場で真剣勝負をいどんでいるということ
客に媚びてる気配はかんじられず、つねにエンターテイメントに徹している
アイドルとはいえ擬似恋愛の対象としてふるまう柄ではないし、もちろん女心の代弁者でもない
わかい娘たちが、「客をたのしませる」という形のないものにすべてを賭けていることに感動する

プロだから客をたのしませるのはあたりまえでしょ、とおもうかもしれない
しかし金をはらってきた観客に面とむかってたちむかうことは、吐き気をもよおすほどの重圧だとおもう
豪放磊落な印象のやしきたかじんでさえ、コンサート中の重圧で意識をうしなったこともあるとか
そして客席をまともにみれないのでつねにサングラスをかける
だから、たかじんより芸の未熟な少年少女たちはアイドル的な媚びをうりものにする
自称アーティストなら「わたしたちつらいわね、しあわせよね」といったきまり文句を連呼する
でもそれではたのしくないし、そんなのは芸ではない
Perfumeの異様にふかいお辞儀に、俺はきびしい芸の道をすすむ覚悟をかんじるのだ

ブレイク前のライブなので箱はかなり小さく、演出も素朴なものだ
スケールアップしたバージョンをこころまちにしながら、このDVDをたのしみたいとおもう

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天使たちの生存競争 ― 森永みるく「GIRL FRIENDS [1]」

森永みるくは「百合」に分類される漫画家だ
百合とは、女性同士の恋愛を題材とした作品と定義される
個人的にはジャンルなんてどうでもいいが、ジャンルあってこそ作品は成立するともいえる
ふざけたペンネーム(ひとのことはいえないが)に批評の舌鋒もにぶる

1日24時間紅潮していそうな頬、質量を放棄したかのようなさらさらの髪
湖よりもひろく、きらやかな光をたたえた瞳
絵にかいたような(?)美少女たちがコマをうめる
うつくしいものがうつくしいものをすきになり、またよりうつくしくなるという天使のループ
「友達以上、恋人以上」の関係にまきこまれた読者が、空の高みにまでいざなわれる

もちろんそんなものはきれいごとだという批判もあるだろう
彼女たちも腹部に排泄物をかかえ、それをまきちらす生物の一員にすぎない

別の視点で評価すべき面もある
高校生なのに服は母親にかってもらい、髪は母とおなじ近所の美容室できっていた、主人公のまり
そんなまりがあっこの影響でファッションにめざめていくところが読みどころだ
女の子はうまれついたときから、洋服への嗜好が遺伝子に刻印されているのだとおもっていた俺にはかるい衝撃だ
登場人物の地理関係がかかれているのがおもしろい
学校は市ヶ谷と九段下のあいだ
まりは北千住、あっこは錦糸町、すぎさんは麻布十番、たまみんは上石神井
通学手段は高校生の放課後において重要で、それをふまえながら話はすすむ
女性は地図が苦手ときくが森永にそれはあてはまらない
他愛ないかけあいがたのしいすぎさんとたまみんがクラスがえで退場し、あたらしい級友たちとあっさりといれかわるのがリアルだ
作者の登場人物への思いいれが意外とクールなのだ
いまの時代の文化は、浜崎あゆみ的な「喪失感」の表明が支配的だが、「GIRL FRIENDS」はそれとはちがう
できごとのランダム性と、それへの適応の物語とでもいえようか
ふしぎな作家だ

GIRL FRIENDS 1 (1) (アクションコミックス)GIRL FRIENDS 1 (1) (アクションコミックス)
(2007/12/12)
森永 みるく

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苑田 謙

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