歌声という牢獄 ― 鈴木亜美「FREE FREE」

FREE FREE
[鈴木亜美 joins 中田ヤスタカ/5分11秒/2007年/avex trax]

電池をたべる男・中田ヤスタカ(ystk)分析シリーズ第2弾です
コード進行とか機材とかまったくわからないので適当にやります

この曲のボイスはおおまかに5種類に分類できる

「せっみーふり~」
高音で平坦なメロディで、コーラス的にきこえるボイス
しかし曲の構造上、サビの役割をはたしている
「ロボ声」
ystkの登録商標
つめたく無機質でなにをいってるのかききとれない
英語らしいがそれすら判別は困難
「あーあーあ」
この曲の最重要なモチーフ
気のぬけたフレーズがえんえんとループする
スーパーに買い物にいったあと、食パンを買いわすれたのにきづいたときに発する声ににている
「Bメロ」
ここだけがふつうの歌声で日本語もここだけ
とはいえかなりエフェクトはかかっている
「(*´Д`)ハァハァ」
露骨にセックスを連想させるブレス
童顔の鈴木さんがやるとちょっといたいたしい

ここまで整理できたかな?
では順に曲のながれを確認しよう

まずはいつものながい前戯前奏でじらす
「あーあーあ」のループでぐいぐいとひっぱる
ATMで金をおろすのをわすれたときの声にもきこえるが
「Bメロ」以外のボイスを投入してもりあがるが、音数はしぼっておりイクまでにはいたらない
そしてAメロ
これがまた強烈なロボ声なのだ
「いや~ナカタさん、うちの鈴木をすきにいじっちゃってくださいよ」と依頼したであろうavexのえらい人もドン引きしそうなサイボーグぶり
ファーストアルバムを250万枚うったかつてのアイドルの面影はどこにもない
ここでも「あーあーあ」が活躍

とりあえず人間の声にきこえるBメロで一息つく
小室哲哉と組んでミリオンヒットを連発していた時代をおもいだす
しかし裏ではベースがぶんぶんうなり、ピロピロいってる装飾に気がちらされる
旋律はくらめでしずみこむムード
歌詞も「ゆらして水面みたいに」「きれいに流れおちる」と下方向のイメージ
もちろんサビのために力をためているのだ
つぎの瞬間鈴木さんは天国にとぶ
どうきいてもこの曲に「サビのメロディ」はない
「せっみーふり~」ははるか高みをふわふわとただよっているし、「あーあーあ」はたんなるループ、「ロボ声」は散発的でつながりがない
ある意味ベースラインが主旋律だが、これもいちおうポップスだからね
やりたいほうだいのystk

すべての音が渾然とうねりだし、サビのようなものがかたちづくられる
なんてきもちいい音のながれ
鈴木亜美は歌謡曲の約束ごとをやぶって自由をてにいれた
Be free! I wanna be free! Set me free!
そしてたぶんystkは確信犯だ

事務所、レコード会社とのトラブルで事実上の引退においこまれた鈴木亜美
芸能界という世界はみずからの当然の権利を主張するものを排除する
ポップス官僚たちは契約とかいうくだらないものを武器にして、ひとりの女の子から歌をうたう場所さえうばいとろうとする
しかし彼女はあきらめなかった
その歌声にはきくものを勇気づけるなにかがある

FREE FREE/SUPERMUSIC MAKER(DVD付)FREE FREE/SUPERMUSIC MAKER(DVD付)
(2007/08/22)
鈴木亜美 joins 中田ヤスタカ(capsule)、Yasutaka Nakata 他

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愛され女王のおシゴト術 ― 「クィーン」をみて

クィーン
(2006年/イギリス・フランス・イタリア)
原題:The Queen
出演者:ヘレン・ミレン マイケル・シーン
監督:スティーヴン・フリアーズ
[DVD/映画館で鑑賞]

本日もエリザベス・アレクサンドラ・メアリー・ウィンザーさんの話です
ダイアナ妃の死後、英国民の理不尽な批判の矢面にたたされた女王の苦悩と決断をえがく作品

[その1:まずは家族をたいせつに]
皇太后役のシルヴィア・シムズもいい味をだしているが、エディンバラ公フィリップ(ようするに亭主)役のジェームズ・クロムウェルがなんともおかしい
うんざりするほどイギリス臭がふんぷんとたちこめる映画だが、エディンバラ公がギリシャ系であることをうけてなのかアメリカ人のクロムウェルが起用されていいアクセントになっている
ふるい世代の王族であるかれは、マスメディアにつよく影響される国民のきもちをまったく解さず、頭にあるのは狩りのことばかり
女王たるエリザベスは、時代の変化をうすうす感じながらも家族の顔をたてる
じいさん(王配)ばあさん(女王)がベッドでいちゃいちゃするシーンもあってますますおかしい

[その2:自分のことは自分でしよう]
女王がひとりで運転するランドローバーが故障する場面がある
運転ができるということがすでにおどろきなのだが、シャフトをみて故障原因を確認もする
なんでも大戦中に従軍経験があり、軍用車両の整備をしていたとか
機械いじりのひとつもできない女は尊敬されない

[その3:年下男をとりこにしろ]
いたましい事故のとき、わかいトニー・ブレアは首相に就任したばかり
ダイアナを「人民のプリンセス」とたたえるスピーチをしてすばやく国民の支持をえる
もともとが王室に批判的な労働党員であり、女王にたいしてもここぞとばかりつよい態度にでる
そうとう左よりのシェリー夫人(現役の弁護士)とのやりとりもたのしい
エリザベスは僭越なブレアにいらいらするが、けっして弱みはみせない
年下男はめそめそしている女にはついてきません
そうこうするうちに首相も「責務が一番、自分は二番」である女王の国民をおもうきもちを理解し、女王の熱心な擁護者になる
すっかりメロメロの夫をみてシェリー夫人はやきもちをやき、マザコンよばわり
のちにブレアはイラク戦争でつまずき国民の支持をうしなうが、それをとりもどすことはできなかった

[その4:KY女には一歩もゆずるな]
外面的なうつくしさもとびぬけているが、精神的に不安定で目立ちたがりなダイアナ
マスコミが大すきで、離婚前からテレビのインタビューで王族たちをボロクソにけなす
そのくせ王室をはなれたあともHer Royal Highness(殿下)の称号をつかう許可をもとめるちゃっかりもの(これは女王が却下)
そして死してなおイギリス王室をおびやかす敵となる
女王はその死をうけいれられない国民の怒りの矛先を一身にむけられることに
しかし女王は自由奔放で今風なダイアナ流ではなく、古風な自分の流儀をつらぬく
そしてあたらしものずきでわがままな国民も、最後はもとの忠実な臣民にもどるのだった

愛されOLをめざす諸嬢の参考になっただろうか?
それにしてもヘレン・ミレンの演技はノリノリで、その一挙手一投足をみているだけでたのしい
名作だとしかいいようがない

クィーン<スペシャルエディション>クィーン<スペシャルエディション>
(2007/10/24)
ヘレン・ミレン

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世界最強の政治家、エリザベス ― 君塚直隆「女王陛下の外交戦略」

[女王陛下の外交戦略 エリザベス二世と「三つのサークル」/君塚直隆・著/講談社]

かつてナポレオンやヒトラーのような独裁者は「古いヨーロッパ」を破壊し、よくもわるくも王政や貴族制度の礎をよわめたが、王室をいただく大英帝国はその毒牙にくっすることなくゆたかな社会をまもった
現在のイギリス王室のゆるぎない地位はゆえあってのことなのだ

エリザベス女王は今年で在位56年、のべ330カ国を訪問した「外交官」でもある
その活動は多岐にわたるが、かつての植民地であるアメリカとの関係はいろいろな意味で特別なもの
しかし独立戦争、米英戦争の時代はともかく、1930年代ごろでさえ、イギリスとアメリカはけっして信頼のおける間柄ではなかったらしい
そしてエリザベスの父、ジョージ六世は米国との友好関係をきずくことに貢献し、その娘もつながりをつよめるために尽力
トルーマンやアイゼンハワーなどの大統領と親交をむすび、米国民から熱狂的にむかえられた
こんにち両国の「特別な関係」がどう発展したかについてはいうまでもないだろう
なにやらエリザベス二世にはジョージ・ワシントンとおなじ一族の血がながれているらしく、この事実は筋目にうるさいアメリカの上流階級の連中にことのほかきくらしい
わたしにはなんの縁もない世界ですが、なるほどそういうこともあるかもしれませんね
したがって彼女がパーティにでるだけでもなにかと影響力はおおきくなる
たとえばビル・クリントンは女王の議論のたくみさをたかく評価する
みずからの政治的発言には慎重でありながら、それとなく相手の情報や意見をひきだす話術のもちぬしらしい
うまれのちがいなのか、酒の席で失敗ばかりするわれわれとはモノがちがうようだ

いちばんおもしろくよんだのは、コモンウェルスでの役割について
わが国の皇室と同様、イギリス王室の活動もその政府によってきびしく監視される
しかし女王は53カ国からなり人口19億人のコモンウェルスの首長でもある
コモンウェルスにかんしては、ときのイギリス政府の意向に反した判断をくだすこともあるらしい
しょせん一国の台所をまかされているにすぎないイギリス首相の力では、7つの海を支配する女帝をしばりつけることなどできないのだ
おそるべきは女王エリザベス
なにかと窮屈で貧乏くさいどこかの島国の陛下があわれにおもえる

君塚はチャールズ皇太子(ジョージ7世をなのるらしい)をたかく評価する
気ままなダイアナとの例のゴタゴタもあり本国でも人気は最低の男
かんがえてみればチャールズもかわいそうなやつだ
3歳のときに急遽母親が女王に即位
超多忙なママはかまってくれなくなり、幼少ながらも人目にさらされ好奇の的となる悲惨な人生
女で一度や二度失敗したことくらい大目にみるべきだろう
じつはチャールズはなかなかの見識のもちぬしで、はやい時期から環境問題にとりくんでいた
ロンドンでのテロのあとイスラーム教徒にたいする寛容を説くなど、思想的にも柔軟な人らしい
ほめすぎじゃないのかな?ともおもうが、そもそも日本のメディアでは、このとうのたったプリンスの活動を目にすることじたいすくないので、いろいろと興味ぶかい

同著者の「ヴィクトリア女王」(中公新書)があまりによかったので即購入したが、満足度は70%くらいだろうか
本書はエリザベス二世の外交面の活躍にしぼっているため、国内政治に関する機微がつかみづらく、時代のちがいはあるにせよ「ヴィクトリア女王」ほどの味わいぶかさはかんじない
でもこれだけたのしくよめる本はそうないことは保証しよう

女王陛下の外交戦略─エリザベス二世と「三つのサークル」女王陛下の外交戦略─エリザベス二世と「三つのサークル」
(2008/03/22)
君塚 直隆

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喜劇の誕生 ― かかし朝浩「暴れん坊少納言[1]」

(暴れん坊少納言/かかし朝浩・著/ワニブックス)

主人公は清少納言、その創作活動や宮廷生活をえがく作品
はっきりいって時代がふるすぎるし、主人公が有名すぎるし、そのぞくする社会が特殊すぎる
どうしようもないくらい漫画化にむかない題材だ
なのに…なんなんだこのマンガは!おもしろすぎるぞ!
まだ1巻しかよんでいないが、紫式部、和泉式部、中宮定子といった有名どころも脇でいきいきとうご
きまわる
作者はぜんぜん知らない人だったが、世のなかにはめざましい才能がかくれていると痛感した

物語は清少納言と橘則光のびみょうな恋愛感情(もしくはどつきあい)を軸にすすむ
清少納言の性格は「いとツンデレ」に設定されており、おとなを相手にありえない暴言をはき、宮廷を壊滅させるいきおいであばれまわる
そういう意味で時代考証もなにもないわけだが、そもそも「ツンデレ少女」なるものは現代社会にも存在しないわけで、これはこれでアリとおもえてくる
ていうか平安時代だからこそアリのような
茶髪にカラーコンタクトでセクシーにキャミソールをきこなす和泉式部にもしびれてしまう
髪型、装束もひとりひとりこったデザインがなされていてたのしい
服と髪はいつの時代も女性のいのちなのだ

本作での紫式部は、無口系・不思議少女系・長門有希系とでもカテゴライズすればよいのだろうか
感情表現がゆたかな清少納言とはちがい、日常生活では超然としてクール
しかしひとたび筆をとると魔術師のように魅惑的な作品(もちろん源氏物語のこと)をつくりだす
平安最大のベストセラーをものしたその才能を清少納言ははげしくねたむ
そして、風邪でねこみながらしぶしぶ源氏をよんだ彼女のせりふがすごくいい

>はーあ
>これは…いや確かに巧いわ!!
>でもなーんかなー!!やっぱ色恋ばっかってのはさあ~!!
>面白い事とか、キレイな物とか、わくわくする感じとか
>色恋からめずそのまんまスッと出せないのかなあ

その直後、「自分のことば」をみつけた清原元輔女は枕草子の執筆にとりかかる
怨念にいろどられた、丸谷才一なら呪術的といいたがるであろう恋愛物語からは距離をおいた、
ある意味で現代的ともいえるかろやかな語りのセンス
その誕生をことほぐ名シーンなのであった

風流心、うつくしいものをめでる心のたいせつさを説く、いまどきちょっとありえないような傑作だ

暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)
(2007/07/25)
かかし朝浩

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5-9-6-3 4-6-4-9 ― 杉山茂樹をわらう

(4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する/杉山茂樹著/光文社新書)

フォーメーション図がたくさんのっているので資料的価値があるとおもい購入したが、失敗だった
文章部分が不正確で非論理的であるだけでなく、配置図も自説を補強するためにゆがめられていた
コメント欄での反論もありうるので一週間はてもとにおくが、そのあとはもえるゴミにすてようとおもう

同カテゴリのまだすくない文章をよんでいただければわかるように、当ブログは
・時代おくれの3-5-2を批判
・サイド攻撃の重要性、とくに高い位置にかまえるウイングの役割を強調
・うつくしく力づよいサッカーを評価
しているため、結論においては杉山とほとんどかわらない
ところが杉山の説明は完全にまちがっているだけでなく有害で、放置できない
意地わるくいうなら、この程度のライターがトップだから日本のサッカーは低レベルなのだ

【その1:杉山のトルシエコンプレックス】
杉山はDFを3人起用したという一点においてトルシエのサッカーを全否定する
高いラインを維持しつつ、最終ラインを幅ひろくカバーすることを目的とした「フラットスリー」は、スイーパーをあまらせる守備戦術とは思想的にことなることにはふれない
トルシエが常軌をいっするほどオフサイドトラップを多用したことにはふれない
器用でかしこい中田浩二のような、まるでストッパー的でない選手を寵愛し守備戦術の幅をひろげたことにはふれない
右サイドの明神がひきぎみに位置し、じっさいには変則的な4バックだったことにはふれない
ナイジェリアでのワールドユースで、ウイング的な役割をあたえられた本山雅志が左サイドを蹂躙し、アフリカ人の喝采をあびたことにはふれない
そしてフランス、スペイン相手の練習試合での苦戦をいまだにあげつらう

【その2:守備戦術への無関心】
杉山はウイングを2枚起用すればいいサッカーになるとしんじているらしい
4-3-3、4-2-3-1とか、右のほうの数字が大きくなれば攻撃的!すべてOK!
だからユーロ2004のギリシャですら「攻撃的」だったと評価する
理由は4-3-3だから
デラスが一枚あまってほかの3人がべったりまもるから「守備的」と批判されたわけだが、守備戦術には関心がないらしくDFの役割分担についてはなにもかたらない
守備と攻撃はあわせ鏡なのだ
マグネットを相手ゴールラインがわに3個ならべれば攻撃的サッカーができるのか
その後のキャリアは満足にかさねられなかったがやはりトルシエはえらかった
日本代表に守備と攻撃が渾然となった戦術らしい戦術を浸透させた
杉山がトルシエを必死に否定しつづけるのは、無名のヨーロッパ人に本場の「戦術」を輸入されてしまったときの職業的危機感、トラウマがまだきえないからだろう
はやくなおるといいですね

【その3:朴茂樹のくりごと】
杉山は2002年の韓国をやたらと賛美する
理由はオランダ人の有名な(←これ重要)監督がひきいてたことと、読者を挑発するためだろう
前線にけりこんでウイングをはしらせて、大男にむけておりかえすだけのオランダサッカーなんてつまらないのだが、まあそれは好みだからいい
韓国の英雄となったオランダ人の有名監督ヒディング氏(2007年、脱税により有罪判決)はオーストラリア代表監督に就任
そしてなんの因果か2006年のワールドカップで日本代表と対峙することに!
ところが杉山の期待に反し、中村のFKがきまり日本が先制
こまった脱税王ヒディング氏は、身長190cm(苦笑)のろくでもないオージー野郎を3枚もならべて、はるか後方から石つぶてをなげつけさせる
可憐な日本守備陣はこのいじめに力つきて逆転負け
もちろんこんな草サッカーでも杉山は絶賛
しかも日本の先制点はキーパーチャージだったからノーカンらしい
2002年の韓国ベスト4の最大の原因は誤審(買収)だったことをいっさい無視する朴茂樹さんとはおもえませんね
(ちなみにワールドカップ100年の歴史の『10大誤審疑惑』に韓国が4試合ランクイン)

【その4:王様の耳はロバの耳】
杉山は日本サッカーの後進性をなげく
本場のサッカーを生でみてないからおれのいうことがわからないのだと
だがしかし、3-5-2が時代おくれだとか、サイド攻撃が重要だとか、そんなことサッカーファンなら全員しっている
かれはだれにむかってなげいているのだろう
サッカーは代表戦しかみなくて、選手は中村俊輔しかしらない人?
そんな人はあなたの本なんかみむきもしませんよ
職業的特権意識なんか犬にでもくわせろ
自分の意見なんてたいていどこかまちがってるものなのだ
プロならなおのこと自説を展開することに慎重になるべき
「専門バカ」っていうことばはそのためにあるんだ
そして本場とか先進国とかそんなものとは関係なく、サッカー後進国でつくられたウイニングイレブンがヨーロッパで600万本うれたりもする
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うんこにこだわる司馬遼太郎

きのう、明治時代初期をなにもわかっていないことにきづいたおれは「翔ぶが如く」の再読をはじめた
維新後の西郷隆盛と大久保利通の軋轢をあつかう作品
司馬遼太郎の代表作のひとつとされる

冒頭、川路利良(本編の副主人公)は警察制度の調査のためにフランスにいる
汽車のなかで猛烈な便意におそわれた川路は、客室内で毛布にかくれながら用をたす
そして新聞紙につつんだうんこを窓からほおりなげる
それが運わるく路線夫にぶつかり、新聞紙から日本人のしわざとばれたらしい
これは人間の悪をあつかう機関である警察を、ある種の便所にみたてるたくみな比喩だ
それにしても大長編の出だしがうんこ

剣豪・千葉周作をとりあげた「北斗の人」
こちらは周作の父親、幸右衛門の話からはじまる
幸右衛門は顔がながく「馬」とよばれた人物だが、それが皮肉なことに馬医者となる
病気の馬をみるときは、肛門にうでをつっこみ糞をひっぱりだす
そしてにおいをかぎ、ぺろりとなめて診断する
のちに剣の道をきわめる周作との対比をきわだたせる意図があるわけだが、ようするにまたうんこ

徳川家康は、三方ヶ原の戦いで武田信玄に粉砕される
ほうほうのていでにげかえる家康が馬上で脱糞したという話は有名
もちろん司馬がみのがすわけもなく、戦国物のあちこちでしつこいほど言及している
さすがはうんこハンター

晩年の司馬は「司馬史観」「偉大な文明批評家」「歴史小説の革新者」などとおだてられ、きたない話はめったにしなくなったが、しかし精力さかんな年頃の文体はすごい
うんこや天下国家や偉人や退屈な余談や思想宗教や滑稽ばなしがかわるがわる顔をだす自由奔放な語り
司馬さん、あんたの小説はくそすばらしいよ
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もうひとつの道 ― 高島俊男「天下之記者」

天下之記者―「奇人」山田一郎とその時代 /高島俊男/文春新書

まえに書いたように、高島俊男の新著を読了した
新書ながら378ページとやや厚めで、この形はよみづらくて読書ははかどらなかった
ぶ厚くするなら文庫本のほうがまだいいとおもう
のろのろよんでいるうちに丸谷才一に先をこされてしまった(毎日新聞書評
べつにはりあうつもりもないが、さすがに書評の名手といわれるだけあって手際よくまとめている
とはいえことなる視点も提示してみたい

明治時代の無名の人物、山田一郎(すごい名前!)をほりおこそうというこころみ
なぜ無名なのか?
それはかれが出世しなかったから
著者も「なぜ山田一郎は出世できなかったのか」という点に伝記の焦点をしぼっている
この時代、大学は東京大学のみ
「文学士」は全国で数十人しかいなかったという希少価値ぶり
当人の能力によらずとも、大学教授や国会議員程度の地位はむこうからころがってくる
しかし山田はフリーの新聞記者としてその一生をおえた

おかしなエピソード満載のかるい伝記を期待していたのだが、じっさいはてごわい本だ
明治期の政党政治、大学教育、ジャーナリズムについてかなりふみこんでいる
この時期教育制度は混乱しており、山田も学校をいくつもかえながらなんとか「大学」を卒業
そして明治十四年の政変がおこる
下野した大隈重信は立憲改進党や東京専門学校(早稲田大学)の設立にかかわる
中央集権的な政府にたいする対抗勢力がかたちづくられる
イギリス流の政治学をまなんだ山田もそのながれにくわわって活動する
だが出世はしない
むしろそのコースから率先してにげようとする
早稲田の職をうしない、一記者として地方を放浪することに
国会議員になるチャンスもなにかと理由をつけて足蹴にしてしまう
どうやら競争がきらいな性格だったらしい

そんな時代もあったのね、ではすまない問題だとおれはおもう
今日では政党政治は定着し、早稲田もふつうの大学になり、新聞は多様な意見をたたかわせる
政府にたいし不平をのべたら逮捕される時代ではない
その進化はみとめねばならないが、やはり不満はおおきい
政治・教育・ジャーナリズムがどれだけ本来の役割をはたせているだろうか
そんな社会で競争に身をすりへらすなんて馬鹿らしいとかんがえる人間がいてもおかしくはない
山田一郎の死とともに、もうひとつの道の可能性もきえてしまったのかもしれない
わたしに出世のみこみがないからいってるだけじゃないですよ

高島俊男はきびしい文章作法を身につけている人だが、意外と本のなかで自分の心情が顔をだす
「メルヘン誕生」は独身のまま仕事にいきた向田邦子に、おのれの境遇をかさねていた
すばらしい本なのだが、どうしようもなく個人的な色彩がのこっている
本書も同様
東大出で将来を嘱望されながら、大学を辞して野にくだったのは山田とおなじだ
だからこそこの人物にふかく共感したのだろう

天下之記者―「奇人」山田一郎とその時代 (文春新書 621)天下之記者―「奇人」山田一郎とその時代 (文春新書 621)
(2008/02)
高島 俊男

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もう夜があけてしまいますわ ― 「残菊物語」

(松竹/1939年/146分)
出演者:花柳章太郎 森赫子
監督:溝口健二
[早稲田松竹にて鑑賞]

身分ちがいの恋をつらぬいて芸の道をいきた二代目尾上菊之助と、その妻お徳の物語
歌舞伎にまったくうといのでどこまで史実にそくしているのかわからないが、実在の人物、しかも有名な役者の家系の下世話な話で商売をしてるのだから、むかしはおおらかだった
いまの映画がお行儀よくてつまらないだけかもしれないが

花柳章太郎の演技がよかった
羽織をするすると脱ぎ着する場面がみょうにおおいのだが、なんともいえない色気がただよう
ただ存在感がありすぎて役柄の「大根役者」にみえないのがおかしい

菊之介の弟の乳母であるお徳(森赫子)と、あかんぼうをつれて夜道をふたりでとぼとぼとあるく場面
カメラはふたりにゆっくりとよりそって会話をとらえる
けなげで可憐な森赫子に好感をおぼえずにはいられない
シーンのはじめはセリフから2時くらいとわかるのだが、おわりのほうでお徳が「もう夜があける」という
時間の感覚をまどわす長回しの魔術だ

映画史的には本作が溝口健二の商標である「1シーン1カット」が成立した記念碑とされている
だが正直どうでもいい
ラストで病にふせるお徳が菊之介をきえいりそうな声ではげます
鬼気せまる名演―といいたいところだがながすぎる
瀕死の病人にしては体力がありすぎだろう

映画の前半で菊之介がお徳にスイカをきってやるところがある
ふたりの心の交流をえがく重要な場面だ
包丁とまな板で巨大なスイカを器用にきりわけている
かるい刃物恐怖症の俺はおもわず目をそむけてしまった
長回しのシーンで刃物をつかわされて花柳もさぞかし疲弊しただろう
役者に負荷をしいるリアリズム演出をみると不快になる
やはり現実を作品にとりこむさじ加減がどこかおかしい

歌舞伎役者の話なので歌舞伎の場面もながながとうつす
最初はものめずらしくてたのしいが、けっきょくあきる
松竹株式会社の宣伝をしてどうするのか

悪口をかいてしまったが、本作は堂々たるメロドラマであり、感動する
ただちょっとうすっぺらで、むなぐらをゆさぶるようなちからづよさがないだけだ
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史上最高のRPG、「DS美文字トレーニング」(ネタバレ注意)

(ニンテンドーDS対応/発売・任天堂/開発・インディーズゼロ)

武器は付属の美文字ペン、これをもって世界をすくう旅にでる
とめ、はね、はらいといったスキルを駆使してたたかうのだ

戦闘システムがじつによくできている
さらさらときもちよく、毛筆気分で書くことができる
一画ごとの長さや傾き、画と画のバランスなどをそれぞれ100点満点で評価してくれる
書道の先生にみられている、という感覚がたしかにある
全3119文字について最適化した文字認識エンジンを構築したとか
とほうもない作業量だっただろう

いろいろなやりこみ要素があるが、「全文字挑戦」にいちばん独特のたのしさがある
3099文字を一字ずつひたすら書きつづけるというシンプルさゆえに奥がふかい
文字の世界は広大なのだ

字はおのれのこころをうつす鏡だ
うつくしい字を書くためには、こころをきよらかにし、おちつかせなければならない
おのがこころ、てごわい敵だ
すぐに意識はみだれ、字はくねくねとおどりだす
もっと戦闘をかさね、経験値をつめば楽になるのだろうか

いやいやかよわされていた習字教室のことをおもいだす
授業をさぼり教室のちかくの本屋でマンガのたちよみをしていた俺
おとなになったら自分から金をだして字の練習をするなんて
おかあさんごめんなさい
まじめにかようべきでした

最後のボス、それは幼少期のトラウマ
おかあさん、どうかゆるしてください
おとうさん、ぼくはもっとできるんです
ああ、なんてだめなぼく

ゲームオーバー
いつになったらクリアできるかな

参考資料:開発者インタビュー
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ジャンル : ゲーム

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国境をこえて ― ポール・グリーングラス監督作品「逃げのびた男」をみて

(1996年/イギリス/テレビ作品)
原題:The One That Got Away
邦題:ガルフ・ウォー スカッドミサイル爆破指令(苦笑)
[VHSにて鑑賞]

イラクの混乱も沈静にむかいつつあるといわれる今日、ひとびとのなかで1991年1月の湾岸戦争の記憶はうすれてしまったのだろう
だが遠い国でよその軍隊どうしがたたかった戦争でありながら、当時中学生だった俺にとって湾岸戦争の衝撃はいまだにきえていないとおもう
俺だけでなく、地球上のおおくのひとびとの世界観をかえたできごとではないだろうか
よきにつけあしきにつけ

イギリス陸軍の特殊部隊、特殊空挺部隊(SAS)の実際の作戦行動をえがく
イスラエルにむけられたミサイルを破壊するために敵前線の背後に潜入するというおそろしいもの
当事者であるアンディ・マクナブの手記がベストセラーになり、そのコールサインの「ブラヴォー・トゥー・ゼロ」の名で世界中の軍事オタクのあいだで有名な話だ
マクナブはイラク軍の捕虜になってしまったのだが、本作は「逃げのびた男」クリス・ライアンの視点で物語はすすむ
したがってリーダーだったマクナブの判断については批判的な描写がなされている
どちらがただしかったのかという議論はこの稿ではあつかわない

現在ハリウッドで活躍するポール・グリーングラスは、イギリス時代に「ブラディ・サンデー」(2002年)という傑作をのこしている
北アイルランドでおきた暴動事件(イギリス政府側からみて)を、手もちカメラを多用しドキュメンタリータッチでえがいた作品だ
「逃げのびた男」も、現実的でひえびえとした作風はかわらない
戦争まっただなかの敵地にたった8人で武装したまま潜入することのおそろしさは想像もつかない
チープなテレビ映画ではあるが、ひきこまれる魅力がある
もちろん西部劇だったら最後のピンチの場面で騎兵隊がやってくるし、現代の特殊部隊ものだったらふつうは航空支援で片がつく(ティアーズ・オブ・ザ・サンなど)
しかしこの作戦では通信手段に問題が生じ、完全に孤立
とほうもない孤独感だ

本作の主人公であるクリス・ライアンの精神、肉体のつよさが印象にのこる
いきのびるためには非情でなくてはならず、はぐれた仲間をみすてる判断をくだしたり、イラクの民間の老人を手にかけようともする
そしてまともな食料をもたないまま300キロを踏破し、8人のなかでライアンだけがシリア国境をこえた
その後軍務に復帰したが、イラクでの経験があまりに過酷で精神のバランスをくずしてしまったらしい
現在は小説家としてSAS隊員が活躍する力作をかいている

グリーングラスがアメリカで撮った「ボーン・スプレマシー」「アルティメイタム」「ユナイテッド93」もきらいではないのだが、イギリス時代のザラザラとしてとぎすまされた感覚はかんじられない
ハリウッドには世界中から人材があつまってくるわけだが、いざ引越ししてみるとその作品は本国のときより質がさがることがおおい
もちろんハリウッドのえらい人たちにとっては、あたらしい才能を輸血することでよい効果をもたらすのだが、じっさいの製作者やファンにとっては不幸な結果をうむ
映画にはローカルな視点が必要なのだ
どんなテレビ番組が放送されているのか、スーパーにはどんな商品がならんでいるのか、こどもたちのあいだでなにがはやっているのか、けっきょく外国人にはわからない
しかし映画ではそういうディテールが説得力につながる

才能あるひとびとがハリウッド帝国のグローバルな野望に翻弄されてほしくはない
かえるべき場所があるからこそ、兵士たちは危険をおかして国境をこえるのだ
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

サードパーティ、おわらないパーティ

みんなの常識力テレビ
第2回 地域別ランキング

岩手県 66.00点
長崎県 65.89点
滋賀県 65.87点
神奈川県 65.46点
東京都 65.43点

岩手県がV2達成(すごい)!われらが東京は5位に上昇!


最近はこれとWiiFitと美文字トレーニングを毎日やっている
ずいぶん健康的なゲームライフだ
おかげでソーマブリンガー、Wiiイレ、メトプラ、スマブラなどがすすめられない状況
俺はいちおうゲーム好きのつもりだが、トレーニング系のソフトもこれはこれでおもしろく、
ゲームとしての魅力がたいしてかわらないのなら、実のある方を優先してしまう
WiiFitのおかげでズボンがけっこうゆるくなった

この肥沃な市場を発見した任天堂は、あらたな開拓地を数年でひとりじめにしてしまった
サードパーティ(任天堂以外のパブリッシャーのこと)はそれを指をくわえてながめている状態
のろまなサードのせいで日本のゲーム市場はおそろしくいびつになってしまった


セガの岡村秀樹常務が同社の戦略をかたる

業績不振で最近も大規模なリストラ計画を発表したセガ
いいわけと願望に終始するゴミインタビューで、よむ価値はない

・Wiiが成功するとはおもわなかった
→DSブームを目のあたりにしてなにをいっているのだろう
・Wiiではゲームらしいゲームはうれない
→PS3でスマブラ、マリギャラ、トワプリ、ペパマリ、DQSよりうれてるソフトはひとつもない。正直くらべるのもおこがましいほど
・Wiiに「龍が如く」のような看板タイトルを投入するのはリスクがたかい
→開発費のかさむPS3でリリースする方がよほどギャンブルだ。膨大な宣伝費を投じたPS3「龍が如く」はあんのじょう大コケ。なんと前作から半減!(笑)
・「マリオ&ソニック AT 北京オリンピック」はうれた。セガもやるでしょ
→マリオをかしてくれた任天堂のおかげだろ

インタビュアーはちゃんとつっこんで責任を明確にすべきだ


ファミコン全ソフトカタログ

ファミコン世代なら時間をわすれてみいることうけあいの動画集
この時代も任天堂はつよいが、ナムコやコナミなどのサードパーティの存在感はいまとはくらべものにならない
あたらしい企画に挑戦せず、人材育成をおこたったことが原因だろう
もちろん動きはおそいとはいえ、「レイトン教授」のレベル5、「ルーンファクトリー」のマーベラス、「世界樹の迷宮」の新納一哉(現在はイメージエポック所属)、「ノーモアヒーローズ」の須田剛一(グラスホッパー)といった面々が注目され、業界の地図はすこしずつかわっている
その潮流がもっとはげしくなることをのぞむばかりだ
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テーマ : ゲーム
ジャンル : ゲーム

タグ: 任天堂 

真剣でまいろう ― Perfume 「Fan Service bitter」

Perfumeの魅力を存分にたのしむ
そのルックス、たのしいMC、中田ヤスタカによる楽曲のよさ、息のあったダンスなどをひとつにまとめた作品といえば、いまのところこのライブDVDしかない
まさに一家に一枚、年齢性別とわずにおすすめできる
とくに彼女たちのダンスはすばらしい
歌詞とこまかく連動し、知恵の輪のように複雑な振りつけ
ハイヒールでおどりながらも(外反母趾になりそう)、3人の動きはぴたりとシンクロする

あ~ちゃんはリーダー的存在で、天才的なMCの才能をもつ
広島弁をまじえつつ、「クリスマスは箱がとれなかった」とかぶっちゃけてくれてたのしい
パンチのきいた歌声の持ち主でもあり、歌唱のスキルはいちばんたかい
やんちゃなキャラだが責任感がつよく、大の泣き虫でもある

かしゆかはひたすら細く小顔で、小西真奈美にサイボーグ手術をほどこしたような魅力がある
あの体でよくはげしいパフォーマンスにたえられるものだ
歌声はほんわかとして、ライブでもつねに天使のほほえみをたやさない
まるでマンガやアニメの登場人物をみるかのよう
でもたまに毒をはく

のっちは普段はぼーっとしていて不安になるが、曲がはじまったとたんに色っぽくなる
「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」でのせつない表情がたまらない
瞳がこぼれおちそうなほどおおきく、ショートカットがよくにあう
声質は甘く濡れたひびきがあって、ようするに俺はのっちがいちばんすきだ
ダンスの力量は最高で、指のさきまでうつくしくおどる
セクシーな腰つきになやましい気分になる
おどりながらスマイルできる人間ならいくらでもいるが、目をよくみると苦しそうであることがおおい
のっちはきつそうなときでも「目がわらってる」のがすばらしい
目がでかいからそうみえるだけかもしれないが

このDVDをみてわかったのは、Perfumeはライブ会場で真剣勝負をいどんでいるということ
客に媚びてる気配はかんじられず、つねにエンターテイメントに徹している
アイドルとはいえ擬似恋愛の対象としてふるまう柄ではないし、もちろん女心の代弁者でもない
わかい娘たちが、「客をたのしませる」という形のないものにすべてを賭けていることに感動する

プロだから客をたのしませるのはあたりまえでしょ、とおもうかもしれない
しかし金をはらってきた観客に面とむかってたちむかうことは、吐き気をもよおすほどの重圧だとおもう
豪放磊落な印象のやしきたかじんでさえ、コンサート中の重圧で意識をうしなったこともあるとか
そして客席をまともにみれないのでつねにサングラスをかける
だから、たかじんより芸の未熟な少年少女たちはアイドル的な媚びをうりものにする
自称アーティストなら「わたしたちつらいわね、しあわせよね」といったきまり文句を連呼する
でもそれではたのしくないし、そんなのは芸ではない
Perfumeの異様にふかいお辞儀に、俺はきびしい芸の道をすすむ覚悟をかんじるのだ

ブレイク前のライブなので箱はかなり小さく、演出も素朴なものだ
スケールアップしたバージョンをこころまちにしながら、このDVDをたのしみたいとおもう

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天使たちの生存競争 ― 森永みるく「GIRL FRIENDS [1]」

森永みるくは「百合」に分類される漫画家だ
百合とは、女性同士の恋愛を題材とした作品と定義される
個人的にはジャンルなんてどうでもいいが、ジャンルあってこそ作品は成立するともいえる
ふざけたペンネーム(ひとのことはいえないが)に批評の舌鋒もにぶる

1日24時間紅潮していそうな頬、質量を放棄したかのようなさらさらの髪
湖よりもひろく、きらやかな光をたたえた瞳
絵にかいたような(?)美少女たちがコマをうめる
うつくしいものがうつくしいものをすきになり、またよりうつくしくなるという天使のループ
「友達以上、恋人以上」の関係にまきこまれた読者が、空の高みにまでいざなわれる

もちろんそんなものはきれいごとだという批判もあるだろう
彼女たちも腹部に排泄物をかかえ、それをまきちらす生物の一員にすぎない

別の視点で評価すべき面もある
高校生なのに服は母親にかってもらい、髪は母とおなじ近所の美容室できっていた、主人公のまり
そんなまりがあっこの影響でファッションにめざめていくところが読みどころだ
女の子はうまれついたときから、洋服への嗜好が遺伝子に刻印されているのだとおもっていた俺にはかるい衝撃だ
登場人物の地理関係がかかれているのがおもしろい
学校は市ヶ谷と九段下のあいだ
まりは北千住、あっこは錦糸町、すぎさんは麻布十番、たまみんは上石神井
通学手段は高校生の放課後において重要で、それをふまえながら話はすすむ
女性は地図が苦手ときくが森永にそれはあてはまらない
他愛ないかけあいがたのしいすぎさんとたまみんがクラスがえで退場し、あたらしい級友たちとあっさりといれかわるのがリアルだ
作者の登場人物への思いいれが意外とクールなのだ
いまの時代の文化は、浜崎あゆみ的な「喪失感」の表明が支配的だが、「GIRL FRIENDS」はそれとはちがう
できごとのランダム性と、それへの適応の物語とでもいえようか
ふしぎな作家だ

GIRL FRIENDS 1 (1) (アクションコミックス)GIRL FRIENDS 1 (1) (アクションコミックス)
(2007/12/12)
森永 みるく

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ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

ブサイク礼賛 ― 「アメリカを売った男」をみて

「スパイ」という言葉をきくとおもわず口の端にわらいがうかぶ
いい年した大人がかたるべき単語ではないというか
とはいえ、「冷戦終結後、リアリティをうしなったスパイ映画は下火になりうんぬん」なんて決まり文句もあるが、そんなのは嘘だとおもう
その日のニュースがなんであれ映画会社は作品をつくりつづけるし、観客は映画館に足をはこぶ(もしくははこばない)
そしてスパイ映画にむけられた冷笑をものともせず「ボーン・アイデンティティー」はヒットした
本家007もボーン流のスタイリッシュな作風をとりいれて成功し最高傑作なんていわれているらしい
(俺はダニエル・クレイグのボンドが大きらいなのだが、それはここではふれない)

ただボーンの成功はマット・デイモンの才能が原因とかたられがちだが、ちょっとまてといいたい
ペットショップで売れのこった子犬のような顔をしたデイモンは、ジョニー・デップにしか興味がない日本女性から無視されてるのに、わが国でもヒットした
ダグ・リーマンのみずみずしい演出と、敵役のクリス・クーパーのふてぶてしい演技の力ががおおきいと俺はかんがえる
かれらが2作目以降におおきく関わっていないので印象がうすいだけだ
そういや女性陣もフランカ・ポテンテとジュリア・スタイルズというブス顔をそろえてるからおそろしい
いや、ブスブスいってるのはけっして悪口ではないですよ?
とくにあのシリーズでのスタイルズさんは最高です
ブス顔の女優の方が愛着がわくんです
だからキーラ・ナイトレイの文芸物なんてみる気になりません

「アメリカを売った男」はそんなクーパーの主演作品
国家機密を20年以上ロシアにもらしていたという実在のFBI捜査官を演じる
ああクリス・クーパー、なんという悪人顔
いい顔のオヤジがでる映画が好物の俺にはたまらない
ペラペラのセットで撮った低予算映画ですが最後までたのしめました

ただちょっと題材がおもすぎたかな
よくリサーチはしてるけれど、フィクションをまじえづらくて苦労したようだ
二重スパイをした動機についてはほとんどかたってないからね
主人公のカトリック信仰を重要なテーマとして描いているが、ほとんど意義は感じられない
変なところをつっついたらすぐに政治問題になってしまうのがこの手の映画のこわいところ
だから最近の映画でアラブ系のテロリストとかよくでるけどほとんど印象にのこらないでしょう?

クーパーと、彼にたいして内偵をおこなうFBI職員のふたり(ライアン・フィリップとローラ・リニー)、フィリップの妻の心理劇を中心に物語はすすむ
ライアン・フィリップの上司役のローラ・リニーがいちばんよかった
ふだんはおっかないんだけど、「私は家族どころか猫を飼うこともできない」なんて女性らしい弱さをみせるシーンもあってうまかった
リニーさんはニューヨーク生まれの44歳
知性と経験が加味されて、女性がいちばん美しくみえる年齢ですね!
ごめんなさい嘘です

ピチピチお肌の美男美女がチュッチュしたりあは~んとかいう映画には興味がないので、役者たちの気合いのはいった演技にじっくりひたれる作品がふえるといいなと僕はおもいます
ジョン・クリストファー・デップ二世(45歳)を表紙にした雑誌なんてもういらないのです

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

美意識の勝利―かっこよすぎるストイコビッチさん(セルビア出身・43歳)

【第2節・浦和-名古屋/テレビ観戦】

臆病で時代遅れな3-5-2システムを糾弾し、美しく力強いサッカーを顕彰する当ブログ
そういう意味で浦和-名古屋戦には興味をひかれていた

浦和はトゥーリオが負傷、阿部をさげて中盤に細貝を起用
細貝はときにエレガントな立ちふるまいをする選手できらいではない
きょうも光るプレーを数回みせていた

名古屋はきれいなブロックを形成する4-4-2
中村と吉村が中央のスペースを埋めながら、マギヌンと元気のいい小川がサイドをねらう
両サイドバック(阿部翔平と青山)のフォローもはやく、サイド攻撃重視なのは誰の目にもあきらか
サイドをくずしたあとは長身のヨンセンに運命をたくす
監督にうまくのせられているのか玉田の調子もよく、前線をかきまわしていた
無駄のない戦術は美しいサッカーという実をむすぶだろう

14分のヨンセンのゴールは左サイドからマギヌンがあげたクロスによる
ヨンセンにたいするマーカーは阿部――トゥーリオがいれば堀之内の仕事だった
ポリバレントなんて言葉が一時期はやったが、気軽に配置がえをしていればこういう結果になることもある
微妙な勝負の綾というやつだ

ポストプレー、サイド攻撃、つまったらサイドチェンジ、そしてまたサイド攻撃
即興をまじえつつも基本はそのくりかえしで、それがかぎりなく有効だった
戦術的には、大きくて器用なヨンセンに依存しすぎなところをのぞけば完成度は最高だ

後半はさすがにホームの浦和ペース
名古屋DFの平均年齢はハタチそこそこで、この圧力下で守備をささえきれるか見物だった
(吉田麻也はほんとうにいい選手だ)
ところが68分、都築がレギュラー返上物のポカミスをして失点
いまの浦和にそこから攻撃をたてなおすエネルギーはなかった
これだからサッカーってやつは

あれは災害のようなもので浦和はべつに悲観することはないとおもう
オジェックはこの一週間なにも目にみえる手をうたずに――前節機能しなかった山田に指揮棒をゆだねた――連敗したが、それもひとつの選択ではあるだろう
「なにもしないこと」も、問題に対処するひとつの方法にはちがいない
でもどこまで我慢できるかな?

名古屋はひさしぶりに「生でみたい」とおもわせるサッカーをしていた
ストイコビッチさんさすがです
あんたのやりたいことはすでにチームに浸透してるし、おれにもつたわったよ

ピクシー

ようするにいいたいことは、
「ピクシーかっこいいいいいいいいいいいいいい」
やっぱ一流の男はちがうぜ

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テーマ : Jリーグ
ジャンル : スポーツ

やさしい独裁者―宮崎市定「雍正帝」

小学校の社会の授業でならった目安箱というものがある
徳川吉宗が庶民の意見を直接きくために設置したとか
俺はそんな寝言は信用しない
将軍一人ですべての投書を処理できるのか?
そもそも訴えが事実かどうかをたしかめるには役人の力をかりなければいけないのでは?
歴史の教科書なんてそんな与太話ばかりだ

ところが中国の皇帝が実際にそれをやっていたからおどろく

雍正帝は康熙帝の第四子として生まれ、後継あらそいの暗闘をへて45歳で即位
遅咲きゆえに期するところがあったのか、満州出身で政治的基盤の弱い清朝の負い目があったのか、理想的な政治をめざし世界史上でもまれなほど勤勉な皇帝となった
中国全土の役人たちに上奏文を提出させ、それにすべて目をとおして指示をだす
役人の汚職をきびしく罰し、奴隷を解放した
睡眠時間は4時間だったとか

しかしそこは大家たる宮崎市定、独裁政治の限界についてもふれる
独裁政治はその労が多いわりには報われないと
雍正帝の在位はわずか13年だったが、過労死だったという説もある
一国の政治をひとりでとりしきるなど、どんなに優秀な政治家でも肉体がもたないのだ
もうすこし長生きしたとしても、役人たちの不満が爆発しただろうと宮崎はいう
「政治家のリーダーシップ」がどうちゃらいうのが好きなどこかの国のジャーナリストたちがこの本を読んだことがないのはまちがいないね

これはナマケモノの俺には納得の結論だ
「いそがしい」が口癖で睡眠時間のみじかさをうれしそうに自慢する連中がいるでしょう?
そんなにいそがしいなら無駄口をたたかずに仕事をすればいいのに
ナポレオンの睡眠3時間は有名だが、皇帝がそんな生活をしてるからフランスはやぶれたのだ
だがそれがわかっていても、人はナマケモノであることに不安をおぼえるのだろうか

雍正年間は大きな対外戦争もなくて地味だが、読みおわるとこの変な皇帝に愛着がわいた

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ジャンル : 本・雑誌

電池を食べる男、中田ヤスタカ

音楽ジャーナリズムによると、小室、つんく以降空席だった「J-POPの王座」にちかぢか中田ヤスタカ(以下ystk)が座ることになるらしい
みじめったらしい救世主待望論だな
そううまくことが運ぶかよ馬鹿め
音楽業界の不振はウンコみたいな音楽をたれながしつづけた業界人たちの自業自得なのだ
まあそれはともかく、そこまで期待されるystkとはいったい何者なのかさぐってみた


Perfumeとystkの微妙な関係(ニコニコ動画)

今回のエントリのタイトルはPerfumeのかしゆかの証言に基づく
滑舌は悪いが服だの美容だのデザインだのystkワールドは全開
当時中学生だったPerfumeの緊張をほぐすのに苦労するなど、意外と気配り上手なところに感心
滑舌は悪いが


顔合わせの前に鈴木亜美をDJイベントに呼びつけたystk

かつて一世を風靡したアイドルに対して「プロデュースしてやるから俺のDJ見にこい!」
普通逆だろペーペーのくせに…
極楽とんぼ山本があこがれていたアイドルも下僕としてあつかうystk


愛用の機材について語るystk

意味不明なソフト名がならぶが、下のほうにystkの創作の秘密が

>僕は「曲を作りたくなる!!」という事は、曲作りが好きかどうかより、
>「そこに座って作業したくなるかどうか!?」が重要だと思うんです。
>自然とそこに座りたくなるような物を揃えるという。形から入ったほうが僕はいいと思います。

かっこいいystkの作業部屋


ystkのコード進行の秘密

ハ長調だかミヤコ蝶々だか知らないが、我慢して読むとまたystkを知るための鍵が

・テクノ系の曲でも、「A-B-サビ」という歌謡曲のフォーマットはくずさない
・単にノリノリにするのではなく、曖昧な調性を用いてせつないムードをかもしだす

既成のジャンルにおさまらない、むしろ「ジャンルはオレ」なystk
「職業は寺山修司」なみのインチキ臭さかっこよさ


さらにミュージックマガジン2008年1月号のインタビューでも、
「クリエイターはユーザーを馬鹿にしてる人が多い」「みんな本気でモノを作るべき」と吠えている
ようするに己の直感を信じる心の強さがystkの創作活動の源泉のようだ
ありきたりな結論でどうもすみません
みなさんも電池を食べて仕事にはげみましょう

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ジャンル : 音楽

今週の第11位は…!?―高島俊男「しくじった皇帝たち」

高島俊男はたぶん今の日本で一番の物書きだろう
本人も自らをもってそう任じてる気配がなくもない

新書サイズに日本の著述家のベストテンを列挙し解説を加える書物「座右の名文」は、
おそるべき書物ではあるが、そこに彼の文章の秘密が隠されてもいる
名著とは企業秘密を流出させてしまう諸刃の剣なのだ
ちなみに挙げられているのは、白石、宣長、鷗外、内藤湖南、漱石、露伴、津田左右吉、柳田國男、寺田寅彦、斎藤茂吉の10人(変なバイアスのかかっていない選択だこと)

いわく、
・10人はすべて学者で、よほどの天才は別として、学問のない者の文章は底が浅い
・その文章は専門分野にかかわるとはかぎらない(鷗外、茂吉は医者で、寅彦は物理学者だ)
・文章を書きはじめる前に研鑽をつんでいることがよい文章に結実する

これは無学者をありがたがる巷の文章観とはかなり性格が異なる
著者自身を第11位の文章家とみなす矜持を感じたとしたら、それはうがった見方だろうか?


さて、「しくじった皇帝たち」の話

二本立ての前半は「隋の煬帝」
いわゆる「中国史上最悪の暴君」を好意的に描こうという試み
父殺しはありえないと結論づける史料批判の手際が読みどころだ
一方で、誰々を殺した、贅沢をした、なんて一番派手で歴史書っぽく俗耳をひきやすい部分を、
「皇帝としてはまあふつう」とそっけなくまとめるあたりがいかにも高島だ

後半は「露伴『運命』と建文出亡伝説」
文豪露伴の最高傑作ともよばれ、その名文が評価される「運命」(明の建文帝の伝説を扱う)が、
じつはウソの史料の丸写しであることや、あとで事実を知った露伴のみっともない言い訳を指摘する
なにも知らない批評家たちの絶賛も槍玉にあげられていて意地悪な楽しみ方ができる

何か書くからには新説を立て、学問的に立証しつつも、練達の文章家としてたっぷりとユーモアを投入して読ませる高島の文章は今の時代にあって貴重なものだ
また新著も出たらしく早く読みたいものだ

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火曜日の近未来ニュース―ニューヨークの売春知事など

ニューヨーク州知事が夫人同伴で売春疑惑を釈明

こんな時にもカップルで登場するんだからアメリカ文化はすごいね
裏でヤってることもすごいけど

スピッツァー知事(民主党)は連邦検察当局の宣誓供述書の公表をうけて記者会見、
売春の事実は否定しなかった(ようするにヤっていた)

知事が参加していた高級売春クラブ「Emperor's Club VIP」(エンペラー笑)は、
アメリカ各地やロンドン、パリにも拠点を持ち、50人以上の売春婦が雇われてるとのこと
気になる料金は1時間あたり1000~5500ドル(けっこう柔軟な料金設定だ)
なんてうらやましい破廉恥で不道徳な知事なんだ!
スピッツァー氏は州司法長官時代、組織売春の取締りで知られていたとか
ミイラとりがミイラになるってほんとにあるんですね
このニュースのおかげでprostitution ringなる言葉を覚えました
クラブの方、いつでも勧誘してくださいね!
当方1時間50ドルくらいならギリギリ払えます


ダウンロード専用サービスのWiiウェア、9タイトルで3月25日スタート

注目タイトルはこの辺りかな↓

Dr.Mario&細菌撲滅 任天堂 1000ポイント
みんなのポケモン牧場 ポケモン 1000ポイント
小さな王様と約束の国FFCC スクエニ 1500ポイント(高いぞ自重しろ)
もじぴったんWii バンダイナムコ 1000ポイント

とりあえずドクマリ&細菌撲滅をDLしてみようかな
∞プチプチ(バンナム)やテトリス(ハドソン)など、今後もバラエティが増えるそうなので楽しみ

今はDSのソーマブリンガーをやってる
Act.4まで進んだので、クリアしたらレビューしてみるつもり

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テーマ : 気になったニュース
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変な本、ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ』

サブタイトルは「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」
わかりやすいような、そうでもないようなタイトルだ
原題はFooled by randomness: The hidden role of chance in life and in the markets
(ランダム性にだまされて-人生と市場における偶然性の隠れた役割)
やはりこっちの方がいい
この本ではビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの成功は運によるものにすぎないと斬って捨てるが、
著者はべつに彼らの悪口を言いたいわけではなく(それも少しはあるかもしれないが)、
「偶然」の果たす役割の大きさをなかば学問的に、なかば雑談風に宣伝する本だからだ
運ってすごい!偶然ばんざい!能力なんて屁の河童!
だから、金融市場に興味がない俺でも楽しく読めた

預金残高がさびしい俺がなんでこの本を買ったのかというと、
本屋で中身を見たとき、ポパーについて面白い記述があったのに気づいたからだ
数理系トレーダーのくせに意外と教養があるらしい
「ポパーの私生活は非ポパー的だった」とか冷めた書き方をしてるのがいい
あんなに立派で民主的ないい本を書いてるのだが、ポパーほど嫌な奴はそういない
あと自称哲学者のジョージ・ソロス(一応ポパーの弟子)はポパー哲学を投資に応用し大儲けしたが、
彼の書く本はポパーに遠く及ばないゴミであることも書いていてニヤリとした
悪口たっぷりの本って好きだなあ!
皮肉や悪口が一文ごとに顔を出し、話題もあっちこっちに飛ぶある種の悪文だが、
一方で哲学・文学的な裏打ちも感じられ、実に個性的だ

悪文と書いたが、たぶん翻訳が悪いんだと思う
同じ訳者の「ヤバい経済学」も楽しめたが、読みやすい訳ではなかった
俗語を多用してカジュアルな訳文を狙っているんだろうが、つながりが悪く読みづらい
アメリカのオジサンに日本の若者言葉を使わせるのは勘弁してほしい
日曜洋画劇場的な滑稽さを感じさせないことが翻訳者の重要な仕事の一つだ

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妙にクオリティが高いWii「みんなの常識力テレビ」 (常識あふれる岩手県民の謎)

DS版がけっこう好きだったので買った
礼儀作法なんかも含めて幅広い常識がクイズ形式で出題される
動画、写真、音声が豊富で楽しい
ロクでもないタレントがウロウロしてるテレビのクイズ番組より百倍マシではないかな
自分の得意・苦手分野の判定ができる
俺が苦手なのは「マナー」(苦笑)
しかも「まじめ」が43%で「あそび」が57%…ふまじめですいません…
でも「あそび」の数値が高いとお姉さんが私服に着替えてくれてうれしい
よくわかってるじゃないか!任天堂!
スーツ姿のお姉さんもいいんだけどな!

WiFiで配信される全国常識力診断の結果は…

1位 岩手県(67.64点)
2位 岡山県(66.37点)
3位 京都府(66.29点)

我らが東京は7位(65.58点)だった
いちおう首都なんだし今後も上位をキープしたいものだ
岩手は2位に1点以上差をつけてるのがすごい
サンプルが少ないだけかもしれないが…(笑)

1日20分程度のプレイ時間で終わるのもいい
香水の種類なんてこんなソフトでもないと覚えられないし
まあ、女性相手の話題が増やしたいという下心はともかく、
大学生くらいの若者は上司とか年配の人との話題を仕込めるのでおすすめ
それにしてもWiiFitと常識力テレビのセットで、頭と体の両方を鍛えられるようになってしまった!
Wiiはすごいハードだな

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ジャンル : ゲーム

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映画は今も藪の中 「バンテージ・ポイント」

3連発で更新。最初から飛ばしすぎかな(笑)

映画「バンテージ・ポイント」を観た
一言でいえば「羅生門」系の作品
大統領狙撃事件をめぐり、時間が行きつ戻りつしながら、かみ合わない複数の視点から物語が進む
黒澤明の影響が大きいハリウッドではこの手の映画は多い
最近でも「ダウト」なんて映画がそうだった
映像のトリックが使い放題で、映画向きの題材なんだと思う

デニス・クエイドが意外とよかった
「過去に傷を持つシークレット・サービス」なんちゅうベタな役を普通に演じていたが、
話の筋が複雑なので、男くさい彼が出てる場面は安心して見てられていい
他にもフォレスト・ウィテカー、ウィリアム・ハート、シガニー・ウィーバーと、
キャストの平均年齢が高くてうれしくなってしまう

あ~若手は「LOST」のマシュー・フォックスが出てた
でもTVドラマには疎いのでピンとこなかった
映像表現はイマイチで悪い意味でテレビっぽい印象
スペインが舞台なのにもったいない
スペイン名物を食べるシーンを入れるだけでも観光気分が味わえてお得なのに

とはいえアクションシーンのキレもよく、敵役のテロリストもよくある大馬鹿者ではなく、
アクション映画好きなら十分楽しめる作品だ

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「攻めない」というリスクを負ったオジェック

忘れない内に土曜日にTV観戦した試合についても書いておこう
横浜対浦和だ
またも戦術面をふりかえりたい

フォーメーションは「3-5-2」同士の対戦だ
正確に言うと3-4-1-2
この組み合わせだと、前線でも中盤でも守備側が一枚余る
これだとボール回しを楽しめないことが多い
もちろん両サイドは1対1の闘いだから、そこが見所だとも言える
しかしそんなのは机上の空論だ!
WBが裏を取られたら一気にゴールラインまでえぐられるわけで、誰もそんなリスクは犯せない
たいていのWBは常に自分の後ろのスペースのことを気にしながらプレーする
監督や味方選手に怒られてまでオーバーラップしたくはないのだ

土曜の試合では、小宮山対平川、田中対相馬の対決が見られた
総じてほぼ互角ではあったが、横浜の方がやや押していたと言える(特に横浜右サイドの田中)
結果もそれを反映したものになった
(小宮山のゴールで横浜勝利だが、ロニーが出場停止をくらう)
負傷欠場のアレックスがいれば展開は違ったかもしれない
戦術的に見るべきところはほとんどなかったが、
本職ではない山瀬と松田を中盤の底に並べた横浜の方が面白味が感じられた
なかなかオシャレな配置だし、山瀬の適応力にも感心させられる

浦和のトップ下は山田で、ほとんど機能しなかった
浦和の背番号6を過小評価するつもりはないが、彼がボールを持っても攻撃は活性化しない
梅崎を起用した方が面白かったのではないか?

開幕戦だというのに昨日の浦和には変化が感じられなかった
俺はオジェックがひたすらリスクを嫌うサッカーでACLを制したのは高く評価している
だが何年もそれを続けられても困ってしまう
高原だってDFが一枚あまってれば止められる
相馬や平川が相手なら逆に押し込むことだってできる
驚きや意外性のないサッカーでは停滞し、いずれ追い抜かれる
オジェックが攻撃のオプションをどう増やすのか注目していきたい

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苑田 健

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