『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』

仲谷鳰『幸せは傷のかたち』

 

 

エクレア あなたに響く百合アンソロジー

 

作者:仲谷鳰 のん 伊藤ハチ 缶乃 めきめき ほか

発行:KADOKAWA 2016年

[ためし読みはこちら

 

 

 

百合の舞台は、音楽室が似つかわしい。

昨年11月に出たこのアンソロジーでは、仲谷鳰が舞台にえらんだ。

少女たちの愛憎が、バロック音楽の様な対位法でえがかれる。

 

 

にしお栞『クリーンルームの涙』

 

 

音楽室は、はげしく淫らな性愛のための隠れ家でもある。

こちらは即興で鍵盤を叩きつけるフリージャズ。

 

 

天野しゅにんた『人間的なエモーション』

 

 

漫画のジャンルのなかで百合はもっとも詩歌にちかいため、

しばしば「象徴主義」的な手法がもちいられる。

不器用な娘がヘアアイロンで友人を火傷させる『人間的なエモーション』は、

恋愛感情が沸点をこえた瞬間が、「火」のイメージによって網膜に焼きつく。

 

 

めきめき『1/365のご主人様』

 

 

めきめき『1/365のご主人様』のふたりは、アップルジュースを口移し。

蜜より甘いネクタルが、全身をとろけさせる。

 

 

伊咲ウタ『かみゆい』

 

 

『サヤビト』『現代魔女図鑑』の伊咲ウタは、これが百合漫画初挑戦。

本書の白眉だろう。

おしゃれな「チカ」の編みこんだ後ろ髪から、16ページの短篇がはじまる。

 

 

 

 

チカの気になる相手は同級生の「カオル」。

伸ばしっぱなしだが、つややかでうつくしい黒髪が特に。

髪をしばらせてほしいと申し出て、距離をちぢめる。

 

百合漫画とはすなわち、対比の妙だ。

些細なちがいが制服の少女をきわだたせ、立ち姿さえエロティックにする。

睦みあうのが必然とおもわせる。

 

 

唯野影吉『GAME OVER』

 

 

百合漫画をロック音楽にたとえるならハードコアパンク。

女と女とゆう似て非なるものがつかの間交錯し、火花と飛沫をちらす。

うつろなミニマリズムのなかへ世界をとじこめる。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

松本ひで吉『境界のミクリナ』2巻

 

 

境界のミクリナ

 

作者:松本ひで吉

掲載誌:『少年マガジンエッジ』(講談社)2015年-

単行本:マガジンエッジコミックス

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人間界を支配しにきたロリ魔女っ娘のミクリナが、

いつの間にやら人間界に順応した日常をえがくコメディ。

きょうも火責め(サウナ)やら水責め(水風呂)やらで大騒ぎ。

 

 

 

 

夏祭り回では、物体移動の魔法を披露。

ラムネの瓶からビー玉を抜き出し、幼女を笑顔にする。

このネタは、カバー下の謎ポエムの伏線なのでお見逃しなく。

 

 

 

 

腐れ縁の魔女仲間「インゲル」が登場。

ミクリナとちがい魔力がたかく、大人の姿に華麗に変身したり。

 

ちなみに「フドーさん」と言うのは、「不動産」が人名だと勘違いし、

あらゆる土地を所有する権力者と思いこんでいる。

 

 

 

 

インゲルはミクリナが大好き。

特にぷにぷにのほっぺが。

1巻にくらべて百合成分を増量!

 

 

 

 

16話に出てくる「椎名リサ」。

偏差値80超えの天才で、メカを自在にあやつる。

つねにお菓子を食べてるなど、キャラ造形がキマっている。

 

 

 

 

こちらは日曜朝のアニメ『プリティ☆モモカ』のヒロイン。

デザインは普通だが、『さばげぶっ!』ファンにとってうれしいネーミングだ。

 

 

 

 

松本ひで吉は、短距離のスプリントをくりかえして主導権をにぎる、

サッカー選手にたとえるならギャレス・ベイルの様な作家だろう。

だいぶとっ散らかっている本作だが、1話ごとの中身は濃く、

笑いのあとで不意に泣かせるカウンターアタックが炸裂する。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  ロリ 

桜井瑞希『いつか私は、君を裏切る』/石見翔子『しょーがくせいのあたまのなか』

 

 

きらら系コミックを2作紹介しよう。

まづは桜井瑞希『いつか私は、君を裏切る』(ためし読み)から。

女子高校のドロドロした人間関係がひきおこす事件を、

小柄で小生意気な「ウイコ」が探偵となって真相をあばくミステリ漫画。

JKが正面切ってJKを断罪する。

 

 

 

 

『フォワード』連載なのもあり、きららにしては鬱展開満載。

美少女たちの醜い内面を目の当たりにし、ウイコは呆然とした横顔をみせる。

 

 

 

 

本作は横顔が印象的。

うつくしい横顔同士がむきあえば、必然的にキスへ発展する。

百合とゆうミステリーがますますふかまってゆく。

 

 




 

 

つぎに石見翔子『しょーがくせいのあたまのなか』(ためし読み)。

アニメ化された『かなめも』につづく作品で、舞台は小学校。

おへそのチラリズムがまぶしい。

 

 

 

 

おきにいりキャラは、黒髪ポニーテールで清楚だが毒舌な「ふたば」。

連れションの変態性など、女子小学生のエロスを曝露する。

 

 

 

 

小学校はスキンシップの機会がひっきりなし。

まじめに授業をうけてるだけなのに、彼女らは禁忌の快感に身悶える。

 

 




『いつか私は、君を裏切る』

 

 

女学生はお人形の様に愛くるしいのに、いやだからこそ、

毒々しく自堕落な本性が僕らの目に際立って見える。



テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック  ロリ  百合 

蟹丹『かわずや』

 

 

かわずや

 

作者:蟹丹

掲載サイト:『コミックNewtype』(KADOKAWA)2016年-

単行本:角川コミックス・エース

 

 

 

恰幅のいいカエルが店主をつとめる、片田舎の駄菓子屋を舞台とする漫画。

女子高生の「ゆう」がアルバイトではたらいている。

 

 

 

 

ゆうは雨宿りをしているとき、カエル店長に傘を貸してもらい、

その人柄(?)に魅力を感じて仕事を手伝うことにした。

 

なぜ店長がカエルの外見なのか作中で語られないが、

描き込みが緻密で、ひとつの世界観として成立している。

 

 

 

 

カエル店長には子供がいる。

妻とは死別したらしい。

ゆうが幼子をあやす姿は結構サマになっていて、

カエル店長とは夫婦みたいな雰囲気となる。

 

題材こそ『だがしかし』や『のんのんびより』などと共通だが、

あまりドタバタしないノスタルジックな作風が印象的。

 

 

 

 

特に深刻な事件はおきず、ゆったり物語はすすむ。

プールでカエル店長に乗ったり、季節ごとのイベントを満喫。

 

 

 

 

ふたりの関係が具体的に進展したりはしないが、

黒髪ショートのJKが好みなら、感情移入しながら読めるだろう。

 

 

 

 

本作は蟹丹の初連載。

もともと同人活動で活躍していた様だ。

ゆるいと言えばゆるいが、これも東方世代の特徴かもしれない。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

板倉梓『間くんは選べない』

 

 

間くんは選べない

 

作者:板倉梓

掲載誌:『月刊アクション』(双葉社)2016年-

単行本:アクションコミックス

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主人公の「間くん」は、印刷会社につとめる26歳のサラリーマン。

これまで恋人はいたことがない。

要するに童貞。

そんな感じのラブコメだ。

 

 

 

 

仕事でつきあいのある「里見さん」にダメもとで告白したらOKされる。

ついに「彼女いない歴=年齢」卒業。

初デートは代官山。

そんなに気合いのはいった服装じゃないけれど、

おろしたてのワンピースを着て来てくれたのがうれしい。

 

 

 

 

出版関係者らしく本屋に立ち寄ったふたりは、

北欧ミステリーの話題などで打ち解けてゆく。

 

全体的に趣味がよく、細部の描写にこだわりがあり、

なにげないシーンでも読者に奥行きを感じさせる。

こんなカップルいるかもと思わせる。

あいかわらず超安定の板倉印だ。

 

 

 

 

実は間くんは二股をかけていた。

LINEで里見さんに告白したあと、その返事を待っている時期に、

電車で酔っぱらいに絡まれるところを助けたのがきっかけで、

女子高生の「鏡香」と仲良くなっていた。

 

作者の必殺技、吊り目ショートカット女子。

こんなJKそうそういねえよと思うが、わかってても抵抗不能。

 

 

 

 

鏡花は無表情だが、まじめで一途。

かすかな顔つきの変化に気持ちがあらわれるタイプ。

つまりかわいくて、いいコ。

里見さんにフラれると思いこんでいた間くんは、慕ってくる鏡香を遠ざけられない。

 

鏡香はボーイッシュなコーデ。

背伸びしてないのが高校生らしく好印象だが、

人生初のデートのため慎重に服を選んだらしいのもつたわる。

 

 

 

 

間くんは、誠実か優柔不断か残酷かよくわからない性格で、

品定めするかの様に、鏡香を里見さんのときとおなじ書店へつれてゆく。

美大をめざしている鏡香は、高価なテキスタイルの本を手にとる。

 

女子の描き分けの巧さは、この作者ならでは。

読者は若くピュアな鏡香に感情移入しながらストーリーを追う。

 

 

 

 

端正かつ可憐な絵柄が最大の強みである一方で、

人間の営みについて回る「セックスや暴力」から目をそむけないのが、作者の特色。

お茶を濁さない。

いくらでもごまかしが利きそうな画力の持ち主なのに。

 

男の仕打ちがひどすぎたり、ゆるふわラブコメに見せかけてエロかったり、

居心地わるさを感じるときもあるけれど、そもそもそれが作風でもあって、

板倉梓の集大成になりそうな予感がしなくもない第1巻だ。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 板倉梓 
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