中山敦支『うらたろう』5巻

 

 

うらたろう

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

ヒロインであるちよの死から一年を経て、第二幕「回生篇」がはじまる。

うらたろうは、ちよの生首を鞄にいれて旅をする。

爆散した肉体をすべて拾い集めて復活させるために。

 

7つに別れたちよを探す旅に出るとかいう

ドラ○ンボールとキ○肉マンをくっつけたような展開に

色んな意味で驚かされます

ちよはバッファローマンにバラバラにされたミートくんだった・・・?

 

アマゾンレビュー

 

あまりに純粋に週刊少年ジャンプ的すぎて、

かえってジャンプに受け容れられなかった中山ならではか。

 

 

 

 

恋人の死を経験した、うらたろうの性格は反転。

他者をいつくしみ、生命を大切なものとみなす様に。

中山作品の主人公らしくなった。

 

でも、僕は信者にちかいファンだからあえて言うけれど、

これまでの4巻はなんだったんだろうとおもう。

うらたろうは「共感しづらいキャラ」として登場したので、

読者との距離がちぢまらないまま話はすすむ。

 

 

 

 

第二幕に花を添えるのが「もがり」。

色仕掛けの直後に悪態をつく慌ただしさがおかしい。

 

 

 

 

遺体を奪い合うライバルが「平六代(たいらのろくだい)」。

ちよの兄である。

 

 

 

 

六代は人形としてちよを愛玩するのが目的。

ネクロフィリアとインセストの混淆は、玄妙なあじわいだ。

 

 

 

 

乳母の死体を愛した、幼少期のエピソードもかたられる。

「母性への屈折した感情」とゆう、作者にとり重要なテーマがうつくしく再浮上。

 

 

 

 

以上の引用画像はすべて見開き2ページ。

ストーリーは迷走ぎみで、修正不可能なレベルにおもえるが、

作者のイラストレーター的技量をたしかめられる点では、読む価値がある。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

『そしてボクは外道マンになる』2巻に鳥嶋和彦登場

 

 

そしてボクは外道マンになる

 

作者:平松伸二

掲載誌:『グランドジャンプPREMIUM』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックスGJ

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

初連載ながら成功した『ドーベルマン刑事』は三年めに入り、

担当編集者が後藤広喜から、鳥嶋和彦へかわる。

のちに伝説の編集者と称される鳥嶋だが、当時はまだヒットを飛ばしてないはず。

 

ジャンプ編集部における不和がそれとなく描かれる。

70年代のジャンプは、本宮ひろ志的な熱血路線まっしぐらであり、

ヴィジュアル重視の鳥嶋は不遇をかこっていたとか。

なお集英社における世代間抗争は、西村繁男『漫画王国の崩壊』にくわしい。

 

 

 

 

鳥嶋は尋常でない毒舌家だった。

初対面の作家にむかい、師匠である中島徳博の『アストロ球団』をバカにしたり、

カラーイラストが暑苦しすぎてセンスないなどと、言いたい放題。

 

誇張もあるにせよ、インタビューなどでつたわる鳥嶋の人柄からそう遠くない。

 

 

 

 

鳥嶋がかんがえたテコ入れ策は、ハードな『ドーベルマン』のラブコメ化。

平松は、新キャラである婦警さんのデザインをすることに。

ここで伝説の「ボツ地獄」がはじまる。

 

いかに作家に無駄弾を撃たせて、いかに何度もダメ出しをして、

最後には作家に「自分は他人よりなにが優れているか」を悟らせるか、

これに尽きるんだね。

 

編集の側から「こうすればいい」とサジェスチョンしても、

結局は作家の身にならない。

作家自身に自分で気づかせる以外にないんです。

ということは、編集の仕事は短時間に的確にダメ出しを

繰り返すことに尽きるんだよ。

まあ、技術論のレベルでの指導もしていくわけだけどね。

 

対談での鳥嶋の発言

 

鳥嶋による冷酷なダメ出しの連続は、戦略的なもの。

徒弟制度風だった漫画編集の仕事をモダナイズしたのが、彼の功績だろう。

 

 

 

 

結果、不振だった『ドーベルマン』の人気は復活する。

話してみると、鳥嶋が意外と人情を解するのもわかった。

 

以降の鳥嶋の業績を箇条書きすると、こんな感じ。

 

・鳥山明や桂正和などの漫画家を発掘

・「ジャンプ放送局」「ファミコン神拳」などの企画ページを編集

・ジャンプ作品をアニメやゲームとクロスオーバーさせる

・漫画単行本を洗練されたデザインへ変更

・『ドラゴンクエスト』『クロノ・トリガー』の座組を準備

・『Vジャンプ』創刊

・低迷期のジャンプの再建

 

日本のサブカルチャーにおける、最大の貢献者かもしれない。

 

 

 

 

鳥嶋はいま、白泉社の代表取締役社長をつとめている。

平松が自伝漫画の内容をチェックしてもらいにゆくと、

いい年して相変わらず毒舌だったとゆうオチがつく。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

若木民喜『キング・オブ・アイドル』

 

 

キング・オブ・アイドル

 

作者:若木民喜

掲載誌:『週刊少年サンデー』(小学館)2017年-

単行本:少年サンデーコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

『神のみぞ知るセカイ』などで知られる若木民喜の新作は、アイドルもの。

主人公の「遥名まほろ」は養成学校へ入り、頂点をめざす。

 

 

 

 

本作には、ほのかなSF/ファンタジー風味がある。

まほろの声には魔力があり、人をあやつれる。

「道を空けてください!」と叫ぶと、人混みがザッと左右に分かれたり。

 

 

 

 

もう一つのまほろの秘密は、男であること。

性別を偽ってまでアイドルになろうとするのは、

養成学校のシステムでホログラムを生成し、若死にした母親と再会したいから。

しかし寮生活で隠し通すのは無理があり、ルームメイトの「瀬奈」にバレてしまう。

 

 

 

 

まほろは女装趣味の持ち主ではないので、下着は男物。

転ぶとダサいトランクスが丸見えで、かえって危険だったりする。

 

 

 

 

女の子のかわいさに定評ある作家であり、アイドルものとの相性は抜群だ。

愛くるしく親しみやすいと同時に、独特の艶のある絵柄を、読者は堪能できる。

 

 

 

 

異性への興味が薄いまほろは、スケベ心ゆえ女子寮に潜入したのではない。

ところが、なぜか歌をうたうとビンビンに勃起する習性があり、

マジメな瀬奈の拒絶反応を誘発し、そのたび大騒ぎに。

このギミックをこの絵柄で描かれると、破壊力がある。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 男の娘 

金田一蓮十郎『ゆうべはお楽しみでしたね』4巻

 

 

ゆうべはお楽しみでしたね

 

作者:金田一蓮十郎

掲載誌:『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2014年-

単行本:ヤングガンガンコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

レアモンスターとのエンカウントである。

ゴローさんの友人である「あやの」が、パウの職場へ押しかけてきた。

ちょっと話したくらいで、全然親しくないのに。

 

 

 

 

ことわりきれず、仕事終わりに食事をすることに。

あやのは手を握ってきたり、あきらかに気がある。

 

 

 

 

「場所」を変えようとラブホテルへ誘われる。

ゴローさんを好きなくせにズルズルと流されるパウだが、

彼氏がいるとあやのが前に言ってたのを思い出し、問い質す。

 

あやのは今の彼氏に不満があって、もっといい人をさがしていた。

結婚前提で付き合えそうな。

でも独り身になるのが一番嫌なので、保険をかける意味で粉をかけてきたわけ。

 

こうゆう人となりを、あえてカタカナ三文字で表現するなら「ビッチ」なのだが、

孤独を感じたくないとゆう女心を匂わせる人物造形が巧みだ。

 

 

 

 

パウに泣きつかれたゴローさんは、クレーム処理のためあやの宅を訪問。

脈ナシだから、もうパウへちかづくなと。

ところがあやのは女のカンで、パウのことが好きなのかとたずねる。

もし好きなら手を出さないとも言う。

こう見えて自分は、恋愛より友情を優先するから。

 

あやのにはあやのなりの行動規範がある。

お邪魔虫から一転、恋のキューピッドに。

 

 

 

 

ゴローさんがどう返答したか、はっきり描かれない。

翌朝の洗顔中のモノローグで婉曲的に表現。

とにかく本作のヒロインは、引き返せない状況におかれた。

 

 

 

 

晴れてパウとゴローさんは恋仲に。

決してみじかくない物語における決定的な瞬間(いわく大型アップデート)を、

キスシーンとかではなく、なにげない一言ですます定石外しに感服。

神業とすら思える。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

小花オト『幽霊の正体見たり、枯れ頭。』

 

 

幽霊の正体見たり、枯れ頭。

 

作者:小花オト

掲載誌:『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)2016年-

単行本:ビッグガンガンコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

主人公の「法霊崎 帝(ほうれいざき みかど)」は高校生だが、霊媒師でもある。

午後6時の公園に幽霊が出没するとの噂をきき、お祓いをしに来た。

 

 

 

 

幽霊の名は「花」。

天真爛漫な銀髪の美少女である。

あかるい性格で、だれからも好かれそうなタイプ。

 

 

 

 

しかしその正体は、ハゲのオッサンだった。

孤独死した運命を恨み、遊び相手をもとめて夜の公園を徘徊する。

外見がオッサンのままだとキモがられるので、美少女に化けていた。

 

 

 

 

やや出オチぎみの1話につづき、2話では花が転校生として登場。

ドタバタ学園オカルトコメディとしてエンジン全開だ。

 

幼なじみキャラの「恋鐘(こがね)」は、1巻であまり見せ場がないが、

小柄・ポニテ・八重歯・関西弁など属性てんこ盛りで吸引力あり。

 

 

 

 

美少女/オッサンの外面/内面ギャップで、のべつ笑わせる。

かわいらしい絵に似合わず、ギャグは切れ味するどい。

 

 

 

 

繊細かつ流麗な描線と、コロコロした可憐さを両立させた絵柄は、

なもり(『ゆるゆり』作者)などの影響を感じさせる。

女子同士のイチャイチャしか描けないあちらより、作風は幅広いかも。

 

 

 

 

IQ200の天才科学者である、先輩の「ステラ」。

いつも目の下にクマをつくっており、しかも巨乳。

作者は新人だが、女の子の描き分けについてはすでにマエストロだ。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 健

苑田 健
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイヴ
09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03