中山敦支/小高和剛『ギャンブラーズパレード』

 

 

ギャンブラーズパレード

 

作画:中山敦支

原作:小高和剛

掲載誌:『週刊少年マガジン』(講談社)2018年-

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中山敦支の新連載は、ゲーム畑の小高和剛による原作つき。

『アストラルエンジン』『オフサイドを教えて』は秀作だし、

中山は作画のみ担当の場合でも、いい仕事をする。

 

僕は完璧な作品リストをしらないけど、講談社の雑誌には初登場かな。

(いわゆるウェブコミックでは描いている)

 

 

 

 

テーマはギャンブルである。

主人公の「花梨」は、疫病神といわれるほどの不運体質で、

勝負事にまったく向かないが、高額の賭けにまきこまれる。

 

極限状況をえがくのが得意な中山にふさわしいテーマかもしれない。

花梨の心理描写など、迫力がみなぎる。

 

 

 

 

10万円の負けとなりかけた花梨に、救い主があらわれる。

クラス担任の「蜘蛛手(くもで) 渚」。

ギャンブルをはげしく憎み、ギャンブルによってギャンブラーの殲滅をはかる。

中山ファンなら『ねじまきカギュー』のカモ先生を思い出すだろう。

 

矛盾をかかえこんだ、この蜘蛛手の人物造形は、

死をもとめて戦う『うらたろう』の延長線上にある。

どうも『カギュー』以降の中山作品は、すっきりしない。

 

 

 

 

太く荒々しい描線が中山の特色だが、本作ではますます太い。

『オフサイドを教えて』で試みていた、ポップな画風を指向している。

 

気になる点をあげるなら、主人公のキャラや、画面全体の緊迫感のよわさ。

確信もって、主人公とならんで突っ走ってゆく快感がない。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

飴野『高嶺の花はウソツキです。』

 

 

高嶺の花はウソツキです。

 

作者:飴野

発行:一迅社 2018年

レーベル:百合姫コミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

「ギャルJK×清楚OL」の百合漫画だ。

左が17歳の「巡(めぐる)」、右が24歳の「雪帆」。

本来なら接点をもたないふたりだが、

電車で痴漢にあう雪帆を助けたのがきっかけで、親しくなる。

 

 

 

 

巡は外見こそギャルだが、性格は素直。

やさしく包容力のある雪帆に惚れこみ、仔犬みたいになつく。

雪帆にしても妹ができた様なもので、あれこれ相談にのる。

 

 

 

 

しかしある日、巡はラブホテルから出てきた雪帆をみかける。

相手はいかにもチャラそう。

ヒマだったので、たまたまナンパしてきた男に体をゆるした。

 

 

 

 

いても立ってもいられず、巡は疑問を直接ぶつける。

雪帆さんはそんな人じゃないのにおかしいと。

それに対し雪帆は、不機嫌な暗い表情をみせる。

自分の清楚な外見や、やさしい言動は、すべて作り物だったとあかす。

あなたと遊んでやったのも、ただの暇つぶしだと。

 

 

 

 

だまされたと知った巡は怒り、動揺する。

でも幻滅すればするほど、自分がいかに雪帆に執着してるかに気づく。

もう引き返せない深みにまで。

本気で好きだから、こんなにつらいんだ。

 

 

 

 

作者は別名義でBL系の単行本をだしてるが、雑誌連載は本作がはじめて。

キラキラまぶしい正統的少女漫画風の絵柄は、百合姫ではやや異色かも。

自分の気持ちに正直な、巡のまっすぐなふるまいが印象的で、

どきどきしながらストーリー展開をたのしめる、1巻完結の名作となっている。





テーマ : 百合漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  百合姫コミックス 

仲谷鳰『やがて君になる』6巻

 

 

やがて君になる

 

作者:仲谷鳰

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2015年-

単行本:電撃コミックスNEXT

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ながく引っぱってきた生徒会劇がはじまる。

主演は燈子である。

死別した姉への思いが、彼女を舞台へ駆りたてた。

 

 

 

 

2話にわたり、劇の一部始終を再現する。

はっきりいって冗長だ。

ただでさえ淡白な作風なのに、この空虚さは耐えがたい。

 

とはいえ侑がチョップをくりだすところとか、きらりと光る瞬間はある。

 

 

 

 

にも言ったが、本作はすでに「セリフつきのイラスト集」となっている。

むしろセリフのないページがいい。

扉絵とか。

象徴主義的な手法が、めざましい効果をあげる。

 

 

 

 

僕が気にいったのは、カバー下の4コマ。

作者は主要キャラ全員の誕生日をあかし、

燈子と侑は先輩後輩なのに、2か月も離れてないのをネタにする。

 

おまけにするには勿体ない会話だ。

逆にいうと、本篇の価値がいまいちわからない。

 

 

 

 

34話は、本作ではおなじみの飛石のある川で、

「攻守逆転」となる重要なシーンが演じられる。

 

光と風の繊細な描写。

瞳にうつる川面。

表情の対比。

しんとした時間と、だしぬけな運動。

たかぶる感情。

 

仲谷鳰の画風は誇張がすくない。

少女漫画みたく背景で花が咲き乱れないし、男性むけのサービスもない。

でもこれは、漫画における少女のうつくしさの表現の、まさに極致だろう。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

尾崎かおり『金のひつじ』2巻

 

 

金のひつじ

 

作者:尾崎かおり

掲載誌:『月刊アフタヌーン』(講談社)2017年-

単行本:アフタヌーンKC

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駆け落ち同然に、継は東京へやってきた。

祖父が経営するコロッケ屋ではたらきはじめる。

 

 

 

 

ブログなどでの作者の発言にふれない訳にゆかない。

どうやら1巻の売上が芳しくなく、本巻の初版部数が相当しぼられたらしい。

講談社編集部とケンカしたのを匂わせてもいる。

 

いじめというテーマが暗すぎたと作者は分析する様だ。

 

 

 

 

作風の刷新をはかっているのだろう。

『神様がうそをつく。』『人魚王子』は、思春期女子の視点からえがかれる、

みづみづしくも切迫した世界観が異彩を放っていた。

本作ではより視野をひろげ、群像劇に接近している。

主人公の継もふわっとした印象で、近作みたくピリピリしてない。

 

アーティスト魂が、過去作品のコピペを拒絶するわけだ。

 

 

 

 

それでも、継が夜に観覧車に乗るところはすばらしい。

僕は観覧車のシーンをいろいろ見てきたが、この浮遊感はあざやかとおもう。

 

つまり、過渡期の作品なのだ。

 

 

 

 

ボクシングのプロテストで失敗した優心が、シャワー室で無力感に崩れる。

たしかにここには、未知の風景がある。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 尾崎かおり 

大見武士『かみくじむら』

 

 

かみくじむら

 

作者:大見武士

掲載誌:『アワーズGH』(少年画報社)2018年-

単行本:YKコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

失業中の青年「永瀬」が、旅先で倒れる。

ふと目覚めたら見知らぬ場所で、着物の少女「ミナ」に介抱されていた。

 

大見武士は、たくさんの単行本がある中堅作家だが、

本作では、「和」をモチーフにした表現を工夫している。

 

 

 

 

こちらはミナの姉である「エリ」。

村のリーダー的存在で、楚々としてうつくしい。

 

電力すら通らない孤立したこの村は、村長をのぞくと女しか住んでない。

つまりハーレムである。

 

 

 

 

村長は、カルト宗教の教祖みたく崇拝されている。

エリをふくむすべての女は、老いた村長によろこんで身をゆだねる。

 

西洋的で近代的な一夫一婦制の道徳に、

いかがわしい風習を対置する、和風エロティックサスペンスだ。

たとえば最近でも、原つもい『この島には淫らで邪悪なモノが棲む』が、

単行本9巻をかさねるヒットとなるくらいの人気ジャンルだが、

本作はあちらでは寸止めだったエロ描写が全開で、読者の期待にこたえる。

 

 

 

 

永瀬は、村長から後継者になるよう要請される。

しかし表情からわかるとおり、村長は悪巧みに引っかけようとしている。

ハーレムをタダで受け継げるなんて、そんなうまい話はころがってない。

 

 

 

 

永瀬とエリが愛し合うシーンは、作者お得意の甘い雰囲気がたっぷり。

ただ背景事情に問題があるので、ほろ苦いあじわいがある。

アルファベット3文字で言うとNTRだ。

 

 

 

 

こちらのショートボブの女は「フタバ」。

エリをライバル視しており、永瀬にもキツくあたる。

 

永瀬は村の掟を笠にきて、フタバを力任せに支配する。

くわしくは単行本をみてもらうとして、対比のきいた煽情的なシーンとなっている。

とにかくエロスの描写に気合いがはいっており、読みごたえは抜群だ。





テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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苑田 謙

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