須藤佑実『みやこ美人夜話』

 

 

みやこ美人夜話

 

作者:須藤佑実

発行:祥伝社 2018年

レーベル:フィールコミックス

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謎めいた和装の美女「ミヤコ」を狂言回しにすえた、

京都を舞台とするオムニバスである。

いわゆる作者買いだが、今回も満足させられた。

 

 

 

 

第2話だけは、時代設定が1950年代。

お座敷遊びが好きな映画女優と、不器用な舞妓の交流をえがく。

高峰秀子あたりをモデルにした様な、きっぷのよさが印象的だ。

 

 

 

 

須藤佑実は昭和の女も描けるし、現代の女も描ける。

お団子ヘアでバカっぽい「美咲」のグダグダトークとかたのしい。

 

 

 

 

蓄膿症と診断された美咲は、急遽手術することに。

入院先で白衣の天使と出会う。

スカートのナース服なんて古風だが、実はこの服装が伏線だったりする。

 

 

 

 

ノスタルジックだけどベタベタしない、稀有な作風。

表情、しぐさ、ファッションへのこだわり。

「短篇の名手」「珠玉の短篇集」などと形容されるだろうけど、

また『流寓の姉弟』の様な長篇も読みたい。





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須藤佑実『ミッドナイトブルー』

『花が咲く日』

 

 

ミッドナイトブルー

 

作者:須藤佑実

発行:祥伝社 2016年

レーベル:フィールコミックス

ためし読み/同作者の『流寓の姉弟』の記事

 

 

 

7作をおさめる短篇集だ。

ストーリーはどれも練りこまれ、流れる様に読者をいざなう。

繊細さと親しみやすさが同居する絵柄とあいまって、

この作者独自の世界観をかたちづくっている。

 

結論を言うと、大傑作だ。

 

 

 

 

冒頭の『箱の中の想い出』が白眉とおもう。

居酒屋で偶然再会した、教師と元生徒。

5年前に卒業した元生徒は、ひそかに教師にあこがれていた……。

そんな典型的な恋愛モノのプロットに、「整形手術」とゆうテーマをからめ、

ミステリ仕立ての複雑なあじわいにしている。

 

 

『今夜会う人』

 

 

『流寓の姉弟』と同様に、作風は総じてノスタルジック。

そして寓話的でもある。

バーではたらく「キツネ目の女」がフックになってたり。

 

 

 

 

『白い糸』は、大学の女の先輩と男の後輩の話。

出会ったとき先輩はナース服を着ていた。

服飾系のサークルでモデルをつとめてたとか。

 

あざやかなセンスで情景を切り取り、浮遊感をもたらす。

 

 

 

 

『流寓の姉弟』で子供の世界をえがいた須藤は、

本書収録の『ある夫婦の記録』で、奇妙な夫婦のカタチを提示。

 

まだ単行本は2冊めだが、作風は幅広い。

 

 

 

 

あえて俗なレッテル貼りをすると、「現代文学」風の作品群と言えるが、

女子や風景のうつくしさで、漫画のポテンシャルを最大限にひきだす。

この眼差し、髪、服装。

だれが須藤佑実より魅力的な短篇を描けるのだろう?





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須藤佑実『流寓の姉弟』

 

 

流寓の姉弟

 

作者:須藤佑実

発行:小学館 2014年

レーベル:ビッグコミックス

 

 

 

過疎の村をとびだした、霊感もつ7歳の少女をめぐる物語。

作者は新人だが高橋しんのアシスタントだった)、才気あふれる1巻完結の佳品だ。

 

 

 

 

主人公は20歳の女子大生、「大谷湊(みなと)」。

15年ぶりに母との再会をはたした。

遺体として。

自由奔放だった母はキレイなまま死んだ。

 

 

 

 

かえりの電車で「夏希」と「冬希」、さわがしい姉弟とであう。

迷子なのか、家出なのか。

ネックストラップにつけている鍵を、いつのまにとられた。

不思議な娘だ。

 

 

 

 

座敷わらしみたくアパートへ侵入、強引に居候となる。

迷惑ではあるが、ドタバタ生活はたのしくなくもない。

すくなくとも心の空白はうめられた。

 

 

 

 

すぐ交番へとどけでるが、ちょうど警官がいなかったり役にたたない。

国家権力の手のとどかない異次元に、姉弟はいる。

 

 

 

 

親戚をなのる数人がひきとりにきたが、話の辻褄があわない。

夏希らは父母をさがしてるとゆうのに、なぜ当人がこないのか。

子供のウソかとおもったが、事情はもっと複雑らしい。

 

 

 

 

こちらはとなりの部屋にすむ「純子ちゃん」。

姉弟となかよくなり、学校サボって海へつれだつ。

 

 

 

 

純子が海にきたのは、ライフセーバーだった父の面影をもとめて。

錐体内出血が原因でおぼれた。

 

ほとんどの登場人物が家族をうしなった経験をもつが、

それぞれのエピソードにひねりがきき、あざとく感じない。

 

 

 

 

夏希はつよく念じると、過去へもどることができる。

 

 

 

 

それは超自然的能力か、姉弟だけで共有する幻想か、はっきりしない。

どちらかといえば後者とにおわされ、せつない。

 

 

 

 

ふたりはかしこい子供で、ひと月まえに家族でピクニックにいったとき、

両親が土砂災害にまきこまれて死んだのは理解している。

ひとさわがせな家出は、ピクニックのつづきをしてるだけ。

だれもせめられない。

 

 

 

 

夏希が霊感をそなえるのは、村の信仰とかかわりがあった。

開発計画にからみ、ファンタジックな衝撃が鎌首をもたげる。

 

 

 

 

女の子のかわいらしさは当世風だが、

漆原友紀などとくらべ遜色ないノスタルジアもすてがたい。

なにより、大切なものを大切におもう気持ちが、作中にみちる。

須藤佑実……みのがせば後悔するだろう才能だ。




流寓の姉弟 (ビッグコミックス)流寓の姉弟 (ビッグコミックス)
(2014/08/29)
須藤佑実

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