環望『ソウルリキッドチェインバーズ』

 

 

ソウルリキッドチェインバーズ

 

作者:環望

掲載誌:『アワーズGH』(少年画報社)2016年-

単行本:YKコミックス

[『ウチのムスメに手を出すな!』の記事はこちら

 

 

 

眼下に群がるゾンビ。

幼い少女は義足についた刃で、けだるそうにそれを斬る。

荒廃した22世紀を舞台とする作品だ。

 

 

 

 

少女の名は「ロッテ」。

富豪の娘らしく、ガイドを雇って荒野を探索している。

 

 

 

 

バイオハザード的な災厄にみまわれた世界は、「死者の遊園地」とよばれる。

義足から放たれた砲弾が貫通する描写など、どことなくユーモラス。

 

 

 

 

粗暴な別の人格に支配された少女のアクション。

釣瓶みたいに命綱をつかい、ゾンビの群れの中へガイドを落とす。

 

 

 

 

30年のキャリアがある環望の作品は、密度が濃い。

ちょっとした建物の表現などにうならされる。

 

 

 

 

世界観や物語は、ちょっと詰めこみすぎかも。

ガスマスクをつけたおしゃべりなテディベア「ルイーゼ」や、

思想家アイン・ランドへの言及などについて、ここで簡潔にまとめられそうにない。

漫画ブログ泣かせだ。

僕はくわしくないが、ヴィジュアルで牽引するタイプの作家なのだろう。

 

 

 

 

とにかく「濃い」としか言えない。

『君の名は。』を見て、その通俗性に心底ウンザリしたあなたに、

この漫画らしい漫画を解毒剤として処方しよう。





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大森葵『シルシア=コード』

 

 

シルシア=コード

 

作者:大森葵

掲載誌:『月刊Comic REX』(一迅社)2016年-

単行本:REXコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

ツノと翼としっぽが生えた悪魔っ娘が、主人公の「カナタ」。

正確に言うと、主人公がプレイしているオンラインゲームのアバター。

 

……おっと、「SAO的なアレね」と安直にカテゴライズするのは、まだはやい。

 

 

 

 

まづ主人公は男である。

ネトゲ廃人の姉にすすめられ、「アルトアトラス」とゆうゲームをはじめた。

 

そんな作品の象徴として悪魔っ娘になってもらった主人公カナタ君ですが、

ギャルでないとなかなかビジュアルを前面に押し出しにくいという

昨今の大人の事情をクリアしつつ主人公を前面に押し出して描ける!

というのが個人的には非常にうれしい所ではあります。

 

作者ホームページより

 

作者がネトゲをテーマにえらんだのは、流行ってるからでなく、

むしろ時代の要求に抵抗するための戦略。

 

 

 

 

デフォルメとコントラストが利き、かつ情報量の多い絵柄でえがくバトルもみどころ。

大森葵はファンタジー系の作家で、凝ったデザインをたのしめる。

 

 

 

 

本作最大の特色は、現実と虚構の境界がないこと。

なにかを企む運営者により、ホログラム技術でゲームの内容が街へ投影される。

プレイヤーはアバターのまま現実世界で生きることに。

 

 

 

 

学校にも通う。

中の人が男と知られてるから、スカートはめくり放題。

ちなみに二人組ロリも中身は男だ。

 

ほかにネトゲを題材に、虚実を曖昧にしてえがく漫画は、

「アバターも人間」の烏丸渡『NOT LIVES』があり、バトルが熱い傑作だ。

くらべて本作のギミックは、学園モノとの親和性がたかい。

 

 

 

 

サブプロットとして、病弱な少女「雛花」への淡い恋心が語られる。

治療のため引っ越してから、もう三年会ってない。

 

 

 

 

ゲームのなかで再会。

少年少女の初恋は、百合へクラスチェンジ。

 

……ほら、カテゴライズしづらい漫画でしょ?






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亜麻木硅『STAINLESS NIGHT』

 

 

STAINLESS NIGHT

 

作者:亜麻木硅

発行:富士見書房 1994-5年

レーベル:富士見コミックス

[DLsite.comのページはこちら

 

 

 

「リニア」と名乗るメイド服の少女。

家事を手伝うアンドロイドだが、名前以外の記憶がない。

 

 

 

 

暴漢に襲われたところを、ロボットオタクの「沙弥加」に保護された。

女の外見をしたはぐれドロイドは性犯罪の対象となりやすい。

 

 

 

 

リニアは非合法のブローカーにより改造されていた。

具体的に言うと「ふたなり」に。

目覚めたとき特殊機能が誤作動をおこし、沙弥加の処女を奪ってしまう。

 

20年以上前の成人向け漫画なので、描き込みの少なさなどに時代を感じるが、

亜麻木硅は当時においても絵が「白かった」。

むしろすべすべした女体の優美さなどを、現代の作家は見習うべきだろう。

 

 

 

 

リニアの開発者たちの支援、封印された能力を利用しようとする巨大企業、

その命令を受けてリニアを追うアンドロイドとの闘いなどが描かれる。

 

近未来SF、学園もの、ふたなり、百合……。

全2巻16話にギチギチに詰めこんでいる。

 

 

 

 

それでも本作が忘れがたいのは、恋愛感情の切なさゆえ。

道端でひろったロボットに、一時的な慰めでなく、本当の愛をもとめる沙弥加。

誠心誠意それに応えようとするリニア。

 

 

 

 

「三原博士」と、そのアンドロイド「サヤ」の絡みでは、

愛情のこもったフェラチオなどを成人向け漫画らしく丁寧に描写。

 

 

 

 

マスターの精を浴びて悶える様子がいじらしい。

近未来エロ漫画の白眉だろう。

 

 

 

 

戦闘中に、固定されていたカチューシャ状の器具が外れ、

リニアはすべての記憶と機能をとりもどす。

純情可憐なアンドロイドは、最後まで沙弥加に忠実に、愛と正義に殉じる。

うつくしい物語だ。

 

亜麻木硅は、「百合」が人口に膾炙するはるか前から(つまり『マリみて』以前)

ヘテロ中心のエロ漫画誌で百合にこだわり続けた作家だ。

ジャンル面での先駆性もふくめ再評価されてほしい。






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大堀ユタカ/伊達将範『re:teen 繭の中でもう一度10代のキミと会う』

 

 

re:teen 繭の中でもう一度10代のキミと会う

 

 

作画:大堀ユタカ

原作:伊達将範

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2015年-

単行本:電撃コミックスNEXT

[ためし読みはこちら

 

 

 

近未来的なデザインの飛行機が、「コクーン」と称される、

澄浜市に突如あらわれた謎のドームへ突入をはかる。

 

パイロットは「我高往路(がたか おうろ)」。

階級は二尉だから、自衛隊かそれに準ずる組織に属すらしい。

映画『ガタカ』になぞらえたネーミングは、本格SFを期待させる。

 

 

 

 

オーロはコクーン発生以前、澄浜市に住んでいた。

不幸な事故で親友を亡くし、思い出すだけで胸が掻き毟られる土地だ。

コクーンへの侵入は、トラウマと向き合うとゆう意味をもつ。

回想シーンが熱い。

 

 

 

 

思い出すのは、12歳の「ヒメ姉」などと遊んだ日々。

特にその眩しい水着姿が目に焼きついている。

 

勝ち気で、つるつるぺったんなヒメ姉は、文句なしにカワイイ。

あれ、でもこれ、本格SFじゃなかったっけ。

 

 

 

 

昏睡から目覚めた24歳のオーロは、機体に映る顔をみて目を疑う。

そこにいるのは11歳の自分。

 

 

 

 

ヒメ姉も、あのころと変わらない可憐さと、ツンデレぶりで登場。

コクーン内部は、事故で仲良しグループがバラバラになる前日の澄浜だった。

 

 

 

 

壮大な歴史改変ミッションがはじまった。

まずは、ヒメ姉の豪邸へ忍びこみ回線を借りる。

ロミジュリばりの大胆さにヒメ姉は戸惑う。

子供っぽいパジャマが恥ずかしいし、オーロの写真まで飾ってるから。

 

 

 

 

女子は、光の速さで成長してゆく。

1歳上だったら、大人と子供みたいなもの。

でももし、男子の中身が24歳だったら。

ヒメ姉はすばやく着替えてオーロを迎え入れるが、主導権を握られっぱなし。

 

幼なじみを口説き落とすため駆使されるタイムリープ。

「ロリータSF」とゆう新ジャンルの誕生に、ぼくらは胸を躍らせる。






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あずま京太郎/日向寺明徳『サクラブリゲイド』4巻 クロースアップ

 

 

サクラブリゲイド

 

作画:あずま京太郎

原作:日向寺明徳

掲載誌:『月刊少年シリウス』(講談社)2014年-

単行本:シリウスKC

ためし読み/以前の記事→1巻/2巻/3巻

 

 

 

本作は「巨大ロボットもの」なる、ファンに不平屋が多い非生産的ジャンルで、

単行本4巻を重ねるなど独自の地位を築いた。

 

「女の子がかわいい」とゆう飛び道具のおかげである。

この場面は、背中の傷の下に埋め込まれた「セカンドナーヴ・システム」の検査。

月経と、ロボット操縦の関係についても語られる。

女子をいっぱい出すための、取ってつけた様な設定が既成事実化してゆく。

 

 

 

 

前巻であずま京太郎は、ロボットバトルに官能性をもちこむのに成功。

つづく4巻の視覚的テーマは「アップ」だ。

一瞬の表情を切り取り、ラブコメ気分に点火する。

梓のバストショットが彩る表紙もすばらしい。

 

 

 

 

上陸許可をもらい、バイクと車にわかれてお出かけ。

二人乗りする桜と梓をみつめる雛の横顔にハッとする。

幼くて天真爛漫で、色恋と縁のない性格に変化が生じた。

風になびく、いわゆるアホ毛もいい。

漫画的リアリティの最上の部分がここにある。

 

 

 

 

アメリカ海兵隊のパイロット、「リリアナ・アスキス少尉」と遭遇。

星条旗を連想させるストライプのニーソックス。

メカニックデザインの弱さを、女子のデザインでおぎなう。

お尻へのこだわりも増強されている。

 

 

 

 

本作は「敵」がはっきりしなかったが、

リリアナ少尉は主要キャラクターなみの存在感をしめしだした。

キーワードは百合である。

バスケ対決のあとの心の通い合いがうつくしい。

 

 

 

 

戦闘描写もアップで迫る。

二度目となる海兵隊との対戦で、ついに敵も人型ロボットを導入。

 

 

 

 

リリアナのドリルが、雛が操縦する「改人」の装甲を穿つ。

メカの硬さと重量感と、女子のやわらかさと可憐さがクロースアップされる。






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