綱島志朗『人狼機ウィンヴルガ』/中村卯月『エンゲージ バレル』

 

 

『人狼機ウィンヴルガ』(チャンピオンREDコミックス/Kindleストア)は、

ジンキシリーズなど巨大ロボット漫画に定評ある綱島志朗の新作。

 

 

 

 

主人公は、赤い瞳と銀髪をもつ「真白」。

暮らしていた平和な町が武装集団に襲われ、囚われの身となる。

 

 

 

 

妹の様にかわいがっていた幼い「マイ」はレイプされ、残酷に殺される。

アマゾンレビューを見ると、「凌辱シーンは気持ち悪くて見てらんない」

「性に対しての綱島さんの考えに毎度少しだけ引いてます」

「綱島先生は何処へ向かっているのか?」など、

本作の性描写に対し批判的な意見がおおく寄せられている。



 

 

 

 

中村卯月『エンゲージ バレル』(YKコミックス/Kindleストア)は、

第一次世界大戦風の戦場から脱走した兵士「フリッツ」の物語。

 

 

 

 

空腹のあまり森で倒れていたところ、近くの村にすむ「アンナ」に救われる。

極限状況で出会った男女の心の交流がテーマだ。

これまで学園モノがおおかった作者は絵柄を大幅にかえ、

異国の風景・衣装・軍装などをきめこまかく描写する。

 

 

 

 

ひとり暮らしをしていたアンナとの共同生活がはじまる。

実は彼女は体を売って生計を立てていた。

きびしい情勢でほかに手段はないし、恥じるつもりもないが、

それをフリッツに知られるのは辛いことだった。



 

 

 

 

言うまでもなく、現実世界で国家間の戦争は減少傾向にある。

つまり戦争はオワコン化してるのだが、あいかわらず物語の題材として好まれる。

殺伐とした戦場や、剣呑な兵器が、女たちをよりうつくしく引き立てるからか。



関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: ロリ  近未来 

あずま京太郎/日向寺明徳『サクラブリゲイド』6巻

 

 

サクラブリゲイド

 

作画:あずま京太郎

原作:日向寺明徳

掲載誌:『月刊少年シリウス』(講談社)2014年-

単行本:シリウスKC

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

5巻が出たのを見逃してたら、この漫画えらいことになってた。

世界の軍事を牛耳る組織「アルカディア」の実態があきらかになる。

ヒトラー・リンカーン・ゲバラ・スターリン……。

古今東西の偉人のクローンが組織をうごかしていた。

 

 

 

 

次巻予告に「すべてにケリをつける」とあるので、7巻で完結らしい。

クライマックスにむけバトルにつぐバトルである。

 

『サクラブリゲイド』の戦術は、ロボット3体で「鼎団」を編制し、

「指揮・近接戦闘・狙撃」の三要素を組み合わせたもの。

ボトムズ的なザラザラした戦闘描写が魅力だ。

ちなみに狙撃手の「恵」は、コックピットでライフルを操作している。

 

 

 

 

恵は、アルカディアのエースによる狙撃で重傷を負う。

6巻時点で明言されないが、「白い死神」ことシモ・ヘイヘのクローンらしい。

 

 

 

 

技術的な理由で、鼎団の男女比は「1:2」となっている。

かわいい女子がいっぱいで華やかなのが嬉しいが、

物語が過酷さを増すにつれ、うつくしくも悲壮な表情をみせる。

 

 

 

 

「幕末の剣聖」こと男谷信友のクローンも参戦。

友人が斬られるのを目撃した「桜」は激昂する。

神経が接続されているロボットに、心身が汚染されてゆく。

 

 

 

 

ヒトとロボットの激烈な相互作用の果てに、暴走がはじまる。

『サクラブリゲイド』には、このジャンルの醍醐味がつまっている。

 

 

 

 

しかし、命をやりとりする深刻なドラマが佳境をむかえるなか、

本作のアイデンティティである、おっぱいやお尻への執着が薄れてきた。

両立の困難さは理解できるが、やはり残念におもう。





関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 近未来 

環望『ソウルリキッドチェインバーズ』

 

 

ソウルリキッドチェインバーズ

 

作者:環望

掲載誌:『アワーズGH』(少年画報社)2016年-

単行本:YKコミックス

[『ウチのムスメに手を出すな!』の記事はこちら

 

 

 

眼下に群がるゾンビ。

幼い少女は義足についた刃で、けだるそうにそれを斬る。

荒廃した22世紀を舞台とする作品だ。

 

 

 

 

少女の名は「ロッテ」。

富豪の娘らしく、ガイドを雇って荒野を探索している。

 

 

 

 

バイオハザード的な災厄にみまわれた世界は、「死者の遊園地」とよばれる。

義足から放たれた砲弾が貫通する描写など、どことなくユーモラス。

 

 

 

 

粗暴な別の人格に支配された少女のアクション。

釣瓶みたいに命綱をつかい、ゾンビの群れの中へガイドを落とす。

 

 

 

 

30年のキャリアがある環望の作品は、密度が濃い。

ちょっとした建物の表現などにうならされる。

 

 

 

 

世界観や物語は、ちょっと詰めこみすぎかも。

ガスマスクをつけたおしゃべりなテディベア「ルイーゼ」や、

思想家アイン・ランドへの言及などについて、ここで簡潔にまとめられそうにない。

漫画ブログ泣かせだ。

僕はくわしくないが、ヴィジュアルで牽引するタイプの作家なのだろう。

 

 

 

 

とにかく「濃い」としか言えない。

『君の名は。』を見て、その通俗性に心底ウンザリしたあなたに、

この漫画らしい漫画を解毒剤として処方しよう。





関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: ロリ  近未来 

大森葵『シルシア=コード』

 

 

シルシア=コード

 

作者:大森葵

掲載誌:『月刊Comic REX』(一迅社)2016年-

単行本:REXコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

ツノと翼としっぽが生えた悪魔っ娘が、主人公の「カナタ」。

正確に言うと、主人公がプレイしているオンラインゲームのアバター。

 

……おっと、「SAO的なアレね」と安直にカテゴライズするのは、まだはやい。

 

 

 

 

まづ主人公は男である。

ネトゲ廃人の姉にすすめられ、「アルトアトラス」とゆうゲームをはじめた。

 

そんな作品の象徴として悪魔っ娘になってもらった主人公カナタ君ですが、

ギャルでないとなかなかビジュアルを前面に押し出しにくいという

昨今の大人の事情をクリアしつつ主人公を前面に押し出して描ける!

というのが個人的には非常にうれしい所ではあります。

 

作者ホームページより

 

作者がネトゲをテーマにえらんだのは、流行ってるからでなく、

むしろ時代の要求に抵抗するための戦略。

 

 

 

 

デフォルメとコントラストが利き、かつ情報量の多い絵柄でえがくバトルもみどころ。

大森葵はファンタジー系の作家で、凝ったデザインをたのしめる。

 

 

 

 

本作最大の特色は、現実と虚構の境界がないこと。

なにかを企む運営者により、ホログラム技術でゲームの内容が街へ投影される。

プレイヤーはアバターのまま現実世界で生きることに。

 

 

 

 

学校にも通う。

中の人が男と知られてるから、スカートはめくり放題。

ちなみに二人組ロリも中身は男だ。

 

ほかにネトゲを題材に、虚実を曖昧にしてえがく漫画は、

「アバターも人間」の烏丸渡『NOT LIVES』があり、バトルが熱い傑作だ。

くらべて本作のギミックは、学園モノとの親和性がたかい。

 

 

 

 

サブプロットとして、病弱な少女「雛花」への淡い恋心が語られる。

治療のため引っ越してから、もう三年会ってない。

 

 

 

 

ゲームのなかで再会。

少年少女の初恋は、百合へクラスチェンジ。

 

……ほら、カテゴライズしづらい漫画でしょ?






関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 近未来  ロリ 

亜麻木硅『STAINLESS NIGHT』

 

 

STAINLESS NIGHT

 

作者:亜麻木硅

発行:富士見書房 1994-5年

レーベル:富士見コミックス

[DLsite.comのページはこちら

 

 

 

「リニア」と名乗るメイド服の少女。

家事を手伝うアンドロイドだが、名前以外の記憶がない。

 

 

 

 

暴漢に襲われたところを、ロボットオタクの「沙弥加」に保護された。

女の外見をしたはぐれドロイドは性犯罪の対象となりやすい。

 

 

 

 

リニアは非合法のブローカーにより改造されていた。

具体的に言うと「ふたなり」に。

目覚めたとき特殊機能が誤作動をおこし、沙弥加の処女を奪ってしまう。

 

20年以上前の成人向け漫画なので、描き込みの少なさなどに時代を感じるが、

亜麻木硅は当時においても絵が「白かった」。

むしろすべすべした女体の優美さなどを、現代の作家は見習うべきだろう。

 

 

 

 

リニアの開発者たちの支援、封印された能力を利用しようとする巨大企業、

その命令を受けてリニアを追うアンドロイドとの闘いなどが描かれる。

 

近未来SF、学園もの、ふたなり、百合……。

全2巻16話にギチギチに詰めこんでいる。

 

 

 

 

それでも本作が忘れがたいのは、恋愛感情の切なさゆえ。

道端でひろったロボットに、一時的な慰めでなく、本当の愛をもとめる沙弥加。

誠心誠意それに応えようとするリニア。

 

 

 

 

「三原博士」と、そのアンドロイド「サヤ」の絡みでは、

愛情のこもったフェラチオなどを成人向け漫画らしく丁寧に描写。

 

 

 

 

マスターの精を浴びて悶える様子がいじらしい。

近未来エロ漫画の白眉だろう。

 

 

 

 

戦闘中に、固定されていたカチューシャ状の器具が外れ、

リニアはすべての記憶と機能をとりもどす。

純情可憐なアンドロイドは、最後まで沙弥加に忠実に、愛と正義に殉じる。

うつくしい物語だ。

 

亜麻木硅は、「百合」が人口に膾炙するはるか前から(つまり『マリみて』以前)

ヘテロ中心のエロ漫画誌で百合にこだわり続けた作家だ。

ジャンル面での先駆性もふくめ再評価されてほしい。






関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  近未来 
最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 健

苑田 健

掲示板『岩渕真奈 閃光の天使』
も運営しています。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -
月別アーカイヴ
02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03