松本ひで吉『境界のミクリナ』

 

 

境界のミクリナ

 

作者:松本ひで吉

掲載誌:『少年マガジンエッジ』(講談社)2015年-

単行本:マガジンエッジコミックス

ためし読み/同作者の過去記事

 

 

 

その幼女の名は「ミクリナ」、職業は魔女である。

人間界を征服するため魔界からきたが、どうも勝手がちがう。

物珍しがられるわ、見たことない乗り物に轢かれるわ。

 

 

 

 

魔女たちは400年まえに迫害され、魔界へ逃れた。

満を持して復讐戦を開始したのはいいが、時はすでに中世ではない。

近代技術を手にした人間は、超自然的なものを恐れない。

 

 

 

 

自分の侵略計画はいったいなんだったのか。

途方に暮れるロリ魔女に、超テキトーな女子高生「榎本さん」が宿を提供。

人間は残酷だと聞いていたミクリナは拍子抜け。

 

現代人は神のかわりに、百合とゆう宗教を信仰している。

 

 

 

 

マジメで頑張り屋さんなミクリナの人柄が、本作の魅力。

いいところを見せようと魔法をつかったら、

榎本さんは驚くどころか、溜息つきながら一言「ショボ……」。

 

 

 

 

それでもミクリナはめげずに現代日本を飛び回る。

 

松本ひで吉は、ギャグの切れ味が売りの作家だが、

ネタだけでなく絵でも勝負できるほど上達。

 

 

 

 

5話に登場する、ミクリナの姉「キルケ」。

侵略が順調かどうか確かめにきた。

商店街で「文明の衝突」がおきる。

たとえばラーメン屋で、キルケがコショウの缶をみて驚愕。

中世ヨーロッパでコショウは、黄金にひとしい価値があるから。

 

オカルトマニアの作者は、知識をたくみに現代風俗へ溶けこませる。

確固たる「世界観」をもつのが、ひで吉先生の強み。

 

 

 

 

7話に出てくる、眼帯ツインテ中二病少女の「畑中さん」。

ミクリナは畑中さんを本物の魔女とおもい、畑中さんはミクリナをコスプレとおもう。

噛み合うようで噛み合わない会話がおかしく、

「コメディ寄りの設定ね」なんてセリフが笑いのツボを串刺し。

 

かわいく、エキセントリックで、案外中身もある唯一無二の世界。

鬼に金棒、魔女にホウキ、松本ひで吉に画力。






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タグ: 松本ひで吉  ロリ  百合  眼帯女子 

柳原満月『軍神ちゃんとよばないで』2巻

 

 

軍神ちゃんとよばないで

 

作者:柳原満月

掲載誌:『まんがタイムファミリー』『まんがホーム』(芳文社)2013年-

単行本:まんがタイムコミックス

ためし読み/1巻の記事

 

 

 

もし上杉謙信がうざかわニートだったら、とゆう戦国4コマは、

『まんがホーム』への出張を挟みこんで、9か月で第2巻が出陣。

 

 

 

 

表紙を見てもわかる様に、2巻のテーマは「お尻」だ。

やわらかでハリのある膨らみに触れたら、荒馬だっておとなしくなる。

 

 

 

 

2巻のストーリーは、兄妹が争うお家騒動。

グータラでブラコンな少女が、支配権を確立してゆく。

 

 

 

 

ニート設定と史実とのあいだの齟齬が、無視できないほど大きくなる。

さすがに引きこもりに戦国武将はつとまらないが、

虎千代ちゃんは一向に覚醒せず、いまいち感情移入できない。

 

 

 

 

そこで、あらたな女子である。

他家へ嫁いだ姉、仙洞院・綾御前が登場。

妹の美尻に巨乳で張りあう。

 

 

 

 

性格はドSで、幼い虎千代を散々いたぶっていた。

倒錯的とも言える姉妹の関係は、

ぐっちょんぐっちょんのエロも得意な作者ならでは。

 

 

 

 

いよいよ武田家の軍師・山本勘助も計略をしかけてきた。

綾御前が高飛車系ドSなら、こちらはひねくれ系ドS。

眼帯もかわいい。

 

まさに群雄割拠、お尻以外も見どころ満載だ。






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タグ:   萌え4コマ  眼帯女子 

ユエミチタカ『超日常の少女群』

『げきおこシュリケン』(2013年10月)

 

 

ユエミチタカ作品集 超日常の少女群

 

作者:ユエミチタカ

発行:イースト・プレス 2015年

[ためし読みはこちら

 

 

 

そのイライラマークは、ストレスがたまると皮膚にでる。

吹き出物みたいに。

思春期女子の悩みの種で、出れば出るほどますますイラつく。

 

『超日常の少女群』は、個人誌で発表したものを編んだ作品集であり、

コミティア的な「わかる人にわかりゃいい」素振りを感じなくもないが、

冒頭の『げきおこシュリケン』は、漫画のクリシェを逆手にとっててキャッチー。

 

 

 

 

「ミナズミ」が帰宅。

ためこんだ悪感情で自家中毒をおこし、ハリネズミみたいに。

妹を無視して自室にこもる。

 

 

 

 

でも夕飯食べて、ひと風呂浴びたらスッキリ。

女の子のメカニズムがすこしわかった気になる短篇だ。

 

 

 

 

「思春期女子のめんどくささ」をゲーム風に誇張した作品として、

『げきおこシュリケン』は、関谷あさみ『千と万』を髣髴させる。

 

 

 

 

ただ短篇ならではの美点として、悩みなんかなさそうな気のいい妹が、

実はイライラマークが「内側に出るタイプ」だと教えるオチが愉快。

 

わかったつもりになっちゃいけない。

女の子はどんな爆弾を抱えてるか知れたものじゃない。

 

 

『メシアローン』(2014年2月)

 

 

「便所飯」に最適化した食生活をおくるため、

ウイダーinゼリーにこだわる女子の昼休みとか。

 

 

『青春レコンキスタ』(描き下ろし)

 

 

「セイシュン」とゆうお宝をもとめ、遺跡の「ガッコー」を探索する話とか。

 

登場人物が飛んだり跳ねたりしないけど、さりげなく読者を非日常へいざなう。

 

 

『逆ギレシュリケン』(2014年11月)

 

 

女子とゆう華やかなアイコンがならぶタイムラインを追ってたら、

退屈な日常がいつのまに炎上してた。

 

ユエミチタカ、気になる作家だ。






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shimazaki『倒錯少女症候群』

『貴女にすべてをささげると私の眼球(ひとみ)はそういった』

 

 

倒錯少女症候群

 

作者:shimazaki

発行:一迅社 2015年

レーベル:百合姫コミックス

[Kindle版はこちら

 

 

 

眼球舐めからはじまる短篇集。

同人の名作を貪欲に蒐集する、いまやおなじみの「百合アーカイヴ」。

乙女の帝国主義。

 

 

 

 

舌で目をなめまわすのは嗜虐的だが、一方で視覚に対し無防備でもある。

A子はB子に、口の中から下着までさらす。

 

本書に登場する少女はアルファベットの名前しかあたえられない。

作者は匿名性にこだわる。

彼女らに外見以外の情報は不要だと。

 

 

 

 

イタズラの度がすぎ、ついにB子は眼球をパクンとたべられる。

女子のチャームポイントが瞳なら、それだけ味わえばいい。

あとはいらない。

 

 

ジャンスカ系の制服がいい

 

 

仲睦まじかったふたりの関係にヒビがはいる。

ほしいものを得たA子の愛はさめた。

でもB子の眼帯姿はかわいい。

最大の武器をうしなっても、なお美しくなるパラドクス。

かわいさの呪縛。

 

 

 

 

『ショウケースガール』。

窓辺にたたずむネコ耳少女。

磨りガラスの外はみえない。

退屈をもてあますが、なにもできない。

する気もない。

 

 

 

 

彼女はペットショップの売り物だった。

買い手がつくのを幾日もぼんやり待っていた。

「かわいい」とゆう名の暴力。

 

 

 

 

『ブンレツガール』。

ここでは物理的かつ直接的な暴力がえがかれる。

グロックまでもかわいくて読者は困惑。

 

 

 

 

銃弾のむかうさきは自分。

不安定な乙女心は、矛盾した内なる諸テーゼを論駁しながら、

かわいさとゆう一瞬の火花を散らしつづける。




倒錯少女症候群 (IDコミックス 百合姫コミックス)倒錯少女症候群 (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2015/04/18)
shimazaki

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神崎かるな/黒神遊夜『武装少女マキャヴェリズム』2巻 あるツァイトガイスト

 

 

武装少女マキャヴェリズム

 

作画:神崎かるな

原作:黒神遊夜

掲載誌:『月刊少年エース』(角川書店/KADOKAWA)2014年-

単行本:角川コミックス・エース

ためし読み/1巻の記事/同作者の『しなこいっ』『竹刀短し恋せよ乙女』

 

 

 

粗暴な新撰組筆頭局長・芹沢鴨が、鉄扇で誰彼かまわず殴ったのは有名だし、

「鉄扇術」が流派として存在するのも知ってたが、その形をみるのは初めて。

本作は「情報量がおおい」とゆう、名作の条件をみたしている。

 

 

 

 

天下五剣のひとり「亀鶴城(きかくじょう)メアリ」のレイピアが襲いかかる。

西洋剣術の多彩な突きに翻弄され、間合いを詰められない。

 

 

 

 

女剣士を斃したらボーナスタイム。

なにやら覚悟してるメアリさんの艶めかしい体型を堪能しよう。

 

 

 

 

神崎かるなの描線はすこぶるうつくしい。

メアリとくらべ細身の「鬼瓦輪(おにがわら りん)」のブルマは皺がよる。

そこがまたいい。

 

 

 

 

てっきり剣術漫画とおもってたら、相撲大会がはじまる超展開。

「ブルマ・まわし・刀」のコーディネイトは、意外なほどそそる。

 

 

 

 

『しなこいっ』のゴシック的「暗さ」を捨て、ラノベ的「軽さ」にちかづいた本作。

「もう打ち切り(二度も)は御免だ」とゆう覚悟が、ラッキースケベ連打にあらわれるが、

その反動なのか熊とのバトルを延々と描いてアンケートで惨敗したらしい。

器用な様で不器用なコンビかも。

 

ちなみに「花酒蕨(はなさか わらび)」が熊をしたがえるのは、坂田金時になぞらえた。

ハチャメチャな様で筋がとおっている。

鬼姫のセリフもおかしいし、僕はすきなエピソードだ。

 

 

 

 

蕨はタイ捨流の遣い手。

「猿廻」など身軽なうごきを、流麗な作画で魅せる。

古武道を描かせたら空前にして絶後。

 

 

 

 

対する鬼姫は直心影流。

すらりとのびた脚に映える「鶴ノ構」。

この上なく凛々しくて、この上なく萌える。

いにしえの精神を、はやりの仕草と調和させ、2015年を斬る。




武装少女マキャヴェリズム (2) (カドカワコミックス・エース)武装少女マキャヴェリズム (2) (カドカワコミックス・エース)
(2015/02/23)
神崎かるな

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