吉沢雅『クロユリ学園 大奥学科』

 

 

クロユリ学園 大奥学科

 

作者:吉沢雅

掲載誌:『アワーズGH』(少年画報社)2017年-

単行本:YKコミックス

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主人公は新高1の「水無月美雨」。

勉強はできないが、なぜか超名門の「黒百合学園」に合格した。

まわりはお嬢さまばかりで、なじめない。

 

 

 

 

美雨はストレスをためこみながらも、適応しようと努力する。

ヒロインの過剰な感情表現がみどころ。

 

 

 

 

美雨は連日、精神的な攻撃をうけつづける。

ただしこれはイジメではない。

なんの変哲もない庶民なのに、スクールカーストの上位12名による、

生き残りをかけてのバトルロイヤルに巻きこまれた。

 

 

 

 

美雨に特別な能力はない。

育ちが悪いからと自分をみくだす女たちと正面からむきあい、

ひとりひとりの心をひらかせてゆく。

 

太めのくっきりした描線が魅力的だ。

 

 

 

 

ライバルにはさまざまなタイプがおり、上級生の「葉月梢」などは、

指と道具で絶頂へみちびくテクニックをもちい、じわじわ美雨にせまる。

 

 

 

 

本作が初単行本だそうで、あちこち荒い部分はあるけれど、

表情や動きや構図など、絵面のはなやかさは注目に値する。





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タグ: 百合 

2018年冬アニメ(OPを中心に)

 

 

『citrus』はサブロウタの百合漫画が原作で、アニメ自体がひとつの事件だ。

義理の姉妹の、複雑ではげしい恋愛感情をえがく。

闊達な竹達彩奈と、なぜか百合姫作品に縁がある津田美波の、

緊迫感と親和性を両立させたやりとりが水際立っている。

 

 

 

 

親の再婚がどうとか、ストーリーは荒唐無稽だが、

アニメ版はいまのところ忠実に原作をなぞっている。

カメラワークや声優の演技により、『citrus』の時空が現出するのに感動した。

 

 

 

 

EDでは、サブロウタのイラストをつかっている。

原作のタッチを活かすとゆう宣言だろう。

キャラデザなどでアニメに最適化した変更をほどこすのはよくあるし、

決して間違いではないが、本作はその道をえらばない。

芽衣の憂いをふくんだうつくしさは、見ていてため息がでるほど。

 

 

 

 

OPテーマはnano.RIPEが担当。

ナイフの様にするどく、それでいてエモーショナルな楽曲を提供している。

尖っていて取り扱いは要注意だけど、時代の先端にふれられるアニメだ。

 

 

 

 

『三ツ星カラーズ』は、カツヲが『コミック電撃大王』に連載する漫画のアニメ化。

女子小学生3人からなるグループが、わちゃわちゃ大騒ぎしながら、

地元である上野の街におこる事件を解決する。

 

 

 

 

本記事でとりあげる4作品のOPでは、楽曲の質が一番高いかもしれない。

サビの部分のコーラスなどヘッドホンで聞いていると、

畑亜貴による歌詞もあいまって、かるくトリップできる。

 

 

 

 

僕の好みから言うと、話のテンポがやや物足りない(シリーズ構成:ヤスカワショウゴ)

でも、丹念にロケハンしたであろう上野の風景などはアニメむきの題材で、

見ていてたのしい作品にはちがいない。

 

 

 

 

『スロウスタート』は篤見唯子原作

『まんがタイムきらら』連載の4コマ漫画だ。

 

 

 

 

OPテーマの作詞はベテランの岩里祐穂。

「ポップコーンみたいにね めざめてく細胞」なんて、

キラーフレーズがとびだす冒頭からゴキゲン。

 

 

 

 

主要キャストは、近藤玲奈・伊藤彩沙・嶺内ともみ・長縄まりあと若手をそろえる。

近藤は18歳だし、嶺内は新人にちかい。

しかしこれがまあ、ぴったしの配役なのだ!

原作を読むとき脳内再生されていた音声が、テレビから流れてきて仰天。

音響監督は明田川仁だが、いったいどうゆう秘術を駆使してるのか。

 

 

 

 

きらら系アニメはOPがすべて、みたいなところがある。

パワーポップ的なイントロに、流麗なストリングが重なり、画面に桜吹雪が舞い、

そしてサビの「ne!ne!ne!」でキャスティングの妙を存分にしめす。

本篇もよいが、このOPはまさしく「きららポップ」の完成形だ。

 

 

 

 

『刀使ノ巫女』は、Studio五組制作のオリジナルアニメ。

刀をふるって戦う少女たちの物語だ。

 

 

 

 

Studio五組はゴンゾから独立した会社で、

かつて『ストライクウィッチーズ』に関わっていたそうだ。

ストパンファンの心をくすぐるOPになってるし、

チャンバラの動きのよさは『織田信奈の野望』を髣髴させる。

 

 

 

 

女の子の横並びとか、「日本刀×JK」とかの絵に、僕はよわい。

先鋭的だったり誘惑的だったり、革新的だったり迎合的だったりする、

深夜アニメのもののふたちが、あらたな時代へ斬りこんでゆく。



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マウンテンプクイチ『球詠』3巻

 

 

球詠

 

作者:マウンテンプクイチ

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2016年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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僕は『球詠』を傑作とおもうが、ふだん野球を全然みないし、

野球漫画にもくわしくないので、比較考量できないのが恨めしい。

たとえばこうゆうまとめ記事を参考にすれば、

リアリティや理論をおもんずる『おおきく振りかぶって』系統に、

百合とゆうファンタジーを融合させた作品と推定できるが、

われながら知ったかぶりをしている感が否めない。

 

ただ逆に、きららや百合姫を愛好する野球漫画ファンもそういないはずで、

的外れな内容にならないよう留意しつつ、3巻について語ってみよう。

 

 

 

 

ついに埼玉県大会が開幕する。

初戦のマウンドにたつのはヨミでなく、急造ピッチャーの理沙先輩。

強豪とおなじブロックにはいったのでエースを温存した。

 

それはともかく後ろ姿がキマってる。

 

 

 

 

新越谷最大の武器はおそらく、データを駆使するマネージャー芳乃の頭脳。

しかし、初戦の相手である影森はまったく情報がない。

「鎖国」的なチームプレーで翻弄してくる影森を攻略するさまを、

あいかわらず緻密に、そして爽快にえがく。

 

 

 

 

4回1死二塁で、初心者の息吹に投手交代。

双子の妹のオモチャとして野球をやらされており、度胸もないが、

ここにきて仲間の信頼にこたえたいとゆう気持ちにめざめる。

 

息吹がはじめてみせる引き締まった表情は、本巻のハイライト。

なんてかわいいんだろう。

 

 

 

 

本作の特色は「絵になる」につきる。

たあいない日常や、まじめな技術や戦術の描写をつみかさねても、

素材がJKなので地味になるどころか、すべてのページにぱっと花が咲く。

僕が画期的な傑作とよぶ所以である。





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渡邉嘘海『エデンの処女』

 

 

エデンの処女

 

作者:渡邉嘘海

掲載サイト:『COMICリュエル』(実業之日本社)

単行本:リュエルコミックス

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生物兵器によって男が死滅した世界をえがく、SF要素のある百合漫画だ。

作者の初連載で初単行本らしい。

 

 

 

 

舞台は「白咲耶学園」。

園藝部の處女たちは、百花繚乱の庭園をつくりあげている。

 

ジャンル的には、マリみて系のクラシック百合に分類できるか。

 

 

 

 

1巻で印象的なキャラクターは、長い黒髪がうつくしい「藍宮葵」。

スカートの下にいくつも鋏をしのばせている。

無口で、ときに攻撃的。

 

 

 

 

園藝部をひっかきまわす主人公に、葵はつらく当たる。

言葉で責めても折れないので、肉体を征服しようとする。

 

作品世界で生殖は、女同士でおこなう。

そのいとなみを「恋」とよぶ風習はのこっているが、まがい物の匂いもただよう。

 

 

 

 

双子の様にそっくりなふたりが実は双子じゃなく、表面的には仲よしだが、

せつない運命をうけいれた上であかるくふるまっていたりする。

 

草花や少女などキレイキレイなもので画面をうめつくしつつ、

その影の部分も濃密に描写するのが本作の特色だ。

 

 

 

 

いかにも新人らしく、好きなものを目一杯つめこんだ作品となっている。

主人公の動機づけが弱かったり、世界観を供覧する手際がよくなかったり、

そこかしこに拙さは感じるものの、この熱量は貴重なものだ。





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文尾文『私は君を泣かせたい』2巻

 

 

私は君を泣かせたい

 

作者:文尾文

掲載誌:『ヤングアニマル』(白泉社)2016年-

単行本:ヤングアニマルコミックス

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映画鑑賞を媒介にした百合漫画の、続刊である。

「羊」と「ハナ」はあいかわらずスクリーンに没入。

関係は進展しない。

 

 

 

 

部室でセクシャルな映画を見ていたら、通りかかった同級生が喘ぎ声を耳にし、

羊とハナが交渉をもってると勘違いするエピソードなども、あるにはあるが。

 

こうした婉曲語法が、百合漫画の醍醐味。

 

 

 

 

体育の授業で着替えをする。

龍をあしらったスカジャンがトレードマークである、ハナの下着はヘビ柄だった。

ドン引きする羊。

 

 

 

 

一緒にお出かけする服をえらぶためのファッションショー。

百合漫画のお約束である。

 

ただ文尾文の表現は、どことなく定型を外れている。

 

 

 

 

文尾のいまの絵柄は、髪の描写に特徴がある。

アクセントになるかならないか程度に、ほそい線を何本か描きくわえる。

いわゆるアホ毛の様でもあり、独自の描き癖の様でもある。

 

少女たちと現実世界のあいだの薄い皮膜として、

命を吹きこまれた髪が、まわりくどいけれど断固たる意思表示をしている。





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