長門知大『将来的に死んでくれ』

 

 

将来的に死んでくれ

 

作者:長門知大

掲載誌:『別冊少年マガジン』(講談社)2016年-

単行本:講談社コミックス マガジン

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まづ表紙を見てみよう。

「膝乗り」は、JK同士が睦みあう風景の典型と言える。

椅子がわりに太腿を提供してるのが、黒髪でクールな「小槙」。

いつもジャージを羽織っている。

あかるい色の前髪ぱっつんボブの「俊(しゅん)」が、

小槙の胸元に一万円札をたくさんねじこむ。

 

 

 

 

表紙は本作のオープニングシーンを再現したもの。

俊は小槙が好きなのだが、相手のつれない態度に業を煮やし、

金銭をちらつかせて肉体関係を要求する様になった。

 

 

 

 

愛情表現が歪みきると、美少女はただのエロオヤジと化す。

百合漫画は、どちらかと言うと文学的で高尚なジャンルであるが、

本作はそれを即物的で下世話なレベルに引き下げたコメディだ。

 

 

 

 

小槙も果敢に反撃する。

俊の「処女厨」的言動が気持ち悪いので、幻想を打ち砕いたり。

 

 

 

 

過剰なスキンシップをもとめられ、ヤられるよりヤッた方がマシと胸をさわる。

俊は着痩せするタイプで、意外なボリュームにおどろく。

 

 

 

 

下校途中にとおったラブホの前で、ちょっと休んでこうと懇願される。

いつものことなので小槙は取り合わないが、ポロッと本音をもらす。

原理原則を語ってるだけだが、場所が場所なだけに合意と解釈できなくもない。

 

 

 

 

女がふたりいれば、関係はさまざま。

親密だったり、普通だったり、冷淡だったり。

いづれにせよそこには女同士でしかありえない特異性があって、

人によってはそれを百合とよぶ。





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タグ: 百合 

相崎うたう『どうして私が美術科に!?』

 

 

どうして私が美術科に!?

 

作者:相崎うたう

掲載誌:『まんがタイムきららMAX』(芳文社)2016年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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本作の舞台は高校の美術

美術ではない。

主人公の「桃音」は願書の記入をまちがえ、普通科のつもりで入学した。

ちゃんとした絵なんて描けないし、描く気もないのに。

 

「きららの次世代を代表する」とのキャッチコピーが単行本帯にある。

2コマめのデフォルメを3コマめのクロースアップにつなぐ手並みなど、

萌え4コマの表現技法に習熟した、きららネイティヴ世代の作家らしい。

 

 

 

 

粘土をつかい自分の手の塑像をつくることに。

「手をつないでる構図」をモチーフにすると決め、早速スケッチ開始。

おそろしく描きづらいけど。

 

美術科・百合・ギャグの三原色のトーンをたのしむ漫画だ。

 

 

 

 

きららと言えば学校制服。

かわいいJKが、かわいい制服を着てれば、10000%かわいい。

一方で差別化がむつかしい。

本作は作業用のつなぎで美術科らしさをアピール。

 

 

 

 

みんなで美術館へ。

前衛藝術を愛する「紫苑」は、いつもはクールなのに気負いこみ、

謎めいたオブジェをみつけて評論家みたく解説するが、

それはクラスメートの「蒼」がうっかり落とした定期入れだった。

 

 

 

 

写真の課題のため、足をのばし野外撮影。

山にのぼって大好きな街の全景をおさめる。

 

本作は相崎うたうにとって初連載かつ初単行本だが、

ハッとする様なシーンをいくつか切り取るのに成功している。

 

 

 

 

美とゆう理念の周縁でたわむれる美少女たち。

そこは鑑賞者に幸福をもたらす百合色の展覧会だ。





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はちこ『百合百景』

「幼馴染の女の子を好きになっちゃって段々普通でいられなっていく百合」

 

 

百合百景

 

作者:はちこ

発行:KADOKAWA 2017年

レーベル:MFC

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pixivなどに投稿した、おもに1ページの百合のイラストや漫画を、

フルカラーでなんと百篇も収録した作品集。

女子が女子の膝に乗る様子とか、学校に設置した定点カメラの映像みたい。

 

 

「相手の頭を引き寄せてチューする百合」

 

 

熱烈なキスは、さすがに女子校でもめったに見れなさそう。

百合はリアルで、かつファンタジックな概念だ。

 

 

「Yシャツの隙間から見えるアレに夏を感じる百合」

 

 

友達は胸がおおきいので、ブラウスに隙間ができ下着がみえる。

ついまじまじと観察してしまう。

他者の視線に無防備な女子校ではありがち。

 

 

「夏限定役得百合」

 

 

暑い日は制服なんて着てられない。

バサバサと扇いで熱を逃がし、さらに団扇で風を送ってもらう。

友達にとっては役得。

 

 

「ぱんつを毎日チェックするのが日課の百合」

 

 

斯様に、あけっぴろげになんでも共有するのが百合の美点である一方で、

たとえ女同士でも越えられたくない一線もある。

「今日のパンツ」は見せられないとか。

火に油を注ぐ結果にしかならないけど。

 

 

「鈍感な女子高の王子様と嫉妬する女の子の百合」

 

 

ストーリーを感じさせる作品も。

ネクタイを引っぱる右の少女は、同性からモテる友人に嫉妬している。

鈍感な友人は、もらったお菓子をあげるとか言って、ますます怒らせる。

制服の着こなしが個性を強調し、たあいない日常を長篇ラブコメに仕立てる。

 

 

「卒業百合」

 

 

百合は絵になる。

たとえば、男同士の「卒業BL」を描いてもつまらないだろう。

季節がめぐるなかでの悲喜こもごもをスナップ撮影し、

永遠にわすれられないピュアな思いをアルバムにしまう。





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卯花つかさ『アニマエール!』1巻/如意自在『はるかなレシーブ』3巻

 

 

きらら系コミックを2作紹介。

卯花つかさ『アニマエール!』(ためし読み)は、チアリーディングもの。

単行本が5巻まで出た『はじおつ』の作者による新作だ。

 

 

 

 

チアリーダーはかわいい。

そして、きらら作品の女の子はかわいくないといけない。

ゆえに相性のよい題材と言える。

 

 

 

 

軽音楽部とかSNS部とか、きらら系作品は「文化部」をおもな舞台としてきたが、

最近は女子野球をとりあげたマウンテンプクイチ『球詠』に代表される様に、

スポーツで汗をながす少女たちの爽やかなセックスアピールを追求する。

 

 




 

 

如意自在『はるかなレシーブ』ためし読み/当ブログの関連記事は3巻突入。

競技性と女性美の両立とゆう点で、ビーチバレーにまさる種目はないだろう。

 

 

 

 

後輩やコーチなどの新キャラが登場したせいもあり、3巻はストーリー面が薄い。

きらら最大の弱点である。

かわいさなら世界一だが、プロットらしいプロットをもつ作品がほぼ皆無。

 

 

 

 

それでも夕刻の海を背景に肩をならべて絆をたしかめあう、

水着姿の少女たちはやっぱり絵になるし、心惹かれる。

 

 

 

 

買ったけど短すぎてはけないスカートも、水着にあわせれば問題なし。

可憐な娘をえがくため各種スポーツを利用してるだけな気もするが、

そんな貪欲さもきらら作品の魅力だ。

 

 


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江島絵理『柚子森さん』2巻

 

 

柚子森さん

 

作者:江島絵理

掲載サイト:『やわらかスピリッツ』(小学館)2016年-

単行本:ビッグスピリッツコミックス

[当ブログの関連記事はこちら

 

 

 

小4の少女に本気で恋した女子高生をえがく百合漫画の第2巻は、

主人公の親友「栞」をからませて緊張感のあるはじまり。

 

 

 

 

みみかは敬語をつかうなど、7つ年下の柚子森さんに卑屈な態度をとる。

その美貌と、子供らしいプライドに対し、崇拝的な感情をいだく。

しかし栞の登場により、無愛想だった柚子森さんの言動が変化。

 

 

 

 

柚子森さんが露骨に嫉妬しはじめる。

みみかが他の女と仲よくする様子をみて気分を害し、

感情表現がとぼしいなりに、前から好意をもっていたのが判明。

 

 

 

 

1巻についての当ブログの記事から引用。

 

パンキッシュな疾走感と、

クールな構成力が共存する傑作『オルギア』とくらべたら、

ゆるゆるふわふわな『柚子森さん』は、江島にしては小品と言える。

さらっと一筆書きで描いた様な。

勿論、読者にそうおもわせる伎倆がすさまじいのだが。

 

我ながらイイ線いってるとおもった。

 

 

 

 

江島絵理は「闘争」をえがく作家だ。

その作品世界で少女らはクールに駆け引きしつつ、衝動的にヒートアップする。

 

 

 

 

間合いを測り、防禦し、回避し、相手の隙をみつけ、致命的な一撃をくわえる。

愛のために、身の破滅をおそれず闘う。

 

 

 

 

暗闇と血飛沫で黒々と塗りたくられた『少女決戦オルギア』とうってかわり、

『柚子森さん』の絵面はキラキラと華やか。

一方、たとえば下から4枚めの告白シーンにおいて顕著だが、

背景での写真の使い方や、ほかには各話のつなぎ方など、

あちこちで視覚的な工夫が凝らされてて感心しきり。

江島はもはや、現在の代表的作家に数えられるべきだろう。





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