渡邉嘘海『エデンの処女』2巻

 

 

エデンの処女

 

作者:渡邉嘘海

掲載サイト:『COMICリュエル』(実業之日本社)

単行本:リュエルコミックス

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生物兵器によって男が死滅したディストピア(あるいはユートピア)の、

鬱蒼と草花しげる庭園を舞台とするゴシック百合は、第2巻が刊行された。

作者が「本当に出るとは驚き」と語るくらいで、よろこばしい。

 

 

 

 

かませ役である葵の、空回りするはげしい恋愛感情が、2巻でも印象ぶかい。

百合が特別でない世界でも、その恋は容易に叶わない。

 

 

 

 

葵の幼少期のエピソード。

彼女が完璧主義者となった経緯があかされる。

 

 

 

 

葵の失恋をえがくのに力をいれすぎるあまり、

主人公側のプロットがおろそかになったのは否めない。

しかし小羽と葵が感情をぶつけあう、うつくしいシーンもある。

 

 

 

 

ラファエル前派やアール・ヌーヴォーみたく、シンボリックで耽美的な世界。

そこにこれほど浸らせてくれる作品はそうないだろう。





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江島絵理『柚子森さん』完結

 

 

柚子森さん

 

作者:江島絵理

掲載サイト:『やわらかスピリッツ』(小学館)2016年-

単行本:ビッグスピリッツコミックス

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女子高生が、女子小学生に恋する百合漫画が、5巻で完結。

拍手をおくりたくなる大団円だ。

 

 

 

 

お邪魔役として登場したりりはのエピソードも決着がつく。

超大盛り上がりとは言えないが、見せ場はある。

 

 

 

 

あとがきで作者は、主人公への愛をかたる。

タイトルロールの柚子森より、みみかの方に思い入れがあるらしい。

 

「柚子森のかわいさ」が本作の肝だが、実は造形的にそれほどかわいくない。

作者は描き分けが上手とは言えない(つまり全員かわいい)

みみかの必死さに共感したゆえ、読者は柚子森を色眼鏡でみるわけだ。

 

 

 

 

ブランコに二人乗りしながら花火を見上げるシーンのうつくしさは、

きっと漫画の歴史にのこるだろう。

ギミック満載の絵面のなかで、みみかのオフショルダーブラウスの胸元が印象的。

 

 

 

 

演出のうまさと、白熱しっぱなしのテンション。

たまにウダウダトーク。

『オルギア』に『柚子森さん』と、江島絵理はいまのところハズレなし。

まだWikipediaにページがないレベルの知名度にとどまってるが、

いづれさらなる傑作をとどけてくれるだろう。





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イコール『しっくすぱっく!』

 

 

しっくすぱっく!

 

作者:イコール

掲載誌:『ヤングコミック』(少年画報社)2017年‐

単行本:YKコミックス

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当ブログで紹介するのは、女子高生を主人公とする漫画が多いが、

女子大生は服装が華やかだし、日常生活も自由だし、いいものだ。

 

 

 

 

大学1年生の「たまみ」は、廃部寸前の女子ラグビー部へ強引に加入させられる。

これまでまったく運動に縁がなかったのに。

 

 

 

 

本作は「女の子の筋肉が見たい」とゆうフェティシズムに応える。

言うなれば肉弾戦の百合だ。

 

 

 

 

1巻時点でラグビーの試合はおこなわれない。

ボールをつかった練習も描かれない。

スポ根と言うより、筋トレとローカーボダイエットとJD百合がテーマだ。

 

 

 

 

僕の苦手分野なので取り上げなかったが、食へのこだわりは読み応えあり。

でもやっぱり、かわいいシーンに注目してしまう。





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土室圭『徒然日和』

 

 

徒然日和

 

作者:土室圭

掲載誌:『コミック百合姫』(一迅社)2017年‐

単行本:百合姫コミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

単行本冒頭のカラーページだが、グラデーションをほとんどつかわない、

べたっとしたいわゆるアニメ塗りで、おっこれは何かちがうぞと思わせる。

 

 

 

 

初連載らしい本作は、田舎の女子高生4人の日常もの。

そのうち「七揶」と「実里」はルームシェアしている。

 

 

 

 

炊事や洗濯など、家事を分担して生活する。

アパートの内と外を自在に飛び回るカメラワークがあざやか。

ある意味本作は、背景が主役だ。

 

 

 

 

第6話は、雨降りの退屈な一日をえがく。

庇からこぼれる雨水を、なんとなく傘の先でうける「真冬」の虚ろな顔つき。

 

以上の三ページでは、右下から左上への視線誘導がつかわれている。

 

 

 

 

雨があがる。

ドラマのない日常のなかのドラマを、鮮明な絵として浮かび上がらせる。

 

 

 

 

とはいえ土室圭は、一枚絵が自慢のイラストレータータイプではなく、

動きのある表現もソツなくこなしている。

百合ジャンルにおける大型新人なのは間違いない。





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くろは『有害指定同級生』

 

 

有害指定同級生

 

作者:くろは

掲載誌:『ジャンプスクエア』(集英社)2017年‐

単行本:ジャンプコミックス

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右側の、性欲をもてあましている高校2年の「都城玲華」が、

三つ編みでマジメな同級生「八橋みやこ」を翻弄するギャグ漫画。

作者のトレードマークであるあざらしも活躍する。

 

 

 

 

セックスに興味がありすぎる都城は、いろいろすっ飛ばして売春へ走ろうとする。

さすがに無視できず、みやこは延々とつづく猥談に引きずり込まれる。

 

 

 

 

ツッコミの鋭さが、作者の特徴だろう。

「類語辞典かお前は」なんて冴えたセリフ、なかなか思いつかない。

 

殺伐となりがちな会話を、あざらしで中和するバランス感覚も健在。

 

 

 

 

フリーダムな言動についてゆくには、教養がもとめられる。

もともとゲームネタを得意とするくろはだが、

「オープンワールド」など用語がアップデートされている。

 

 

 

 

藝術あつかいされる江戸時代の春画は、現代ならエロ漫画みたいなものだから、

自分は「未来の藝術」を読んでいるのだと、都城は正当化をはかる。

 

下ネタ連発でも、ところどころ知性でピン留めするので、下品にならない。

 

 

 

 

基本的に教室での会話劇であり、作品全体をつらぬくプロットはない。

とはいえ、ふたりが心をかよわせる百合要素は存在する。

 

 

 

 

悪ノリしすぎた都城が、みやこを深刻に傷つけてしまうシーン。

 

いわゆる萌え文化は、それにどっぷり漬かってる僕が言うのもなんだが、

「性的搾取」とゆう負の側面があるのは否定できない。

実際のところ、楽しけりゃいいってものじゃない。

そして、いかにも世間をナメてる風でありながら、

くろはは表現の暴力性に自覚的で、作風は一本筋がとおっている。

 

グダグダトークとゆう持ち味を、部活もののフォーマットへ落とし込んだ、

『帰宅部活動記録』の完成度には劣るかもしれないが、本作も魅力的だ。





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苑田 謙

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