夕仁/里好『聖へき†桜ヶ丘』

 

 

聖へき†桜ヶ丘

 

作画:夕仁

原作:里好

掲載誌:『電撃PlayStaton』(KADOKAWA)2017年-

単行本:電撃コミックスNEXT

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国内有数のお嬢さま学校「桜ヶ丘学苑」の入学式。

桜色の制服がステキだ。

はたして、どんなトラブルが待ちうけるのか。

 

 

 

 

主人公の「佐藤菜乃」は、幼いころから特殊能力をもつ。

それは、他人の性癖を読みとる力。

顔にデカデカと「制服フェチ」などと表れるので、だれが変態なのか丸わかり。

教師や警備員さえ信用できないから、つらい。

 

 

 

 

入学初日から能力が発揮される。

学苑のアイドルである生徒会長「上月契(かみつき ちぎり)」の性癖は「人喰い」。

ほんらい趣味に良い悪いもないが、カニバリズムはヤバそうだ。

 

 

 

 

菜乃は神父から、その能力で学苑の風紀を守るよう命じられる。

監視してたら案の定、欲望にかられた契が親友の首筋に喰らいつく。

ところが襲われた副会長は「超ドM」で、おとなしく快感に身をゆだねる。

なんだかんだで、いいコンビだった。

 

名門の子女ほど、きびしく躾けられたせいで性的嗜好は歪みがち。

つまり桜ヶ丘学苑は、狂い咲きする変態たちの花園だった。

 

 

 

 

おなじく生徒会の「植原さん」は、まじめで仕事ができて隙がない。

ただひとつ、背中に靴底の跡がある以外は。

彼女が隠しもつ性癖とは?

 

そんなこんなで、スリリングな女子校ライフがたのしめる作品だ。

 

 

 

 

原作つきである本作は、作画担当者が絵に集中できるとゆう美点がある。

植原さんは主要キャラではないが、吊り目ショートボブでキャラデザがきまってて、

しかも変態さんだなんてたまらない。

 

ちょっとエッチな百合コメディを読みたいなら、本作はベストチョイスだろう。





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もちオーレ『出会い系サイトで妹と出会う話』

 

 

出会い系サイトで妹と出会う話

 

作者:もちオーレ

発行:KADOKAWA 2017年

単行本:電撃コミックスNEXT

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いわゆるウェブ漫画に疎い僕はよく知らなかったが、

ツイッターで人気のある百合系作家らしい。

 

表題作は、同性の恋人をもとめて出会い系サイトを利用したら、

実の姉妹がひさしぶりに再会したとゆう、意外性にとむ連作。

気の毒なほど狼狽する、妹の「小夜」がかわいい。

 

 

 

 

親が知ったら卒倒確実な「出会い」だが、姉は平然としている。

でも内心はドキドキしてるらしい。

相手は家族なのに、エンカウントのシステムがちがうだけで色めきたつ。

 

作者は、セリフ回しでキャラの個性を増幅させ、

ありえない関係性にイキイキしたリアリティを付与する。

 

 

 

 

ふたりは8年前から百合だった。

当時中1の小夜は、彼氏とのファーストキスを失敗したくないから、

キスの予行演習につきあってと、5歳年上の姉にもちかける。

 

彼氏がいるなんて嘘だけど。

 

 

 

 

長女らしくしっかり者の姉は、あんがい感情に流されやすい。

あっさりキスの快楽に溺れ、「練習」を名目にし、

親の目を盗みつつ、みづから妹の唇をもとめた。

 

 

 

 

思春期女子が複数いる家庭は、ハリネズミの巣だ。

些細なきっかけで、楽園が戦場と化す。

姉の受験勉強ですれちがいが生じ、妹は恨みをいだく。

 

この苦味は7年後、誤解がとけた姉妹の甘味をきわだたすスパイスになるが。

 

 

 

 

こちらはバスケ部を舞台とする別シリーズの『ダメな先輩×デキる後輩』。

ミニマルな作風だが、動きの描写も的確だ。

 

どれほどの隔たりも一息で踏破する、百合とゆう特別な心のありかた、

そのうつくしい奇跡をつめこんだ短篇集である。





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町田翠『ようことよしなに』

 

 

ようことよしなに

 

作者:町田翠

掲載誌:『月刊!スピリッツ』(小学館)2017年-

単行本:ビッグコミックス

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富山県の山麓でくらす、女子高生ふたりの物語。

自転車をこぐ癖っ毛が「マキ」で、黒髪ロングが「ようこ」。

ジャンル名を強いてつけるなら「田舎百合」か。

 

 

 

 

ふたりは「ユニコーン☆ドリィム」とゆうユニットをくみ、

のど自慢の予選に参加するなど、音楽活動をしている。

退屈なド田舎から抜け出す方法は、これくらいしか思いつかない。

 

 

 

 

ただしこのユニットは、フラストレーションを持て余したゆうこが、

マキを強引につきあわせてるとゆうのが実態。

別の高校へすすんだのに、ゆうこはあたらしい友達をつくらず、

だれもいない家に帰るのも嫌で、毎日マキとあそんでいる。

 

 

 

 

わがままでさびしがり屋の友人に振り回されているマキだが、

深夜に河原でギターの練習をするなど、まんざらでもない様子。

 

JKの相互依存や、田舎の風景の描写がたくみな、作者の初単行本だ。

 

 

 

 

マキにとってゆうこは大切な存在だが、いいことばかりじゃない。

たとえば、いつも他校の生徒とつるむせいでクラスで浮いている。

それをごまかす保身の術もそなえてない。

 

 

 

 

のど自慢の予選でひさしぶりに再会した、同中の「桑原えみり」。

なりふりかまわずアイドルをめざす痛々しいキャラ。

 

 

 

 

ときどき楳図かずおみたいな誇張がまじる独特の絵柄で、

青春漫画以上百合漫画未満のモラトリアムな関係をえがく、

淡々としてるのに起伏にとむ要注目作だ。





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江島絵理『柚子森さん』3巻

 

 

柚子森さん

 

作者:江島絵理

掲載サイト:『やわらかスピリッツ』(小学館)2016年-

単行本:ビッグスピリッツコミックス

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いつもより絵面がきらきらでふわふわ。

あとがきに重要な情報がある。

 

じつはすこし前から「自分の絵を見つめ直したいな」という気持ちがありまして、

ためしにこの巻はアシスタントさんお願いしないでひとりで描いてみました。

絵に気合いを入れれば入れるほど画面がうるさくなってくんだけど、

多少うるさくないと私っぽくないような気も…?

 

作者は転機をむかえてるらしい。

本巻は、江島の作家性をよみとるのに都合がよい。

 

 

 

 

江島絵理と言えば、女同士のたわいないおしゃべり。

緊迫したメインプロットの合間に、別種のおたのしみがやってくる。

 

 

 

 

「友達未満恋人未満」をあらわすグラフとか、なんともおかしい。

カフェの内装や栞のワンピースなどにさりげない魅力があり、

漫画としての密度が高まっている。

 

 

 

 

19話でみみかと柚子森さんが、架空の対戦型格闘ゲームに興じる。

描写がやけにマニアックで、『少女決戦オルギア』のルーツがわかった気がする。

華やかなヴィジュアルと苛酷なバトルの、二兎を追う理由が。

 

 

 

 

江島作品はキャラが立っている。

立ち姿にただならぬ雰囲気があり、キャラ同士で、

そして読者と作者のあいだで、差し合いがはじまる。

格ゲー脳がうみおとした果実だろう。





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仲谷鳰『やがて君になる』4巻

 

 

やがて君になる

 

作者:仲谷鳰

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2015年-

単行本:電撃コミックスNEXT

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20-22話は、生徒会劇のための合宿がえがかれる。

さっそく20話から入浴シーンで、読者の期待にこたえる。

 

侑・燈子・沙弥香が、三角関係を大浴場へもちこむ。

先輩ふたりは、たがいの視線を意識してもたつくが、

サバサバした性格の侑はすぱっと服をぬぐ。

 

 

 

 

中学時代ソフトボールにうちこんだ侑は、「合宿とか慣れてるから平気」と言うが、

内心では裸や下着姿をみられるのも、みるのも、恥づかしくてしかたない。

だからこそ、ためらいを表にださず先手をうった。

策士なのだ。

 

下着はあんがい地味。

どうも仲谷鳰はファッションに関心うすいらしい。

スカートの襞や髪のみだれに、命をかけるタイプじゃない。

 

 

 

 

侑の小ぶりな胸をみて、「思ったよりある」と妙な感動にひたる燈子。

たわいないけれどたのしい、青春の1コマだ。

 

 

 

 

ストーリーは梅雨前線みたく停滞している。

本作にドラマチックな進展を期待しても、無益かもしれない。

季節のうつろいにともない、すこしづつ変容してゆく、

雑誌の表紙の様にうつくしい肖像の数々を、僕たちは鑑賞する。

 

 

 

 

22話はひさしぶりのイチャイチャ。

燈子は侑の唇をもとめつつ、自分のことを好きになるなと言う。

わたしの好きなひとが、もしわたしの嫌いなもの、

つまりわたし自身を好きだったら、好きでいられなくなるから。

 

聡い侑は、こんがらがった心理をつかみ、うけいれる。

だが不毛な関係に、そろそろけりをつけるべきとおもい、眉をかすかにひそめる。

 

 

 

 

167ページ。

本作において決定的に重要なモノローグが、子供じみたセリフで掻き消される。

たえがたいほどの空虚感が読者をおそう。

 

そしてこの面持ち。

僕は、類語辞典などをもちいて文章を書いているが、

ここの感情表現をどう言語化すればよいのか途方にくれる。

仲谷は表情をえがく天才だと、みとめざるをえない。





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