板倉梓『間くんは選べない』完結

 

 

間くんは選べない

 

作者:板倉梓

掲載誌:『月刊アクション』(双葉社)2016年-

単行本:アクションコミックス

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サイテーの二股愛をえがくラブコメが完結。

最終巻では友人の広田が、間を脅迫する。

恋人ふたりにバラされたくなければ3000万円よこせと。

 

 

 

 

銀行預金は270万円しかなく、要求額にまるで足りない。

間はナイフを購入し、受け渡し場所に指定された屋上へもってゆく。

これを見せつけて威嚇し、改心させるつもりで。

 

仲のよかった友人同士が、死ぬか生きるかの瀬戸際まで追い詰められる。

オチもふくめて非凡なエピソードだった。

 

 

 

 

間の行動がおかしいのは、恋人たちも認識する様に。

面とむかって、浮気してないかとあんりに問いただされるが、

間もある意味覚悟を決めており、舌先三寸でごまかしてしまう。

 

 

 

 

作者はおそらく鏡香に肩入れしている。

吊り目でショートカットでクールな物腰、板倉梓のオルターエゴだろう。

最後のラブシーンも熱がこもる。

 

 

 

 

結末に関して言うと、大きなどんでん返しはない。

二股を肯定したまま、丸く収められたらすごいと期待して読んだが、

もともと女子にやさしい作風だし、社会通念から逸脱する内容ではなかった。

それならなぜ、こんな題材をえらんだのだろう?

 

性や暴力を大胆にえがきつつも、可憐でシンプルで洗練された表現。

個々のエピソードの魅力。

目を見張るほどの技量であり、僕は大好きなのだが、でもあいかわらず、

作品ならではのテーマ、言いたいことが稀薄なきらいがある。





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タグ: 板倉梓 

板倉梓『きらきらビームプロダクション』完結

 

 

きらきらビームプロダクション

 

作者:板倉梓

発行:竹書房 2016-7年

レーベル:バンブーコミックス

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アイドルもの4コマ漫画は、完結となる2巻が刊行。

からぁ~ず☆の3人が海で、カレンダーの撮影をおこなう。

2月なので寒くて震える。

 

 

 

 

士気を高めようと、無理な仕事をいれたマネージャーも上着を脱ぐが、

自分たちとおなじく生足になれと、リーダーのあかねが要求。

そんな些細なことでテンションあがる、箸が転んでもおかしい年頃だから。

 

 

 

 

撮影がおわり、温泉であたたまる。

ヌード撮影もこなす女性カメラマンが、「いまこの瞬間を写す意味」を語る。

つい、この人にヌードを撮ってもらいたいと思ったメンバーは、

プロカメラマンのもつ吸引力におどろく。

 

天使の様な無邪気さから、そこはかとないエロスへの落差。

あいかわらず板倉梓は、エピソードの盛りこみ方が巧み。

 

 

 

 

カレンダー発売を記念してのイベント。

ファンから直接「8月のが夏らしく元気でよかった」と言われ、してやったりの表情。

 

うつろう季節のなかで、偶像と実像を表現するアイドルの、

はかなさとしたたかさを描く第24話は、本作の白眉かも。

 

 

 

 

本作は2巻で終了したので、「板倉梓の代表作はなにか」問題は未解決のまま。

僕は比較的萌え4コマを読む方だが、なんでも描ける板倉は、

このジャンルにおいても一流でありつづけてると思う。

 

でもやっぱり、器用なんちゃらなのは否めないかな。





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タグ: 板倉梓  萌え4コマ 

板倉梓『間くんは選べない』2巻

 

 

間くんは選べない

 

作者:板倉梓

掲載誌:『月刊アクション』(双葉社)2016年-

単行本:アクションコミックス

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第1巻の最後で、仕事仲間のあんりと結ばれた間くんは、

軽く二股(キスまで)をかけてた鏡香に対し、別れ話をきりだす。

ところが鏡香はひどく動揺する。

女子高生にしては大人っぽいから、わかってもらえると思ってたのに。

 

 

 

 

間はその場をごまかし、鏡香を自宅へつれこむ。

制服を脱がされた鏡香は、なにもかもはじめてで、羞恥のあまり身悶える。

よくないと自覚しつつも、間は鏡香の処女をうばう。

 

26歳まで童貞だった間は、とくべつ女癖が悪くはない。

個人の性格や理性では抵抗できない、大きな力に押し流された。

 

 

 

 

それからは二股セックス三昧。

2巻収録の5話だけで、鏡香と3回、あんりと2回。

憧れの女性が求められるまま、フェラチオしてくれたり騎乗位で乱れたり。

夢の様な生活をおくる。

 

成人向け指定されてないのが不思議なほど、2巻はエロい。

ショッキングですらある。

だって『少女カフェ』の作者が、初期から完成してた絵柄を変えず、これだもの。

 

 

 

 

脇役の存在感は、板倉作品の特徴のひとつ。

鏡香の親友である「美沙」が、間を品定めしにやってきた。

 

背伸びするタイプの鏡香が、年上に惹かれるのはわかる。

でもその嗜好につけこまれ、悪い男に遊ばれてないか心配。

 

 

 

 

あんりを交じえた飲み会で口をすべらせ、浮気がバレそうになる。

いつもは軽薄で嫌味な上司が、さりげなく話を逸らせて窮地からすくう。

 

 

 

 

それとは逆に、学生時代からの友人でノイズミュージックが趣味の「広田」が、

急にモテだした間に嫉妬し、二股の報いを受けさせようと暗躍。

 

あちらが立てば、こちらが引っこむシーソーゲーム。

確固たるバランスと構成力は、作者ならでは。

 

 

 

 

ぐっちょんぐっちょんにエロエロで、板倉先生どうしたのと不安なくらい、

相当タガが外れている本作だが、暴走すればするほど逆説的に、

作者の器用貧乏っぷり(失礼)が顕著になる奇妙な作品で、

藝のない僕はいつもの結論をつぶやくことになる。

 

板倉ガールズはやっぱりピュアで、やっぱりかわいいと。





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板倉梓『間くんは選べない』

 

 

間くんは選べない

 

作者:板倉梓

掲載誌:『月刊アクション』(双葉社)2016年-

単行本:アクションコミックス

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主人公の「間くん」は、印刷会社につとめる26歳のサラリーマン。

これまで恋人はいたことがない。

要するに童貞。

そんな感じのラブコメだ。

 

 

 

 

仕事でつきあいのある「里見さん」にダメもとで告白したらOKされる。

ついに「彼女いない歴=年齢」卒業。

初デートは代官山。

そんなに気合いのはいった服装じゃないけれど、

おろしたてのワンピースを着て来てくれたのがうれしい。

 

 

 

 

出版関係者らしく本屋に立ち寄ったふたりは、

北欧ミステリーの話題などで打ち解けてゆく。

 

全体的に趣味がよく、細部の描写にこだわりがあり、

なにげないシーンでも読者に奥行きを感じさせる。

こんなカップルいるかもと思わせる。

あいかわらず超安定の板倉印だ。

 

 

 

 

実は間くんは二股をかけていた。

LINEで里見さんに告白したあと、その返事を待っている時期に、

電車で酔っぱらいに絡まれるところを助けたのがきっかけで、

女子高生の「鏡香」と仲良くなっていた。

 

作者の必殺技、吊り目ショートカット女子。

こんなJKそうそういねえよと思うが、わかってても抵抗不能。

 

 

 

 

鏡花は無表情だが、まじめで一途。

かすかな顔つきの変化に気持ちがあらわれるタイプ。

つまりかわいくて、いいコ。

里見さんにフラれると思いこんでいた間くんは、慕ってくる鏡香を遠ざけられない。

 

鏡香はボーイッシュなコーデ。

背伸びしてないのが高校生らしく好印象だが、

人生初のデートのため慎重に服を選んだらしいのもつたわる。

 

 

 

 

間くんは、誠実か優柔不断か残酷かよくわからない性格で、

品定めするかの様に、鏡香を里見さんのときとおなじ書店へつれてゆく。

美大をめざしている鏡香は、高価なテキスタイルの本を手にとる。

 

女子の描き分けの巧さは、この作者ならでは。

読者は若くピュアな鏡香に感情移入しながらストーリーを追う。

 

 

 

 

端正かつ可憐な絵柄が最大の強みである一方で、

人間の営みについて回る「セックスや暴力」から目をそむけないのが、作者の特色。

お茶を濁さない。

いくらでもごまかしが利きそうな画力の持ち主なのに。

 

男の仕打ちがひどすぎたり、ゆるふわラブコメに見せかけてエロかったり、

居心地わるさを感じるときもあるけれど、そもそもそれが作風でもあって、

板倉梓の集大成になりそうな予感がしなくもない第1巻だ。





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板倉梓『きらきらビームプロダクション』

 

 

きらきらビームプロダクション

 

作者:板倉梓

掲載誌:『月刊まんがライフオリジナル』(竹書房)2015年-

単行本:バンブーコミックス

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「きらきらビームプロダクション」は芸能事務所の名前で、

3人組のアイドルグループ「からぁ~ず☆」が所属する。

美人で長身で巨乳の「星ひかり」が社長をつとめる。

 

さまざまなジャンルを手がけてきた板倉梓の新作は、

コロコロ可憐な絵柄をいかしたアイドルもの。

 

 

 

 

リーダーの「大月あかね」が一番かわいいかな。

黒髪ショートの元気者だが、体型までボーイッシュなのが悩み。

 

 

 

 

ファンにチェキ帳を見せてもらったら、自分の顔がコピペしたみたいに同じとか、

地下アイドルあるあるネタで笑わせたり。

 

殺し屋のアクションものから、5歳の双子のファミリーものまで。

良く言えば万能選手、悪く言えば器用貧乏なあずにゃん先生らしく、

未経験のジャンルをさらっとソツなくこなしている。

 

 

 

 

マネージャーは26歳の「宝田麻人」。

地味だが誠実な人柄で、褒めるときは全力で褒め、

可愛いと言われ慣れてるアイドルさえ赤面させる。

 

 

 

 

海辺での泊まりの仕事。

3人組が眠ったころ、社長と部下がサシで飲みはじめる。

なんだかいい雰囲気に。

 

ピチピチした16歳が飛んだり跳ねたりするのと並行して、

しっとりしたオトナの恋をえがくのが板倉流。

 

 

 

 

宝田は、ネットでたまたま10年前のアイドルグループをしらべてたとき、

そのなかのひとりが今の社長であると気づく。

当時の純情さは欠片もないが、顔立ちとホクロの位置が一致。

 

サブプロットを絡めつつ、じわじわ盛り上げる語り口はあいかわらず。

 

 

 

 

どうも板倉梓は「かわいい絵の漫画家」と認識されてる気がする。

事実なのだが、ちょっとあなどられてる。

シンプルで洗練されてるのに親しみやすい、稀有な絵柄がかえって災いしてか、

構図やストーリーテリングの才能が注目されない傾向がある。

もっとスポットライトがあたるべき作家だ。





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苑田 謙

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