佃煮のりお『双葉さん家の姉弟』

 

 

双葉さん家の姉弟

 

作者:佃煮のりお

掲載誌:『ヤングアニマル』(白泉社)2017年-

単行本:ヤングアニマルコミックス

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高校2年の「寧子」と「乙宏」を中心人物とする、双子姉弟ものである。

乙宏はラノベ主人公風のネガティブキャラで、

寧子は縦にならぶリボンが印象的な、才色兼備の生徒会長。

奇を衒ってはないが、よく練りこまれたキャラデザだ。

 

 

 

 

学校では模範生の寧子だが、家では重度のブラコン。

ベタベタと弟に甘える姿は、恋人同士にしかみえない。

胸がおおきいので、スキンシップの描写に迫力が。

 

 

 

 

寧子が弟に執着する理由は、作中で特に説明されない。

そんなヘリクツより、パンツの縫い目やシワや隆起を堪能すべき作品だ。

黒髪の流れもなまめかしい。

 

 

 

 

おたのしみの入浴シーン。

うなじ・肩甲骨・背中・腰回りのラインに昂奮させられる。

長い髪をツインお団子にし、トレードマークのリボンでまとめてるので、

いつもより幼い雰囲気が、エロスに歯止めをかけている。

 

 

 

 

寧子の友達である、同級生の「妹子」。

嫉妬心から乙宏に食ってかかる。

 

 

 

 

妹子には秘密があった。

自分にも双子の兄がいて、しかもその「阿仁」が男の娘であること。

もっこりふくらんだ縞パンの描写は、『ひめゴト』の作者ならでは。

 

 

 

 

妹子が、自分が阿仁の妹である事実を親友にも隠すのは、

身内が変態で恥づかしいからではなく、かわいさを独占したいから。

ちょっと変則的なツンデレ妹エピソードが語られる7話は、ハイライトのひとつ。

 

佃煮のりおは、作家性を前面に出すタイプではないが、

「可愛いおんなのこ(男の娘含む)は最高」「みんな仲よく」といった、

ポジティブなメッセージが丁寧な作画につまっており、共感できる。





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タグ:   男の娘 

久野遥子『甘木唯子のツノと愛』

 

 

甘木唯子のツノと愛

 

作者:久野遥子

発行:KADOKAWA 2017年

レーベル:ビームコミックス

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中学1年の「唯子」は、教室でもどこでも帽子をかぶっている。

クラスの男子がイタズラで脱がそうとするが死守。

なにか隠してるらしい。

 

 

 

 

唯子の額にはツノがあった。

秘密を知った神父から、自分がユニコーンかもしれないと教わる。

 

多摩美を出た27歳の作者は、キラキラまぶしいキャリアの持ち主。

旧約聖書への言及など思わせぶりな表現に、育ちのよさを感じる。

 

 

 

 

短篇集である本書は、在学中の2010年発表の作品もふくんで玉石混淆だが、

表題作である『甘木唯子のツノと愛』はプロらしい出来映え。

100ページ弱に、母の死などの仕掛けが詰まっている。

 

 

 

 

いつも自分を守ってくれる兄に恋人らしきものができ、唯子は動揺。

帽子を落として露出した額を、その「野重さん」に触られる。

なにごともなく。

唯子のツノは、孤独な兄妹がはぐくんだ幻想だったと明らかに。

 

 

 

 

幻想性が本作の吸引力となっている。

部屋に散らばる段ボール箱を、迷宮として演出するカメラワーク。

それを、映画監督・岩井俊二は単行本帯で「意思を持ったパース」と、

卒業制作の担当教員・野村辰寿は「全篇浮遊するカメラワーク」と評する。

 

 

 

 

思春期の通過儀礼で否定された唯子のツノは、攻撃性の象徴だろう。

オトナなら、隠さないといけないものだ。

もちろんペニス羨望を視覚化した、屈折した近親相姦の物語でもある。

 

本書に収録された初期の3篇は、いかにもサブカル調で僕の趣味じゃないが、

最新の表題作はジャンルのタコツボを抜け出て、精彩を放っている。





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もちオーレ『出会い系サイトで妹と出会う話』

 

 

出会い系サイトで妹と出会う話

 

作者:もちオーレ

発行:KADOKAWA 2017年

単行本:電撃コミックスNEXT

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いわゆるウェブ漫画に疎い僕はよく知らなかったが、

ツイッターで人気のある百合系作家らしい。

 

表題作は、同性の恋人をもとめて出会い系サイトを利用したら、

実の姉妹がひさしぶりに再会したとゆう、意外性にとむ連作。

気の毒なほど狼狽する、妹の「小夜」がかわいい。

 

 

 

 

親が知ったら卒倒確実な「出会い」だが、姉は平然としている。

でも内心はドキドキしてるらしい。

相手は家族なのに、エンカウントのシステムがちがうだけで色めきたつ。

 

作者は、セリフ回しでキャラの個性を増幅させ、

ありえない関係性にイキイキしたリアリティを付与する。

 

 

 

 

ふたりは8年前から百合だった。

当時中1の小夜は、彼氏とのファーストキスを失敗したくないから、

キスの予行演習につきあってと、5歳年上の姉にもちかける。

 

彼氏がいるなんて嘘だけど。

 

 

 

 

長女らしくしっかり者の姉は、あんがい感情に流されやすい。

あっさりキスの快楽に溺れ、「練習」を名目にし、

親の目を盗みつつ、みづから妹の唇をもとめた。

 

 

 

 

思春期女子が複数いる家庭は、ハリネズミの巣だ。

些細なきっかけで、楽園が戦場と化す。

姉の受験勉強ですれちがいが生じ、妹は恨みをいだく。

 

この苦味は7年後、誤解がとけた姉妹の甘味をきわだたすスパイスになるが。

 

 

 

 

こちらはバスケ部を舞台とする別シリーズの『ダメな先輩×デキる後輩』。

ミニマルな作風だが、動きの描写も的確だ。

 

どれほどの隔たりも一息で踏破する、百合とゆう特別な心のありかた、

そのうつくしい奇跡をつめこんだ短篇集である。





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タグ: 百合   

『JCの魅力を楽しむ健全なアンソロジーコミック』

 

 

JCの魅力を楽しむ健全なアンソロジーコミック

 

作者:籠目 かれい 大堀ユタカ おおのいも はまじあき ほか

発行:一迅社 2017年

レーベル:REXコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

青空の下、女子中学生がさわやかにワキをみせる、

籠目による表紙に心うばわれて購入したアンソロジーである。

第二次性徴をむかえて日が経ってないがゆえの、あどけなさ。

JCはすばらしい。

 

 

 

 

おおのいも『俺の妹が最終戦争(ラグナロク)』。

大学生の主人公がひさしぶりに帰省すると、妹が中二病に罹っていた。

挨拶は「ラグナロクっ!!」。

 

 

 

 

母親に管理責任を問うたら、「おもしろいから放置した」との返答が。

ほんわかした笑顔のわりに残酷。

おいしいネタをたくみに料理した、本書の白眉となる作品とおもう。

 

 

 

 

近江のこ『陸上女子!』のヒロインは、中3の「優香」。

隣にすむ中1の「健」は、彼女にあこがれている。

 

 

 

 

ふたりは陸上部に所属。

優香の陸上ウェア姿のエロさに、健はギンギンに昂奮する。

マジメな優香は、それを熱心な応援だと誤解し……。

食いちがいがおもしろい。

 

 

 

 

昆布わかめ『変わらないもの』。

男勝りの「ゆうき」が色気づき、きまぐれに幼なじみを誘惑するが、

相手から女の子あつかいされたのが意外で照れるとゆうお話。

 

 

大堀ユタカ『小悪魔かりんちゃんが教えてあげる!』

 

 

JCは、いつ暴発するかわからない時限爆弾。

存在そのものがドラマチック。





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Batta『狐のお嫁ちゃん』

 

 

狐のお嫁ちゃん

 

作者:Batta

掲載サイト:『みんなのコミック』(イーブックイニシアティブジャパン)2016年-

単行本:角川コミックス・エース

[ためし読みはこちら

 

 

 

「狐の嫁入り」を題材にしたケモナーホイホイである。

人間に化けて輿入れした狐の「お嫁ちゃん」と、

夫の「ぬしさま」の、京都の片田舎での新婚生活をえがく。

 

 

 

 

お嫁ちゃんはどちらかと言うと、押しかけ女房。

エッチに興味津々だが、ぬしさまはオクテなので欲求不満。

下着姿や裸エプロンで誘惑する。

 

 

 

 

第4話では海水浴デート。

ちなみにいつもより胸を大きめに化けている。

 

 

 

 

お嫁ちゃんは慣れない海で溺れ、心肺停止してケモノの外見にもどる。

ライフセーバーもどう助けたらよいかわからない。

そこへ駆けつけたぬしさまが、講習どおりの適切な応急処置をほどこす。

 

 

 

 

本作は民俗学的な背景をもっている。

ぬしさまの職場は文化資料館。

こう見え約三百三十歳のお嫁ちゃんも、昔話の講演で手伝う。

子供の興味をひこうと、ベーゴマとベイブレードの新旧対決をしたり。

 

 

 

 

こちらはぬしさまの妹の「新芽(あらめ)」。

女子高生だが鷹匠をやっている。

フクロウを手懐ける妹キャラなんて、そんじょそこらにいない。

 

 

 

 

人をたぶらかす生き物としての狐を、作者はうまくラブコメへ落としこんでいる。

ただ可愛いだけじゃなく、女とゆうものへの独特な解釈がある。





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苑田 健

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