葉賀ユイ『サクラ*ナデシコ』2巻/高橋哲哉『ドキドキしすたー♡葵ちゃん』3巻完結

 

 

「百合とふたなりとアイドル」がテーマの葉賀ユイ『サクラ*ナデシコ』は、

ちょっとばかり詰め込みすぎの漫画だが、2巻でさらに輝きをました。

不自然なくらい。

 

 

 

 

表紙と単行本扉絵では、脇の下を大々的にフィーチャー。

さわやかなフェロモンで読者を殺しにかかる。

 

 

 

 

百合方面も進展をみせる。

過剰なスキンシップで、浴場が欲情の空間に。

 

 

 

 

葉賀ユイのえがく女の子はコロコロとお人形の様に可憐だが、

どことなくデッサン人形風に無機質でもある。

ベッドで淫らに交わる姿と、道場で寝技を仕掛ける姿に大差がない。

かわいさの表現は洗練と抽象性をきわめ、記号論の域に達している。






 

 

高橋哲哉『ドキドキしすたー♡葵ちゃん』は、3巻で堂々完結。

横たわって満ち足りた笑顔で兄と「恋人つなぎ」する、カバー下の葵ちゃん。

記号的な妹像の最高到達点か。

 

 

 

 

最終巻でも作者はサーヴィス精神をゆるめない。

学園祭でメイドカフェをひらくのはまあ定番だとして、

われらが葵ちゃんはなぜかなんとなくなりゆきでノーパンでお給仕。

コーヒーポットをもちいた熱い視線誘導のトリックに幻惑される。

 

 

 

 

がむしゃらにひたすらにまっしぐらに、お兄ちゃんがだいすき。

不純物ゼロの兄妹愛をえがいた傑作として歴史にのこるだろう。




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小川麻衣子『魚の見る夢』

 

 

魚の見る夢

 

作者:小川麻衣子

発行:芳文社 2012-14年

レーベル:まんがタイムKRコミックス tsubomi series

[ためし読みはこちら

 

 

 

二歳ちがいの姉妹百合をテーマとする漫画。

黒髪ショートが姉の「巴」で、あかるい色の方が妹の「御影」。

別の高校へかよってるため制服がことなる。

スカートのトーンなどのバランスがハーモニアスだ。

 

 

 

 

登場人物の外見はともかく、内面はみなバランスを缺く。

姉にちかづく女に対し、御影が嫉妬と敵意と狂気をほとばしらせたり。

 

 

 

 

御影は画家である父から、かつて性的虐待をうけたと語り手は匂わせる。

いま姉妹は父と別居しているが、御影は姉に内緒で会っている。

父は人間として嫌いだが、絵は好きで、ヌードモデルをつとめることも。

 

 

 

 

中心人物は7人で、百合漫画としてはやや多いかも。

徐々に関係がふかまり、複雑化し、変容するなかで、

少女たちは残酷にふるまい、他者と自己を傷つける。

ナイフよりずっと鋭利に胸をえぐる。

この絆が永遠じゃないなら、みづからの手で壊すべきだから。

 

 

 

 

「魚の見る夢」とゆう詩的なタイトルの意味は明瞭でないが、

水族館の水槽を回遊する魚みたいで、決して居心地わるくない日常において、

みじかいモラトリアムの期限日を漠然と不安におもう少女の心情をさすらしい。

 

 

 

 

1巻の描き下ろしは、無邪気なころの姉妹をえがく。

昼寝する姉をみて、御影は毛づくろいする猫の様に口づけする。

セクシャルであるよりソーシャルなものとして百合を定義。

 

 

 

 

御影を慕う同級生の「高柳」が、学校の裏庭で急接近してくるシーン。

拒否するでもなく、御影は親友の瞳をじっとのぞきこむ。

見つめ合ってるのに、その視線があまりにつよすぎ、高柳は一線をこえられない。

 

永遠と背中あわせの一瞬を、少女らが睦みあう様子に閉じこめた、名作中の名場面だ。





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久遠まこと『不登校の日常』

 

 

不登校の日常

 

作者:久遠まこと

掲載サイト:『ComicWalker』(KADOKAWA)2016年-

単行本:MFC

 

 

 

不登校、それは禁断の快楽。

一度はじめたら、もうやめられない。

高校2年の「早乙女雨音」は、学校へ行かなくなって2週間め。

 

 

 

 

父は仕事で不在がち、母は離婚して家を出たので、

実質的に双子の姉である「音晴(おとは)」が母親がわり。

しかし同い年の妹を面倒みなきゃならない理不尽さに、音晴はブチ切れる。

 

 

 

 

生きる価値すら否定された雨音も、負けじとキレる。

でも殴り合うのは怖いので、物に当たる。

 

不登校経験があると言う作者による「不登校あるある」がおかしい。

 

 

 

 

本作はわたモテなどと共通の、かわいくない主人公がかわいく感じられる、

ある種の「アンチヒロインもの」だが、双子の姉の存在がきいてるのが特色。

ダメ人間が主人公でも、辛辣すぎる正論で叱られるため、読者は共感できる。

たしかにそれはそうだけど、なにもそこまで言わんでもと。

 

 

 

 

一方、音晴がイラつく事情もわかる。

自宅にいれば家事に追われ、学校では妹の不登校をごまかし、

若い身空で子持ちの女みたいな苦労を強いられる毎日。

男子から告白されても、恋愛どころじゃないので断ったり。

 

 

 

 

音晴は青春をとりもどすため家族会議をひらき、父に説得させようとするが、

「娘の涙によわい」とゆう男親特有の弱点をつかれ、あっさり陥落。

さらに「雨音の気持ちもかんがえろ」「音晴はお姉さんなんだから」と、

まったく現実を見れてない父の言葉に絶望する。

 

 

 

 

血をわけた肉親さえ、いやおなじ遺伝子を共有する相手さえ、わかりあえない。

われわれはただ、精神の沙漠を孤独にさすらう。

 

本作はギャグ漫画だが、ときおり痛切に心をゆすぶる傑作でもある。





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ねこ末端『陽下3姉妹はかまってほしい』

 

 

陽下3姉妹はかまってほしい

 

作者:ねこ末端

掲載誌:『コミック電撃だいおうじ』(KADOKAWA)2016年-

単行本:電撃コミックスNEXT

[ためし読みはこちら

 

 

 

きょうだいモノの注目作である。

中学3年生「貞利」の母親の再婚相手に娘が三人いて、

しかも美人ばかりなため自宅はいきなり花園と化した。

 

 

 

 

高校1年の次女「美乃里」はかまってちゃん。

ぱっつん前髪に三つ編みがかわいい。

もともと弟がほしかったそうで、やたらちょっかいを出してくる。

薄着でうろつく義姉に90cmのバストを見せつけられ、貞利は目のやり場にこまる。

しまいにはやりすぎて、新米姉弟は気まづい雰囲気に。

 

 

 

 

長女の「珠璃(じゅり)」は家では裸でいる主義だったが、

思春期男子にはあんまりだから、水着で手をうつ。

胸の大きさはともかく、スタイルのよさは美乃里に負けてない。

水着も日替わりで、裸よりかえってエロいかも。

 

 

 

 

三女の「杏梨」は爬虫類がすきな小学生。

ちょっと反応うすい子だが、お兄ちゃんができて嬉しいらしく、徐々に心をひらく。

 

 

 

 

やはり胸囲が物を言うのか、次女の美乃里がヒロイン格だ。

描写がこまやかで、ブレザーの皺や影にみとれる。

あと右の黒髪ショートの子は僕好みで、モブキャラなのに印象的。

 

ねこ末端はあとがきで、本作は作画に特に力をいれたと述べており、

ヴィジュアルは実際、前作とくらべ格段に充実している。

腕が上がったのだろうし、リソース配分見直しのおかげもあるだろう。

プロット構築やネーム作成や取材や資料集めより、

女の子をえがく作業にひたすら時間をついやすべし。

それが自分の強みだから。

 

 

 

 

とはいえ空疎な作品ではない。

映画館デート中にガラの悪い連中にからまれたとき、

俺は「弟」なんかじゃないと、貞利は男らしさをアピール。

 

親の事情で共同生活をおくることになった思春期の男女が、

おたがいを知りながら関係をふかめてゆく一方で、

義理とはいえ姉弟であるため葛藤も表面化する。

 

 

 

 

2017年1月現在、きょうだいモノに目新しさは感じられないが、

かわいさの一点突破によって群を抜いた輝きをはなつ本作は、

極上の癒やしを読者に注入してくれる。





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はまじあき『きらりブックス迷走中!』

 

 

きらりブックス迷走中!

 

作者:はまじあき

掲載誌:『まんがタイムきららMAX』(芳文社)2015年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

「鳴草書房」とゆう店名のとおり、ここは本屋なのに、

歌って踊れる店員さんのアイドルライブがはじまる。

サービスの一環らしい。

 

 

 

 

店が迷走する原因は、小学生の「えりぃ」が店長になったから。

11歳でアメリカの大学を卒業した天才だが、

出版不況のせいか経営はおもわしくない。

 

 

 

 

主人公は、大財閥の娘である「桐生院きらり」。

天然ボケがひどすぎるため、母親の指図で、

いとこのえりぃが経営する店へ、アルバイトとして修行に出された。

 

エロ同人誌の表紙を見て、相撲漫画と勘違いするなど、世事に疎い。

 

 

 

 

いとこ同士の関係がかわいい。

コミケ会場で年下のえりぃが、刺激が強すぎると、きらりに目隠し。

 

 

 

 

作者は『ドージンワーク』以来のきららファン。

芳文社への持ち込みをへて、連載を獲得した。

虫眼鏡をつかって粗探しする主人公から、4コマ愛があふれ出る。

 

 

 

 

「部活物にすれば大体いける」なんてメタ発言に、

きららファンはニヤリとせずにいられない。

 

本作はコテコテのきらら風味の4コマである一方で、

すでに完成し模倣されまくるきららメソッドに対し、批評的に接する。

 

 

 

 

メニューは豊富だけど、なにをオーダーしても安定のきららアイデンティティ。

可憐な絵柄でマイルドに中和される、スパイシーなあじわい。

このレーベル、しばらく繁盛はつづきそう。





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