なじみ『しょうこセンセイ!』
しょうこセンセイ!
作者:なじみ
掲載誌:『まんがタイムきらら』(芳文社)2018年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
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目覚ましと同時にガバッと起床したのは「吉田翔子」。
身長120センチで、年齢は8歳だが、やる気が半端ない。
実は、翔子の職業は高校教師だった。
天才なので特例として認められたらしい。
真摯に生徒とむきあう姿勢は、同僚からも評価されている。
翔子は子供なのでよく転ぶ。
オリエンテーションの時間に膝を擦りむいたときは、
保健室で生徒に手当てしてもらった。
ジタバタする姿がかわいい。
普段から小さい翔子だが、ときおりデフォルメキャラに変貌する。
これが反則的なかわいさ。
得意の工作をするときとか。
頑張り屋さんでも、甘えたいときはある。
母の海外赴任がきまったときは、感情を抑えきれなかった。
本作が初連載で初単行本となる作者なじみは、
主人公にかわいさを詰め込んだと、あとがきで語っている。
たしかに詰め込みすぎてパンク寸前な気もしなくはない。
その一方で、脇役はみな普通にかわいい。
翔子の歓迎会をひらいた、居酒屋での大人女子トークは、
きらら作品でいうと『スロウスタート』に匹敵するたのしさ。
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カモトタツヤ『鬼のまにまに』
鬼のまにまに
作者:カモトタツヤ
掲載誌:『まんが4コマぱれっと』(一迅社)2018年-
単行本:4コマKINGSぱれっとコミックス
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19歳の大学生「総司」が、祖父が遺した土地をはじめて訪れると、
そこには古いお堂があり、ツノをはやした鬼が棲みついていた。
幼女みたいな外見の鬼の名は「あいら」。
こう見えて140歳。
総司は立ち退くよう要求するが、あいらは聞く耳もたず、
めずらしい来訪者に興味をもち、妙になついてくる。
本作は、文字どおり「鬼かわいい」をめざす4コマ漫画である。
ロリロリな鬼っ娘とお風呂にはいるなど、夢の様な生活のはじまりだ。
恋人のいない総司は、ぐいぐい攻められて当惑するが、
相手は合法ロリとはいえ罪悪感はぬぐえず、どうにか堪える。
こちらは総司とおなじ大学へかよう「ささら」。
ツノを隠してるが実は鬼っ娘で、あいらのライバルとなる。
「心を鬼にする」「勝負の鬼」「鬼に金棒」「鬼のいぬ間に洗濯」……。
鬼は日本文化の深いところに棲みついている。
そしてときにはコケティッシュに、僕たちを誘惑する。
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ゆずチリ『姫乃ちゃんに恋はまだ早い』
姫乃ちゃんに恋はまだ早い
作者:ゆずチリ
掲載サイト:『くらげバンチ』(新潮社)2018年-
単行本:バンチコミックス
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「姫乃ちゃん」は、仕切りたがりの小学4年生。
かわいくおしゃれで女子のリーダー的存在だが、怒りっぽいのが玉に瑕。
口癖はもちろん、「男子ってほんとバカ!」。
おませな姫乃ちゃんは好きな男子がいる。
相手はおなじクラスの「オージくん」。
好意を懸命にアピールするが、鈍感すぎてまったく伝わらない。
恋をするにはやや時期尚早で、周りがついてこれない、
姫乃ちゃんの背伸びっぷりがおかしいラブコメだ。
女子小学生のファッションも存分にたのしめる。
みんなでプールに出かける回は、特に見ごたえあり。
姫乃ちゃんにライバルがあらわれる。
その名は「翼ちゃん」。
どのクラスにもひとりはいる、男子の方が気が合うタイプの女子だ。
翼ちゃん自身はすこしも恋愛に興味ないが、
よくオージくんと一緒に遊ぶので、姫乃ちゃんに嫉妬される。
1巻は「番外編」が4本収録されており、どれも翼ちゃんにスポットをあてる。
とにかく無邪気で天然でかわいい。
おとなびてるけど、なんだかんだで年相応に愛らしい。
JSファンなら絶対見逃せない作品だ。
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ルッチーフ『奥さまは新妻ちゃん』
奥様は新妻ちゃん
作者:ルッチーフ
掲載誌:『まんがタイムきらら』(芳文社)2017年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
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このポニーテールのヒロインは、「琴吹新妻(にいづま)」。
名前があらわすとおり新婚ホヤホヤである。
たわわな胸は見せびらかすというより、窮屈すぎて上着からはみ出てる感じ。
ネーミングはちょっと風変わりだが、これはSNSで人気のある、
テーマにそった連作イラストみたいなものと考えるべきだろう。
マンションでの、甘々でみずみずしいふたり暮らしをえがく4コマだ。
男に好まれる要素をギュッと凝縮した、新妻ちゃんの造形がすべてと言える。
素直で、頑張り屋さんで、恥ずかしがりな性格もふくめて。
ご近所さんも若くてかわいい奥さんばかり。
隣室に住む「なごみ」はロリだが、言動は妙に大人びている。
「文さん」は和服がにあう美人。
夫が官能小説家だからか、意図せずエロスを発散している。
掲載誌のカラーゆえ、直接的描写はない。
キスすらしない。
そして性生活の不在についてのエクスキューズは特にない。
かわりに新妻ちゃんは夫をよろこばせようと、「水着エプロン」でお出迎え。
定番の裸エプロンじゃないのは、恥ずかしすぎるから。
新妻ちゃんは大きな胸がコンプレックスだった。
回想シーンは共感をよぶ出来。
ご都合主義をかわいさの方向へ突き詰めつつ、でもそれだけでは終わらない、
きららが提供するファンタジー世界の典型がここにある。
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ハナツカシオリ『ストーカーズ』
ストーカーズ
作者:ハナツカシオリ
掲載誌:『コミック電撃だいおうじ』(KADOKAWA)2018年-
単行本:電撃コミックスNEXT
ストーキングを題材とする連作。
なので主人公は毎話ことなる。
この長い髪の少女は、ルックスはいかにも深窓の令嬢風だが、
毎日早朝にゴミを漁るなど、重度のストーカーである。
こちらは、SNSに過度に依存する大学生。
趣味や交友関係など、相手の情報をとことん集めておかないと、
安心して人付き合いができないタイプ。
犯罪というほどでないが、これも一種のストーカーだろう。
女子小学生のストーカーまで登場。
可憐な絵柄にピッタリなこの4話でわかるとおり、
本作は題材のわりに殺伐としていない。
おそらく狩りをしていた時代以来、人間が本能的にそなえる、
「ターゲットに対し優位に立ちたい」という欲求のあらわれが、ストーキングなのだ。
全否定されるべきものではない。
手口の描写はなかなか本格的。
ある漫画家を病的に崇拝する少女は、検索を工夫して日常アカウントを発見。
不用意にばら撒かれる情報をつなぎ合わせ、住所まで特定する。
スパイものみたいな読みごたえだ。
当ブログはすでに2作のハナツカ作品を紹介した。
この作家は、かわいくて繊細な絵柄が売りである一方で、
読者を突き放す様な、辛辣でドライな作風の持ち主でもある。
うまく魅力を伝えづらいとおもっていた。
でもストーカーをストーキングする6話をみると、
作者のこんがらがった個性がいい方向にあらわれてるのを感じる。
ようこそ、ハナツカワールドへ。
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