the brilliant green『そのスピードで』

 

そのスピードで

 

the brilliant greenのアルバム『TERRA2001』収録曲

 

作詞:川瀬智子

作曲:奥田俊作

発行:ソニーレコード 1999年

 

十二年前の曲を売る気はさらさらない癖に、

ヒマなレコード屋がユーチューブから動画を削除したので、

こちらのサイトなどでお楽しみください。

 

 

 

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/201108271110126d5.jpg

 

泥だらけの靴蹴っとばした 湿った部屋の中

小さな物語を失くした夜 魔法にかけられた

一つの存在、一人の天使 私に手を振っていた

凍えた体を暖めてくれる甘いチョコレート

 

日本家屋で、よごれた靴を蹴りとばす場面は想像しづらい。

たとえばロンドンの下宿?

川瀬智子の言葉と、ブリグリの音は、聞くものを異境にはこぶ。

外は寒かつたらしい。

でもガタガタふるえたりしない。

彼女が弱音をはくわけない。

ホットチョコレートを飲みほし、ため息をつく。

 

青白い涙を月並みの言葉で飾って浮かべて

 

泣き言は、いつだつて月並み。

やせつぽちの歌い手は多分、かなしくて孤独だけど、

ハードボイルドに靴を痛めつけ、華奢な拳で鏡をたたきわる。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/20110827111011517.jpg

 

ウィキペディアによると、この歌詞は飛行機の客席から、

主翼で反射する月光をながめつつ綴られた。

下界のしがらみを拒絶する強さがある。

 

急いでランプを吹き消そう 限りあるこの世界に身を委ねて

鏡の中に私がいる

 

有限なる憂き世を飛びたち、ここでない、どこかへ。

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/20110827111011f21.jpg

 

明瞭ではないが、「そのスピード」とは、光が伝播する速さ。

光速すら、無限には程遠い。

でもボクらは、それをめざす。

 

 

 

 

http://blog-imgs-34.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/Edmund_blair_leighton_accolade.jpg

エドモンド・レイトン『騎士号授与』(1901年)

 

曲とかかわりないが、当ブログが最後に題名をかえたのは、

おととし九月末のこと。

 

イロイロあった週末のあとの月曜日、

金曜に書いたこの記事を読みかえしていたら、絶望しました。

 

年齢が半分以下の女の子が、光の速度で駆けているのに、

自分はまるで追いつけてないことに気づいたから。

それどころか、同じ場所でドタバタと足踏みしているだけ。

 

しかし、衝動的にブログを抹消するのは思い留まり、

タイトルを変えて、仕切り直すことにしました。

「そのスピードで」は、the brilliant greenの曲名からとっています。

 

コメント欄で弱音をはいていた。

言及された「女の子」、つまり岩渕真奈は、年齢こそ半分をこえたが、

その歩みは業績予想をはるかに上回り、世界一になつた。

瞬くうち、この星を七周半。

いまも絶望したままだけど、でも笑えてくる。





TERRA2001TERRA2001
(2000/10/01)
the brilliant green

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戦慄のブルー ― しょこたん・トミー・まるえつの三年戦争



PVは削除されて、いまのところユーチューブに見当たりません。


(埋め込み無効だが、より高画質のものはコチラ

 

中川翔子『空色デイズ』

 

作詞:meg rock

作曲:齋藤真也

発行:平成十九年 ソニー・レコーズ

[アニメ『天元突破グレンラガン』オープニング曲]

 

 

中川翔子の夢は、聖子ちゃんみたいなアイドル歌手になることだが、

ロボットアニメの主題歌だつたこの曲は、強烈なハードロック。

 

 

なのにフライングVが、小山田圭吾に負けないくらい似あう。

 

もしも世界が

意味を持つのなら

こんな気持ちも

無駄ではない?

 

憧れに押しつぶされて

あきらめてたんだ

果てしない空の色も

知らないで

 

張りのある声が、聞くものの胸を激しくゆすぶる。

しょこたんは、九歳のときに父を白血病でうしなつている。

ボクは当時をしらないが、中川勝彦は人気のロック歌手で、

かつてのファンは翔子をみるたび、父ゆづりの美貌にときめくのだとか。

 

 

多分彼女は、空のかなたに父の面影をさがしながら、

華奢なからだに秘めた思いを、叫びにかえたのだろう。

 

 

 

 

 

the brilliant green『Ash Like Snow』

 

作詞:川瀬智子

作曲:奥田俊作

発行:平成二十年 デフスターレコーズ

[アニメ『機動戦士ガンダム00』オープニング曲]

 

 

翌年発表されたこの曲は、『空色デイズ』へのアンサーソングだとおもう。

ロボットアニメに提供した作品であることや、曲調がちかいことの他に、

 

 

またもギブソン・フライングVが登場するのが、決め手だ。

しかし藝のこまかい三人組なので、ただの真似におわらない。

 

空 赤く染める 黒檀の闇

呑み込まれた 星屑たち

儚く降り積もる 灰の雪

 

川瀬智子がえがく空は、青色ではない。

それは真紅に燃えあがつたあと、黒、灰、白と目まぐるしく変容する。

 

想いは 寂寞の夜空に

舞い上がり 砕けた

この世界が 形を変えるたびに

守りたいものを

壊してしまっていたんだ

 

サビの部分。

「セキバクノヨゾラ」という響きが、耳に心地よい。

そもそも「Ash Like Snow」なる言い回しは、「阿修羅」を連想させる。

都市は戦火にのみこまれた。

 

 

ベレー帽を軍人風に着こなすトミー。

無線機をつかみ、「なぜボクはたたかうの?」とつぶやく。

守るべきものを失つた分隊は、瓦礫のちらばる焦土をさまようが、

いつか夜があけることを希望の光として、投降を拒否する。

 

 

 

 

 

相対性理論『人工衛星』

 

作詞:永井聖一 ティカ・α(やくしまるえつこ)

作曲:永井聖一

発行:平成二十二年 みらいレコーズ

[アルバム『シンクロニシティーン』収録曲]

 

 

じんこーえーせー、まぎ~おんっ!

やくしまるえつこの鼻声に、いきなり脱力する。

あれから二年、休戦協定がむすばれた様だ。

星に願いを。

少女は、旧チェコスロバキアの人工衛星マギオンに願掛けし、

カレシが夢中のガンプラを、ビーム兵器で破壊してもらおうとする。

しかし、まるえつの声色の奇術で、カードがひるがえつた刹那、

たわいない日常の陰にひそむ争乱が、あらわになる。

 

3分半の恋の ABCロマン

プラハで見た 流れ星が

散開 今夜 空 朱色混じり

二人はまだ 寄り添ってるの

 

宇宙戦争はまだ、終結していない。

少女はけふも、朱に染まつた夜空のした、つれない恋人とともに、

世界に平和がおとづれる日を夢みつつ、眠れぬ日々をすごす。

 

 

 

以上が、三年戦争のあらましだ。

虚空に手をのばし、身もだえしながら闘う理由をもとめる、

戦乙女たちの崇高な歌声がやむことは、決してない。





シンクロニシティーンシンクロニシティーン
(2010/04/07)
相対性理論

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星をみるひと ― the brilliant green『LIKE YESTERDAY』

 

 

LIKE YESTERDAY

 

the brilliant greenのシングル曲

 

作詞:川瀬智子

作曲:奥田俊作

制作:ワーナーミュージック・ジャパン 平成二十二年

 

 

 

カップリング曲の『at light speed』は、『そのスピードで』の英語版で、

「Kick off my muddy worn out shoes.」と歌いだされる。

泥だらけの靴を蹴つとばす。

あまりに直訳なのがおかしい。

川瀬智子の英語コンプレックスはまだ癒えない様だが、

おかげで彼女の日本語詞の、響きと影像のうつくしさを再認識できた。

「そ・の・すぴー・ど・で~」のけだるい艶を、やすやすと翻訳されてたまるか。

たとえ、それを書いた当人でも。

速度を「光速(light speed)」と言いきる口ぶりにも違和感が。

「どのスピード?」と含みをのこす、京女らしい底意地のわるさが素的なのに。

しかし、ブリグリの歌詞は難解な禅問答といわれるが、

トミーさんは頭のよいひとだから、実はすつきり整理できる。

 

トミーの好きなもの トミーの嫌いなもの
チョコレート 泥だらけの靴、湿つた部屋
星、月
天使 悪魔
青白い涙 あくび

 

あきらかに重度のナルシストであるトミーだが、

鏡を好きな自分が嫌いでもあるので、それを叩き割り、

天使と手をたづさえ星をめざそう、という歌だ。

いくつになつてもお星さまに願いをかける、永遠のティーネイジャー。

 

 

 

 

 

『LIKE YESTERDAY』は、ブリグリの二年ぶりのシングル。

アルバムは八年も音沙汰なしで、彼らはあからさまに煮詰まつている。

でも夫婦でいとなむバンドを、おいそれと解散もできない。

ゆえに、詞も曲も息ぐるしい。

 

When I wish upon a star

消えた星空

オルゴールの中に落ちた

硝子の涙一粒の嘘

あなたは気づかない

 

冒頭から耳をうたがう。

星空は虚空になつた。

その後も、「星のない夜も」や「霧の舞う空に 願える星はないけど」と、

天空をあますところなく濃墨でぬりつぶす。

トミーさん、夢も希望もない時代なのはわかるけど、

あなたまで星を見失つたら、ボクは迷子になつてしまう。

「夢は絶望になつた」とつぶやく憂鬱な歌が、列島に君臨した季節はすぎ、

CDなんてチャチな円盤は、見向きもされない長い冬がつづく。

どんな歌を、だれにむかつて歌えばよいの?

トミーがそう絶望したとしても、無理はない。

 

 

 

歌詞カードのサビのところに、不思議な図形が。

 

 

消えたはずの星が、うかびあがる。

たとえそこが漆黒の闇でも、空のかなたで星はかがやいてるよ。

トミーの声にならない思いが、やさしく胸にしみる。

目をつぶりCDをきいていると、心というスクリーンは、

満天の星空をうつすプラネタリウムになる。

YouTubeで低音質のPVをみて、歌詞をちよつと検索して、

それで音楽をわかつた気になるのは個人の自由だ。

CDが、時代遅れのメディアなのも事実だろう。

ただ今めかしい流儀では、みえない光景がある。

いまみえるベテルギウスの光が、六百四十年前にうまれた様に、

そう簡単にかわらない何かが音楽にあることを、ボクは信じている。






LIKE YESTERDAYLIKE YESTERDAY
(2010/02/24)
the brilliant green

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