『球詠』をディープに語ろう

 

 

球詠

 

作者:マウンテンプクイチ

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2016年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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『球詠』ファンの方とのツイッターでのやりとりでスイッチが入り、

来月の5巻刊行を前に個人的見どころをあつめた。

 

第1話を読み直して印象ぶかいのは、「制服で学校を選んだ」というヨミの発言。

いさぎよいくらい野球への情熱をうしなっていた。

珠姫などヨミ以上に淡白で、中学時代に全国出場したガールズのチームも、

近所だからたまたま加入しただけと白状している。

ふたりの再会がすべてのはじまりで、つまり奇跡だった。

かわいい制服のおかげだ。

 

 

 

 

天才打者・中村希が、本作のもう一枚の看板なのはまちがいない。

初心者である白菊の潜在能力を、ひと目で見抜いたのがすごい。

 

 

 

 

ウィキペディアに「長打力にコンプレックスのある希」と書いてあるが、

10話での芳乃との会話をふまえて修正してない、不適切な記述だ。

希はホームランを打てないのではなく、フォーム維持のため狙わないだけ。

 

 

 

 

1回表、1死1・3塁。

4番をまかされる希だが、相手は強豪の梁幽館。

むしろスクイズは合理的といえるが、気配すらない。

チームの信頼をあつめる強打者である証拠だ。

作者はそれをたたずまいで表現する。

看破したキャッチャー小林もさすが。

 

 

 

 

見逃せないのが、監督の藤井先生。

練習メニューや試合での采配は芳乃におまかせでラクしてるが、

ときおり意味深なことをつぶやき、部員たちをハッとさせる。

影森の攻略にも貢献している。

 

 

 

 

どうも藤井先生はパワプロの大ファンらしい。

敵味方の能力値を入力してシミュレーションをおこなったり。

ヒマなのかもしれないが、情報が頭に入ってるからこそできる芸当だ。

 

そんな苦心作を「ゲームはどうでもいい」とあっさり流す芳乃がすてき。

 

 

 

 

あふれる野球愛ゆえ、芳乃はたまに采配が暴走する。

それが双子の姉・息吹が死球をうけた一因となり、罪悪感で意気消沈してしまう。

藤井先生は代わってサインをおくる。

 

的確に状況を把握してないと、このさりげない動きはできない。

4強時代の新越谷OGだから、言いたいことはいくらでもあるはずだが、

優秀な参謀である芳乃に自由にやらせるため、あえて黙ってるのだろう。

ベンチにおける名コンビである。

 

 

 

 

さて、そろそろ僕の個人的思い入れを書いていこう。

一番好きなキャラは理沙先輩だ。

初戦のマウンドにのぼるときの後ろ姿は、本作最高のカットのひとつ。

 

 

 

 

3巻のおまけ漫画から。

 

理沙先輩の魅力は、そのやさしさ。

急造ピッチャーとして登板するにあたり、緊張しないわけないのに、

出番を奪われたヨミがふてくされてないかと、自分のことより心配する。

ヨミの不満は、実は打順に対してだったが。

 

それにしても、初心者なのにヨミより打順が上になった白菊と息吹は大したもの。

 

 

 

 

マウンテンプクイチは、百合姫コミックスから2冊単行本をだしている。

百合作家としても、150キロくらいの速球を投げられる本格派だ。

しかし、『球詠』に恋愛要素はない。

部内での恋愛は、トラブルの種でしかないからだろう。

匂わせもしない。

 

ただひとり、理沙先輩をのぞいては。

つねにチームのことをかんがえ、親友である怜を献身的に支える人格者が、

片思いの悩みをかかえるガチ百合として、作家性を担っている。

 

 

 

 

かわいい女の子たちのわちゃわちゃ。

一球一打にかける熱い思い。

戦略性のおもしろみ。

そしてときおり炸裂する、思春期らしい切ない胸中。

 

『球詠』には、僕らが漫画に求めるほぼすべてがあるし、

逆に『球詠』にないものは、世界に存在する価値がないとさえおもえる。





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ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック 

ルッチーフ『奥さまは新妻ちゃん』

 

 

奥様は新妻ちゃん

 

作者:ルッチーフ

掲載誌:『まんがタイムきらら』(芳文社)2017年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

このポニーテールのヒロインは、「琴吹新妻(にいづま)」。

名前があらわすとおり新婚ホヤホヤである。

たわわな胸は見せびらかすというより、窮屈すぎて上着からはみ出てる感じ。

 

ネーミングはちょっと風変わりだが、これはSNSで人気のある、

テーマにそった連作イラストみたいなものと考えるべきだろう。

 

 

 

 

マンションでの、甘々でみずみずしいふたり暮らしをえがく4コマだ。

男に好まれる要素をギュッと凝縮した、新妻ちゃんの造形がすべてと言える。

素直で、頑張り屋さんで、恥ずかしがりな性格もふくめて。

 

 

 

 

ご近所さんも若くてかわいい奥さんばかり。

隣室に住む「なごみ」はロリだが、言動は妙に大人びている。

 

 

 

 

「文さん」は和服がにあう美人。

夫が官能小説家だからか、意図せずエロスを発散している。

 

 

 

 

掲載誌のカラーゆえ、直接的描写はない。

キスすらしない。

そして性生活の不在についてのエクスキューズは特にない。

 

かわりに新妻ちゃんは夫をよろこばせようと、「水着エプロン」でお出迎え。

定番の裸エプロンじゃないのは、恥ずかしすぎるから。

 

 

 

 

新妻ちゃんは大きな胸がコンプレックスだった。

回想シーンは共感をよぶ出来。

 

ご都合主義をかわいさの方向へ突き詰めつつ、でもそれだけでは終わらない、

きららが提供するファンタジー世界の典型がここにある。





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タグ: 萌え4コマ  きらら系コミック  ロリ 

あfろ『mono』

 

 

mono

 

作者:あfろ

掲載誌:『まんがタイムきららミラク』『まんがタイムきららキャラット』2017年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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写真部の女子高生をえがく4コマ漫画である。

先輩が颯爽と撮影する姿を、主人公「さつき」が撮影し、

そのさつきを親友の「アン」が撮影するのが、おもな活動だった。

ところが先輩が卒業したので、部は休止状態に。

 

アニメ化された『ゆるキャン△』がヒットし、一躍人気作家となったあfろだが、

持ち味である、シュールでひねくれた作風は健在の様だ。

 

 

 

 

作者の趣味をネタにする点は『ゆるキャン』と共通だが、

さつきがあやつるのは、スマホと連動させたパノラマカメラ。

一眼レフのレンズがどうとか、いかにもカメラマニア的な話題は皆無。

 

 

 

 

アンが購入したのはアクションカム。

猫の頭にマウントして町内を撮影する。

ゆるキャラにもみえる。

 

 

 

 

7話から一同は、山梨県にある『ゆるキャン』のロケ地をめぐる。

自作の「聖地巡礼」をえがくなんて前代未聞だ。

作品という概念が、読者の脳内で溶解する。

 

 

 

 

12話からは唐突なフードファイト。

小柄な「敷島さん」が意外な活躍をみせる。

 

尖ったセンスと、ハズシのテクニックで勝負する作家だが、

「かわいい女の子の日常」という、きららのお約束はきっちり守る。

 

 

 

 

カメラは女子の趣味としてポピュラーだし、それを題材とする漫画は多数ある。

ただ本作は、カメラを「青春の一コマを切り取る象徴」として扱わない点で独特。

単なる小道具として、ふかい意味を背負わずに存在する。

 

それゆえ、なにかが胸に直接せまってくる。

緑がかった空の色とか、本当にうつくしい。





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秋アニメOPを語る 『となりの吸血鬼さん』と『アニマエール!』

 

 

『となりの吸血鬼さん』は、400歳の美少女吸血鬼と、

おせっかいな女子高生の同居生活をえがくコメディだ。

 

「ソフィー」は吸血鬼だが温厚な性格で、けっして人間を襲わない。

血液はアマゾンで購入している。

 

 

 

 

本作はゴシック要素が薄い。

かわいい女の子がいっぱいで、絵面もぱっと華やか。

 

 

 

 

僕は基本的に吸血鬼ものが苦手だ。

血を吸うという行為が、どうも不衛生に感じられる。

そして露骨に性的すぎるとおもう。

 

しかし本作は、「少女同士のちょっと過剰なスキンシップ」がモチーフで、

吸血行為がむしろそこに埋没するのがおもしろい。

 

 

 

 

OPアニメーションは、コンセプトデザインの杉村苑美が担当。

本作のビジュアル面をリードしている様だ。

ちらちらと健康的なエロスをアピールする。

 

 

 

 

園田健太郎による楽曲はにぎやかで、いわゆる電波ソングに分類できそう。

感心するのは、ソフィー役をつとめる富田美憂の歌唱力。

電波ソングはある意味、声優が強引な譜割りをたどたどしく追う、

「歌わされてる感」が魅力だが、この人はさらっと歌いこなす。

役柄もぴったり。

堕天使や吸血鬼をやらせたら、右に出るものはない。

 

相方をつとめる篠原侑は、アイムエンタープライズ所属の若手声優。

本渡楓や千本木彩花のひとつ下で、嶺内ともみの同期。

若いふたりの掛け合いが中心なのに、安定した芝居に感じられるのは、

音響監督・明田川仁の力量が大きいとおもわれる。

 

Studio五組制作ということで、『きんいろモザイク』をなぞる雰囲気を出しつつ、

「日常/非日常」「明/暗」「友情エピソード/ギャグ」「若手声優/中堅声優」などの、

絶妙なバランスをたのしめる秀作となりそう。



 

 

 

 

『アニマエール!』はチアリーディングを題材とするアニメ。

制作はきらら系を得意とする動画工房で、ハズレはないだろうと期待させる。

 

OP曲はチアを模しており、掛け声が飛び交って元気いっぱい。

おもわず体がうごくアクティヴな曲だ。

 

 

 

 

主人公ではないが、チア経験者の「有馬ひづめ」が鍵となるキャラ。

優等生で、ふだんは無表情。

 

 

 

 

しかし演技がはじまった途端、人がかわった様なキラキラの笑顔をみせる。

チアにかける情熱がつたわり、グッとくる。

 

 

 

 

僕が好きなのはサビのはじめの部分。

カメラが奥に、つづいて横にうごくなかでとらえた、勢いよく跳ねるポニーテール。

熱い青春の一コマを象徴している。



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湖西晶『三時限目は魔女の家庭科』

 

 

三時限目は魔女の家庭科

 

作者:湖西晶

発行:芳文社 2018年

レーベル:まんがタイムKRコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

魔界からきた、2000歳の家庭科教師「マジョリカ」が、

婚活を目的としてなぜか女子校へ赴任、そこで騒ぎをひきおこすお話。

ジャンル分けするなら、ドラクエインスパイア系萌え4コマかな。

 

 

 

 

フルパワーのボケとツッコミがとびかう、ギャグよりの作風。

ゆっくりお茶をたのしむ暇もない。

 

 

 

 

ツッコミ役は1年生の「悠木紗菜(ゆうき しゃな)」、あだ名は「ユーシャ」。

いうまでもなく魔女の天敵である。

普通にしてれば可愛いのに、死んだ魚の様な目で毒舌をふるう。

そこがおもしろい。

 

 

 

 

ファンタジー設定も、ところどころで利いている。

液体状のネコスライムとか。

 

 

 

 

マジョリカの母親の幼女っぷりも見どころ。

ロリお母さんは、そう突飛なキャラづけではないが、こちらは関西弁でかわいい。

 

 

 

 

デリヘルがどうのこうのと、きらら的にギリギリの下ネタも。

絵もネタも情報量がおおく、1巻完結だが読みごたえのある作品だ。





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