マウンテンプクイチ『球詠』4巻

 

 

球詠

 

作者:マウンテンプクイチ

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2016年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

4巻前半で、謎めいた影森高校との試合が決着する。

非力で気弱で、しかも初心者だった息吹が、打撃に投球に大活躍。

その成長ぶりが感慨ぶかい。

 

 

 

 

3回戦の相手は、全国レベルの強豪「梁幽館高校」。

 

団体競技をえがく漫画は、勝ち進むほどキャラデザの負担が重くなる。

でも、たとえば梁幽館のリードオフガールである「陽秋月」は、

メカクレでかわいく、作者の描き分けの在庫はまだ潤沢らしい。

俊足の二塁手「白井さん」もいい。

 

 

 

 

名参謀・芳乃の知識と勝負勘が、本作の醍醐味。

しかし小細工の通じない難敵に、バントの指示をだすのにも迷いをみせる。

 

 

 

 

1回裏、芳乃はきびしい判断をせまられる。

そして2死2塁で4番「中田奈緒」との勝負をさけ、敬遠策を命じる。

エースで50本塁打の中田のプレーをみにきた観客は怒る。

 

 

 

 

女子高生に、大観衆からのヤジはきつい。

息吹など震え上がってしまう。

一方で、おかしな理屈で反論する、希の熱い野球バカっぷりがいい。

いちいち福岡ローカルネタをしこんだり、セリフが全体的におもしろい。

 

 

 

 

敬遠は卑怯か、それともルールにのっとった正当なプレーか。

それを高校球児にやらせるのは正しいのか。

古典的な議論である。

 

本作があたらしいのは、議論の対象が女子高生である点。

つまり、勝負のために勝負から逃げるJKは、かわいいのか?

答えは勿論、かわいい。





関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック 

コト/深見真『ライター×ライター』

 

 

ライター×ライター

 

作画:コト

原作:深見真

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2017年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

アニメ脚本家の世界をえがく漫画である。

『ゆるゆり』や『ベルセルク』などを手がけた深見真が原作なので、

原稿用紙の使い方から、この業界の基礎知識をまなべる。

 

 

 

 

主人公は18歳の「橋本カエデ」。

高校在学中にデビューし、その勢いで熊本から上京したが、

デビュー作は酷評されて自信喪失、いまはコスプレ喫茶で働いている。

 

 

 

 

デビュー作でお世話になったプロデューサーから、

23歳の人気脚本家「十文字ユキカ」を紹介される。

カエデは藁にもすがる思いで、住み込みのアシスタントとなる。

 

 

 

 

アニメファンなら、業界話を興味ぶかく読めるだろう。

原作をめちゃくちゃにされた経験のあるラノベ作家に嫌われたり。

 

予算やスケジュールの都合で、どうしても原作を改変せざるをえない場合がある。

そんなとき脚本家は「原作レイプ」などと言われ、批判の矢面に立たされがち。

僕も安易に叩いてたかもしれないと、読んでて反省した。

 

 

 

 

体系的に脚本術を学んだことのないカエデは、

「三幕構成」などの作法を一からじわじわ吸収してゆく。

ストーリーをつむぐ女の子のストーリーが、かわいくさわやかに展開される。





関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック 

うみのとも/スーパーまさら『私を球場に連れてって!』

 

 

私を球場に連れてって!

 

作画:うみのとも

原作:スーパーまさら

掲載誌:『まんがタイムきららMAX』(芳文社)2017年‐

単行本:まんがタイムKRコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

野球ファンの女子高生をえがく4コマ漫画である。

現在『きららフォワード』では傑作『球詠』が連載中で、

きららと野球の相性のよさは、もはや明白だ。

 

 

 

 

主人公は野球に関心のない「タマ」。

熱狂的キャッツ(ライオンズ)ファンである「レオナ」は、

球場飯をエサにして、食いしん坊の同級生を自分の趣味にひきこむ。

 

 

 

 

内容は基本的に、野球ファンあるあるネタ。

可憐な容姿と、陰険で殺伐とした会話のギャップが萌えポイント。

 

 

 

 

作画担当のうみのともについては、『そよ風テイクオフ』を以前とりあげた。

原作つきだからか、ギャグの毒気が前作より増した様に感じられる。

 

 

 

 

もともときらら系作品のキャラは、女子高生の皮をかぶったオッサンと言える。

野球ファンでもおかしくないどころか、妙にハマる。

本作は、ユニフォーム姿の女子が好物の人につよく推薦したい。





関連記事

テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック  萌え4コマ 

『スロウスタート』第7話

 

 

スロウスタート

 

監督:橋本裕之

7話絵コンテ:舛成孝二

7話演出:篠原正寛

原作:篤見唯子

シリーズ構成・7話脚本:井上美緒

脚本:井上美緒、山下憲一

キャラクターデザイン:安野将人

音楽:藤澤慶昌

アニメーション制作:A-1 Pictures

放送期間:2018年1月‐

[当ブログの関連記事はこちら

 

 

7話は、栄依子が誕生日をむかえる。

トレードマークのヘアピンをみんなから贈られ、頭がにぎやかに。

榎並先生がくれたのは、手持ちのゼムクリップ。

したたかな栄依子は即興でハートマークに変える。

 

 

 

 

Bパートは推理もの風にはじまる。

ある朝先生が自宅で目覚めると、異変がおきていた。

 

 

 

 

教え子である栄依子が、かわいい服を着て床で眠っている。

両手を縛られたまま。

いったいなにがあったのか。

 

 

 

 

栄依子の證言により、真相が判明する。

先生は友人と飲んだ帰りに栄依子と出くわし、マンションまで送ってもらった。

泥酔してたとは言え、教え子に介抱されたとはみっともない。

 

 

 

 

栄依子はブアイソな先生に興味津々で、やたらちょっかいを出し、からかう。

冠もそうだが、「自分」をもっていて、芯の強いタイプが好きらしい。

人当たりがよくて、つい他者の期待に応えすぎ、

流されがちな彼女にとって、うらやましい性格だから。

 

 

 

 

先生は栄依子を嫌いではないが、可愛げがないとおもっている。

高1にしては言動が大人びすぎ、あつかいづらい。

でもそこは亀の甲より年の功、帰りぎわの栄依子に「接触」し、意表をつく。

 

衣擦れの音のエロティシズムは、百合アニメの醍醐味。

 

 

 

 

栄依子役の嶺内ともみはド新人だが、達者な演技に舌を巻く。

沼倉愛美との心理戦は、見ごたえ聞きごたえたっぷり。

ぬーさんは、『ハナヤマタ』で豊口めぐみとぶつかり合った様に、

今度は新人に胸を貸している。

アニメっていいなとおもわされる。

 

 

 

 

情動はさらに昂まってゆく。

栄依子は、先生がつけているネックレスに目をとめる。

 

 

 

 

それは、アクセサリー制作が趣味の栄依子がつくったもの。

母が経営する雑貨店で、たまたま先生は買ったらしい。

 

 

 

 

こんな偶然って、あるんだな。

とにかく、めちゃくちゃうれしい。

 

 

 

 

栄依子の感情がどっと心に流れこみ、花名はおもわず泣き出す。

全然大事件じゃないし、自分は直接関係ないのに。

だからこそ、この涙はうつくしい。

 

 

 

 

自信家ぽくて、話が上手で、だれとでも仲良くなれる栄依子だが、

本当に自分が好きなものを人に知られるのは恥づかしかった。

隠してたつもりはないが、言えなかった。

でも、花名には言えた。

正反対とおもわれたふたりは、実は似たもの同士だった。

 

 

 

 

こちらは若手声優の、瑞々しいアンサンブルをたのしめる。

名作『ハナヤマタ』に匹敵する、心洗われるエピソードだ。





関連記事

テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック  百合 

大堀ユタカ『花降り宿のやどかり乙女』

 

 

花降り宿のやどかり乙女

 

作者:大堀ユタカ

掲載誌:『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)2017年‐

単行本:まんがタイムKRコミックス

ためし読み/当ブログの関連記事

 

 

 

温泉街を舞台とした4コマ漫画である。

ちなみに上の引用画像は、きらら単行本お約束のカラーページ。

 

主人公は「千歳六花」。

さびれた旅館の娘で、高校入学を機に、老舗で仲居の修業をはじめる。

新生活への期待でつぶらな瞳はかがやく。

 

 

 

 

はじめてお座敷へ上がるときのドキドキ感など、よく描けている。

ヒロインがくせっ毛なところも造形的な魅力がある。

 

 

 

 

大堀ユタカは、前に『re:teen』を当ブログでとりあげた。

メカやアクションもいける画力の高い作家だが、それはそれとして、

ぴちぴちと弾ける様な女の子のかわいさが印象的。

着物だけでなく、学校制服でも目をたのしませる。

 

 

 

 

電撃コミックスの『re:teen』ではロリータエロスが炸裂していたが、

きらら系の本作ではレーベルカラーを反映し、そちら方面はおとなしめ。

せっかくの題材をいかせてないのは正直不満だ。

 

 

 

 

初の4コマ連載だとかで、読んでいて窮屈さは否めない。

現役トップクラスの画力の無駄遣いと言えなくもない。

そして掟破りの見開きページで、作者はフラストレーションを解消するが、

下にエクスキューズ的な4コマがあり、いかにも2018年的な作品だとおもう。





関連記事

テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック 
最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
月別アーカイヴ
08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03