土室圭『徒然日和』

 

 

徒然日和

 

作者:土室圭

掲載誌:『コミック百合姫』(一迅社)2017年‐

単行本:百合姫コミックス

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単行本冒頭のカラーページだが、グラデーションをほとんどつかわない、

べたっとしたいわゆるアニメ塗りで、おっこれは何かちがうぞと思わせる。

 

 

 

 

初連載らしい本作は、田舎の女子高生4人の日常もの。

そのうち「七揶」と「実里」はルームシェアしている。

 

 

 

 

炊事や洗濯など、家事を分担して生活する。

アパートの内と外を自在に飛び回るカメラワークがあざやか。

ある意味本作は、背景が主役だ。

 

 

 

 

第6話は、雨降りの退屈な一日をえがく。

庇からこぼれる雨水を、なんとなく傘の先でうける「真冬」の虚ろな顔つき。

 

以上の三ページでは、右下から左上への視線誘導がつかわれている。

 

 

 

 

雨があがる。

ドラマのない日常のなかのドラマを、鮮明な絵として浮かび上がらせる。

 

 

 

 

とはいえ土室圭は、一枚絵が自慢のイラストレータータイプではなく、

動きのある表現もソツなくこなしている。

百合ジャンルにおける大型新人なのは間違いない。





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やまむらはじめ『姫ヤドリ』

 

 

姫ヤドリ

 

作者:やまむらはじめ

掲載誌:『月刊サンデーGX』(小学館)2017年‐

単行本:サンデーGXコミックス

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1970年代のハンガリーなどを舞台とする物語である。

国を追われた姫君である三姉妹の、魔法を駆使しながらの逃亡劇をえがく。

 

 

 

 

年代物の銃や車が多数登場する。

マニアにはたまらないのではないか。

銃撃と魔法をくみあわせたアクションも見ごたえあり。

 

 

 

 

冷戦期の東欧とゆう、われわれ一般読者になじみの薄い舞台をえらんだのは、

「現代のお姫さま」を描きたいからだろう。

 

 

 

 

冷酷なロシア美女など、おいしいキャラクターも出てくる。

よくしらべた内容を、ベテラン作家らしい説得力で表現している。

 

 

 

 

1巻時点でのストーリーは、目的が「安全をもとめての逃亡」なのか、

それとも「復讐のための帰還」なのかよくわからない。

国際規模の陰謀がからむので、ひろげた風呂敷をたたむのが大変そう。

 

ただ、独特の繊細でやわらかい筆致でえがかれる、

三人のお姫さまがイチャイチャする様子は、とても魅力的だ。





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土屋計『鉄刻の清掃員さん』

 

 

鉄刻の清掃員さん

 

作者:土屋計

掲載誌:『月刊コミックガーデン』(マッグガーデン)2017年‐

単行本:マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ

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他人の時間を売りさばく「ブローカー」が暗躍し、混乱におちいった世界で、

それと戦う「清掃員」を描くダークファンタジーである。

 

 

 

 

このテの話の常として、世界観はやや難解。

ただ黒々としたヴィジュアルの魅力はつたわるだろう。

 

 

 

 

インタビューによると、作画はフルアナログらしい。

たしかにアクションの生々しさがちがう気がする。

 

 

 

 

清掃員たちは高校などでも仕事をする。

若ければ若いほど時間の値打ちは高い。

リスクを軽視し、大金を手にした生徒もいる。

 

 

 

 

幼い子供の命は「神の時間」とよばれ、特別な価値をもつ。

愛する兄のため禁を犯した「まひろ」のエピソードは痛切。

 

 

 

 

インクがたっぷり染みこんだ紙面の迫力。

漫画らしい漫画だ。





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くろは『有害指定同級生』

 

 

有害指定同級生

 

作者:くろは

掲載誌:『ジャンプスクエア』(集英社)2017年‐

単行本:ジャンプコミックス

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右側の、性欲をもてあましている高校2年の「都城玲華」が、

三つ編みでマジメな同級生「八橋みやこ」を翻弄するギャグ漫画。

作者のトレードマークであるあざらしも活躍する。

 

 

 

 

セックスに興味がありすぎる都城は、いろいろすっ飛ばして売春へ走ろうとする。

さすがに無視できず、みやこは延々とつづく猥談に引きずり込まれる。

 

 

 

 

ツッコミの鋭さが、作者の特徴だろう。

「類語辞典かお前は」なんて冴えたセリフ、なかなか思いつかない。

 

殺伐となりがちな会話を、あざらしで中和するバランス感覚も健在。

 

 

 

 

フリーダムな言動についてゆくには、教養がもとめられる。

もともとゲームネタを得意とするくろはだが、

「オープンワールド」など用語がアップデートされている。

 

 

 

 

藝術あつかいされる江戸時代の春画は、現代ならエロ漫画みたいなものだから、

自分は「未来の藝術」を読んでいるのだと、都城は正当化をはかる。

 

下ネタ連発でも、ところどころ知性でピン留めするので、下品にならない。

 

 

 

 

基本的に教室での会話劇であり、作品全体をつらぬくプロットはない。

とはいえ、ふたりが心をかよわせる百合要素は存在する。

 

 

 

 

悪ノリしすぎた都城が、みやこを深刻に傷つけてしまうシーン。

 

いわゆる萌え文化は、それにどっぷり漬かってる僕が言うのもなんだが、

「性的搾取」とゆう負の側面があるのは否定できない。

実際のところ、楽しけりゃいいってものじゃない。

そして、いかにも世間をナメてる風でありながら、

くろはは表現の暴力性に自覚的で、作風は一本筋がとおっている。

 

グダグダトークとゆう持ち味を、部活もののフォーマットへ落とし込んだ、

『帰宅部活動記録』の完成度には劣るかもしれないが、本作も魅力的だ。





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多治見尚哉『お姉さんは無精者』

 

 

お姉さんは無精者

 

作者:多治見尚哉

掲載サイト:『マガポケ』(講談社)2017年‐

単行本:講談社コミックス 月刊少年マガジン

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ちょっとエッチな家庭教師もの。

主人公の「正義(せいぎ)」は、いとこの「みゆき」と10年ぶりに再会。

正義は中1だが、小学校低学年に見えるので、

親戚なのに年齢を忘れてるみゆきは妙に無防備。

 

 

 

 

丈の長いTシャツの下に短パンを穿いてると、みゆきは言う。

しかしローアングルから見たら穿いてなかった。

 

ズボラなお姉さんと、むっつり中学生のコメディである。

 

 

 

 

正義は、大学生であるみゆきに勉強を教わることに。

ただし年齢についての勘違いは正さない。

異性として意識されたら、役得がなくなるから。

 

みゆきは二回めから短パンを穿くが、これはこれでエロい。

 

 

 

 

狭い部屋での会話劇がたのしい。

正義の幼なじみ「夏菜」は潔癖な性格で、みゆきが売春婦ではないかと疑う。

みゆきは適当な発言で火に油を注ぐ。

 

 

 

 

こちらはみゆきの妹である「茜」。

姉とちがってしっかり者。

第11話で明かされる幼少期のエピソードは笑える。

山犬との交流とか。

 

 

 

 

会話劇の見どころを紹介するのは結構むつかしい。

一方で、女の子の描き分けの巧さは伝わったのではないか。

みゆきもポニテでノースリーブだと、だいぶ雰囲気変わる。





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苑田 謙

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