「ブログ DE ロードショー 第4回」告知

 

※このエントリは、11月15日まで最上部に表示されます。

 

 

 

えェー、お運びでありがたく御礼もうしあげます。

殺人、強盗、詐欺に、覚醒剤。

物騒な事件が耳にはいらぬ日はない世の中でして、

われわれ善良なる市民としては、枕を高くして眠れません。

そんな悪党どもはお上が片つ端からふんづかまえて、

しばり首にしてくれるとありがたいですが、

みなさま御承知のとおり、ことしから「裁判員制度」なんてのがはじまり、

ずぶのシロウトが、重大犯罪に裁きをくだす役目をになう次第となりました。

まあ映画なんかですと、有名なところでは『十二人の怒れる男』とか、

陪審制度に題をとつた名作がございますな。

「さすが訴訟社会アメリカはすごいな、カッコイイな」てな具合で、

対岸の火事と安心して眺めていたものですが、

まさか自分が法廷に招かれるかもしれないとは、おもいもよらぬ展開でございます。

 

 

 

さてこのエントリは、「ブログ DE ロードショー」のお知らせです。

ブロガー同士で日取りをきめ、DVDかなにかで同じ映画をみて、

感想を記事に書いたり、ブログにコメントしたりして楽しむ企画です。

えェ勿論、文章を書くのは義務ではございません。

楽しみかたは、人それぞれ。

なんと今回は、ワタクシめが作品選定の役を仰せつかりましたので、

普段映画をあまり見ない、そんな読者のかたこそ、

是非気軽に御参加いただけるとありがたく存じます。

日時は11月13日(金)〜15日(日)です。

さて、気になる作品名は…

 

『ニューオーリンズ・トライアル』

(DVD版タイトル:『ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決』)

 

出演者:ジョン・キューザック ジーン・ハックマン ダスティン・ホフマン

監督:ゲイリー・フレダー

原作:ジョン・グリシャム

製作:アメリカ 2003年

 

に決定いたしました。

ビデオ屋さんでは、「サスペンス」の棚に置かれてるはずです。

おつと、「そんな映画は聞いたこともない」とお思いの読者さま、

食わず嫌いでは勿体ない。

陪審制度のおそるべき裏事情をえがく、法廷サスペンスの傑作なんですから。

 

 

 

『ニューオーリンズ・トライアル』は、銃乱射事件の被害者の妻が、

銃器会社を相手に起こした訴訟をめぐるドラマです。

この裁判の陪審員にえらばれたのが、冒頭の写真の右側、

ゲーム店ではたらくニック・イースター(ジョン・キューザック)。

市民の義務をはたす気などさらさらないグータラ男で、

「ネットゲームの大会があるので棄権します」と逃げたら、

かえつて裁判長の怒りを買い、無理やり審理に参加させられる。

ところがどつこい、その不真面目な態度は実は演技だつた。

厳粛な裁判の背後で、陰謀がうごめく。

殺人の責任を負わされてはたまらない銃器会社は、

巨費を投じ、陪審員を通じて判決を誘導しようとたくらんでいた。

 

 

陪審コンサルタントのランキン・フィッチ(ジーン・ハックマン)。

こいつがまた悪いヤツでして。

心理学、ハイテク、捜査などの専門家をあつめてチームをくみ、

ありとあらゆる面から、陪審員をあやつろうとする。

陪審員席を隠しカメラで監視し、被告側弁護士に指示をだす。

原告側に味方する陪審員は、住居侵入までして弱みを探しだし、

それをネタに脅迫して意見をかえさせる。

いやあ、裁判つてコワイものなんですねえ。

 

 

 

 

 

この映画は、配役が最高なんです。

みな藝達者で、しかもノリノリ。

原告側の弁護士役のダスティン・ホフマンと、ジーン・ハックマンが、

裁判所のトイレではげしく議論をたたかわすさまは、

語りつぐべき名場面中の名場面。

ちなみにジョン・キューザックは、21日公開のSF大作、

『2012』の主演もつとめているので要チェックだつたりします。

 

 

そしてワタクシが、美女のでない映画を選ぶわけがございません!

原告被告双方に、「陪審員売ります」とのメッセージをつたえる、

謎の女マーリー(レイチェル・ワイズ)。

ただでさえヤヤコシイ裁判は、上を下への大騒ぎとなるのでした。

 

 

 

どうです、見たくなつてきたでせう。

暴力や性的な表現もないので、どなたにもオススメできます。

14・15日の週末はアニメは録画しておいて、たまには映画でもいかが?


テーマ : 映画
ジャンル : 映画

そして天使は走りつづける ― なでしこリーグ 第21節 ベレーザ 対 INAC

 

なでしこリーグ 第21節 日テレ・ベレーザ 対 INAC神戸レオネッサ

 

結果:2−0 (1−0 1−0)

得点者:前半7分 岩渕真奈 後半7分 須藤安紀子

会場:駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場

[現地観戦]

 

 

 

平日よりも念入りに髭をそつた。

ボクの天使に見苦しい顔はさらせない。

つむじ風が、駒沢公園の枯葉をまきあげる。

 

 

世田谷の住宅地にかこまれる広場では、

裕福そうな家族が日曜の午後をすごしていた。

十七歳年下の女子サッカー選手に熱をあげ、

孤独な週末をおくるボクは、相対的に人生の敗残者だとおもえる。

ちなみに我が弟は、妻子とともに世田谷区のどこかに住んでいるが、

最近勤め先が倒産したとかで、生活は大変らしい。

どの家族にも、それぞれの内情がある。

見た目では、なにもわからない時代だ。

 

 

二万人を収容できるうつくしい競技場。

ただし、一番上の写真にうつる病院のせいで照明をおけず、

立地も設備もカンペキなのに、Jリーグの規格をみたさない。

まさに宝の持ち腐れ。

閑古鳥がなくバックスタンドに、この国のサッカーの実体がみえる。

 

 

 

前半7分、大野忍とのワンツーからぬけだした岩渕真奈が、

ゴールネットをやさしく揺らす。

身も焦がれるほど待ち望んだ瞬間だが、

実際に目の当りにすると、さほどの感動はない。

だれからも当然とおもわれている。

公平にみれば、十六歳が日本代表選手をおしのけて、

この試合に出ていることが驚嘆に値するけれど。

「天才」の称号とは、斯様に重いのだ。

ぶっちーの一蹴りで、勝ち点3で追うINACを返り討ちにし、

ベレーザは今季の準優勝をきめた。

でも実は得点よりうれしいのは、

彼女の右腿のサポーターがとれていたことだつたりする。

 

 

 

つまらない試合だつたので、追加時間中に席をたつ。

まあ岩渕真奈が、後半22分に木龍七瀬と交代したからでもある。

一方、INACはシーズンを四位でおえた。

右サイドバックの主将・藤村智美は、なぜ勝たねばならない試合で、

ずつとぶっちーに貼りついていたのだろう。

よくわからない。

「天から来たマナ」と徒競争をしたくなかつたのか、

それとも、『サッカーマガジン』の表紙をかざつたのを妬んだのか。

トイレから出たあとの細い階段で、

ケガで欠場していた澤穂希とすれちがう。

不機嫌そうだつた。

後輩のはたらきに不満があるのか、

それとも、くるしくなるほど排泄をこらえていたのか。

いづれにせよ、今度は全日本選手権にむけて、

岩渕真奈とその仲間たちの挑戦はつづく。


テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』

 

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

This Is It

 

監督:ケニー・オルテガ

制作:アメリカ 二〇〇九年

[新宿ピカデリーで鑑賞]

 

 

 

マイケル・ジャクソンが死の二日前まで尽力した、

ロンドン公演のリハーサルの模様をまとめた映画。

まづ気づいたのは、彼が四六時中ジャケットを羽織つていること。

それもキンキラキンの。

痩せぎすの体躯をみせるのが嫌いなのだろう。

世界各地からつどう若いバックダンサーは、

汗だくになるのを予期して、だれもが半分裸みたいな格好なのに。

キング・オブ・ポップには、舞台衣装と普段着の区別がない。

私生活など、とうの昔にドブに捨てている。

『ハイスクールミュージカル』などで知られるオルテガ監督にとつては、

この男の隙のなさが好都合だつたはず。

練習風景をつなぐだけの映像でも、貧乏くさく見えないし、

それどころか、拍手喝采の会場が瞼にうかぶ瞬間が多々ある。

あゝみえて藝歴四十年をこえる古兵だから、共同作業者への要求は高度で、

期待にこたえられない人間には、露骨にイラつくこともある。

舞台は氷りつく。

マイケル・ジャクソンに叱責されるなんて、これよりひどい悪夢はない。

ただ空気にまじる酸性の粒子に、マイケルはすぐに反応する。

だれかがだれかを傷つけることに、極度に敏感だから。

「怒つてないよ、愛でいつてるんだ。L-O-V-E」

こんなセリフを口にして嫌味にならないのは世界でただひとりだし、

そして、その人はもういなくなつてしまつた。

 

 

 

この映画がすばらしいのは、その死について一言もふれないこと。

匂わせすらしない。

最高のショウをめざし、音楽とダンスと演出の采配をふるう、

偉大なリーダーの奮闘ぶりだけがそこにある。

ベース担当のアレックス・アルに、「もつとファンキーに」といいながら、

「ドゥクドゥントゥットゥッ」と呻り、ベースの弾き真似をするのが超クールだ。

やたら線の細い印象でかたられる人だが、本質的には野太いビートを愛する、

ジェイムズ・ブラウン直系のファンクマスターだつた。

 

 

「Black Or White」でギターを掻き鳴らすオリアンティ・パナガリス。

下からの風に金髪が逆立ち、まつたく別の意味で超クール!

一筋縄でゆかぬ音楽的背景にささえられた、

いまのマイケルにしか演じられない、綺羅星のごときコンサートになつたろう。

 

 

 

オルテガ監督が本作を、故人をしのぶという口実で、

お涙頂戴のドラマに仕上げるという誘惑に勝てたのは、

それが、藝の道に生きた男への最高の手向けと知るからだ。

せめて映画という形で、公演をまつとうしてあげたい。

かぎられた素材を慎重に縫いあわせ、マイケルの最後の夢を現実のものとした。

誠実な仕事だとおもう。

数日後に心肺停止するとは信じがたい、はげしく踊る百十一分のあと、

めづらしくスタッフロールを最後までみている筆者のなかで、

少年の様な彼の声が、たしかにひびいた。

ボクのことでいつまでも悲しまないで。

そして、世界に愛を。

L-O-V-E。


テーマ : マイケル・ジャクソン
ジャンル : 音楽

『ヴィーナスの身支度』

 

 

 

電車で化粧する美人はいない。

人前で見た目をとりつくろう姿は、どうにも見苦しい。

内面のあさましさは、ファンデーションでは隠せないのだ。

実際彼女たちがおもう以上に、人は人の顔を意識する。

その美醜ではなく、何者であるかを。

敵か、味方か、はたまたそれ以外か。

だから目の前でだれかが偽装工作をはじめれば混乱するし、

わるくすれば敵意を買うことさえある。

ボクは自分にあまく、他人にきびしい人間なので、

不快な行為をみかけたら、見知らぬ相手でもときに注意する。

ただこの案件では、どう声をかければよいのか。

「人前で化粧することがなんで迷惑なの」と返されたら?

講釈に三駅分の時間がかかるし、それで理解してもらえるとも思えない。

 

 

 

 

『ヴィーナスの身支度』(四世紀後半/大理石、石灰岩、色ガラス)

 

ローマの植民市として再建された、カルタゴの住居の寝室にあつた舗床モザイク。

大丸ミュージアムの「古代カルタゴとローマ展」で一目惚れした。

手鏡をうつとりと見つめるウェヌスのあだつぽさ。

マントから自然にさらけだされる、ふくよかな薔薇色の肌。

クピードーが左右より、宝石箱の中身をわたそうとする。

それにしても、化粧する愛と美の女神!

なんという涙ぐましい努力!

この題材は、ローマ支配下の属州アフリカで広く知られたもの。

正統的なローマ神話における解釈とは、趣きを異にする様だ。

くわしくはなにも知らないが、古代地中海文化の粋という気がする。

 

 

 

カルタゴの婦人は、朝にはウェヌスを横目でながめつつ、

その永遠の若さと美しさにあやかろうと、身支度をととのえた。

そして夜には、夫婦が情けをかわすのを女神はやさしく見守る。

このモザイクが寝室にあることが、実によい塩梅だ。

身づくろいだとか、男女のあいだの秘めごとだとかは、

私事としてかたく鍵をかけた上で、表沙汰にするべきでないと、

賢明な古代人たちはよく知つていた。

小スキピオがいまの東京を見ればこれを嘆き、

かつてのカルタゴの様に、草一本はえぬまで破壊しろと命ずるだろう。


テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

海賊より貪欲な ― 『パイレーツ・ロック』

 

 

パイレーツ・ロック

The Boat That Rocked

 

出演:フィリップ・シーモア・ホフマン トム・スターリッジ ビル・ナイ

監督:リチャード・カーティス

制作:イギリス・ドイツ 二〇〇九年

[新宿武蔵野館で鑑賞]

 

 

 

一九六〇年代のイギリスが、音楽の革命の中心地だつたことは、

のちの世代でもしらぬ者はいないが、

そのラジオ放送が悲惨なほど保守的だつたとは意外だ。

ラジオ局自体、公共放送のBBCしか存在せず、

ポップミュージックをながす番組はほとんどない。

当然、若者は不満をつのらせる。

そこで目をつけたのが海の上。

海岸より三マイルはなれれば国内法が適用されないから、

船上から二十四時間すきな音楽をながし放題!

この文字どおりの「海賊放送」で跋扈する、八人のDJの物語が本作だ。

いまさらロックを、反体制の象徴とまつりあげても鼻白むが、

海賊放送をつぶそうとするロック嫌いの大臣をからませる、

『ラブ・アクチュアリー』のカーティス監督の作劇は、けれんがない。

 

 

 

あいかわらず女優をかわいく、そして小憎らしく撮るひとだ。

 

 

男ばかりの船にやつてきた、タルラ・ライリー(Talulah Riley)。

この監督は黒髪の女がすきなのだろう。

はなれぎみの垂れ目が子犬をおもわせ、庇護心をかきたてる。

そして「タルラ」つて名前が、なによりかわいらしい。

気弱な主人公のトム・スターリッジとよい雰囲気になるが、

コンドームがどうとかいう、男同士の内緒話を耳ざとく聞きつけ、

「わたしがすぐ寝る女とおもつたの!?」と激昂する。

その怒りはもつともなのだが、

 

 

スターリッジがちよいと目をはなした数分後に、

まえからファンだつたという、おデブなDJとこんなことに。

純情な主人公は、レナード・コーエンをききながら、

ほろにがい失恋の味をかみしめる。

 

 

別の腰ぬけDJのもとに嫁いできた、ジャニュアリー・ジョーンズ。

 

 

はじめて夜のあと、朝の紅茶ものまずに、船にのりこんだ目的をつげる。

この結婚は十七時間でおわつた。

英国政府を嘲弄する海賊も、美女には手玉にとられるばかり。

 

 

 

 

 

アメリカ人DJとして、フィリップ・シーモア・ホフマンが出演。

オシャレ度も愛嬌も皆無だが、逆にその鈍重な個性が、

うわつきがちな音楽映画を、碇の様につなぎとめる。

正直ボクは、大物きどりの自惚れで太鼓腹をふくらませた、

このブタマン、もといホフマン氏が好きではないが、

船上での五週間の共同生活ではぐくんだ団結心のせいか、

彼にはめづらしい、団体行動としての芝居をみれてよかつた。

 

 

名をあらそうDJとの、マストのぼり対決での一コマ。

豚もおだてりや木にのぼるというわけで、

カーティス監督の、役者をその気にさせる演出術は健在だ。


テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

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ケン

Author:ケン
千葉市出身、新宿区在住。

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