鈴木マナツ『コネクト』2巻

 

 

コネクト

 

作者:鈴木マナツ

掲載誌:『ウルトラジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス・ウルトラ

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『コネクト』は、ネットを介してあつまった高校生の男女が、

それぞれの才能をいかして音楽活動をする物語。

活動の規模はまだ、動画サイトへの投稿やイベントでのCD頒布などにかぎられ、

つまりフリフリの衣装で踊ったりしないので、絵面の地味さは否めない。

鈴木マナツはそれでも、カラオケ店で歌うkanonのたたずまいなどで、

彼女にしか表現できない空気をかもしだす。

 

 

 

 

となりの部屋からギュイーンとかっこいいギターの音がきこえる。

様子をうかがうと、ひとりでギターを弾きに来た制服の少女がいたが、

演奏に夢中で和奏たちに気づかない。

ちょうどギタリストがほしかったので声をかける。

 

 

 

 

ノリノリな演奏の一部始終をみられた少女は、

パーカーのファスナーをあげて顔をかくし、一目散に遁走。

 

 

 

 

定番の「パーカー女子」ではあるが、頭部全体を覆うのはめづらしいし、

目のところが涙で濡れて怪人っぽく見えるなど、非凡なキャラ造形だ。

 

 

 

 

彼女は「矢野天音」、高校3年生。

亡き父におそわったギターをこっそり弾いてるのは、

両親の離婚によって板挟みの立場におかれたから。

女子らしい葛藤をドラマティックに描写しており泣ける。

 

 

 

 

藤尾さんがひとりカラオケの魅力をかたるシーン。

たとえばアイマスの曲をうたえば、

大好きなキャラクターたちと一緒にいる気がして、元気をもらえる。

 

ぱっとしない現実から軽やかに離陸する、作者ならではの世界観。

 

 

 

 

そしてマナツ先生は、女の子の脚を描かせたら日本一。

構図のおもしろさや、直線性と曲線性のバランスや、

ハムストリングの描写など、いくら見ても飽きない。

 

さまざまな少女たちが星座をなす様にきらめく、絵になる空間。

繊細さと力づよさを兼ね備えた作風は、もっと評判になるべきとおもうけど。





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中山敦支『うらたろう』2巻

 

 

うらたろう

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス

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新キャラの「伏丸(ふせまる)」は犬に化ける能力の持ち主で、脱走したちよを追う。

 

2巻時点で性別は不明。

中山敦支の作品は、ある意味で性を超越しているため、

こうゆうユニセックスなキャラ造形が映える。

 

 

 

 

冷静沈着なイメージの伏丸だが、イヌの本能にはあらがえず、

主君の藤原秀衡にナデナデされるとアヘアヘ状態となる。

ギャップ萌えの威力はさすが。

 

 

 

 

森の奥から琵琶法師があらわれた。

身なりはみすぼらしく、言動は飄々としている。

 

 

 

 

その正体は「源九郎義経」。

歴史を改変した作品世界では、壇ノ浦の戦いで討ち取られたはずの男。

琵琶にしこんだ刀を手に、八艘飛びさながらの立ち回りをみせる。

 

『うらたろう』1巻のアクションは、中山作品にしては平凡だった。

作者は攻撃衝動が涸れたので、文化人っぽい歴史モノへ逃げたのかと疑った。

杞憂だった。

ナカヤマが源平合戦を題材とした理由のひとつは、

日本史上最大のアクションヒーロー「牛若丸」に挑戦するため。

 

 

 

 

大爆発とともに、白河関が崩壊する。

こわしたのは小柄な少女と、黒づくめの不気味な従者。

ふたりを目にした秀衡が狼狽する。

 

 

 

 

少女は安徳天皇、男は義経のライバルだった平教経。

日本の存亡の鍵となるちよを抹殺しに来た。

 

1巻の感想で「中山と歴史モノの相性は最悪」などと書いた僕は、

ナカヤマ信者を自称するくせに、とんだ過小評価をしたものだ!

中山が過去を指向した最大の目的は、「天皇」と斬り結ぶため。

鹿児島出身なのにオープニングの舞台が奥州なのも、僕は不自然さを感じたが、

それはちよを東から西へ旅させ、まるごと「日本」を表現するため。

 

 

 

 

安徳天皇はロリ暴君系のキャラ。

身分が今上天皇ゆえ、個性の説得力がすさまじい。

 

 

 

 

不死である温羅太郎が、頭部だけの状態で安徳天皇の首筋に食らいつく。

そして一息に食いちぎる。

こんな漫画、あっていいのか。

 

ビン・ラディンが聖人君子におもえるほどの過激性。

中山敦支は、やっぱり中山敦支だった。

創作意欲を疑った僕は万死に値する。

先生、死ぬまで必死に死力をつくして決死の覚悟でついてきます。





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我孫子祐『恋する水族マン』

 

 

恋する水族マン

 

作者:我孫子祐

発行:講談社 2017年

レーベル:講談社コミックス マガジン

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「千代森碧(ちよもり あおい)」は飼育員として水族館ではたらいている。

担当はアザラシ。

 

いつも女子のファッションセンスがいい作家なだけあり、

防水服でさえかわいくコーデしている。

 

 

 

 

きっちり水族館を取材したらしく、「お仕事もの」として充実の内容。

ペンギン班とアザラシ班の対立とか、おもしろい。

 

 

 

 

花形はもちろん、イルカ班。

イルカショーで華麗に宙を舞う「千鳥さん」は、まるで海の女神みたい。

 

 

 

 

碧が片思いしているアザラシ班の先輩は、千鳥が好き。

つまり碧にとって千鳥は恋敵。

ランニングする千鳥を帰宅中に見かけ、いろいろかなわないと痛感したり。

 

それはともかくドット柄のパーカーが目をひく。

色気のない職場でも、おしゃれ心はとめられない。

 

 

 

 

ストーリーは、ほのぼのラブコメ。

基本的に我孫子作品は、主人公をあからさまな逆境に置かない。

「水族館閉館を食い止めるため飼育員がアイドルユニット結成!」とかではなく、

ちょっとヘンテコリンだけど、どこにでもありそうな日常を提示。

 

 

 

 

経理の「尾根川さん」は、絶大な権限をにぎってるらしい。

女性キャラの描き分けの巧さはあいかわらず。

登場人物が多いと普通は散漫な印象になるが、

我孫子作品は不思議にも、女子がふえるほど密度が濃くなる。

 

 

 

 

僕のお気にいりは、クールな獣医の「三波足子(みなみ たりこ)」。

颯爽とした美人だが、本作でいちばんの変人かも。

 

絵柄がかわって線がシュッと細くなりつつも、

かわいさにさらに磨きがかかっており、今後も注目したい作家だ。





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柴田燕ウ『はるかぜ ちょーじょーぶ!』/比嘉史果『真昼の百鬼夜行』

 

 

柴田燕ウ/祁答院慎『はるかぜ ちょーじょーぶ!』(ファミ通クリアコミックス)は、

最初のページからショートカットの女子高生が全力疾走する。

「いったいなにが起きてるんだ?」と気になる。

 

 

 

 

中学時代に陸上競技で活躍した「春風涼美」は、

運動部から勧誘されるも、とびぬけた俊足なのでたやすく振り切る。

スポーツは得意だが嫌いらしい。

 

 

 

 

隠れ場所になりそうなドアを見つけ、中へはいる。

その怪しく装飾された部屋は、「超常現象研究部」の部室だった。

 

「なんて帰宅スピリットの持ち主なの!?」の一言で主人公を引きずりこむ、

くろは『帰宅部活動記録』に比肩しうるほど巧みなオープニングだ。

ただし第2話以降は、1話完結スタイルのオカルト話がつづき、

せっかくの初速が急にスローダウンする。




 

 

 

 

比嘉史果『真昼の百鬼夜行』(ビームコミックス)は、

現代日本を舞台とする妖怪もので、各話が独立した連作だ。

この作品世界では、人間と妖怪が共存している。

第1話は動物園の獣医師と、予知能力をもつクダンの交流をえがく。

 

 

 

 

2話は人の心をよむサトリが、鳥獣保護センターの事務職員にちょっかいを出す。

スマホでしか他者とつながれない、現代文化のおかしさを風刺するエピソード。

 

 

 

 

7話は気象予報士と、雨を降らせる鵺の戦い。

なんでも予想可能とおもいこむ、利口ぶった人間たちを皮肉る。

 

比嘉史果はこれが初単行本。

かわいらしいがちょっとクセのある絵柄で、細部の描写もおもしろく、

不思議だけどホッとするファンタジックな日常をえがきだす。

でも僕は、連作形式があまり好きじゃない。

娯楽がとぼしかった手塚治虫や藤子不二雄の時代ならともかく、

いま1話完結スタイルをとる意味ってあるのかな。

たとえば妖怪探偵の女子高生が、さまざまな怪事件を解決しながら、

徐々にあきらかとなる陰謀にたちむかうストーリーとかの方がよくない?

 

 

 

 

読者としては、やはり血湧き肉躍るストーリーで手に汗握りたい。

アクティヴに飛んだり跳ねたりしてこそ、美少女はかがやくから。




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スイッチオンしたNintendo Switch

 

 

任天堂は東京ビッグサイトで、13日にメディアむけプレゼンテーションをおこない、

つづく14・15日には一般公開の体験会を開催して、

あたらしいハードウェア「Nintendo Switch」の詳細をあきらかにした。

 

Wii Uの販売が振るわなかっため、もしスイッチで連敗すれば、

任天堂は据置型ハード市場からの撤退すら考えねばならないだろう。

背水の陣である。

 

 

 

 

懲りずに任天堂は、ゲームを再定義しつづける。

平たく言えばスイッチは、据置機と携帯機双方の特色を兼ね備えるものだが、

それだけならただ便利になったにすぎず、新味が足りないと彼らはみなす。

なので左右一対の「ジョイコン」をふたりでシェアし、

スタンドで立てた画面を見ながらあそぶ「おすそわけプレイ」をアピール。

 

 

 

 

むしろ画面すら必要なく、目と目を見合わせて対戦させる。

ビデオゲームのパーティ会場への浸透作戦だ。

 

 

 

 

据置と携帯の国境における侵犯行為それ自体が、ゲーム史上の一大事件。

たとえばスプラトゥーンは、あの持ち重りするゲームパッドから解放された。

 

 

 

 

ローカルに本体をもちよってのナワバリバトル。

スプラトゥーンが再定義される。

なお携帯モードに対応したせいか、Proコントローラーでの操作が可能に。

 

 

 

 

僕は体験会で、ボクシングスタイルの格闘ゲーム『ARMS』をあそんだ。

ジョイコンを「いいね持ち」し、スプリング状の腕をのばして殴り合う。

つまり『Wii Sports』のボクシングの豪華版だが、

拳がヒットするまで間があるため、攻撃・防御・移動の駆け引きが強調される。

 

 

 

 

アメコミ調の凝ったデザインは、ポップかつクールな世界観で人目を引いた、

新規IPとしてはWii U唯一のヒットであるスプラトゥーンにあやかっている。

販売戦略的に重要なソフトだ。

それはともかく、ロボっ娘のメカニッカたんはかわいい。

 

 

 

 

モノリスソフトの『ゼノブレイド2』も発表された。

また壮大なフィールドを駆けずり回ることになる。

 

 

 

 

CGアニメ『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を手がけた、

齋藤将嗣がキャラクターデザインを担当。

 

 

 

 

これまでのゼノブレイドは、致命的と言えるほどキャラモデルが不細工だが、

モノリスと任天堂は齋藤のCGアニメにおける功績を評価し、汚名返上をはかるのだろう。

女の子がかわいくないと、すくなくとも日本市場での成功は至難。

もしキャラがダサかったら、スプラトゥーンは国内で絶対150万本も売れてない。

 

 

 

 

スクウェア・エニックスは、3DSのブレイブリーデフォルトシリーズのスタッフによる、

『Project OCTOPATH TRAVELER』をお披露目した。

携帯機が「据置機」に合流する現象がおきている。

 

PVによるとシンプルで自由度のたかい、TRPGよりのコンセプトらしい。

スタッフは未発表で、絵師も吉田明彦とか政尾翼とか噂されてるが、

いづれにせよキーヴィジュアルはたまらなくいい雰囲気。

 

 

 

 

グラフィックは荒いドット絵と、精細な描画のくみあわせ。

戦闘はサイドビューで、コマンドもスーパーファミコン時代をおもわせる。

最近のRPGの流行を追っている。

 

 

 

 

フィールドは3Dモデルをドット絵風に演出。

手前と奥がぼやけてたり、水面がフォトリアルだったりで、ミニチュアみたい。

RPGでの街の探索や会話がかったるくてスルーする僕でさえ、

じっくり歩きまわりたくなった。

 

 

 

 

カプコンの『ウルトラストリートファイターII ザ・ファイナルチャレンジャーズ』。

「ドット絵のストIIの復活!」が謳い文句。

ジョイコンは、幅10cmで重さ50gしかないのにLRボタンがついており、

SFCとボタン数がおなじであるため立ち上がった企画の様だ。

 

 

 

 

途轍もない人出だった体験会で揉みくちゃにされた僕は、

ゲームを心から愛するひとびとが日本にまだたくさんいるのを実感した。

この文化は守るべきとおもった。

 

Nintendo Switchは、過去を否定し肯定するハードウェアだ。

ひとことで言い表せない。

もう後はないけれど、前途は滔々とひらけている。



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